料理の説明

ある食事会に出席しましたら、最初に料理長が料理の説明をなさると言います。

何を話すのだろうと聞いていますと、

魚は、どこそこ県の産です。

牛は、あちこち県の産です。

野菜は、やれそれ県の産です。

お米は、こりゃこりゃ県の産です。

果物あら、えっさっさー

・・・ということで、産地を言っただけでした。

産地は品書きに書いてあるのに。

私は料理人として、どういう苦心や工夫があったのかを聞きたかったのに、産地だけですか。

でも、これって珍しくはないことです。

料理の説明って、説明をする側も、される側も産地を確認して、それでお互い用が済んだ気になっていることが多いです。実に多いです、そういう展開が。

しかしですよ、それで本当にお互い合点してるんでしょうか。

分かった気に成っただけなんではないでしょうか。

その産地の肉は、他の産地と、どこがどう違うんですか?!

なんで、その産地だと、そういう肉に成るんですか?

その地方の牛は全員そういう肉なんですか?!

その地方の牛はいつもそういう肉なんですか?!

要するに、その肉は、Do-You(どういう)肉なんですか?!

・・・産地だけで肉を語れるわけはないんです。

たしかに各県の畜産試験場はそれぞれに「改良方針」を持って交配を進め、精子を配給したりしていますが、その精子を買わずに独自の路線を歩む生産者の方もいます。

産地で統一なんてできません。

むしろ料理人として、その肉を目の前にした時どういう印象を持ったのか、

その肉を美味しくするために、どういう苦心や工夫があったのか、

それを言えば良いのにと思います。

あら、えっさっさー

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.707日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM
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