すき焼き芸者

 向嶋の花街に「すき焼き芸者」として知られた、お姐さんがいます。名をCH姐さんと言い、私も旧知の女将AY子女史が経営する、料亭「きよし」の専属です。

 なんで「すき焼き芸者」って言うかって? それは芸者さんなのに、すき焼きを作れるからです。

 CH姐さんがすき焼きを作れるのは、若い頃、神田万世橋の肉料理店「M」に勤めていたことがあるからです。

 あっ、CHさん、失礼! 今も若いです、当然ですが。

 えー、話しを戻しますが、そういうわけでCH姐さんは、すき焼きを作れます。

 「きよし」のお客様が、すき焼きを所望すると、AY子女史は「ちんや」へ肉を買い出しにやってきます。その肉を使って、CH姐さんがすき焼きを作ります。完全予約制・完全指名制ですが、もちろん。

 某大手食肉企業のオーナーさんも、このコースがお好きだとか。

 先日、この話しを『すき焼き通』の著者・向笠千恵子先生が聞きつけて、ご対面。彼女をいたく気にいってしまわれたようです。

 先生がこのことをどこかに書いて、さらに彼女が有名になると、それはそれでチト困るなあ。

 我々が遊びに出かけた時、彼女にお目にかかりにくくなるかもしれないし、それに、「ちんや」のお客様が減っちゃいそうだし・・・

 でもこの話しはかなり面白いので、思わずここに書いちゃいました。失敗したかなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

  「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

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Filed under: すき焼きフル・トーク,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (1)