2022年6月17日
家訓
浅草の飲食店主の人達が、コロナ中にどう考え、行動したかを聞き取る事業をしています。
週に一人のペースでお目にかかり、毎回2時間ほどの聞き取りをさせていただいています。
基本的には、衛生面や資金繰りなどの苦労話なのですが、2時間も話していると、不思議なもので、いつの間にか「良い話し」「勉強になる話し」に変わっていることが多いです。
中には、新たな経営理念を創りつつある若旦那がいました。
その方曰く、コロナで出来た時間(店がヒマな時間)に、店の昔の資料を調べたのだけど、家訓のようなものは発見できず、むしろ、自分の頭でどういう店にしたいかを考えるようになったとか。
そして、
店のスタッフが、自ら「お客様のために」行動するような店にしたい
そういうスタッフが大勢いる店にしたい
と考えるに至ったとか。
素晴らしい。
「お客様のために」とガミガミ説教する経営者は世に多いですけどね。
日本の経営史を振り返ると、家訓や経営理念は、必ずしも創業者が作ったものばかりではありません。
例えば宝永年間は家訓が多く作られた時代ですが、その時代は南海トラフが巨大地震を起こし、富士山爆発もあった時(1707年)で、経営環境が大変悪い時代だったので、その時代を生きた経営者が家訓を遺したのです。
宝永の家訓も、今回のコロナの教訓も、禍の中に次世代への芽が生える例かと思います。
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.493本目の投稿でした。