芸談

古来、6歳の6月6日から芸事を始めると上達すると言われているそうです。

そこで最近聞いた芸談を一つ。

歌舞伎の中村鶴松さんによる自主公演が浅草公会堂で開催され、その一部に、

中村勘九郎さん、中村七之助さんによるトークコーナーがあったのですが、七之助さんが初めて「春興鏡獅子」を踊った時の、お父上(故・中村勘三郎さん)の対応の件が面白かったです。

七之助さんの初日を観た勘三郎さんは、

まあ、一生懸命やっている感じが出ていて良かろう

とコメントしたものの、千秋楽の後は、

上手く踊ってやろう!というやましい心が出ていてトンでもない、とブチ切れ→公演直後なのに、稽古をつけられたそうな。

そして、そういう厳しい態度に出たのは理由があり、勘三郎さん自身が「鏡獅子」二回目の時に、一回目より評判を下げた苦い経験があったからなのだそうです。

「鏡獅子」の弥生の役は無心さを失ったらダメなのであって、それは一番難しいかもしれません。

芸事の世界は大変ですね。

鶴松さんの今回の公演のハイライトは、その「鏡獅子」。

研究・稽古を重ねた跡の見えるもので、若さも満載。

観衆は喝采を贈っていました。公演成功誠におめでとうございました。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.483本目の投稿でした。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)