長寿企業の知恵⑨

ネットTV番組『Story 〜長寿企業の知恵〜』に出演させていただきました。

この番組は、創業100年を超える老舗企業の経営者をゲストに招き、長寿企業の経営者が持つ知恵や理念、思いを語る、というものですが、思いがけず好評で嬉しく思っています。

こちらのURLで今でも視聴可能ですなのですが、全長50分と少々長いし、そもそも動画は音が出せる環境でないとダメなので、文字情報が欲しいというご要望をいただきました。以下に公開してまいります。

(長いので15日に分けてUPしています。今日は、その9日目です)

朝岡「『すきやき=家族』というイメージが強いですが、最近の『おひとりさま』のような新しい食のスタイルはどう考えますか?」

住吉「『おひとりさま』を既に受け入れています。個室を予約できます。しかしトレンドだから受けているのではなく、「心に残る思い出を!」という弊社の営業方針との間に、整合性をもたせる為に受け入れています。昨今世間の様子を観察いたしますと、長寿社会をむかえて、パートナーをなくされた高齢者の方が増えました。故人の思い出を噛みしめながら、お一人で食事をなさる場面も相当多かろうと想像します。

私は、そうした場面に是非弊店をお使いいただきたと考えて、今回お一人様のご予約を承ることに致しました。実際、私事になりますが、私の身内が、まさにそうしたケースに該当します。義父も、既に亡くなっていますが、50歳代に義母をなくし、その後かなり長期間「お一人様」でした。「ちんや」五代目の私の実父も、一昨年80歳の時に妻つまり私の実母をなくし、82歳の現在「お一人様」です。お一人様の予約を断ることは、そうした方からの予約を断ることになります。もちろん採算性の件は悩ましいことでした。「平日の昼に限って」とか、「祝祭日は除く」とかいう限定をつけた方が実際的であったと思います。しかし、そのご夫婦の「思い出の日」は大晦日であるかもしれません。除夜の鐘を二人で聞いた後でプロポーズをなさったかもしれません。そうしたお二人の思い出の大切さに比べれば、弊社の採算性は、その下に置かれるべきものだと私は考えます。そう考えて「限定」は付けないこととしました。大晦日でも、三社祭の日でも、ご利用いただきます。この件をさる7月9日に発表しましたのは、その日が母の三回忌の命日であったからです。この発表は、母が私にそうさせたとも言えます。」

 

朝岡「時代や業界の変化に対応する上で、常に心掛けていることは?」

住吉「自分の周りや、業界の川上ばかり観ず、お客様の方を向くこと。つまり顧客志向であること。ただしお客様の言うことをなんでも聞くのが顧客志向ではありません。お客様に「銭失い」をさせないことが、「ちんや」の顧客志向であって、「銭失い」かどうかを決めるのは、その道のプロである、店の側である、というのが前提です。」

 

<ナレーション>〜心に刻む、言葉と想い〜「言魂」3つ目のテーマは…「言魂」。心に刻んだ言葉、そして想い。現在、代表を務める住吉史彦が、先代や家族から受け取った“メッセージ”の裏に隠された思いに迫る。

石田「続いては『言魂』ということで、先代や家族から受け継いだ印象的な言葉やそこに隠された想いについて伺っていきたいと思います。」

住吉「本当の資産は財務諸表に載ってない」~これは<この続きは、明日のこのブログで>

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.803日連続更新を達成しました。 すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)