平成の終わりに

JOCの竹田会長がお辞めになるとかで、メディアはオリンピック!オリンピック!の大合唱ですね。
でも私は最近オリンピックより平成が終わることの方に意識が行ってしまいます。
私が学校を卒業したのは昭和63年。昭和最後の卒業生です。ですので、私が社会人として経営者として歩んだ時間は完全に平成時代と重なります。
平成の最初こそ日本経済はバブルに沸いていましたが、ほどなく崩壊、日本は長い長い低迷期に入ります。災害も多発しました。また肉の業界では口蹄疫やBSEなど深刻な問題が発生しました。
私にとっては逆境に鍛えられた時間が、平成でした。その時代が終わることは感慨深く、オリンピックのことより、どうしても平成のことを考えてしまいます。
平成の間肉の業界は大変だったので、状況に合わせて、もろもろのゆとりが失われてしまいました。「味より経済性」の傾向が強まってしまったのが、肉の業界の平成でした。
この傾向を、総括することなしに新しい時代には行けないと私は今考えています。
未来より過去が気になるのは、ほとんど、もうクセですね。

<デパート催事出店のお知らせ>
日本橋三越本店の催事「江戸東京味・技めぐり」に出店し、精肉の販売をいています。
会場:本館7階催事会場
会期:3月20日(水)より3月25日(月)まで

<浅草本店臨時営業のお知らせ>
以下の日は火曜日ですが臨時営業致します。どうぞ、ご利用下さいませ。
4月2日(火曜)(隅田公園桜まつり)
4月30日(火曜)(祝日)

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競争馬

トヨタ自動車の豊田社長がテレビCMでかなり面白いことを言っておいでですが、それほど話題になっていないようなので、今日の話題にしてみます。
豊田さんは、何故スポーツカーに取り組むんですか?という香川照之さんの質問に答えて、こう言います=約100年前、米国に1,500万頭いたとされる馬は、現在では1,500万台の自動車に置き変わりました。しかし、それでもまだ飼われている馬もいて、それは競争馬なんです。最後に残るのは、そういうものなんですよ、と。
この発言は大変示唆的です。必要性がなくなっても生き残ることもある、という話しです。
思えば、すき焼き・牛鍋も必要性はなくなっています。
他の食べ方で肉を食べられますし、肉以外で栄養を摂ることもできます。
でも、美味しさの競争と考えれば、まだまだ行ける、と私は思います。すき焼きは美味しいから、車や馬のように数字は出ませんけど、美味しさ競争で勝ち残れる気がします。
「そもそも」は勿論大事ですが、時代が変わったら、違う見方も必要のようです。

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江戸東京 味・技めぐり2019

日本橋三越本店の催事「江戸東京味・技めぐり」に出店し、精肉の販売をいたします。
この催事は、東京の業歴100年以上の老舗店で構成する「東都のれん会」の後援で開催されるもので、「ちんや」も「のれん会」の一員として出店いたします。
どうぞ、ご利用下さいませ。
会場は本館7階催事会場
会期は3月20日(水)より3月25日(月)までです。

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誕生日スピーチ

父が所属している倶楽部では毎週誕生日を迎えた会員がスピーチをする慣例になっています。
父は1935年生まれなので、そこそこ長寿なのですが、今年の誕生日スピーチで盛大な拍手が湧き起らなかったと聞きます。そこで父が、
私が若い頃70歳の先輩が登壇したら拍手が湧いたもんですが、80歳とちょっとじゃ拍手が来ないとは、日本も随分高齢化したもんです。
とスピーチしたら、結構ウケたとか。
たしかに、最近拍手が湧くのは90歳以上の場合くらいでしょうか。
そんなおり、90歳を迎えるお客様の誕生会を「ちんや」で承りました。
父が90歳になるんですけど、すき焼きが好きなものですから・・・
とのこと。誠にお芽出とうございます。拍手喝采です。

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丸ごとチン

いつから日本人は弁当を丸ごとチンするようになったのでしょう。
Wikipediaで「電子レンジ」をひきましたら、
東京芝浦電気(現「東芝」)が国産初の電子レンジを開発したのは1959年(昭和34年)のこと。
今では90%以上の家庭に普及していますが、最初は消費者からすんなりと受け入れられたわけではなかったようです。
もう少しWikipediaを読んでいきますと、「2000年代以降の状況」という項目に、
「2000年代の日本では(中略)電子レンジで温めればそのまま食べられる食品も数多く店頭に並ぶようになった。コンビニエンスストアを中心に、風味もよく簡便な冷凍食品や、出来上がった弁当や惣菜などが複数種類取り揃えられるようになり・・・」とあります。
そう、そう、やはり、「丸ごとチン」にはコンビニの影響が大きいと私も思っていました。やり始めたのは「ここ15年くらいかな」という記憶もだいだい合っていました。
しかしですよ、弁当は古来、冷たいものですよね。
・・・そう思ったのは「第32回全国日本料理コンクール」に浅草「やっこ」の調理師の方が鰻チラシ弁当を出品しているのを見つけた時です。
チラシ弁当は流石にチンしないよね。冷たい方が自然だよね・・・と思いました。
皆さんも、弁当をチンせず食べてみませんか?

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狩りガール

ある日ヤフーニュースのヘッドラインに、
「命を軽視」 女性町議のSNS写真が炎上
というニュースが出ていました。
「命を軽視」って、な、なんだ?!
と釣られて開けて、私は何とも言えない気分になりました。
炎上した児玉千明さんという、福井県高浜町議会の議員さんは、地元の猟友会に正式に所属していて、その獲物をネットに上げていたようですが、それについてネットで炎上しただけでなく、「動物環境・福祉協会Eva」という団体が町議会に対して、
「議員の立場にありながら、SNSで命を軽視するような行為を是認することは、大人だけでなく子どもの倫理観の欠如を助長させることにつながる」ということで、議員辞職させろという「要望書」を送付したそうな。
その獲物の画像は果たして、そんなに「命を軽視」したものなのか。私は直に見られなかったので、なんとも申せませんが、報道によれば、
「獣の肉塊がぶら下がった前で包丁を持ったり、鹿の革製のちょうネクタイを身につけたりして、ともに白目をむいて写ったものなどがある。」
「白目」が余程ふざけて見えたんでしょうか・・・
千明センセイという方、通称「狩りガール」。お若くて、失礼ながらカワイイ方で、ファッションも髪を染めたりと今時。猟友会の養成会にも緑のヘアで参加して、「冷やかしに来たんか!」と怒られながらも、めげずに受験して合格したそうな。
ご本人は、「残酷、きたないなどの鳥獣処理の悪いイメージを払拭するのが目的だった」と言っておいで、本人的には不謹慎な意図はなかったようですが、不謹慎と感じた人がいたようです。
このように猟の成果をネットに上げたら、大クレームを貰ってしまった、という話しを、私は以前からたまに聞いていました。獣肉料理屋で出てくる肉の画像も危険水域。
その一方で、すき焼き屋の生肉の画像はネットに上げても、
♡美味しそー♡
と言われるだけで炎上はしませんね。同じ肉なのに。
ちなみに中世の日本人は逆だったんですよ。
昔の日本人は、狩り獲った肉を食べるのは残酷とは思わず、逆に家畜を食べることは非常に嫌がったそうです。(出典=『肉食の社会史』中澤克昭、山川出版社、2018年)
何を残酷と思うかは、それぞれ色々で、個人的には、どうも、「狩りガール」に魅かれてしまいますね・・・

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有名な鮨屋さん

ある日、電話で予約のお客様に、「ちんや」の場所のご案内をしたところ、
大丈夫。場所は分かってます。有名な鮨屋さんと同じ通りですよね?!近所にあったよね、有名な鮨屋さんが。
と自信満々におっしゃる。
は? 有名な鮨屋さんですか?この通りにはございませんよ。久兵衛さんも次郎さんも浅草にはありませんが・・・
いやいや、そういうのじゃなくて、そう、ほら、近所にあるでしょ、「すしざんまい」が!!!
そ、そうでした、ございました、「ちんや」より余程有名な鮨屋さんが。
(注:今「すしざんまい」さんが入っている物件は、弊店から西に3軒。元々パチンコの「横綱」さんだった物件で、その跡に100円ショップが入り、その跡に「ざんまい」さんが入った)

悲しいね、有名じゃなくて。

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サバ缶ブーム

どうにもフードファディズムは止められないようです。
サバ缶ブームのことです。
水産業界トップのマルハニチロさんの場合、サバ缶の売上高は前年同期比で5割近く伸び、業界2位の日本水産さんも約4割の増加と聞きます。      
やれ、DHAが入っているとか、EPAが入っているとか、
日本の侍なら「命ぎたない」のは一番カッコ悪いはずなんですけどねえ。
カッコ悪いで済まない問題もあります。国産サバの浜値が異常な高騰をみせているそうです。
それじゃあ、地元の人が気軽に食べられなくなりますよねえ。
日本各地にはそれぞれサバを使った食文化があります。日本海側が有名ですね。関西や九州でもたくさん食べられていますが、ブームに乗った「俄か」の人達が消費するせいで、普通に食べてきた人達が食べにくくなってしまいます。
止められないもんでしょうか、フードファディズム。

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観光亡国論

『美しき日本の残像』『犬と鬼』の著者アレックス・カー氏の近著『観光亡国論』を読みました。
これまで「観光公害」「オーバーツーリズム」と言うと、
・過剰な混雑
・外国人のマナーの悪さ
ばかりが強調されてきましたが、私は、そういうことよりも
・観光業者の理念の無さ
・町の稚拙化
・文化の稚拙化
の方が問題だと思ってきました。そうした現象は、長い目で見ると観光そのものを滅ぼすからです。この本は、そんな私にかなりフィットする本でした。
(観光振興を止めろという本ではなく、日本が真の意味で魅力的な観光地に成る為の本です)
皆様もご一読を。

中公新書
ISBN978-4-12-150650-4

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奥浅草写真展

「奥浅草写真展」と、写真家の沼田早苗さんの「浅草ものがたり」展が開催されていますので、みてきました。
「奥浅草」とは浅草寺の北側。花柳界のあるエリアです。以前は「観音裏」と言っていましたが、「裏」という表現があまり良くないということで、最近は「奥浅草」と言っています。
さて、このエリアは歌、踊り、着物、料理と和の文化の集積している地域ですから、その魅力を知ってもらおうと、写真展は昨年から開催されています。
二回目の今年は約百点の応募があり、皆さんアマチュアだそうですが、魅力的な写真が集まりました。
最優秀賞「奥浅草観光協会賞」は芦沢ゆり子さんの「華街(はなまち)」。三社祭の日に、老舗の料亭「婦志多(ふじた)」さんに出入りする芸者さんの姿をとらえた一枚です。
綺麗な一枚ですが、地元民としては、綺麗だね、文化だね、だけでは済まない感情もあります。
「婦志多」さんが祭りの後に廃業されたからです。浅草の店が廃業する場合は、三社祭のある五月末で閉めることが多く、「婦志多」さんもそうでした。
花柳界は文化の集積地としての評価は勿論高いですが、ビジネスとしては退潮傾向で、料亭の数は減り続けていますし、入門したものの、続かず辞職してしまう若い芸者さんもいます。そんな一人の写真も掲示されていて、「期待されていたのに」と複雑な気分です。
・・・なんてことは考えず、普通にみれば綺麗な写真展ですね。
隅田公園リバーサイドギャラリーにて。入場無料。14日までです。

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