HAGISO
平成20年にスタートした「台東区芸術文化支援制度」の10周年を記念して、これまでの活動を振り返るアーカイブ展が開催されています。
会期中には、関係者によるトークイベントもありまして、3月1日夜の部には、私も出演させていただきました。
私は区の「アートアドバイザー」として制度発足の前からお手伝いさせていただいておりますので、10周年ということで感慨深いものがあります。
自治体の補助金制度というと、在住者の地縁で助成先が選ばれてしまいがちですが、この制度では、むしろ、台東区に新鮮な企画を持ち込んで欲しい!という発想で、他の「アートアドバイザー」の皆さんと共に、斬新な企画を選んできたつもりす。
それが10年。制度発足から現在に至るまで、どんな企画を助成してきたか、一覧できる冊子も出来て、また、このような展示会も開催できて、大変嬉しく思います。
また、こうした制度が10年間、ほぼ同じポリシーで運営されてきたこと自体もまれなことと思います。
そして、もう1点。今回の展示会とイベントが谷中の「HAGISO」で開催されたことも嬉しいことでした。
「HAGISO」は元々「萩荘」。芸大生が借りて住む、かなり老朽化したアパートでした。その古民家を再生して、カフェを併設したアートスペースにしたのが「HAGISO」です。
「台東区芸術文化支援制度」では、地元民が見逃してしまいがちな、区内の面白いスポットを、才能あふれる方に発見してもらい→できれば活用してもらうことを目標にしてきましたが、その実例の一つが「HAGISO」です。
それで、今回の展示会とイベントを「HAGISO」で開催できたことが意義深かったというわけです。当初浅草文化観光センターの一室を借りるという案もありましたが、その案には恐縮ながら反対させていただきました。
トークイベントには「HAGISO」を再生・運営している、建築家の宮崎晃吉さんにも出演していただき、有意義なものになったと思います。
建築家に成りたての頃は壮大な建築物を志向していた宮崎さんが、このような極小なスペースに従事するようになったキッカケは2011年の大震災で、この支援制度が運営された、この10年を象徴する物語でもあると思います。
トークイベントは1日の部が最後ですが、展示だけは本日3日までしています。
皆様、お出かけを。