料理店の震災談義

『料理店の震災談義』を拝読しました。
この御本は東日本大震災で被災した、石巻市の日本料理店の会「石巻芽生会」さんが、震災から再建までの体験を2015年にまとめたもので、「談義」とうたっていますが、その語感とは裏腹に大変リアルな体験談であり、そして実践的なテキストでもあります。
体験談は「3.11をふり返る」の章に整理されています。
・地震時の居場所
・店の地震被害
・揺れている最中
・直後の行動
・情報入手源
・避難の決定
・従業員の避難
・避難経路
・避難までに時間を使ってしまったこと
・一時避難場所
といった項目のすべてについて、芽生会加盟8店舗が回答した表が掲載されています。リアルの極みです。
回答の中には、後に不適切と評価されたものも含まれていて、それには大きな×が付けられています。
例えば、「一人暮らしの従業員を迎えに行った」のは×で、「すぐ避難しましょう!」
「すぐ避難しましょう!」とは所謂「津波てんでんこ」のことで、親しい人を探しに行くと二人とも死んでしまう、だから全員が「てんで」に逃げるべきだということを言っているわけです。
「ふりかえる」に
「再建に向けて」
「料理店の防災術」
が続きますが、「再建に向けて」は保存版です。個人の体験談はテレビなどで目にすることがありますが、店舗を再建する体験談は貴重です。
そして「地震・津波対応の心得」が示されています。「ガイドライン」ではなく「心得」という題にしたのは、震災時には想定外のことばかりが起こるので、それをガイドしようとするのは無理があると考えたからだそうです。
実に在り難い御本だと思います。
この御本をまとめた「石巻芽生会」さんに敬意を表します。

<「ちんや」臨時営業のお知らせ>
以下の日は火曜日ですが臨時営業致します。どうぞ、ご利用下さいませ。
4月2日(火曜)(隅田公園桜まつり)
4月30日(火曜)(祝日)

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)