芯の喜び

着物の「竺仙」のご主人の講演会がありましたので、聞いてきました。
その講演会は、神田の明神様が主催する「明神塾」という、神社主催のカルチャー教室のようなものでしたが、広い会場に100人近い人が聞きに来ていて大盛況でした。
さて「竺仙」さんと言えば、最高水準の江戸小紋の版を持っていることが有名ですね。
あまりに染めのドットが細かいので、遠目には無地にしか見えないのに、接近すると、版づくりの職人と染めの職人が最高の業で造ったものだと分かるというシロモノです。
現代では、その版を造れる人がもういないのに、「竺仙」さんには、まだ古い版のストックがあるのだそうです。流石という他言葉がありません。
一方私が「へええ!」と思ったのは、お客様(着物を買いに来る女性)とのやりとりです。
自分が着たいものを買いたい!
という方は、良い買い物を出来ないんだとか。それは私もなんとなく分かります。しかし店側からの、
これがお似合いです!
もダメなんだとか。
そんな時、ご主人は、お客様に尋ねるそうです。
人に、どんな風に見られたいですか? どんな人だと思われたいですか?
これが客の「芯の喜び」を引き出す言葉なんだとか。
「芯」と言うところが秀逸と存じます。
流石、初代が俳諧の人だというだけのことはありますね。
勉強になりました。

追伸、夏季の「ちんや」の、臨時営業のご案内です。下記の日は火曜ですが、営業いたします。どうぞご利用下さいませ。
8月14日(火曜、お盆)

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて3.073日連続更新を達成しました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

Filed under: 憧れの明治時代 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)