元気のひけつ
朝日新聞の3月3日の朝刊に載せていただきました。
別刷りの「be」の方だったので見逃した方もおいでかもしれませんが、9面「続・元気のひけつ」に載っていました。
文は竹野内崇宏記者でした。ありがとうございました。
内容はと申しますと、脂肪の消化の話しです。
脂の量の話しの中で、私の「適サシ肉宣言」のことが出て来て、続いて、
脂の質による消化の違いついては学者さん達がコメントしていました。
牛の脂には「飽和脂肪酸」が多く、それは「乳化」しづらいので、胃モタレするというのが、ザックリ申しまして、ここでの論旨でした。
「乳化」するとは要するには、微粒子にすることです。脂をあらかじめ微粒子にしておいた方が表面積が大きいので、消化酵素(「リパーゼ」)が作用し易いというわけです。
んで、その「乳化」をしようとすると、牛の脂の「飽和脂肪酸」は組織の結合が強いので難しく、オリーブオイルなどの「不飽和脂肪酸」であれば、結合が緩いので「乳化」し易いというわけです。
たしかにその通りですが、スペースの関係で、この記事に載せきれていないことがあります。ここで私から補足しますと、
牛の脂は一様ではありません。性別、血統、月齢によって違います。もちろんエサなどの育て方でも違います。
牛の脂の中に、オリーブオイルの主な成分である「オレイン酸」や、ナッツ脂の「パルミトレイン酸」が結構含まれていることもあるのです。その場合は、そんなに消化しづらくありません。モタレません。
性別がメスで、血統が但馬系の黒毛和牛で、月齢が高ければそうなります。
私が日頃から強調申し上げているのは、この点です。
科学記事はどうしても「牛の脂」対「魚の脂」という対比で書かれますが、牛の脂にも色々ありまして、肉屋はそこを気にして仕入れをしているんだよ、という点にもご注目いただけましたら、幸いです。
よろしく哀愁。
追伸
日本橋三越本店の催事『江戸東京味・技めぐり』に出店して、精肉の販売を致します。
会期:3月21日(水・祝)~26日(月)
場所:本館7階催物会場
是非お出かけ下さいまし。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.932連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。