本を売るという仕事

ビジネス本を読んで涙がこぼれるという経験はあまりしないものですが、この御本は泣けました。

『本を売るという仕事』(長岡義幸著、潮出版社刊行) 

街の肉屋も、スーパーや通販との競合で苦しいですが、本屋さんの方がよほど大変です。本屋さんは、

売り値を決める自由がありません。(「再販制度」と言う)

利益率が22%と低いです。

万引きされます。

アマゾンと競合しています。

コンビニと競合しています。

ブックオフ(新古書)と競合しています。

実に大変なことです。

このように大変なので本の市場は、

1996年の26.564億円から

2016年には14.709億円にまで縮小しました。

45%も売上を落としたのだから、大変なことです。今や本屋のない自治体が全国に広がっています

これは明日の肉屋の姿です。

そんな中で苦闘している本屋さん達が、この御本には何人も出て来るのです、泣けてきます、本当に。

中でも一番有名なのは「一万円選書」の、いわた書店さんでしょうか。

この書店さんも、以前は苦戦を続けていて、奥様の具合も悪くなり、廃業の仕方を弁護士に相談していた位だったのですが、そんな折、同窓生に愚痴をこぼしたら一万円を渡されました。この金で自分のために本を選んでみろ、というわけです。

いわた書店さんは、これと同じことをお客様相手に始めました。それが「一万円選書」です。

当然お客様の個性を知らないと選書できませんから、メールでやりとりして、

仕事、関心事、良く読む雑誌、それから「人生で嬉し方こと、悲しかったこと」などを聞いておき、選書します。

この「一万円選書」がテレビに採り上げられると、SNSで拡散、1週間で300件の注文が来たこともあったとか。

体調を崩していた奥様が、この様子を見て、

「本屋の神様っているんだね」と喜んだそうです。「本屋の神様」のくだりを読んだ時は、電車の中なのに涙がこぼれて実に格好悪い思いをしました。

肉屋も、こう在らねばなりません。

その他に、お子さんが本を朗読する朗読会を毎月続けていて、お子さん達が本屋を応援する応援団まで出来ている本屋さんも出てきて、これもまた泣けます。本屋が子供を応援するのではなく、子供が本屋を応援するのです。

私は、出てくる本屋さんにも、著者にも全く面識がありませんが、この御本を心より推薦したいと思います。

 

追伸

日本橋三越本店の催事『江戸東京味・技めぐり』に出店して、精肉の販売を致します。

会期:321(水・祝)26()

場所:本館7階催物会場

是非お出かけ下さいまし。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.929連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)