加齢臭

ヨーグルト入りの溶きタマゴを提供している者としては、はなはだ迷惑な話しなのですが、最近、

加齢臭=ヨーグルト臭

と断ずるサイトがネット上で横行しています。

「汗ヨーグルト臭い.com」というURLのサイトすら在って、

ニオイの問題は、人間関係と大きく関係しています!!

と脅しています。

が、ヨーグルトって「臭」ですか?

「ヨーグルト香」ではありませんか?

ある匂いを心地よく感じる(「香」)か、不快に感じるか(「臭」)は、人がどういう食文化圏に暮らしたかで異なります。日本人でも「鮒ずし」や「くさや」の匂いを「臭い」と感じる人もいます。だからヨーグルトを「臭い」と感じる人をあながち批判はできません。

しかし加齢臭=ヨーグルト臭というのは、いかがなものでしょうか。

香水のマンダム社が201311月にニュースリリースしたところでは、

「ミドル男性の不快な「ミドル脂臭」の原因成分が、頭部とその周辺から発生する「ジアセチル」であることを、独自の解析手法により世界で初めて明らかにしました。また、ジアセチルは、表皮ブドウ球菌などの 皮膚常在細菌が汗に含まれる「乳酸」を代謝することで発生することを解明」・・・

一方、乳酸菌などの微生物による発酵の際に生成されるのも「ジアセチル」であるところから、このネタを分かり易く・インパクトのある感じにしようと誰かが、

加齢臭=ヨーグルト臭!と言ったのだろうと思います。

たしかに物質としてはジアセチルかもしれません。しかし、ヨーグルトを愛好している人だって大勢いる中で、イメージの悪いものと結びつける言語感覚が、私はイヤです。ちなみにマンダム社は「ヨーグルト臭!」とは言っていません。

キチンと社会的責任を自覚しているサイトさんなら、加齢臭=ヨーグルト臭とは書かないのでしょうが、最近は学術情報にように見える都市伝説サイトが横行していて、まったくトホホです。これらのサイトは、読み進むとたいてい特定商品の宣伝に行き着きます。インパクトが必要だったのは、要するには、商売だったからです。

繰り返しますが、ある匂いを心地よく感じる(「香」)か、不快に感じるか(「臭」)は、人がどういう食文化圏に暮らしたかで異なります。

簡単に「臭」の文字を使わない方が良いと私は思います。

追伸①

今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。

 

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

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978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.557日連続更新を達成しました。

 

Filed under: ぼやき部屋,色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)