記念誌

日本料理業「全国芽生会」の大会が2015年に東京で開催され、その時の記念誌が、ようやく完成しました。

完成まで1年以上かかるという手の込んだものでして、大変読み応えあります。

「開化の料理」の項目については、私に400字以内で書くように、というご下命がありましたので、以下のような一文を草しました。ご笑覧下さい。

<開化の料理>

アメリカの初代駐日総領事ハリスが駐在を始めたのは1856年のこと。領事館が置かれた伊豆下田・玉泉寺には、牛を屠殺した場所つまり日本初の屠殺場に供養塔が設置されている。

そのハリスの努力で函館・新潟・神奈川・兵庫・長崎が開港、外国人居留地が設置され、その周囲の日本人に欧米の食文化が伝えられた。居留地近辺に開業した西洋料理屋の中には今日まで営業を続けている店もある。また各国使節や要人を饗応するために西洋人の料理人が来日するようにもなった。

一方、外国人が肉を食べる様子を見て、従来隠れて肉食してきた日本人も次第に肉を大胆に食するようになる。江戸時代日本人が食べられた肉は、彦根藩の味噌漬や「ももんじや」の猪鍋などに限られていたが、幕末には牛鍋屋が次々と開業し始めた。

明治維新後は政府は文明開化政策を採り、福澤諭吉が『肉食之説』を唱えたように知識人が肉食を啓蒙した。また軍隊が西洋料理を採用して兵に食べさせたことで、西洋料理・肉食が国民の隅々にまで拡がって行った。

<終わり>

 

追伸①

今年も「ミシュランガイド東京2017」に載せていただきました。 3年連続掲載です。ありがとうございます。

追伸②

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.534日連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,憧れの明治時代 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)