新鮮なのが、お好き
1/30に実施した、第1回「ちんや すき焼き通検定」に合格した方から予約が入りました。ご結婚1周年で、両家のご両親と食事されるとか。
有り難うございます!&おめでとうございます!さて、
日本人は、なにしろ新鮮なものが好きだよね、という人がたまにいます。
そうでしょうか?
たしかに魚介類を生食するのが、日本の食文化の特徴ではあります。しかし醗酵させたり熟成させたりした食品も、もう一つの、日本の食文化であります。
たとえば醤油・味噌・納豆・日本酒なども日本の食文化の代表ですが、新鮮さとは対極ですよね。寿司も、今現在は生魚を使う寿司が主流ですが、かつては醗酵食品でしたよね。
醗酵以外にも、熟成の食文化もあります。有名なところでは、沖縄の泡盛の「しつぎ」があります。また超高級な料亭さんで、吸い物の出汁をひくために使う昆布も熟成させたものです。数年とかそれ以上の年月寝かせてから使うそうです。
そうです。本来、日本人はなにしろ新鮮なものが好き、とは言いがたいのです。
でも近年「醗酵・熟成」陣営の旗色があまり良くないのも事実です。
なぜって、醗酵を簡略化させる技術が、どんどん出来ているからです。醤油も味噌も納豆も日本酒も酢も味醂も、速醸が可能になりました。経済的な利便性を追求した結果ですね。
自然に醗酵をさせていないもの=速醸ものは、どうしてもやはり味が落ちるものですが、日本人は、それを受け入れてしまいました。結果、おいしくないのだから、「なにしろ醗酵食品が好き」という感情を持ちにくくなったのは当然です。
かたや、冷蔵流通ルートが確立した結果、生魚は確実においしくなりました。一方はおいしくなり、一方はマズくなったわけです。私が「旗色があまり良くない」と申す理由は、そこです。
「日本人は、なにしろ新鮮なものが好きだよね」と見えるのは、その結果なのかもしれません。日本人が、新鮮さ以外の価値観や味わいを重んじなくなって来ているように見えます。
でも、ちゃんと時間をかけた食べ物はゼッタイにおいしいです。
先日、つくば市の蔵元「浦里酒造」さんの三年古酒(=日本酒の古酒)を、弊店のすき焼きとあわせたところ・・・
合いました!
私は従来、すき焼きと最も合う酒は、日本酒の古酒ではないかと考えています。熟成肉と熟成酒だから、当然かもしれません。
今、私は、日本の飲食の場面で「熟成」がもっと重視されるようにしたいと考えております。
「年代物の古酒と、すき焼き」なんていうイベントも考えていきたいと夢想しています。
さんざん酔っぱらっても、この組み合わせの妙は、堪能できると思いますよ。
すごく、私向きかと・・・
追伸
3/13(日)実施予定の、「ちんや すき焼き通検定」の、受験申込みの受付を、2/16より開始しました。詳しくは、こちらをご覧下さい。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて359日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。
Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。