今こそ宮崎牛を食べる会-卓話全文②

 忘年会シーズンは去り、仕事納めの時期ですね。

 事務所の大掃除の後⇒すき焼き、という段取りで見える方が多いと思いますが、弊店は15:30-16:30まで休憩しています。あんまり早く掃除を終わらせないで下さいね。さて、

 12/26に「今こそ宮崎牛を食べる会」を開催しました。

 以下は、その時にいたしました、私の話しの全文です。やや長いので3日にわけてUPしています。今日は、その2日目です。ご笑覧下さい。

<以下卓話全文>

 霜降り肉が実現している、もう一つの価値は、すき焼きの「割り下とあわせて調理した時にあう。マイルドで美味い。」ということです。

 割り下というものは醤油と砂糖でできていて、非常に強い味ですので、この調味料とバランスする具材は多くありません。バランスしない時は、割り下の味ばかり濃く感じてしまって、美味く感じません。

 でも霜降りの肉を、すき焼きにすると、融けた脂が舌をコーテイングしますので、割り下をマイルドに感じます。また、霜(=脂)の部分が割り下をはじくので、肉と絡みにくくなります。

 その逆なのは、赤身肉でして、赤身だと割り下と絡み過ぎて、味を濃く感じてしまいます。

「ちんや」でも霜降り肉でなくて、赤身肉をお出しすることがありますが、その場合は、肉を充分熟成させて旨味を増やし、それによって割り下の濃い味とバランスさせています。熟成させていない赤身肉の場合、旨味が浅く、割り下の濃い味とバランスせずに負けてしまい、美味しく感じないからです。

 そういう理由で、熟成させなくても「割り下とあわせて調理した時にあう。マイルドで旨い」という、味覚上の価値が重視されてきたのです。これも、明治以来、すき焼きが誕生した日から重視されてきた価値です。

 以上ご説明しました通り、①やわらかい、②マイルドな味、というのが、従来の畜産業が目指していた、味覚上の価値です。おさらいしますと、この価値観に立脚した畜産は、

①すき焼きの誕生とともに始まり、当初は農業のサイドビジネスでしたが、

②昭和初期に、松阪や近江で本格的な産業と成っていき、

③最近、肉の輸入自由化以降、一気に全国で盛んになりました。

 ブランド牛というのは、そこを目指して交配に交配を重ねて来たわけです。

  もちろん、このままの従来の価値を大事にするのも、悪くはないと思います。霜降りの、すき焼きは理屈ぬきに旨いです。でも、今は他の食べ方もいろいろとあるわけで、違う価値を基礎にブランドを作り、他の調理法で食べさせることも可能だと思います。

 ネットが普及し、ツイッターとか新しい媒体も出てきましたので、環境的には、ブランドを作った後で宣伝しやすくなっています。生産者の方には是非、新しいことに挑戦していただきたいと思いますし、買い手の方は、よくよく牛のことや肉のことをお調べいただいた上で、お買い求めいただきたいと思います。

  ではその、肝心の、今まで重視されなかった価値の内、どれを選択して、大切にしていくべきか、考えてみましょう。当然、それがブランドの基礎になるべきものです。

 もちろん、それは根本的には、生産者の方自身が考え抜いて、決めていただくことなのですが、やはり、私は肉とこの国の風土との繋がりを、今以上に強めていただきたい、そこに価値を求めたいところです。

  食べる、ということは、そもそも大地の恵を戴く、ということで、畜産の場合、水と飼料が大切ですが、この内飼料の多くを、輸入に頼っていることがとてもザンネンです。わが国畜産の大きな問題点がココです。

 どのくらいザンネンかと申しますと・・・

<卓話全文は明日まで続きます。その後、12/31は「2010年住吉史彦の十大ニュースの発表です!>

追伸①

 弊店の営業ですが、年内は12/31まで営業、年始は1/2より営業いたします。

追伸②

 精肉売店の、正月用肉予約販売は昨日で〆切らせていただきました。12/29-31はフリー販売のみです。この三日間昼時11:00-15:00は大行列が出来ます。また夕刻には品切れ予想されますので、なるべく、10:00-11:00にご来店下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて304日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

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