2016年1月19日
400字
料理業界の出版物の為に、文明開化の食について、400字に纏めて書いて欲しいと言われました。
よ、400字ですか、キビしいですねえ。
このブログの古くからの読者の方は、2010年7月4日号にそういうことを書いたのを覚えておいでかと思います。ですので、今回はそれを纏めに纏めて400字に致しました。
<以下お読み下さいまし>
アメリカの初代駐日総領事ハリスが駐在を始めたのは1856年のこと。領事館が置かれた伊豆下田・玉泉寺には、牛を屠殺した場所つまり日本初の屠殺場に供養塔が設置されている。そのハリスの努力で函館・新潟・神奈川・兵庫・長崎が開港、外国人居留地が設置され、その周囲の日本人に欧米の食文化が伝えられた。居留地近辺に開業した西洋料理屋の中には今日まで営業を続けている店もある。また各国使節や要人を饗応するために西洋人の料理人が来日するようにもなった。一方、外国人が肉を食べる様子を見て、従来隠れて肉を食べてきた日本人も次第に肉を大胆に食するようになる。江戸時代日本人が食べられた肉は、彦根藩の牛肉味噌漬や「ももんじや」の猪鍋などに限られていたが、幕末には牛鍋屋が次々と開業し始めた。明治維新後は政府は文明開化政策を採り、福澤諭吉が『肉食之説』を唱えたように知識人が肉食を啓蒙した。また軍隊が西洋料理を採用して兵に食べさせたことで、西洋料理・肉食が国民の隅々まで拡がって行った。
<終わり>
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.152連続更新を達成しました。