小ザシ

とあるご取材で、すき焼きに向いている肉とはどういう肉ですかと尋ねられました。

色んなことがありますが、今日は「小ザシ」についてお話ししてみたいと思います。

さて「小ザシ」とは赤身とサシが細かく入り組んでいる肉のことを言います。

対する言葉として「粗(あら)ザシ」がありますが、こちらは脂肪が塊になっている状態を言います。

で、すき焼きに向くのは「小ザシ」です。

なぜか?

すき焼きは、実は焼かないで煮る料理だからです。

和牛の大きな特徴である「和牛香」は温度が80℃位の時にたくさん出ることが知られているのですが、煮ると温度が100℃以上にならず、「和牛香」が出易い温度が保たれます。逆に肉を焼いたり、揚げたりすると100℃を超えてしまうので、香りの出方が今市と成るのです。

すき焼きは「和牛香」を最も楽しめる食べ方だと言い換えても同じことです。日頃食の細ったお爺ちゃんが香りに食欲をそそられて、「ウチのお爺ちゃんはすき焼きだとたくさん食べるのよねえ」ということになる理由はコレです。

で、次に肉のどこから香りが出るか、ですが、それは

赤身とサシの境目の部分です。タンパク質と脂肪を接合している物質が加熱された時に香りを出すようです。

結局ですが、赤身とサシが細かく入り組んでいる「小ザシ」の肉が、香りをたくさん出すので、すき焼きに向いているということになります。

皆さんも、一度「小ザシ」「粗ザシ」を比べてみると面白いかもしれません。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.151連続更新を達成しました。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)