脂肪の質
山形県農業総合研究センター・畜産試験場さんの、牛の脂肪の質についての、最近の研究成果を入手しました。
「ちんや」が仕入れたいと考えている牛の傾向を、科学的に説明して下さっているので、ここでご紹介しておきます。
さて脂肪の、融ける音頭いや温度(=融点)に「ちんや」は注目しています。
融点が低い肉は「口融けが良い」と評価されます。食べた時に早く融けて風味を感じさせますから、当然旨いですし、胃に降りてからも早く融けて、胃モタレしません。
ここが、特に年配の方には重要です。
「肉は食べたいが胃モタレが辛い」という方のために、「ちんや」は脂の融点が低い牛を仕入れたいと考えていますが、この研究は、どういう牛の融点が低いかを研究してくれています。
さて、ここから少しバケ学用語が入りますが、脂肪には飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がありまして、前者は融けが悪く・後者は融けが良いです。後者の代表はオレイン酸です。ですのでオレイン酸などの不飽和脂肪酸が肉の中に多ければ、融けが良くなります。
まあ、オレイン酸とかいう用語は忘れて、悪玉脂=善玉脂と理解しても良いです。
だいたい、脂肪なのに、酸っぱくないのに「酸」と付く所が、バケ学用語は違和感がありますよね。
話しを戻しますが、善玉脂すなわち不飽和脂肪酸の多い牛とはどういう牛でしょう。
・メスは善玉脂が多い。
・肥育期間の長い牛は善玉脂が多い。特に33カ月以上育てると差が大きく出る。
・遺伝による差が大きい。但馬牛系統の牛は多い。
・肥育の仕方による差も大きい。飼料によって差が出る。
が結果です。
メスで肥育期間の長い牛、というのは「ちんや」の仕入れ方針に、完全に合致しています。安心しました。
そして、その後の、遺伝による差が大きく、さらにまた飼料による差も大きい、というのも経験則と合致しています。
やはり牛は一頭一頭、牛の個体を良く見て買わないとダメだよね、という、当然の結論に行き当たります。
「〇〇牛なら間違いなく旨い」という話しなんて妄想だということが出来ましょう。
この研究は山形県畜産試験場さんの研究ですが、この研究から、その県の牛全部が旨いなんて、全く当然あり得ない、ということが分かります。
だから県庁農政部と広告会社が展開するブランド戦略に乗せられてはいけないのです。
再度整理しますると、メスで肥育期間の長い牛に限って、一頭一頭、牛の個体を良く見て買わないと、胃モタレする牛を買ってしまいかねない、という結論です。
どうも、頭を使わせて、その割に、いつもと同じことを言ってスミマセン。
追伸①
NHK総合テレビ『月刊やさい通信』に出演します。
※なぜ、すき焼きにシュンギクを入れるのか?
※すき焼におけるシュンギクの役割
という内容です。是非ご覧ください。
11月24日(日)朝6:15~6:45
11月28日(木)昼12:20~12:43(短縮版)
追伸②
「日本国復興元年~1千人の笑顔計画」を実行中です。
この「計画」では、まず「ちんや」で東北・北関東の牛を食べていただきます。そして食後の飛びっきりの笑顔を撮影させていただきます。
その笑顔画像をこちらのサイトにUPして、北の産地の方に見ていただきます。
現在の笑顔数は370人です。笑顔数が1千人に達するまで継続してまいります。
皆様も、是非御参加下さい!
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.349日連続更新を達成しました。
毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。