「せめてこれだけ」食事術
旧知の食生活ジャーナリスト佐藤達夫さんが本を出されました。題して、
『外食もお酒もやめたくない人の「せめてこれだけ」食事術』
佐藤さんは、月刊『栄養と料理』元編集長で、20年以上食生活ジャーナリストとして活躍、女子栄養大学で講師もなさっていましたが、そのご見聞から、
「残業が続いて外食ばかりで心配」「お酒はやめたくないけど肝臓が気になる」「ダイエットしないといけないとわかっているけれど、運動が続かない」「なかなか野菜を食べられない」「コンビニでいつも同じ弁当ばかり買ってしまう」
という人が健康に過ごせるよう、「方法は極めて勘弁であるものの、内容は科学的根拠がある」方法、つまり「ハードルの低い食事方法」を指南します。
私が面白く読んだのは、
「食情報に溢れる「ヘルシー」に要注意」
という一章です。
メデイアやネット、雑談の中に登場する「ヘルシー」という言葉は一体なんぞや?と考えてみた場合に、
・脂肪が少ないこと、特に動物性脂肪が少ないこと
・糖質が少ないこと
・塩分が少ないこと
・油で揚げていないこと
・油で炒めていないこと
を言っている場合が大多数です。
が、そもそも「ヘルシー」かどうかは、個々人の食生活について考えるべき話しであって、何かの成分が少なければ即「ヘルシー」はおかしい話しです。脂肪が足りていない方にとっては脂肪がある程度ある食事の方が「ヘルシー」なのに、成分が少なければ即「ヘルシー」はおかしい話しです。
佐藤さんも指摘しておられますが、
バランス良く適量の食事をすることが「ヘルシー」なのであって、特定の成分を制限することは、その逆になってしまいます。
それに何かの成分を悪者にすることで「ヘルシー」と言う論法も変です。
統計を見ると日本人の実際の食生活は元々バランスがさほど悪くはないので、何かの成分が少なければ「ヘルシー」はおかしいですね。
統計上塩分だけは明らかに過剰摂取なので、多くの日本人にとっては減塩が「ヘルシー」ということになるかもしれませんが、それでも個人差を無視するのは変ですし、
何かを悪者にすることで注目を集める方法は、政治の世界にも通じるフェイクな手法だと言っても良いのではないかと思います。
皆様も是非ご購読を。
栄養学の入門書としても読めると思います。
『外食もお酒もやめたくない人の「せめてこれだけ」食事術』
出版社: ウェッジ
ISBN-10: 4863102208
ISBN-13: 978-4863102200
発売日: 2020/1/18
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は3.617本目の投稿でした。本年3月1日まで無事連載が続けば10周年になる予定です。引き続きご愛読を。