「東京ミラクル」インタビュー③
元日放送の、
NHKスペシャル「東京ミラクル」第4集 老舗ワンダーランドー佐藤健・物々交換の旅
に出演させていただきました。
「東京ミラクル」は、2020オリンピックをひかえて東京の魅力を紹介するシリーズです。これまで「築地」「鉄道網」「アニメ」を特集してきましたが、今回は東京の老舗を紹介します。
東京は、関東大震災、東京大空襲で二度にわたり壊滅的な被害を受け、焼け野原となったにもかかわらず、世界最多の老舗店があります。その長寿の秘密を探る、という番組でした。
お恥ずかしいことに私のインタビューもありまして、こんな↓ことをお話ししました。
その三<従業員に美味しい肉を食べさせる件>
「適サシ肉宣言」とは等級が4等級を使う方針のことで、従来高級とされてきた5等級を排除しますのですので、経営上はリスキーでした。
そこで従業員を全員一人ずつ呼んで、それぞれ90分程度かけて、この件を説明しました。大勢一緒の座学形式ではダメだと思ったからです。
この「一人ずつ説明会」で皆分かってはくれたようでした。反対意見はまったくありませんでした。しかし、腑に落ちたかというと別問題で、そうは見えませんでした。何しろ化学用語のオンパレードですから。アミノ酸とか不飽和脂肪酸とか、脂の融点とか。
しかし私は、この話しがいかに大事な話しでも、従業員に丸暗記を強制する制度を造りたくはありませんでした。試験をして成績と給料を連動させるとかはイヤでした。で、考えたのが「29日の肉まかない」でした。
理屈が心底分からなくても、とにかくウチの肉はうまい!と皆が確信していれば、それで充分と思うことにしました。理屈に興味のある人がやって来れば、その時は私がお相手すれば良いのです。
お客様に直接接するのは従業員です。今は、その一人一人が自分の体感で肉を語れるのが最善と思っていますので、「自分の感想をお客様に言えば良いのさ」「不飽和脂肪酸とか言わなくてもいいよ」と言っています。
色々調べた挙句、人の体感でオーケーなんだ!食べ物に関する限り、体感と合理性は一致するという認識に辿り着いたので、今はそう言えます。全てBSEのおかげです(笑)以前の私なら理解の遅いスタッフを軽んじたかもですが、そうならなくて良かったです。
美味しい肉を従業員が食べてしまうというのは、一見顧客第一主義に見えないかもですね。しかし考えていただきたいのですが、「私達、美味しい肉を食べたことなんかないです!」「何が美味しいかなんてゼンゼン分かりません!」つて言う人に接客されたいでしょうか?
で、美味しい肉を従業員が食べてしまいますが、回り回って、お客様の為になると思っています。で、うまい肉は従業員が食べる、という形になっています。(終わり)
*見逃した方は→「NHKオンデマンド」で1年間配信されます。
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。
弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は3.598本目の投稿でした。本年3月1日まで無事連載が続けば10周年になる予定です。引き続きご愛読を。