子持ちどじょう

日本料理業「東京芽生会」の例会が、浅草の「どぜう飯田屋」さんで開催されましたので、参加しました。
どじょうの時季は真夏ですので、暑い盛りにどじょう屋さんに行く人が多いかと思いますが、その前の6月は「子持ちどじょう」の時季でして、これもまた面白いものです。
どじょうの産卵期は4月から7月で、天然どじょうであれば、水田などで夜間に産卵が行われるそうです。残念ながら農業環境の変化で、現代の水田はどじょうが住みづらく、天然ものは貴重品です。
「どぜう飯田屋」さんは、最近裏手の新館をリニューアルされ、そこで頂きました。
御馳走様でした。

追伸
令和の新時代に向け、「ちんや」は「肉のフォーティエイト宣言」を致しました。ご理解・ご愛顧賜りたく、お願い申し上げます。

変わりザク10周年

最近気づいたんですが、今年は「変わりザク」10周年の年でした。
「変わりザク」とは、すき焼きに、葱・春菊・椎茸・豆腐・シラタキといった定番具材以外の季節の野菜をオプションで入れることでして、2009年からやっています。(その経緯はこちら
この機会に、すき焼きに合う野菜を調べてみたところ、ネットに多少情報がありました。あるサイトでは、
・トマト
「実は、トマトすき焼きを名物にしている有名店もあるほど。斬新な感じがしますが、意外にもおいしく、ご自宅でも簡単に取り入れられます。トマトはひと口大に櫛形きりにします。煮崩れしやすいので食べる直前に入れて、さっと火を通して食べましょう。しめにはパスタを入れると、よく合いますよ。」
→はい、トマトすき焼きは有名ですねが、それがオススメの最初ですか。でも、トマトはどうしても荷崩れして鍋に酸味が流れ出るので、私としては、卵だけ酸っぱくしたい気がします。
・じゃがいも
「じゃがいもを入れると、まるで肉じゃがのような仕上がりになります。合わないわけがありませんよね。ひと口大に切って水にさらしたあと、電子レンジで加熱します。早い段階で鍋に入れて煮込みましょう。ホクホクした食感も楽しめますし、ボリュームアップにもGOOD。」
→はい、味は悪くないと私も思いますが、家庭のすき焼きっぽくなるので、店の営業では、なんとなく、使うのを控えてしまいますね。
・ごぼう
「牛肉とごぼうの相性は抜群に良いですよね。それならば、すき焼きに入れてもおいしいはず。ごぼうはささがきにして水にさらし、あくをしっかり抜いておきましょう。少しくせが強く、たくさん入れるとくどくなりますので、少量ずつ入れるのがポイント。味が染みにくいので、早めに入れてしっかり煮込んで食べましょう。」
→はい、ごぼうは、「ちんや」の「変わりザク」でも試したことがあり、美味しいのですが、季節感が今市出づらいせいか、そんなに売れず、そのワリには仕込みの手間がかかるのが難点でした。
・大根
「すき焼きに大根というと、意外な感じがしますよね。しかし、九州あたりでは当然のごとく入れるのだそうです。くせがなく使いやすい食材なので、納得ですね。薄切りにすれば火の通りが早く、ピーラーでリボンのように薄くして入れてみるのもおしゃれですよ。」
→文中の「九州あたりでは当然のごとく」は誤りです。入れる地方は瀬戸内ですね。
他のサイトでは、
・クレソン
→廃業してしまった、すき焼き店「よしはし」さんで入れていました。が、生では辛すぎて、加熱すると今度は独特の風味がなくなって、どちらも良くありません。半加熱が良いですが、熱の通し加減が難しいです。
・レンコン
→これは良いと思います。「ちんや」の「変わりザク」でやったことがあります。
・もやし
→これも良いと思います。が、普通のもやしだとチープ感が出てしますので、「ちんや」の「変わりザク」では、冬だけ「大鰐温泉もやし」やっています
・カリフラワー
→ほお、これはやったことないですね。要実験です。
今後も色々試し続けて行こうと思います。

追伸
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2周年

「あなぐら」が2周年だそうです。
「窖(あなぐら)」とは、笠間市の磯蔵酒造さんが浅草2丁目にオープンさせた、日本酒文化専門店です。
浅草に開店した経緯はこちらにありますので、ご覧いただければ、昨今ありがちな、インバウンド狙い・オリパラ狙いの出店ではないことがお分かりになると思います。
2年前の開店挨拶文の中で、蔵主の磯貴太さんは、
「これからは茨城同様、浅草に根っこを張れるよう、皆様に「浅草の地酒」と言っていただけるように張り切って参ります。」と書いておられました。
「2周年記念酒」も造ってしまう気合の入れ方で大変結構と思います。3周年、4周年も造るのかな・・・
お味も結構でした。誠にお芽出とうございます。

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丸茄子

夏野菜の季節ですね。
「変わりザク」が丸茄子になりました。
「変わりザク」とは、すき焼きに、葱・春菊・椎茸・豆腐・シラタキといった定番具材以外の季節の野菜をオプションで入れることでして、2009年からやっています。(その経緯はこちら
春は新タマネギが美味しいので、新タマネギにすることが多く、これからは、茄子です。
この時季の茄子は他に美味しい食べ方がたくさんあるので、強いてすき焼きにしない人が多いかと思いますが、すき焼きの具材として悪いわけではありません。
肉質がつまっていて、荷崩れしにくく、使いづらいわけではないです。
話しのネタとしてお試しあれ。
それにしても、今気づいたんですが、今年は、
「変わりザク」10周年か・・・
なんか、イベントするか、な。

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センター試験の夜に

読んでいて「すき焼き思い出ストーリー」だなあ、と思いました。
人気急上昇中の若手落語家・立川吉笑さんのインタビューの中の一件です。
「ちんや」では、すき焼きにまつわる思い出話しをお客様に投稿していただき、ネットで公開しておりまして2015年にはそれを纏めた本も出しましたが、吉笑さんの一件も「すき焼き思い出ストーリー」だなあ、と私は思いました。
さて、吉笑さんの思い出のすき焼きは、
「センター試験の1日目を終えた夜に」「数学の出来が壊滅的だった僕を慰めるための外食だった」そうです。
「シメのご飯が出てくるのがやけに遅く、糸こんにゃくの切れ端でご飯を食べなきゃいけなくなった。白ご飯をかきこむ父親の姿がよみがえってなんだか悲しくなった」
「自分も白ご飯をほおばりながら「頑張って親孝行しよう」と考えたことまで思い出した。」
「気づいたら今、とても悲しい気持ちになっている。記憶の力ってすごい。」
人を慰める為のすき焼きというのは、これまでの「すき焼き思い出ストーリー」に登場しなかった、新しいパターンですが、ご家族の気持ちは良く分かりますね。
舌の記憶力って本当にすごいと私も思います。

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デリカシー

取引先の銀行が出している雑誌に、大学同期の噺家・立川談慶君がコラムを連載しています。題して、
「人生、なんとかなる!」
もう48回も続いていますから、ご立派と思うと同時に、銀行の雑誌で「なんとかなる」というのは、実に在り難い銀行だと思う次第ですが、それはさて置きまして、今回の御題は、
「金持ち」より「デリカシー持ち」 
同期君曰く、
・落語は、口調と顔の表情だけで話を展開させるもの
・落語は、高度なデリカシーを持たないと把握できないもの
・江戸っ子のデリカシー気質が落語という芸を進化させた
江戸っ子というと、粗暴なイメージを持つ人も多いかと思いますが、実は他人の気持ちを慮るよう訓練されていました。
長屋というプライバシーが保てない所に密集して住んでいたから、自然とそう訓練されたわけです。「聞こえたけど聞こえないふり」「見たけど見てないふり」もそれですね。
同期君によれば、彼は修業時代に談志師匠に対して、そういったデリカシーのある対応が出来なかった為に9年半も前座にとどまったんだとか。だとしたら、実に有益な修行期間だと思います。
「金持ち」より「デリカシー持ち」
至言と思います。

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交代

浅草料理飲食業組合の定期総会に参加しました。
今回、10年間組合長を務められた「どぜう飯田屋」の飯田龍生さんが退任され、浅草うまいもん「あづま」の染谷孝雄さんに交代されました。
飯田さんの永年のご努力に心より御礼申し上げると共に染谷さんのご活躍に期待します。

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こんにゃくの日

慶應義塾の雑誌『三田評論』の、5月号の「社中交歓」のテーマは、こんにゃくでした。
理由は5月29日が、「こ(5)んに(2)ゃく(9)」で、「こんにゃくの日」だから。
ご、語呂合わせでした、か・・・
もっとも、この日は、全国こんにゃく協同組合連合会と一般財団法人・日本こんにゃく協会とが1989年に正式に制定したとかですけどね。
さて、5月号に載せた理由は「なんだかなあ」でしたが、こんにゃくはすき焼きに大いに関係ありますから、勿論拝読しました。
「社中交歓」は毎回4人の塾員が同じテーマで投稿するのが「お約束」ですが、今回は、
・こんにゃくの供給側=群馬県の方
・こんにゃくの消費側=山形県の方
・こんにゃくにまつわる文学について
・こんにゃくの栄養について~栄養士の方
というメンバーでした。
群馬県がこんにゃくの産地であることは知っている人が多いかと思いますが、産地=消費地ではなく、最大の消費者は山形県民です。「芋煮」にも必ず入りますからね。
山形に続くのは、青森、秋田と東北です。寒い土地なのに、ほとんどカロリーの無いこんにゃくを好むとは実に不思議です。食べ物の世界は基本、合理的だと思うのですが、理由が分からないこともあります。

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夜間工事

このところ不眠ぎみです。
夜中に起きてしまう原因は、近隣の工事。
元号またぎの連休が終わり、今年の夏休みまでに工事を済ませようと思うと、工事現場は今が佳境なのです。来年夏完成では遅過ぎですからね。今がピークなんです。
で、夜間工事です。
浅草は日中、人や車の往来が激しいので、大型の機材が入り込めないです。いきおい夜間工事になるのです。住宅地でそんなことをしたらクレーム殺到でしょうが、浅草に住む人達は、これに慣れています。
が、慣れているとは言っても、やはり起きてしまいます。
起きないまでも、睡眠が浅くなりがちです。
夜良く寝ていないから、日中眠いです。困るなあ。
まったく、早く終わらないかな、オリンピック。

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秘訣②

昨日の「秘訣」の話しの続きです。
老舗の取材をしたいと色々な方が見えます。
139年店が続いた「秘訣」を言え、と。
そんなこと分かれば誰も苦労はしないと思うのですが、お答えしています。
割り下の味が大事なのは当然ですが、それだけでなく、すき焼き屋の場合、割り下と具材のバランスが大事です。具材とはもちろん肉ですね。
まず昨日申しました通り、
・割り下の味を多くのお客様の舌が認知していること
が極めて重要です。浅草は20世紀に、関東大震災、太平洋戦争、1970年代の衰退と3回の危機を経験しましたが、どの場合でも復興できたのは、味を支持してくれるお客様がいて下さったからだと思います。
しかも、その「お客様」とは、一世代の特定の方ではありません。
お爺さま、お婆さま、お父様、お母さま、お孫さん
と家族ぐるみで複数世代にわたって、「ちんや」の味を認知して下さっている方がおいいで、全体を「お客様」と言っています。
だから、お爺さま・お婆さまが、もし亡くなっても、次の世代の方が、お正月・お彼岸などの機会に見えて下さるのです。味を変えるということは、その方々のご期待を裏切ることになります。その方々に対して、来ないでいいよ、と言うも同然ですね。
だから、割り下の味を、そう簡単には変えられないのですが、ここで困るのは、具材の質が変わると、割り下が同じでも鍋全体の味が変わってしまう、ということです。
そして、実際、平成の30年間に、肉の質が変わりました。
平成時代に経済性を重視する生産方法(短期肥育)が広まった結果、融け方が悪い脂の付いた肉が増えてしまいました。融け方が悪い=脂の融点が低い=食べるとモタれる、という図式ですね。
その結果、以前より仕入れを厳格にやって行かないと、こちらに合う肉が買えなくなりました。
で、私は2017年に「適サシ肉宣言」を、さらに今年「肉のフォーティエイト宣言」をして、仕入れの基準を明確化しました。
すき焼きの場合、味だけ守っていてもダメだという話しです。
「秘訣」という感覚ではないですけどね。
こうしないと、以前から見えているお客様に違和感を与えてしまうので、そうしている、という感覚です。ご参考にならず、すみません。

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