味で楽しむ会
「適サシ肉」と「ライスィな酒」の会を、磯蔵酒造さんと開催しました。
その趣旨は以前に書きましたので、そちらをご覧いただくとして、今日は、その日のお酒のラインナップです。
<まず乾杯には>
・「窖」一周年記念酒(純米吟醸原酒)
これは磯蔵さんの浅草売店「窖」(あなぐら)の開店一周年を記念したお酒で、「冷やして飲む」がコンセプトの純米吟醸原酒です。
基本的に磯蔵さんは、あまり冷やして飲むことを勧めしておられないようですが、今回は梅雨の時季でもありますし、まずは飲み易い冷酒で乾杯していただこう!ということでした。
ただし!これは、一筋なわでは行かないお酒です。吟醸づくりではあるものの、醗酵程度が中度の段階で醗酵を止めて甘味を残し、それを加水せずに原酒のまま飲もうというのが、このお酒。米は酒造好適米「愛山」ですから、糖質が多くて酸味・苦味は少ないので、「完全ライスィ」とは申せませんが、甘味をたくさん残しているので、「準ライスィ」でしょうか。甘いから冷やすのです。「愛山」を使って酔狂な造りをなさるものです。
<続いて前菜には>
・「稲里」純米大吟醸 山田錦
これは「山田」の大吟なので、「ノン・ライスィ」です。後に出て来る「ライスィ」と比べてもらうという趣旨です。
では前菜に合わないかと言うと、そうでもなく、「山田の大吟」ではあっても香りを付け過ぎずに醸造したタイプなので、味のインパクトが小さい和食の前菜となら相性悪くはないだろうということです。「なにげなくも、だからこそ美味しい」というのが狙いですね。
そういう次第で、「大吟」ですが、冷やさず常温で行きました。
<すき焼きには>
・「稲里」 純米 熟成出荷
この辺から「ライスィ」が登場です。吟醸造りではない原酒を常温で熟成したものです。しっかりした旨味が、お燗することでさらに華開き、肉や卵の旨味は勿論、割り下の甘味ともバランスするだろうという算段です。
当日は土鍋で燗をつけてお出ししました。土鍋で湯煎すると酒質がマイルドに感じるのです。うーい。
<続けて>
・「稲里」純米しぼったまんまの出荷(無濾過生原酒)
これも「ライスィ」ですね。原酒の熟成酒に続けて、今度は「ライスィ」な「生原」。文字どおり「しぼったまんま」です。
生酒は冷やして飲む事が多いと思いますが、冷やすのは品質管理上の都合でして、飲むことだけを考えたら常温もかなり良いものです。「すき焼き」と合わせるのであれば、なおさら常温ですね。
今回は、その「ライスィ」な「生原」を常温で「適サシ肉」にバランスさせようという作戦でした。うっ、うーい。
ここまでで絶好調に御機嫌になった方も多かったですが、
<飲み足りない人用に>
・「稲里」 純米 日本晴
これは穏やかな「ライスィ」です。低精米だからこその苦味・渋味・酸味のバランスが、呑み飽きしない味を実現しています。長時間の飲み会には、こういうのが良いですねえ。常温でもお燗でも行けます。意識の確かな方は、どうぞ・・・・
いやあ、飲んだなあ、ひっく。
最後に今更ですが、ここでこの日のコンセプトです。
「すき焼きと日本酒の相乗効果を、「こだわり」でなく「味」でお楽しみください。」
マーケットで目立つための過剰な「こだわり」を忘れてみたら、お酒の魅力がストレートに感じられると私は思います。それを磯蔵式に言えば「味で楽しむ」になるんだろうと思います。楽しい会でした。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて3.043日連続更新を達成しました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。