蔵150年
浅草の「ギャラリー・エフ」さんの蔵が建造150年となり、
『蔵150年』と題した、素敵な記念誌が刊行されました。
「エフ」さんのある浅草南部から蔵前に至る一帯は、江戸から明治にかけて、隅田川で運んで来た物資を陸上げする場所でした。この蔵を建てたのは、そんな物資を商っていた商店主の一人で、時は幕末の風雲の最中「慶応四戊辰年八月吉日」。はりにそう墨で書かれているそうです。
その後浅草は関東大震災と昭和の空襲を経験します。記念誌には、空襲から9日目の1945年3月19日に撮られた浅草の写真が載せられていて、見渡す限りの焼け野原に、この蔵だけが生き残っています。
このように貴重な建造物なので、国の登録有形文化財や、台東区の景観重要建造物に指定されています。
その後いっとき、この蔵は風雨に晒される状態になりますが、1997年にオーナーの村守恵子さんが改修工事を行い、カフェを併設したアートスペース「ギャラリー・エフ」をオープンさせました。
「エフ」が誕生してからは、オーナーのお嬢さんのいずみさんが多彩な展示を行い、カフェではいずみさんの飼い猫・銀次君が人気者になりました。猫本が出るほどの人気でした。
しかし残念なことに銀次君・いずみさんは続けて他界されました。いずみさんの1周忌が過ぎて、この記念誌が出来、この御本は故いずみさんに捧げられています。
掲載されている写真は、オーストラリア人で写真家のリチャード・バイヤーズさんが撮り、アーティステイックな監修もしたとかで、とても素敵な御本です。
購入ご希望の方は、直に「ギャラリー・エフ」さん(台東区雷門2丁目19-18)へ。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて3.040日連続更新を達成しました。
すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。