100年経営アカデミー⑯
100年経営研究機構さん、ハリウッド大学院大学さんが主催する、
「100年経営アカデミー」で、ゲスト講師として講演をさせていただきました。
「100年経営アカデミー」は“100年経営を科学する”をテーマに、長寿企業から長く続く経営の秘訣を体系的に学び、経営の中で実践していくことを目的とした、日本で初の講座です。
6/11から講演全文を公開しています。長いので16回に分けて少しずつUPしております。
<「100年経営アカデミー」住吉史彦講演(2017.6.10)>
さて、次に老舗の社訓を考えてみます。老舗の社訓に書いてある利他主義あるいは後利主義の文言は、平時に読むとひどくマヌケに見えます。営利企業は利己主義の筈なのに、なんでまた建前を書いちゃってるんだろう・・・と思います。
しかし逆境と絆ホルモンの大量分泌を経験した店主が、その強烈な経験を書き残した文書だと思って読めば、すんなり読めます。
災害の時に自社をさて置いて利他的に行動し、自分の会社はもうダメでも仕方ない、と思ったのに、やがて近隣の皆さんに支えらえて復活を遂げた経営者は、絶対にその体験を書き遺したいと思うはずです。社訓とはそうした文書だと思って読まないとリアリテイーが今いち感じられません。
そして、そうした体験の無い人に社訓を分かってもらうのが難しい理由は、そこだと思います。利他的な社訓を社員さんに理解させるには、たぶん、毎日暗唱させるのも結構ですが、災害ボランティアに行かせるのが良いのです。平時に、経済学っぽいホモ・エコノミクスの頭で読んでも、全然心惹かれないが利他的な社訓だと思います。
今この話しは、いつの間にか完全に先生方に向けて話していますが、老舗研究の焦点は、利他主義だと私は思います。
利他主義の文言が経営理念や社訓に盛り込まれているか、いつ誰がどういう経緯で入れたのか、利他主義の精神が経営者の心に刻まれているか、が重要なことで他のことは、マーケテイングも組織設計も従属的なことだと思います。
私は、IQも学識も時間もないので出来ませんが、私が学者なら利他主義の件を、集中的に調べたいと思います。もちろん日本の石門心学、西洋のカルヴァン主義がバックボーンという具合に真面目に捉えるのが定説で結構とは思うのですが、たまには違う読み方をしてみてはいかが?と今日は申し上げてみました。
さてさて、時間も押してきました。日本は災害大国なのに老舗が多い、のではなく、災害大国だからこそ老舗が多いということは、今やパラドックスでもなんでもなく、納得的な話しとなりました。
『老舗企業の研究―100年企業に学ぶ伝統と革新』(横沢利昌・編著)の68ページには「ピンチの裏にチャンスあり」というように、ある面で危機はチャンスといえる。危機の「危」は脅威を意味するが、「機」は機会である。実際、創業以来の危機を転機として乗り切った老舗企業も数多く存在する。」と書いてありますが、同じことと思います。
そして災害の記憶は、この国に「木の発想」として継承されて来て、今後も継承続けるだろうと思います。が、では、さて、平時はどうなりましょうか。そこが今日の最後のポイントです。
災害と老舗の関係を考えてみた結果、リスクを経験しないことは・・・
<今日の分は終わり。続きは明日の弊ブログにて>
追伸1
6/1発売の「婦人画報」7月号(創刊記念号)に載せていただきました。ありがとうございます。
今回の特集は、なんでも婦人画報社さんが「総力をあげた特集」だそうですが、題して、
「世界が恋するWASHOKU」。
旨味とか醗酵とかを採り上げた後、しんがりがWAGYUです。
追伸2
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.675日連続更新を達成しました。