100年経営アカデミー⑦
100年経営研究機構さん、ハリウッド大学院大学さんが主催する、
「100年経営アカデミー」で、ゲスト講師として講演をさせていただきました。
「100年経営アカデミー」は“100年経営を科学する”をテーマに、長寿企業から長く続く経営の秘訣を体系的に学び、経営の中で実践していくことを目的とした、日本で初の講座です。
6/11から講演全文を公開しています。長いので16回に分けて少しずつUPしております。
<「100年経営アカデミー」住吉史彦講演(2017.6.10)>
そして、「商品としてのすき焼き」をもう一度考えてみますと、すき焼きという商品は売り易くない、しかしすき焼きの思い出という商品は結構、売り易い、そう言えるのではないかと思います。
だいだい、そうでなくては所謂「老舗」の存在意義なんてものはありません。
そして、さらにもう少し申せば、家族を統一するのは味覚だとも、私は思っています。そうしたご家族の平凡な幸せに貢献すること・平凡な思い出づくりのお手伝いをさせていただく、それが私と「ちんや」の役割・私と「ちんや」のミッションだと、現在は確信しております。
以上ここまでの話しを纏めますと、経営は人間的なもの、普遍的に人の心に訴える価値を創り出さねばならない、その考え方に沿って、弊店は「思い出を創る」店だ、そう決めさせていただいた。
私にそうさせたのは、2001年のBSE問題から、2011年に至るまでの一連の肉の業界の危機的状況だった、とうことです。
えー、ここまで大丈夫ですか、ちょって背伸びしますかね、本当は自分がしたいんですけど、両手を握ってひっくり返して、左、右、左、右と曲げますね。いいですか?掛け声はここでもス・キ・ヤ・キですからね、はい、ス・キ・ヤ・キ。
はい、ありがとうございます。先に行きましょう。
先ほどは、BSE問題、口蹄疫問題、東北の震災を経験して、私の考えと行動がどうなったかを、お話ししましたが、ここからは同じ時期に肉の業界にどういう動きがあったかをお話ししたいと思います。
その動きは、サシの過剰化・霜降の付け過ぎという実に良くない動きで、その結果、ごく最近手前どものような店も、それに対応すること・決断することを強いられましたので、ここでお話ししたいと思います。
さて、先ほど申しましたように牛の業界が深いダメージを蒙った結果、打開策として、各県は牛の「ブランド化」を進め始めます。1980年代から、アメリカの牛と競争する為、日本の畜産業界は肉にサシを入れる努力を続けて来ましたが、この頃から、その傾向がエスカレートするようになったと記憶しています。
この時に「ブランド化=サシを入れること」と考えるのは単純過ぎやしないか?ひたすらサシが多い肉は本当にお客様に喜んでいただけるのか?脂肪の質も考慮しないといけないのではないか?といった問題提起が行われていれば、今日のような事態に至らずに済んだと思うのですが、なぜだか、問題提起は行われませんでした。業界に重くのし掛かった危機感が異論を封じ込めたのかもしれません。
同じ頃DNA鑑定やビタミンコントロールの技術が登場したことで、サシは行き過ぎてしまいました。やがて、お客様から嫌われる水準にまで過剰なサシが肉に入るようになったのです。
この残念なブランド化あるいは、残念なマーケテイングは・・・
<今日の分は終わり。続きは明日の弊ブログにて>
追伸1
6/1発売の「婦人画報」7月号(創刊記念号)に載せていただきました。ありがとうございます。
今回の特集は、なんでも婦人画報社さんが「総力をあげた特集」だそうですが、題して、
「世界が恋するWASHOKU」。
旨味とか醗酵とかを採り上げた後、しんがりがWAGYUです。
追伸2
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.666日連続更新を達成しました。