100年経営アカデミー⑥
100年経営研究機構さん、ハリウッド大学院大学さんが主催する、
「100年経営アカデミー」で、ゲスト講師として講演をさせていただきました。
「100年経営アカデミー」は“100年経営を科学する”をテーマに、長寿企業から長く続く経営の秘訣を体系的に学び、経営の中で実践していくことを目的とした、日本で初の講座です。
6/11から講演全文を公開しています。長いので16回に分けて少しずつUPしております。
<「100年経営アカデミー」住吉史彦講演(2017.6.10)>
実際の課題としては、お客様にリピートしていただく、それも10年に30回、20年に60回、30年に90回といったペースでリピートをしていただく、ということを目指しております。浅草はそれが可能なんです。
実は浅草と上野の間には寺町があってお墓があります。そこへ正月、春のお彼岸、お盆、秋のお彼岸と多くのご家族が通って来ます。春には墨堤の桜が咲きます。是非ともそういう機会にリピートをしていただきたいと思っています。
30年の間にはお爺さんが亡くなるかもしれません。しかしリピートは終わりません。30年の間に、お孫さんが成長して結婚して⇒そこにお子さんが生まれて、つまりかつてのお父さんがお爺さんの位置に上がりまして、新たな3世代が揃って「ちんや」へ来て下さいます。
ですから「ちんや」メンバーズカードの会員さんが亡くなった時、遺族の方がそのまま権利を継承できるようにしております。ご遺族の方は、たいてい「父が亡くなりましたので削除して下さい」と連絡して来ますが、そこで「はい」と言って削除してはダメなんです。
人間の個体の単位で考えれば、お爺さんは死んじゃったんですから二度とリピートできませんが、家族単位ではリピートできるんです。
生まれたお子さんにモノ心がついたら、今度のお爺さんつまりかつてのお父さんから聞かされるでしょう、オマエの曾爺さんの代から、ウチの家族はこの店に来てるんだぞ!って。
それが弊店の理想形であります。若年層対策にもなりますのでね、お孫さんは20年経てば成人して彼女と来てくれますから。
その理想形は、実際実現しています。
そして、私はそれをある方法で確認しました。『すき焼き思い出ストーリーの本』という本を出した時確認できました。この本は、創業135年を記念して、2015年に刊行しましたが、ここに掲載されているストーリーは、一般の皆様から投稿していただいたものです。
思い起こしますと、すき焼きは文明開化の昔から、日本人の思い出の中に生きてきた料理です。料理は他にいくつもありますが、人々の思い出と一番つながっている料理はすき焼きではないかと私は考えています。でも残念ながら、そうした思い出話しを纏めて保存したことはなかったように思います。そこで私は皆様にストーリーを投稿していただこうと、2010年に思いたち、それを2015年に本に纏めました。
ストーリーを読みますと、感動して落涙を禁じ得ないものから、クスっと笑ってしまうものまで、様々なものが集まりました。
時代背景も、激動の昭和を色濃く映したものから、現代の世相を映したものまで。様々とり揃えることが出来まして、企画者としてこんなに嬉しいことはありませんでした。今後この本を、店の歴史の資料として、すき焼き文化の資料として、末永く保存したいと思っています。これが現物です。内容はですね、
(1章)主の六代 客の六代
私が思いまするに、主の六代はそんなに自慢できることでもないです。しかしお客様に六代続いた方がいるのであれば、それは少し自慢させていただいも良いように思います。
(2章)昭和に生きて
(3章)オラがすき焼き
これは、無意味な競争をやめよう、数字を追うのは止めようという意味です。
(4章)おご馳走
これは、すき焼きが一番人の心に訴える食べ物だという自慢です。
(5章)浅草じゃなくちゃ!
この本はスタッフの教育用にもなります。そして、私としては、この本を創ったことで、弊店が何をするべきか、しなくて良いのは何か、が完全にハッキリしました。
そして、「商品としてのすき焼き」をもう一度考えてみますと・・・
<今日の分は終わり。続きは明日の弊ブログにて>
追伸1
6/1発売の「婦人画報」7月号(創刊記念号)に載せていただきました。ありがとうございます。
今回の特集は、なんでも婦人画報社さんが「総力をあげた特集」だそうですが、題して、
「世界が恋するWASHOKU」。
旨味とか醗酵とかを採り上げた後、しんがりがWAGYUです。
追伸2
拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。
題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』
浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。
東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。
四六判240頁
価格:本体1600円+税
978-4-7949-6920-0 C0095
2016年2月25日発売
株式会社晶文社 刊行
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.665日連続更新を達成しました。