マンション業界
パリでテロが起きたせいか、旭化成建材さんの問題が全く報道されなくなりましたけど、あの問題って、とても重要だと思いませんか?
規制緩和という政治的要請で、1998年に建築基準法が改正され、それまで地方自治体が独占的に行ってきた建築の確認・検査業務が民間に開放されたことが問題なんだという報道は見ました。「規制の在り方」っていう観点ですね。
そういう議論もまあ、必要とは思いますが、それ以前にマンション業界の商売の在り方が、果たして今のままでも大丈夫なのか?という観点でも考えた方が良いのではないかと思うのです。
「マンション業界の商売の在り方」とは、建てる前に売ってしまう、売るだけでなく金も貰ってしまう、という手法です。
経営者としては、もちろん造る前から金が貰えたら助かります。私も自分の店の食事券が売れたら、とても嬉しいです。しかし食事券って、BS上では債務です。債務すなわち必ず履行しないといけない約束だから、実は食事券が売れるということは嬉しい半面怖いことでもあるのです。
マンションの場合、さらに怖いのは納期があることです。「ちんや」での食事であれば、いつ来ていただいも良いわけですが、マンションの工事は納期を守るという絶対的要請があります。いや、それを「絶対的」と言ってしまうから、今回のような不正をしたくなるわけです。
地面の下なんて見えないんですから、実際に杭を打ってみなければ分からないことだってあるでしょうよ。だから、地盤が見込みと違う状態で、工事が遅延した場合の損失を補填するような保険すなわち「工事遅延損害担保特約」がなければダメと思います。
そのマンションに入居して、子供を近くの小学校に行かせる予定だったのに、どうしてくれるんだ!と客が文句を言ってきた場合に、はい、交通費をお支払します!とすぐに言える体制にしないと、規制の仕方を変えたって、また不正は起きますよね。客が負担しているローンの利息も代わりに払ってあげないといけないと思います。
業界全体で、そういう保険をかけることを義務化しなければダメと思います。
予測不能の事態が起きた場合の責任を現場に押しつける、それも下請に押しつけるような経営者を、私は心底から軽蔑します。
まずは商売の在り方を再検討するのが経営者の仕事だと思います。
追伸
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