遠山の金さん

加藤官房長官が先日の記者会見で、東京都で寄席が観客を入れて興行していることについて「さまざまな支援策も活用しながら、イベントの無観客化に理解と協力をお願いしていきたい」と述べたそうです。これとは別に西村大臣も寄席の休業を求めたとか。

寄席の弾圧なんて、天保の改革以来でしょうね(笑)

この時江戸に200軒以上あった寄席が、老中・水野忠邦によって全廃されそうになります。それはやり過ぎと15軒だけは残そうと反対したのが、「遠山の金さん」こと遠山景元でした。

寄席はなんとか生き残り、水野が失脚すると復活します。

「よせよせといふ内もとの様(よう)になり」

は、寄席がたちまち息を吹き返した様子を詠んだ川柳です。洒落てますね。

水野は浮世絵も弾圧しました。特に役者絵、芸者絵、春画が不届きということで禁止されました。

これに対して反骨精神を発揮したのが、歌川国芳でした。役者絵の役者の顔にヒゲを書き込み、役者絵ではなく猫の絵だと言い張ったのでした(「猫の百面相」)。こうした作戦は、やがて一種の戯画作品として展開して行きます。洒落てますね。

今回のコロナの酒弾圧に対して、「酒の持ち込み歓迎」を打ち出した飲食店のやり方は、天保の庶民の様な反骨精神と言えるかもしれません。

が、しかし、

加藤官房長官は、これについても、

「自粛要請の対象ではないとしつつも「休業要請の趣旨に添わない」と指摘。その上で「こうした行為を推奨、黙認することのないよう、実態も踏まえながら飲食店に持ち込みをお断りすることを要請するなど各都道府県において適切な対応が図られていく」と述べたそうです。無粋だなあ。

令和の世に、金さんはいないのか、な。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.078本目の投稿でした。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)