卵の割り方

すき焼き=エンタメ

と捉えますと、客席での「演出」が大事になります。

その方面では、「ちんや」のような伝統店より、新しいお店さんの方が上手なことがあります。

例えば、卵ですが、

卵を客席で割って見せるお店があり、

へえ

と思いました。

今時の卵は殻が薄いことがあり、それが細かく砕けて玉丼に入ってしまうことがあります。それは、つまり「失敗」ですね。

失敗をお客様に見られたくはないので、卵はバックヤードで割ることが普通ですが、そのお店さんは客席で割って見せていました。カラザも一生懸命取り除いていました。

しかも仰々しい所作で。

そのお店さんが見せたかったのは、卵の殻の色でした。

着色したかのような見事な茶色で、それを見せることで、

健康な卵です!!

と主張なさっているのでした。へえ。

「健康な卵」に注目させる為には、所作は仰々しい方が良かったのでした。

では、そのお店さんが「おすすめ」かと申しますと、残念ながらそうではなかったです。

肝心の肉の取り扱いが、

・・・

だったのです。

肉を熟成させずに、(たぶん)すぐ冷凍してしまったので、旨味がほぼないです。

鍋に牛脂を入れないので、脂の甘味が鍋に入りません。

結果、割下の甘辛さだけが際立っています。全ての具がひたすら甘辛いのです。

その一方で、食材の産地にだけは拘っている。

はたして、肉を取り扱うノウハウがおありなのか、疑問に思えてきました。

まったく、色々なお店さんがあるものです。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.545本目の投稿でした。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 11:36 AM  Comments (0)