特別リハーサル、「浅草うまいもの会」研修旅行

 7/3に開かれる、ヴィオラ・アルタの、平野真敏さんのコンサートのチラシを配りまくっています。何を隠そう、私はこのコンサートに出演して、「お話し」をすることになっているからです。

 チラシを配りまくっていたら、料理屋の仲間に、「へー、どういう内容なの?」と聞かれましたので、それはですね・・・

 「饗応・居留地・牛鍋」というタイトルで、日本の近代食文化の、起源の話しをしようと思ってるんですよ。

 例えばね、最初にクイズを出しますけど、日本の国のトップが、外国人のゲストを饗応(=超高級な接待)するのに、日本料理ではなく、西洋料理を初めて使ったのは、いつ・どこで・誰がやったのか、ご存じですか? 

  と、さわりの部分を話してさしあげたら、結構皆さんの食いつきが良く、興味を持って下さったようでした。

  そんなやりとりをしていたら、ちょうど、6/23〜6/24の予定で、「浅草うまいもの会」の研修旅行が予定されており、その研修タイムに何をするか、「うまいもの会」のK子会長(=「川松社長」)が、プログラムを探しておられました。

 この研修タイムを使って、何か勉強になる話しを聞きたいとかで、急遽私が、「饗応・居留地・牛鍋」の「特別リハーサル」をすることになりました。その時間に充て込むものとして、私の話しは、長さが15分ですし、丁度良かったわけです。

  そういうわけで、「浅草うまいもの会」の皆さんを想定客にして、7/3と同じ話しをすることになりました。

  私の方も、丁度良かったのは、他人の前でリハーサルをできて、準備万端で当日を迎えられることです。人の前で話すのは、さほど苦ではありませんが、有料となると別です。

 今回のことは、定価@2.500円でチケットを売っている、コンサートの一部が私の出番です。2時間のコンサートの内、15分ということは、8分の1の時間ですから、単純計算してみると、@312円(税込み)が私の部分です。

 312円と言えば、食べ物なら、お菓子一個くらいは買えますから、それ以上の価値が、私の話しにないとNGです。もちろん、私目当てのお客さんなどいないでしょうから、割引いて考えますが、それでも、200円くらいの価値はないとねえ。

 そういう意味で、稽古できる「公開リハーサル」の場は、とても有り難い次第です。

  そういうわけで、ここ2〜3日は、6/23を目指して、稽古に励んでいます。

 もちろん、ジョークの稽古も・・・

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*このコンサートについて、くわしくはこちらです。

*このコンサートについては、このブログの3/10号4/30号もご覧下さい。

大江戸清掃隊 夏の陣

 6/18は、雷門横丁一斉清掃の日でしたので、朝から出動しましたが、気合が入りません。

 このところ気温・湿度とも上昇ぎみだからです。前夜も暑さで、朝6時前に目が覚めてしまい、寝ぼけ眼で参加しました。

  アクビを噛み殺しながら、路面を掃いていると、横丁会長のU子ちゃんが、

 「住吉さん、「Y野家」のダストボックス、放置されてますよね。置いて行ったんだと思いますけど・・・それに、凄く臭いんですよ。」

  「Y野家」とは、言わずと知れた、牛丼チェーン最大手の店ですが、このところ業績が悪いらしく、リストラの最中のようです。「ちんや」の2軒隣を借りて営業していた店も、5/28に閉店となり、そのダストボックスが、撤去されず、路上にそのままになっているのです。

  ああ、これねえ、撤去し忘れでしょうね。家主さんに頼んで、始末してもらいましょうよ。でも、たしかに随分臭いね、開けてみようか、と開けてビックリ! 眠気は完全に吹き飛びました。

  まず、息が困難なくらいの、悪臭。

 そして、ハエの航空隊と不意の遭遇。最近、どうもこの辺にハエが多いと思ったら、ここが原因だったのか!

  この状態では、「Y野家」が撤去に来るまで待っておれません。大江戸清掃隊、一気に戦闘モードに突入、夏の陣の開戦となりました。

 ダストボックスを路上に放置して、鍵を掛けておかなかったため、通行人がゴミを放り込んでいったようです。それを取り除かないといけません。

  そして、さらにゴミを掘り進んで行って、もう一度、ビックリ!

 「住吉さん、こ、これ、紅生姜ですよね。しかも3キロはありますよ」

 おえええええ、これが悪臭の原因か!

  これを見た清掃隊一同、アドレナリン全開です。怒涛の勢いでゴミを始末し、ダストボックスの内と外を水洗いし、こびりついたゴミもこそぎとって、さらに消臭剤をふりまき、本日の夏の陣は、終結しました。

  うーん、久しぶりに気合が入ったな。

 ハエの原因も分かって良かった。

  それにつけても、あの紅生姜、だいぶ賞味期限過ぎてたなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*雷門横丁一斉清掃については、このブログの4/17号をご覧下さい。

*「大江戸清掃隊」については、こちらです。

Filed under: 浅草インサイダー情報,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:04 AM  Comments (0)

1.000円ランチ@浅草

 先日、知人から「浅草で@1.000円で、何か他の場所になくて、旨いランチを食べたいので、教えてほしい」と言われ、困ってしまいました。

 浅草は一応、天下の一等地ですので、天丼とか天蕎麦でも、1.400円〜1.500円くらいする所です。「@1.000円で」となると、もんじゃ焼きかモツですかねえ、とお答えすると、その方は、そういう食べ物はあまりお得意でない方のようでした。

 実は「ちんや」でも、「ちんや亭」という、リーズナブル値段の、系列の飲食店をやっていまして、ハンバーグなら、@1.200円です。当然そこを、おススメしたいところですが、あいにく、「ちんや亭」はカウンターだけの店でして、ゆっくり長居できる、というタイプの店では、ありません。

 残念ながら、今回のランチは、「ゆっくり」がメインの趣旨とのことでしたので、結論として、ご質問にバッチリフィットした、お答えにはなりませんでした。

 @1.200円で、旨くて、ゆっくり長居できる、という店があれば、繁盛するに違いありませんが、「ちんや亭」で優先しているのは、「ゆっくり長居できる」ことではありません。

 本家の「ちんや」の方は、店として「ゆっくり長居して、すき焼きを食べていただく」ことを優先していますが、「ちんや亭」で店として優先しているのは「出来立て」であることです。

 「ちんや亭」は、カウンターだけで、16席しかない、小さい店ですので、焼いたハンバーグを即座に、ご提供できます、5秒以内に。

 肉が旨くて、出来立てのアツアツを5秒以内に食べれば、マズイわけはありません。そこを大事にしている店、ということでご理解いただきたいと思っております。

  ついでに宣伝しておきますと、「肉が旨くて」の理由ですが、肉が「ハンバーグ用の肉」でないから!です。

 すき焼き用の肉を精肉する時にできる切れ端を保存しておき、あとでミンチして、ハンバーグを作ります。もともとが、すき焼用の上等な肉で、熟成させたものですから、すき焼き同様の、旨味のあるハンバーグができます。「ハンバーグ用の肉」(通常はランクの低い肉)は仕入れていないのです。そこが、旨い理由です。是非、お召し上がり下さい。

  そう言えば、先日、「国際観光日本レストラン協会」で御一緒する、N社長が新しく、開店させた、「神田仏蘭西料理聖橋亭」さんを見学させていただいたのですが、そこには、なんとお客様用の、「お昼寝部屋」がありました。「ちんや」の、はるか上を行く、ゆっくり度です。

 「聖橋亭」さんは、もともとが、一戸建ての民家で、上層階もあるのですが、料理を上げ下げするリフトがないため、食事のスペースとして、上の階は使いにくく、それなら、思い切って、「お昼寝部屋」にしてしまって、くつろいでもらおう、ということのようです。

 N社長に、お客さんが本当に寝込んでしまって、いつまでも帰らなかったら、困りますよね、と聞くと、

 「イヤ、そうでもないよ。寝ていいよ、って言うと、逆に以外と人間寝ないもんだよ」と呑気なお答え。

 うーん、それならウチも、今使っていない、店の上の、高い階を「お昼寝部屋」にしてしまうか!

   *「ちんや亭」については、いったんこちらを開けた後、「関連店舗ご紹介」を開けて下さい。

すきや連―日本短角牛のすき焼きを食べる会

 私は、「すきや連」(=すき焼き屋と、すき焼き愛好家のグループ)の事務局長ですので、「すきや連」の例会が開催される時は、事務全般をとり仕切らないといけません。

 この7月にも、例会を予定しているので、今、案内状の発送・申し込みの受付作業が急ピッチです。

  さて、「すきや連」は今まで5回の例会を開催しましたが、今回はいつもと少し趣向が違います。今回は、日本短角牛の生産者・「北十勝ファーム」さん(北海道足寄町)のご協力により、「日本短角牛のすき焼きを食べる会」を開催することになりました。

 大勢の、すき焼き関係者が集合して、短角牛のすき焼きを食べるのは、たぶん初めてではなかろうかと思います。当日は「北十勝」のファームマネージャー・上田金穂さんも参加されるので、まず開宴に先立って、20分程度卓話をしていただき、それから宴会にしようと思っています。

 このファームは、飼料の99%を国産飼料で賄っていて、牛の排泄物もリサイクルしているとかで、なかなか立派です。そういう御話しも多分、皆さんのご参考になるものと期待しています。

  逆に今回、気が重いのは、会場がウチつまり「ちんや」だという点です。

 今までの「すきや連」は、各地のすき焼き屋さんで順番に開催し、その御店がベストと思うすき焼きを出していただく、という企画でしたが、今回は趣向が違って、日本短角牛のすき焼きを食べる、という企画です。

 日本短角種というのは、和牛の一種なのですが、北海道・青森・岩手で、ごくごく少数が飼われている、珍しい品種です。霜は降らないものの、独特の旨味があります。

 すき焼き屋で使われる肉は、ほとんどが「黒毛和牛」の肉ですので、「短角」の御取り扱いの経験のある、すき焼き屋は、あまりないと思います。

 よその御店に、普段扱い慣れない肉を扱わせることは、非常に頼みにくかったので、結局、自分の店で開催することとなりました。

  そういう次第ですので、例会当日私は、開催店の主人兼「すきや連」事務局長、という二重の役割を兼任することになります。6回目の開催ですので、事務の方は、だいぶ熟練してきましたので、まあ、なんとか二役、やってやれないことはないだろう、と思ってはいますが、超ハードなのは、今から目に見えています・・・

  最近ニュースで新内閣の顔ぶれをやっていますが、党政調会長兼公務員制度改革担当大臣の方が楽チンそうですね、私より。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「すきや連」については、こちらをご覧下さい。

*「すきや連」については、このブログの、3/2号3/3号3/4号3/5号5/2号もご覧下さい。

*「北十勝ファーム」さんについては、こちらをご覧下さい。

恒仁朗さんと二宮尊徳ー「商人心」②

 私の学校の先輩・恒仁朗さんが出された、御本「商人心」(あきんどごころ)のことは、このブログの4/9号に一度書きました。その後書いてこなかったので、忘れてしまった、ブログ読者の方もおいでかと思いますが、「ちんや」の店では、忘れておりませんで、朝礼で、皆で読んでいます。

 良いことが書いてあるのです、ここには。

 今、この御本の中の、二宮尊徳の教えを紹介した下りを読んでいますが、とても心にしみる箴言が多いですね。曰く、

 「商売は売って喜び、買って喜ぶようにする。売って喜び、買って喜ばないのは道ではない。利をもって利とせず、義をもって利とする。」

 「道徳なき経済は犯罪であり、経済なき道徳は寝言である。」

  最近、尊徳の見直しが盛んだそうで、特に尊徳に御縁のあった、小田原・相馬・今市などの地で盛んなようですが、恒仁朗さんも今市の人です。「恒仁朗」というのは実はペンネームで、本名はFさんとおっしゃる、食品関係の社長さんです。私が幹事をしている、「料飲三田会」という会で日頃ご指導いただいています。

  「台彪会」をご指導いただいている、二条彪先生も、日本人は江戸時代に書かれた、商売についての教えを、もう一度読み直すべきだ、と最近言っておられましたので、私も気になり出しています。

  もっとも、勉強しても、この意地悪な性格は、直りませんけどね、たぶん。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*このブログの4/9号もご覧下さい。

Filed under: 飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 9:24 AM  Comments (0)

浅草寺の大工事壁―「平成本堂大営繕」②

 「ちんや」の屋上へ登り、北の方角を向きますと、浅草寺の大屋根が良く見えます。と申しますか、正確には、大屋根を覆っている、巨大な工事壁が見えます。

 この工事壁は、現在実施されている、浅草寺の「平成本堂大営繕」(=主に屋根の葺き直し)のために設置されているもので、本堂周囲を完全に覆っています。

  その工事壁に、このところ変化が見えます。数人の作業員の人が屋上に登り、天蓋を1枚ずつ外しているのです。この様子に私が気づいたのは、6月に入ってからなのですが、作業は、どんどん進んでいて、既に今日の時点で、ほとんどの天蓋がとり外されました。今は、工事壁の骨組が露出しています。

  工事壁が骨組だけになったということは、雨が降れば、その下の大屋根、つまり新しい大屋根が濡れるわけで、「大営繕」の工事が相当進んだと想像できます。11月完成、と聞いていたのですが、順調のようです。

 この工事壁に彩色された、川端龍子の「龍之図」 のことは、このブログの、5/24号に書きました。工事壁が巨大なので、金龍の絵も巨大で、縦:10.2m×横:32.7mもあって、かなり見ごたえあります。

 工事は順調なようですので、この期間限定の龍を見たい方は、はやめに浅草へお出かけいただいた方が良いかもしれません。ついでに?東京スカイツリーの建設中の姿も見えます。さらに、水上バスの船つき場も完成間近です。この3軒の写真を撮って周るだけでも、ちょっとした観光になりますよね。

 私が役員をしている、浅草料理飲食業組合の、6/7に開催された総会に、浅草観光連盟の永野章一郎会長が見えたので、お話しを承りますと、浅草寺と水上バス船つき場と浅草観光センターの3箇所が同時に工事中にも関わらず、浅草への人出は、減ってはいないそうなのです。

 地元人の予想では「工事があるから、観光客は減るに違いない」ということだったのですが、世間の人は、建設中の、期間限定の姿に、むしろ関心があるようです。

 このブログへも、「浅草寺」+「工事」とか「浅草寺」+「龍ノ図」というキーワード検索で入って見える方がいます。ですので、このブログでも、その辺りをなるべくご紹介しようと思います。

 ①浅草寺と②スカイツリーと③浅草観光センターと④水上バス船つき場の、4箇所が同時に工事中って、歴史上、後にも先にもない事態です。是非ご見物を!

 それにつけても、天蓋取り外し作業をやっている人は、メチャメチャ怖そうです。強風が吹いたら、落ちそうなんです、大屋根から。

 それでどうも、風が吹いてきたり、急に雨が降ってきたりすると、私は怖いもの見たさで、じゃなくて、心配で、屋上に見に行ったりしています。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

このブログの5/24号もご覧下さい。

Filed under: 浅草インサイダー情報,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 9:25 AM  Comments (0)

?のロゴ・バッジ Endless Discovery

 政府観光庁が推進している、「ビジット・ジャパン・キャンペーン(VJC)」の、ロゴキャッチフレーズが付いたピンバッジを、いつも背広の胸に付けています。5/19の国際観光日本レストラン協会の理事会に、観光庁の課長さんが、このピンバッジ持って見えて、「これは出来立てですよ!」と下さったので、それ以来いつも付けています。

 寸法がヨコ30mm×タテ15mmと、やや大きめで目立つせいか、これを付けていると、住吉さん、そのピンバッジ何ですか? とよく聞かれます。

 ええっと、これはですねえ、2003年の小泉政権の時にですね、国をあげて、外国人観光客をよびこむために「VJC」っていうのを始めましてね、2010年までに訪日外国人旅行者数を1000万人に増やすというのが目標でして、ツベコベ・ツベコベ(=観光庁の資料の受け売り)、このバッジはそのシンボルでして、ツベコベ・ツベコベ(=さらに受け売り)、などと我々・観光業界の取り組みを、一般の方にご説明するのは、勿論やぶさかでありません。

 また初対面の方や、さほど親しくない方と同席した時、このバッチの話題で座持ちすれば便利なので、そういうわけで付けているのです。

 しかし問題は、そのキャッチフレーズそのものなんです。2003年以来使用してきた、 「Yokoso! Japan」 がこの4月、「モデルチェンジ」つまり廃止となり、

 「Japan. Endless Discovery.」という新キャッチフレーズが選定されたのです。

 えんどれす、ですかばりー、だって? 

 なんでも「尽きることのない感動に出会える国、日本」という意味合いで、海外の方々に何度も日本にお越し頂き、その都度、桜に代表される我が国の豊かな自然、あるいは伝統文化や現代の文化、地域の人々の暮らしといった日本の多種多様な観光資源を是非深く知って頂きたいという気持ちが込められている、のだそうです。

 私は、当然ながらネイテイブ・ジャパニーズなので、この言葉のニュアンスを完全にわかることは難しいです。でも、なんだか、大仰ですよねえ。「Korea Sparkling!」とか「Amazing Thailand」の方が、クールです、ハッキリ言って。まさか国のやることだから、和製英語ではないんでしょうが、うーん、という感じです。

 もちろん、私は国際観光業界の一員ですし、タダでピンバッジをもらってしまったことですし、このキャッチの普及に尽くそう、とは思いますが、苦戦しそうです。

 それに、私はそもそも「外人さんに、日本語を話させる主義者」なのです。「ちんや」の店には、実は「Would you please try to speak Japanese!」と題した、対訳表が置いてあります。

 対訳表の左には、店内で良く使う、英語の会話文が載せてあり、右には、その日本語訳とそれに加えて、日本語訳のローマ字表記が書いてあります。つまり「I have enjoyed my dinner.」と言いたい外人さんは、この対訳表にしたがって、「Gochiso-sama Deshita!」と言うわけです。外人さんの発音がタドタドしかった場合も、「Gochiso-sama Deshita!」の上に、「ごちそう様でした」と日本語も記載されているので、そこを指させば、意思は通じます。

 この方法は、15年ほど前に、日光の参道の定食屋さんに行った時、こうした対訳表が置いてあって、それを外人さんが、楽しそうに使っているのを見かけまして、以来それを改良して使っています。この方が、お互い楽しいですよ、ゼッタイ。

 そういう意味で、「Yokoso! Japan」の廃止は残念ですね。「ようこそ」は日本語だぞ、外国に向けて「ようこそ」はないだろう、どこに向けて発信してるんだ、という批判もあったようですが、しつこく、しつこくPRすれば「Sayonara!」とか「Sukiyaki」「Sushi」「Judo」のように普及したかもしれません。

 「ちんや」の対訳表に、実は「Sayonara!」は載っていないのですが、帰り際に、「Sayonara!」と言われる外人さんは多いです。結構普及しているのです、実際。

 なんてことを、思っていたら、徽章業界で社長をしている知人が教えてくれました・・・

「住吉さん、トリビアなことを教えてあげますけどね、ピンバッジって言うのは、日本人だけなんですよ。国際標準はピンズ(pins)なんです。」

   げげ、そっちも和製英語だったんだ!

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: ぼやき部屋,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 9:52 AM  Comments (1)

報告の稽古―浅草料理飲食業組合・通常総会

 6/7に、浅草料理飲食業組合の通常総会があります。総会ですから、昨年度の事業報告・決算報告、新年度の事業計画・予算案などが提出されて審議されます。この内は、私は事業報告と事業計画―2議案の提案を担当することになりました。

 この仕事は、モノ凄く難儀な仕事、というわけでは、もちろんないのですが、100人ほどの組合員を前に、高い壇上から報告する予定になっていまして、スポットライトもバッチリ当たるので、それなりの緊張感があります。まずは、例によってジョークを飛ばすところからはじめてやろう、と思っています。

  さて、そういう次第ですので、この3〜4日間は、事業報告と事業計画の、演説の文案作成と稽古をしないといけません。

 こういう場合、まず私は演説全文を、パソコンでベタ打ちします。組合には事務員さんもいますが、かならず自分で、全文を話し言葉でベタ打ちします。経験上そうするのが、一番脳への定着が良いと思っています。それに文字数がわかることで、演説の所要時間がわかります。

 もちろん、ベタ打ちより、要点メモを基に話す方が話しやすい、という人も、世の中にはいるでしょうが、私はこれが良いのです。

  演説する、その内容ですが、結構長くなってしまいそうです。昨年6月に、組合長が代わり、「どぜう飯田屋」のII田さんが組合長に就任されました。以来II田さんは、次々に新事業を実行してこられました。

・飲食店向け新型インフルエンザ対策パンフレットの作成

・ノロウイルス対策講習会

・台東区衛生自主管理推進店登録制度に関する勉強会

・ビール工場見学会

⇒このあたりは、さほど珍しくはありませんが、さらに

・台東区長への要望書提出(本当に区長室で区長に面会しました!) さらには

・飲食店後継者のための「婚活パーテイー」まで組合が主催しました。

 もちろん、この他に例年通りの事業(=健康診断とか新年会とかホームページとか)もありましたので、怒涛の1年でした。

  以上の事業を、私が全部一人で語るので、工夫しないと、組合員の皆さんは、退屈してしまいますよね。最初に、例年より長くて、20分弱かかること、全体で何項目の報告事項があるか、を知らせておかないといけません。先が見えず、いつまでも話しが続くとダルいですからね。

 また、話しの途中でも、今何番目を話しているか、お知らせして、我慢してもらうようにしたいと思います。

 それにしても、困ったなあ、一番肝心のジョークがまだ出来てないんですよ。

 もう、6/4なのに。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

Filed under: ぼやき部屋,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 10:12 AM  Comments (0)

普茶料理ランチ、竜泉にて

 6/1昼、台東区竜泉にある、普茶(フチャ)料理の「梵(ボン)」さんへ行ってきました。

 実は、東京商工会議所台東支部青年部の、月例会の内の1回として、

 「主任ナビゲーター・住吉史彦と行く、下町の食文化を担う老舗・名店シリーズ」

という、食べ歩き企画があります。既に、過去8回開催していて、恒例企画となっていますが、当然、毎回私が万事を手配して、青年部の諸君を、私推薦の御店へお連れしています。

  これまで、すき焼きの「浅草今半」さん、「どぜう飯田屋」さん、豆腐の「笹乃雪」さん、桜鍋の「中江」さん、おでんの「大多福」さん、鰻の「やっこ」さん、洋食の「香味屋」さんなどで開催し、食事をするだけでなく、毎回、その店のご主人さんまたは若旦那さんから、それぞれの御料理についてのレクチャーを受けてきました。

 自分で言うのもなんですが、毎回、大人気・大盛況の企画です。

 7月に、その第9回を「梵」さんで予定していますので、6/1は、その下打ち合わせというわけです。

  同行は、青年部のT幹事長の他、私と一緒に、このシリーズの幹事をしてくれている、「どぜう飯田屋」の若旦那・II田君も一緒です。そうです、II田君は、このブログに頻繁に登場する、浅草料理飲食業組合のII田組合長のご子息です。日頃私は、親父殿にお仕えしていますが、ご子息には、この企画を手伝ってもらっているわけです。

  さて、普茶料理と申しますのは、精進料理の一種ですが、江戸時代初期に、中国(明)から隠元禅師が渡来され、宇治に黄檗(オウパク)山萬福寺を建立された時から伝わっている料理です。

 だから餡の使い方や、豆腐・ごま油を多用する点などが、微妙に中華料理風です。

 また、面白いのは、擬製料理と言いまして、精進OKの食材で、魚や肉の代替品を造るところです。例えば豚肉の擬製品は、わらび粉を練り、薄く伸ばして形作り、油で揚げるそうです。これが、食べると本当に豚に思えるから、大したものです。

  今回、普茶料理を選んだのは、青年部の連中の、止まる所を知らない煩悩にブレーキをかけるため、では勿論なく、ベジタリアンの方に対応できる料理屋を、青年部の面々が知っておいた方が良い、と思ったからです。

  東京スカイツリーが出来て、ますます海外からのゲストが増えています。しかし鎌倉と違って、浅草近辺には精進料理の店が大変少ないので、こうした御店は貴重です。

 6/1は、幸い、ご主人のFさんがご在店で、もろもろ打ち合わせできました。我々の用件にも、いちいち真面目に・丁寧に応対していただき恐縮してしまいました。

 まずは、これでひと安心。今回も当日は、楽しくレクチャーを受け、もちろん宴会も盛り上がるでしょう。

 めでたし、めでたし。

 あ、そうだ、青年部の連中には、「梵」さんでの宴会が終わったら、そこで大人しく撤収して、その後煩悩ワールドへ出動することなどないように、くれぐれも、今から注意しておこう!

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「梵」さんについては、こちらです。

Filed under: 浅草インサイダー情報,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 10:23 AM  Comments (0)

「三嶋亭」さんの、急な階段

 向笠千恵子先生の新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」6月号が届きました。5月号より連載が始まりましたので、今回は第2回です。

 早速ページを開けますと、今回は京都・三条寺町の「三嶋亭」さん=私も旧知のM社長の御店、についての記事でした。さて読みはじめますと、私としては「うーん」という所からスタートしました。「三嶋亭」さんの、店舗のバリアフリー対応のことから、記事がスタートしているのです。

  向笠先生のお母上様は、俳人でいらして、俳句を作るのが脳に良いせいか、ご高齢でも頭脳は大変明晰でいらっしゃいます。しかし、御み足には不自由なところが少しあって、そういう方には、古くからの店舗は不都合なことが多いのです。

 特に「三嶋亭」さんは、玄関を入ると、2階へ続く急な階段があって、そこにロビーがあるのです。1階にも客席がありますが、1階の客席へ入る客も、いったん2階ロビーを経由して1階へ入る=つまり、まず登って⇒別の階段を降りる、という構造なのです。これが、御み足の不自由な方にはキツイのです。

  記事によれば、結局今回、その2階ロビーを経由せず、バックヤードを通り抜けて、1階の客席へ入られたようです。「裏手の通路に案内され、下足箱の前を通り、配膳室脇を抜け、事務机の傍から表廊下へ出た」という具合だったようです。

  要するに、社会が高齢化しているのに、店舗の構造が合わないのです。先生はこのことを「日本の生活文化のとってはひとつの危機」と書いておられますが、実は「ちんや」にとっても、こうした問題があります。

  「ちんや」の現在の店舗は、昭和50年竣工のビルですので、エレベーターもありますし、「三嶋亭」さんほど、やっかいではありません。しかし、それでも御客様には玄関で下足をお脱ぎいただいた上で、ご入店いただく構造でして、その際に50cm程度の段差があります。その段差さえ突破すれば、あとは平らなのですが、そこだけは何とかしないといけません。

  「少し御み足がご不自由」くらいなら、下足番がお手伝いして、押し上げてしまいますが、困るのは、車椅子のお客様です。

 店外から車椅子にお乗りになったままでは、御入店になれないので、店内には店内用の車椅子を1台用意してあります。玄関でそれに乗り換えていただくのですが、まだ1台しか用意してありません。ついては、お席のご予約と同時に、店内用車椅子もご予約いただかないといけないわけです。(利用料は無料です)

  「ちんや」のもう一つの問題は、お使いいただく部屋自体の構造です。個室が7室ありまして、その内6室は、洋室(=椅子席)または掘り炬燵の個室だから良いのですが、大広間・ご宴会場と、個室の残り1室は、あいかわらず和室です。(小さいお子さんがおいでの場合は、やはり和室が良いので、全部を洋室にはしていません。)

  ご宴会の場合は、椅子でなくて、動き回って歓談できる和室の方が、楽しい宴会になる、と私は思っていて、だから現在の構造を直していないのですが、しかし、そもそも和室に座れなければ、楽しい宴会にもなりえませんね、たしかに。

 だから、洋室の宴会場も増やしつつありまして、20名様までなら、洋室で宴会もできるようにしてあります。

 先日、八王子のすき焼き屋「坂福」さんをお訪ねしたら、D社長が「ウチは今でも、会議室以外は全部和室ですよ!」と自信満々でしたが、「ちんや」はそこまで強気になれません。

  日本の生活文化にとって、残念なことでも、少しずつ、椅子席化が進行するのは避けがたいと思います。

 思いまするに、古いもの全てを残すことはできません。しかし、古いものの中の、エッセンスあるいは本質は残さないといけません。その判別のための眼力が、私やM社長に必要なんだと思います。

  違う眼力なら、あるんですけどねえ。

 え? なんの眼力があるかって? それについては、このブログ5/29号をご覧下さい。ひひひひ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」については、株式会社ビジネス・フォーラムへお問いあわせ下さい。(電話:03-3288-9180)