会津農書
どうも、酒の話しばかりしていて恐縮ですが、また酒の話しです。
「会津農書」によるお酒を頂戴しました。
「会津農書」は17世紀の農業指導書です。その農法で栽培した酒米を使ったお酒が出来たということで、大変興味深く頂戴しました。そのお酒の銘柄名「与次右衛門」は「会津農書」の著者・佐瀬与次右衛門に由来しています。醸したのは会津若松の末廣酒造さんです。
「会津農書」の肝は「循環型農業」で、その中でも肥料生産の工夫が重要なわけですが、今回「与次右衛門」を醸すに当たっては、田植えの前に酒かすを土に混ぜ込んだそうです。
へええ!ですよね。
酒かすが発生させる二酸化炭素によって、土の中に細かな空間が生まれ、根が伸びやすくなると言います。
その結果、米をやたらと削らなくて良くなったそうです。
これは素晴らしいことです。
この農法で作られた米は表面でもデンプンの割合が多く、あまり削らなくてもOKということで、実際、
「与次右衛門」の精米歩合は60%。今どきは30%とか削りに削る蔵もあり、それが高級とか言われていますが、私は常々このトレンドを疑問に思ってきました。
そんな中で、この方法はトレンドを変える力を秘めていると思います。
酒かすを売却せず肥料として提供するのは蔵にとっては減収ですが、米を削らなくて済むのであれば、増収です。そして削り粉が減るのだから、循環型ですね。
要注目です、「会津農書」。
追伸
先日「東都のれん会」さんのご依頼により、日本橋三越本店でトークショーをさせていただきました。催事『江戸東京味・技めぐり』を盛り上げるためでした。
演題は【意外と知らないお肉の話しー肉選びの目線が変わります】
動画が撮ってありますので、こちらからご覧ください。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.963連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。