近親交配

最近の日経新聞に

「霜降り至上主義、和牛受難 過度な近親交配招く」

という記事が出てました。

近親交配については業界にいる者には常識ですが、日経新聞を読むような普通の経済人が関心を持って下さるのは良いことです。

さて近親交配の件ですが、肉牛として飼われている黒毛和牛は、人間で言えば皇族のようなものです。

皆が、何世代にもわたって選抜されたDNAを持っています。

猫と違って、牛に「野良牛」はいませんで、ほとんど全ての黒毛和牛は人間の管理下で生きています。ごく少数の、人間に気に入られたオス牛だけが子孫を遺せます。

それ以外の大多数のオスは去勢されて肉になりますから、子孫は遺せません。気の毒なことです。

そうしたDNAの選抜を繰り返した結果、日本の黒毛和牛は、皆が似たDNAを持っているのです。

この点をご存じない方は、〇〇県産と××県産はDNAが違うと思っておられますが、違うんですね。似たようなもんです。

だから産地なんかより、育て方や、と畜後の取り扱い方の方が、味に影響を与えるわけです。

近親交配は、もちろん種としての弱さにつながりますから、なるべくDNAの遠いオスとメスを掛け合わせる研究もなされているようですが、その積み重ねは厚くなく、味につながるかは、「これから」ですね。

さしあたっては、育て方や、と畜後の取り扱い方に注目していただくのが宜しかろうと存じます。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.594日目の投稿でした。

Filed under: すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 11:12 PM  Comments (0)