ヨーグルトの日

5月15日に「ヨーグルトの日」のパーテイーが、ブルガリア大使館公認のレストラン「ソフィア」で開かれましたので、行って来ました。大使夫妻も臨席されて盛況でした。

なぜ5月15日が「ヨーグルトの日」なのか、ですが、ノーベル生理学・医学賞を受賞した、ロシアの免疫学者・E・メチニコフの誕生日だからです。

メチニコフ(18451916)がヨーグルトを「不老長寿の妙薬」として世界に発表したのは1907年のことでした。ブルガリアのスモーリアン地方に、80歳とか100歳とか、当時としては非常な高齢者が多いことに気づいたメチニコフはブルガリアの食べ物の研究を始め、当時欧米でほとんど知られていなかったヨーグルトを世界中に広めるきっかけを作りました。

で、メチニコフの誕生日5月15日が「ヨーグルトの日」なのです、という次第で、ブルガリア料理を楽しく堪能させてもらおうと会場に到着した私に、主催者さんから衝撃の無茶ぶりが!

住吉さん、乾杯の発声をやって下さい!

ええ?! 私はブルガリアに行ったことないですよ。

いいんです、いいんです、住吉さんのやっている、ヨーグルト卵のすき焼き、あれの話しをなさって下さい・・・

ええ、皆さん、ドーバル・ヴェチェル!(ブルガリア語で「こんばんは」)私が住吉史彦です。浅草のすき焼き屋です。ただ今私は、人生で初めて覚えたブルガリア語で挨拶させていただきました(笑い)

そんな私ですから、ブルガリアの歴史や文物に詳しい者では勿論ありません。私は、どちらかと申しますと、世界の郷土料理自体より、その料理が他の食文化と接触した時に起こる現象に興味を持つ者です。

例えば、日本でヨーグルト以上に良く食べられている外国の食べ物としてカレーがあります。カレーはもちろんインドのものですが、

インド人はカレー粉を使った料理を「カレー」と呼びません。

日本にカレーを伝えたのは、インド人ではなくイギリス人です。

そんな事実を、ほとんどの日本人は知りませんし、インドに行ったこともありませんが、週に何度もカレーを食べています。

それどころか、日本人はあらたなカレー料理を創りました。まず、

日本人はカレーライスを創りました。

日本人はカレーそばも創りました。

日本人はカレーうどんも創りました。

日本人はカレーすき焼きも創りました。

(この辺で大使笑う)

そしてそして、日本人は、これはハッキリ申して私ですが、ヨーグルトすき焼きを創りました!

(ここで大使爆笑)

・・・というほとんどのブルガリア人が、おそらくご存じない事実をご紹介しましたところで、そろそろ乾杯に進みたいと思います。私が二番目に覚えたブルガリア語「ナズドラーベ!」(乾杯!)で乾杯したいと存じます。

それでは、コストフ閣下、ご令室様、皆々様のご健康を祈念しつつ杯を上げます。ご唱和下さい。

ナズドラーベ!

追伸1

「ブーストマガジン~人生の楽しさを加速するメディア~」(ネットメデイア)に「適サシ肉」の件を載せていただきました。ありがとうございます。

 

追伸2

拙著は好評(?)販売中です。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

題名:『浅草はなぜ日本一の繁華街なのか』

浅草の九人の旦那衆と私が、九軒のバーで語り合った対談集でして、「浅草ならではの商人論」を目指しています。

東京23区の、全ての区立図書館に収蔵されています。

四六判240頁

価格:本体1600円+税

978-4-7949-6920-0 C0095

2016年2月25日発売

株式会社晶文社 刊行

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.643日連続更新を達成しました。

 

 

 

 

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秘密のある妻

国仲涼子さん、そこはねえ、パスタをつくる場合のポイントじゃないと思うんですよね、私は。

貴女は「ウォータースタンド」なるレンタル浄水器のCMに出ておられて、ご主人のいない時間に、その浄水器を使って、高級パスタや高級ウイスキーの水割りを楽しんでおられますね。

CMの最後にベッドの中で舌をペロリと出す、いたずらっぽい表情がステキすぎるということで話題になっているようですが、パスタを茹でる場合は、重要なのは水の硬度なんです。

小麦蛋白のグルテンをアルデンテな感じに仕上げるには、硬水を使用することが重要ですが、ヨーロッパの水の硬度が300とか350とかなのに対し、日本は4とか5とかの柔らかさですから、そのままでは上手くいきません。

で、水を浄水器にかけても勿論ダメです。

なんらかの方法でミネラルを水に添加するのがよろしかろうと思いますよ。そういう商品も売ってます。

ポイントが完全に外れていても、まあ、表情がステキだからOKですけどね、はい。

あっ、そんなことより今日は三社祭です。本社神輿の渡御がございます。どうぞ、お出かけを。

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イタリア郷土料理

表参道のイタリアン「カッパス」さんに行って来ました。

おや、住吉さんがイタリアンって珍しいですねえ って?

たしかに、イタリアンはこれまであまり書いてきませんでしたが、「カッパス」さんは普通のイタリアンとはチト違うのです。

このお店は、イタリア全20州の郷土料理が食べられて、それにあうイタリア・ワインが飲める店です。

イタリアの歴史を調べますと、近代イタリアの統一は日本の明治維新より後のことで、長年分裂していました。しかも一部の地域はオーストリア領だったりして、その結果、今でも地方色がかなり濃いのです。

気候も、太陽が眩しい島とアルプスの上では違って、南は魚、北はチーズがうまいですね。そんな郷土料理が食べられるのです。

もう一つ、ワインで面白いなあ、と思ったのは地場の固有種を使ったワインです。カベルネとかシャルドネとかではなく、その地方だけで栽培されている種があって、気のせいか、それぞれ個性的な香りがあります。

思えば、フランスとイタリアを比べてみますと、フランスではブルボン王朝が協力な統一国家をつくり、フランス革命の後産業革命も成し遂げて、世界の中で有力なプレイヤーになりました。で、フランスのワインも世界の中で有力なプレイヤーになりました。フランスワインはグローバルな存在と言っても良いでしょう。

一方、グローバルには成らなかったイタリアワインでは、地場の固有種が残っているのです。個性を楽しくいただきました。ありがとうございました。

なお、「カッパス」さんでは、ある地域の料理に、必ずしも同じ地域のワインを合わせるのではないそうな。あくまで相性で考えて行くとか。それも大変結構と思います。ご馳走様でした。

そうそう、本日は「三社祭」で、各町会の神輿の連合渡御があります。どうぞ、お出かけ下さい。

 

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しらべよう!世界の料理

『しらべよう!世界の料理』を読みました。

いや、全部読んでいないので、「読みました」は言い過ぎでした。訂正します。なにしろ全7巻もあって、本が自分で立てるくらいの厚みですから、全部は読んでおりません。

書かれたのは、世界の料理総合情報サイト e-food.jpを運営なさっている、青木ゆり子さん。労作に頭が下がります。

この御本は、実はお子さん用です。しかし、大人が読んでも、かなり勉強になります。最近私は、すき焼きの卵にカレーオイルやヨーグルトを入れているので、インドとブルガリアから読みましたが、知らないことばかり。お子さん向けの本は、大人が読んでもたいてい役に立ちますね。

そう言えば、私が自分の店で食育講座をやった時も、面白がっていたのは、どちらかと言うと、つきそいで来ている親御さんでした。

すき焼きの歴史は面白いし、「ご馳走様」の語源をご存じない親御さんが多かったりして、「勉強になりました」と言っていただきました。

一方、お子さんの目が輝くのは、肉を自分でカットする場面くらいかな。

「食育は子供の為ならず」

とは私の名言(?)です。

さて、世界の料理に話しを戻しますが、青木さんの御本を読んで、私が本当に興味を持っているのは、純粋な郷土料理ではなく、異文化と接した料理だということが、あらためて分かりました。

例えば、カレーについてですが、

インド人はカレー粉を使った料理を「カレー」と呼ばない、

日本にカレーを伝えたのは、インド人ではなくイギリス人である、

といったことが、お子様向けの本ではありますが、書かれていました。

さらに日本人は、カレーそば、カレーうどん、カレーすき焼き、中華風カレーを創作していきますが、それはまあ、さすがにお子さん向けの話題ではなく、大人の食育にまわした方が良いのでしょうね。

刊行、誠にお芽出とうございました。

 

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長澤鼎ワイン

長澤鼎ワインをいただきました。

長澤鼎(ながさわ・かなえ)というのは人名です。ワインのラベルを見ますると、日本人男性が写っています。一見して強情そうな人物ですが、この人物が長澤です。

1852年生まれ、1934年没。薩摩藩士出身のワイン醸造家です。強情そうなのは薩摩だからですね。

13歳の時に藩命でイギリスに留学し、後にカリフォルニアに渡り「カリフォルニアのワイン王」「葡萄王」「バロン・ナガサワ」と呼ばれようにまでなった方です。

イギリスからアメリカに渡ったのは、キリスト教系新興宗教「新生兄弟社」に入って、信者らと共同生活を送るためで、ワインを始めたのも教団の経営のためです。薩摩であることに加えて、宗教的信念が強烈なのですから、この顔つきは当然かもしれません。83歳で亡くなるまで生涯独身を貫きました。

そんな長澤ですが商才もありました。

ワインの品質を上げ、米国内のワインコンクールで好成績を納めました。フランスに特約店を設け、イギリスに輸出された最初のカリフォルニアワインも長澤ワインでした。ワイナリーは広大な広さに成長しました。

しかし長澤が亡くなる少し前より、アメリカの世論は排日に傾きます。長澤の財産やワイナリーは排日土地法のため相続できず他人の手に渡り、彼の名もまた、1983年にレーガン大統領が日米交流のシンボルとして演説で採り上げるまで、忘れ去られてしまいました。

現在はワイナリーの一部が「パラダイスリッジ・ワイナリー」として継承され、少量の生産が行われています。

日本へは「布袋ワインズ」社が輸入しており、またレストランで飲みたい!という方は、大手町フィナンシャルシティの中に在る、私の知人の店Orchestra vino で飲むことができます。

品種はシャルドネ。

ほど良い苦みは、日米の歴史の苦みでしょうか。

 

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いせカレー

あれれ、それは地元・呉の業者の方にとってはショックでしょうねえ。

これまで海上自衛隊・呉基地を母港としていた護衛艦「いせ」が佐世保基地に配置がえになってしまいました。

せっかく苦労して海軍伝承「いせカレー」を商品化してきたというのに、その「いせ」がいないのでは、カレーを売れないではないですか・・・辛いところですねえ。

「いせカレー」の商品化に取り組んできたのは、地元のクレイトンベイホテルさんです。調理長が「いせ」を訪ねて料理法を伝授してもらったり、ホテルでの試食会に艦長を招いたりして、交流を重ねてきました。ついには平成27年、味が忠実に再現されている証として、艦長より認定証が授与されました。

翌年にも再度試食を行って、認定を更新したと言いますから真面目です。

ホテルのFBぺージに、

「クレイトンベイホテルの海側の客室より呉湾の艦船がご覧いただけます。また、運が良ければ潜水艦をご覧いただけます。客室からの潜水艦動画はこちらより」

と動画をあげておいでなのは、安全保障上「大丈夫なの?」と思ってしまいますが、それはさて置きまして、「いせ」の転籍はカレー的には残念でした。呉の皆さんの再起に期待します。

あ、そもそも、すき焼きブログの筈のこのブログに最近カレー・ネタが多いのは、去年から、カレーオイル入りの溶き卵を売っております関係です。

その件くわしくは、こちらをご覧ください。

追伸

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B級グルメ

グルメは「B級」と、それ以外の2種類に分かれています。「A級」という表現はあまりしないようですから、「B級」と「非B級」ですね。

では、すき焼きはどっちですか?

Bの典型は、ラーメン・蕎麦・カレー・とんかつ・焼鳥・居酒屋。

すき焼きをBに入れることは少ないようですが、では非Bなのでしょうか?

それ以前に、Bと非Bの2種だけって、単純過ぎませんか?

歴史を振り返りますると、明治時代の牛鍋は完全にBでした。「鳥鍋は旦那の食い物、牛鍋は書生の食い物」と言われていて、高いものではありませんでした。

その状況を変えたのはトラクターです。

田圃の作業をトラクターがやるようになりましたから、それまで作業に使っていた牛が要らなくなりました。で、トラクターの登場以降、牛は最初から食べるためだけに飼うことになったのです。

トラクター以前には、牛を飼うための経費は、全て米作の原価となり、米を売った時点で回収されていたのですが、その後は違います。牛の経費は、牛肉の売価に反映させて回収する他なく、また牛が順調に育たなかった場合のリスクも算段しなければならず、結局薬局、牛肉の値段は騰がりました。

この変化は、実はわりと最近起きたことです。

トラクターの数は1961年(昭和36年)の7000台から、10年後の1971年(昭和46年)には267200台、1977年(昭和52年)には832200台と増えていますから、牛が田圃で要らなくなったのは、この時期だと分かります。40年前=わりと最近です。

牛肉の値段が騰がったので、すき焼き屋も高級化する他なく、Bだったものが、Bとは言いがたく成って行きました。

そういう経緯の食べ物も在るわけですから、

Bと非Bの2種だけって、どうも単純過ぎると私は思います。

すき焼きは「Ⅴ(ヴィー)級グルメ」。

そう私は命名したいと思います。

追伸

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カレーライスの起源

去年から、カレーオイル入りの溶き卵を売っております関係で、カレーのことが、どうも気になります。

だいたい、何故こんなにも日本人はカレーライスが好きなのか。

辻調グループによる2013年の調査では、国民の23%がカレーライスを「和食」と認知しているとか。

現在の日本のカレーは、インド人が「何これ、この日本料理ウマすぎィ!!」とビックリするほど独自の進化を遂げています。

しかし!

インド人は、「アナン」のバラッツさんによれば、カレーのことを「カレー」とは言わないそうです。

そして、日本人にカレーを伝えたのは、インド人ではないそうです。びっくりですね。

では、誰が伝えたのか?

弊ブログの2/3に書きました通り、カレーは福沢諭吉先生によって日本に紹介されました。

先生最初の単行本である『増訂華英通語』(1860年、万延元年)に「Curry コルリ」という表記があるそうです。アメリカに渡って買ってきた単語短文集に簡単な意味や片仮名の発音を付記した本だとか。

もっとも先生がアメリカ滞在中にカレーを召し上がった証拠は無いらしく、単に色々な料理名を紹介しただけかもしれません。しかし、少なくともこの本でカレーという語が紹介されていることは事実です。

もう少し本格的にカレーを紹介したのは、牛鍋を紹介した本『安愚楽鍋』を書いた仮名垣魯文による『西洋料理通』(1872年)です。

そう、カレーは西洋料理として日本に伝わったのです。そしてカレーを西洋に伝えたのは、もちろんインドを支配していたイギリスです。

イギリス人の船乗りは航海中にシチューを食べたかったが、当時は牛乳が長持ちしないとの理由で諦めるしかなく、牛乳のかわりに日持ちのする香辛料を使って、カレー味のシチューを考案したのが起源と言われているそうです。

カレーを「カレー」と名付けたのもイギリス人です。

その、イギリス式のカレーが日本に伝わった所までが第一段階。

そして、次の第二段階にはハッキリしない点が多いです。

ライスカレーが、明治20年代に登場したのです。

どこが発祥か分かりませんが、白米にカレーをぶっかける、丼ぶりのような食べ物が登場したのです。

これは急速に普及しましたが、どこが発祥か分かりません。

それまでは別々に器に盛るスタイルだったのが、一つの皿になったわけですから、想像しまするに、

調理時間を短縮したい、

洗い物の時間を短縮したい、

食べるスペースを小さくしたい、

という事情があって成立した食べ方だと思われます。

で、推測されるのは、

まず軍艦の食堂

つづいて洋食屋の賄い場

なんとなく海軍説を支持したい感じはします。

先日テレビで、カレーライスを発明したのは、かの東郷平八郎だと言っていて、その決め込みには驚きましたが、流石に証拠はないようで、下に小さくテロップで「諸説あります」と表示していました。

ともあれ、明治20年代にカレーライスが登場。瞬く間に国民食となりました。

こんなに以前から国民食なので、すき焼き用の溶き卵にカレーを入れた場合も、なんだか懐かしい感じがするのです。

どうぞ、お召し上がりくださいませ。

追伸

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建て替え

このたび浅草のおでんの名店「大多福」さんが店舗を建て替えされることになりました。

現在の、情緒ある店舗での営業は5月31日までだそうです。

「大多福」さんは、大正4年に大阪法善寺から浅草へ移転して、開業。その後、関東大震災・東京大空襲で焼失。カウンターから復活させて、少しずつ建て増して行き、約40年前にほぼ現在の姿になりました。

以来、多くのお客様に愛され続けて来ましたが、このたび次の世代へ繋げていくために、建物の見直しを行い、建て替えを決意されました。今の店舗の材料を取り外して、再利用するとかで、新築よりずっと大変な工事と思われます。

再開は平成31年の秋で、その間は仮店舗で営業なさると聞きます。

つきましては、大規模工事を決意された舩大工家の皆様を応援する気持ちも込めまして、私達・浅草料理飲食業組合では「大多福さんの、情緒あるお店とお別れする会」を開催することになりました。

皆様も、是非31日までにお出かけ下さい。

追伸

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カレー蕎麦

蕎麦屋さんに、何故「カレー蕎麦」や「カレー南蛮」が在ると思いますか?

カレーと混ぜたら、蕎麦の微妙な風味や香りが飛ばされてしまうというのに、いったいなんで、「カレー蕎麦」なんて料理が在るんだろう?

不思議に思ったことはありませんか?

私も不思議に思っていました、ごく最近まで。

最近私は、店の商品として、カレーオイル入りの溶きタマゴを出していますので、遅まきながらカレーについて学ぼう、それも和食化したカレーについて学ぼうと思いまして、カレー蕎麦やカレーうどんを食べ歩いているのですが、そこ過程で分かりました、蕎麦屋さんに「カレー蕎麦」が在る訳が。

実に意外な理由でした。

その理由は、

カレーライスが蕎麦にとって、かつて強力なライバルあるいは、深刻な脅威だったからです。

時は明治時代後半。

それまで蕎麦は東京の庶民が好むファースト・フードの筆頭で、その地位は、政権が徳川家から新政府にかわっても引き続き安泰なように見えました。

しかし!

そこにカレーライスという強力なライバルが現れたのです。カレー人気に押されて、蕎麦屋の客足が遠のき始めたのです。

カレーには軍隊という後ろ盾がありました。特に海軍は水上生活が長いため、兵士を慰めるために美味しい賄いを出そうと努めていました。で、「海軍カレー」です。

やがて兵役を経験してカレーの美味さを知った人達が郷に帰ってからもカレーを食べたがりました。それがカレー人気の背景にあったのです。

同じ市場の奪い合いですから、蕎麦屋さんにとっては深刻な事態です。そういう深刻さを背景として、カレー蕎麦が登場したのだと思えば、蕎麦屋にカレーが登場した理由が納得できると言うものです。

時に明治37年(1904年)のことと伝えられています。

商いの生死にかかわる状況に直面した時は、柔軟に!それも相手方を摂り込むくらい柔軟に!

実に恐れ入った立身術だと思います。

 

追伸①

52日は火曜日ですが、GW連休中なので、「ちんや」は臨時営業いたします。どうぞ、ご利用下さいませ。

追伸②

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