第6回「すきや連」寄せ書き②

7/12は「第6回すきや連ー日本短角牛の、すき焼きを食す会」を、私の店「ちんや」で開催しました。

 以下は、その時会場で皆さんに書いていただいた、寄せ書きです。お読みいただくと、会場の雰囲気がわかります。

 55名様と大勢なので、2日に渡ってUPしています。今日は、その第二回です。どうぞ、ご覧下さい。

 ・すきずきに愉しむ仕方異なれど一つ息つくすき焼の味(松井純)

・梅雨盛りすき焼き食べて暑に向う(蜂須賀祥介)

・好き焼きや来たのがご縁やみつきに(桐山勝)

・最たる日本の食文化は匂いが食欲そそる「すきやき」である。(津田暁夫)

・すき焼きは日本人の元気の「源」(赤塚保正)

・シンプルな食べ物ほど食文化が在る。それはすき焼き。(白井雄司)

・すき焼文化は絶対このままでいい!(大洞敏男)

・「心」と「肉」のハーモニー、すき焼の奥深き(佐藤健一)

・すき焼きをつまむ ほっぺたをつねる(小金沢章文)

・牛肉は外食化傾向がより強くなると思われるので、すき焼屋は大ブレイクするかもしれません。(中田二郎)

・夏のすき焼き、とても美味でした。(鳥山渉)

・肉の三種盛り、四種盛りのようなお変わり皿、もしくはアラカルトメニューがあったら、すき焼き鍋を囲んでの楽しみが増えると思います。(川井秀晃)

・名古屋のすき焼には、必ず「カクフ」が入る。これ名古屋ダケ?(加藤政義)

・家族のごちそうはすき焼き(かき美味しいの、三保達郎)

・アンチエイジングシュガーをすき焼きに。(高村善雄)

・やはり日本酒の乾杯は素晴らしい。しかも短角は日本酒にあう。「月の井」は美味しいね。(広瀬洋一)

・いつもありがとうございます。(梅田雄一)

・美味しかったです。(武部太志)

・感動。(南都隆道)

 寄せ書きは、以上で終わりです。会場の、盛り上がった様子をお感じいただけたと存じます。

  全員分の寄せ書きを判読して、パソコンに打ち込むのは、結構ホネでした。まあ、でも、ブログが2日分埋まったんで良し、としよう。ひひひひ。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

第6回「すきや連」寄せ書き①

 7/12は「第6回すきや連ー日本短角牛の、すき焼きを食す会」を、私の店「ちんや」で 開催しました。

 以下は、その時会場で皆さんに書いていただいた、寄せ書きです。お読みいただくと、会場の雰囲気がわかります。

 55名様と大勢なので、2日に渡ってUPします。どうぞ、ご覧下さい。

・すき焼き百態 鍋の中に人生あり(向笠千恵子)

・夏草と大地の味や短角牛(向笠千恵子)

・本日はありがとうございました。短角も喜んでいます。(「北十勝ファーム」上田金穂、短角牛生産者)

・短角は日本農業の宝!(中村靖彦)

・和牛の中の優等生、短角に敬意!(増田淳子)

・上田金穂さん、ヤリマシタネ!皆様の評判も良いようでご同慶の至り・・・今後も短角の育成と普及を側面から祈念しています。(坂田甚内)

・とってもおいしいです。ありがとうございます。短角牛食べごたえ満点です!(町田成一)

・短角牛美味しい!(松田武朗)

・短角牛バンザイ!和牛バンザイ!(伊豆川嘉規)

・短角の赤身美味しき北十勝(石橋伸介)

・赤身肉滋味育みし足寄町(石橋伸介)

・今日の短角牛はすき焼きの原点の味と思います。(土居秀夫)

・短角牛は、良き現代の日本の味、すき焼は世界最高の健康食。赤身肉と野菜は長寿の秘訣!(高岡慎一郎)

・すきや連一同に会すこのパワー 牛肉は人間力のガソリンです。「短角牛」浅草のタンカ喰う牛、すごいです。(高岡哲郎)

・こだわりの北十勝ファームの短角牛おいしかったです。(吉澤直樹)

・短角牛のすき焼、初めて食す味わい。お腹まわりを気にせず食べれますね。(吉澤裕介)

・いつも楽しい企画ありがとうございます。短角牛いけます。(青井茂樹)

・短角牛勉強になりました。ありがとうございました。(尾崎仁)

・「畜産は土から」短角牛を食べて思い出しました。(片平梨絵)

・足寄の大地の味がしますヨ。

・大地の味、食べて実感。おいしいです。(坂本敬子)

・久しぶりの短角牛、塩でいただきました。お味噌でも・・・GOOD!(九鬼祥夫)

・初めて食べた短角牛 みそとさんしょのコラボこれがミソ?(高岡修一)

・短角牛もおつなもの!(田仲寿夫)

・幻の短角牛楽しみにして来ました。(藤森朗)

・初めての短角牛です。メタボ予備軍の私には最適?(松下泰久)

・短角牛と夏野菜の相性は格別でした。(湯浅康毅)

・七夕に短角牛に出会いしあわせです。季節の野菜も彩りよく、すき焼をいっそう美味しくしてくれます。(森脇政子)

・めずらしいお肉 めずらしいザク 素晴らしいすき焼きをありがとうございます。勉強になりました。(相沢二郎)

・牛肉はさすがおいしい。(短角牛)(蛯名和夫)

・赤味・霜降りにこだわらない「うまさ」賛成(上嶋棟一郎)

・時代にあってきました!赤味おいしいです。(太田倫子)

・すきや連の食で感動をいただきます。(和田政司)

・すきや連は向笠さんの原稿の栄養源ですね。今後もステキな企画を期待してマス(高橋恭子)

・皆さんの勉強熱心に頭が下がります。良い勉強をさせていただきました。(柴田進吉)

・牛肉料理の原点は「すきやき」です。皆様もっと牛肉を食べましょう!「すきや連」の益々の発展を祈念します。(原田光祥)

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。会場の、盛り上がった様子をお感じいただけたと存じます。寄せ書きはまだありますので、続きは明日UPします。

日本短角牛の、すき焼きの食べ方

 7/12に、「第6回すきや連ー日本短角牛の、すき焼きを食す会」を、私の店「ちんや」で開催しました。

 さて、その短角牛の、すき焼きの食べ方ですが、普通の黒毛和牛のすき焼きと比べて、一工夫が必要と思います。

 短角牛を、そのまま普通のすき焼きのやり方で食べると、妙に甘辛く感じます。特に、「ちんや」の割下で食べると、そうです。

 黒毛和牛の、霜降りの入った肉の場合、そこから溶け出した脂肪分が舌を覆い、味をマイルドに感じさせますが、短角牛の場合、霜降りが入らず赤身で、脂肪分が足らないので、割り下の甘辛さを、そのまま舌が感じてしまうものと思われます。

 そこで、割り下の味を少し変更して、もっと複雑な味にする必要があります。今回は「お試し」の会なので、何か新しいことをやってみよう、ということになりました。

 考えまして、<脂身+醗酵食品(=味噌)>を鍋に入れるのが良いだろう、ということになりました。馬の赤身肉を使う、桜鍋に味噌が入るのと同じことです。

 この発想で、ウチの板長が、実験的に、<>として短角牛のコマ切れや脂身を挽肉にして、味噌と砂糖と練りあわせる、という作戦を考えつきました。  

 7/12「すきや連」当日は、皆さんには、まず普通に食べていただいて、その後で、この<>を、小鉢に盛ってスプーンを付けて、各机に運んで、鍋に入れていただくようにしてみました。

 <>を「変わり味」と称して、皆さんがご自分で、鍋に投入していただくようにしました。もちろん、これを入れる前後で、味を比較してもらおう、というアイデイアです。

 普通のやり方で食べていただいている時は、料理雑誌「ダンチュウ」編集長のMさんも「住吉さん、今日は割下を甘くしたの?」と言っておいででしたが、違います。同じ割下なのに、上に書いた次第で、甘く感じてしまうのです。

  その味を確かめていただいた後で、<脂身+醗酵食品(=味噌)>を鍋に投入です。 皆さん、その道のプロだけに、興味津々でお試しになっているようでした。

 醗酵食品は甘酒でも良いのかもしれません。向笠千恵子先生は、ご自宅で甘酒投入を試して成功したそうです。

 これをキッカケに、新しい食べ方が登場すれば、今回の「すきや連」をやった意味も有る、というものです。

 なお、肉そのものの管理についてですが、今回、普通の黒毛和牛と同様に熟成させましたが、足らなかったようです。赤身なので、水分量が多いため、もう少し時間が必要だったと考えられます。

 とり急ぎ、「すきや連」ご報告、第二段でした。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 今日はチョット専門的で、ジョークもなかったので、一般の方にはご不満と存じますが、何卒ご容赦下さい。

 このブログは、一応、「すき焼きブログ」なもんですから、はい。

 「すきや連」ご報告は明日も続きます、悪しからず。

 

開催しました、第6回「すきや連」 

 7/12は第6回「すきや連」を、私の店「ちんや」で 開催しました。

 ご参加いただいた、すき焼き屋さんは、東京浅草の「今半本店」さん、「浅草今半」さん、「人形町今半」さん、

 「銀座4丁目スエヒロ」さん、「銀座吉澤」さん、神田の「いし橋」さん、新橋の「今朝」さん、ニューオータニ「岡半」さん、「築地さとう」さん、八王子の「坂福」さん、

 横浜の「太田なわのれん」さん、「荒井屋牛鍋店」さん、

 遠方では、松阪牛の「和田金」さん、桑名の「柿安本店」さん、

 さらには、米沢牛の「登起波牛肉店」さん、金沢の「天狗中田本店」さんなどなどが集結し、また生産者・愛好家の方も大勢見えて、壮観な宴会になりました。

 「すきや連」も、もうこれで6回目です。今回、私・住吉史彦は「旗振り役」の一員兼事務局として、主催させていただいただけでなく、会場店の主人でもあったので、それは忙しい一日でしたが、これだけ揃えば、手配のし甲斐もあったというものです。

 「旗振り役」代表の向笠千恵子先生も、いつもながら元気にご参加いただき「日本のすき焼き文化を発展させましょう」との有り難いお言葉。「続 すき焼きものがたり」の連載も月刊「百味」誌上で始まり、期待されます。

 ところで、今回は普通の「すきや連」の例会ではありませんでした。「日本短角牛の、すき焼きを食す会」です。

 これだけ大勢の、すき焼き関係者が集合して、短角牛のすき焼きを食べるのは、たぶん初めてではなかろうかと思います。霜は降らないものの、独特の旨味のある、短角牛のすき焼きを、皆さんにお試しいただきました。

 このような会を開催することができたのは、短角牛生産者の、「北十勝ファーム」さん(北海道足寄町)のご協力によるものです。

 もちろん、ご本人にもご出席いただきました。開宴に先立って、「北十勝」のファームマネージャー・上田金穂さんによる卓話を、皆さんにお聞きいただきました。大変参考になりました。

 宴席では7/12を「日本短角牛の、すき焼きの日」に認定しよう、なんていう話しまで飛び出していました。

 いやあ、疲れたけど、すき焼き談義の宴会は、メッポウ盛り上がって、楽しかったです。

 一方、残念だったのは、予言蛸のジョークがスベッたことです。7/12はサッカーの決勝の翌日で、世間は予言蛸の話題でもちきりでしたから、

「今日は残念ながら、牛料理です。蛸料理なら喜んでいただけたと思いますが、あのドイツの水族館と話しがつかず、牛料理です!」と言えば、バカうけ確実と思ったんですけどね。

 真面目な連中は、これだからやりにくいなあ。

 あ、そうそう、参加していただいた皆さん、ありがとうございました。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。 「すきや連」のことは、まだまだ書きたいのですが、長くなるので、また明日以降も書きます。2〜3日、このブログは「すきや連」のネタになりますので、よろしくお願い申し上げます。

*「すきや連」については、このブログの、3/2号3/3号3/4号3/5号5/2号6/14号もご覧下さい。

*日本短角牛と「北十勝ファーム」さんについては、こちらです。

昔のトレサビ、「今朝」

 皆さん、おはようございます。さて、「今朝」っていう漢字は、何と読みますか?

 「けさ」と読まずに、即座に「いまあさ」と読んだ人は、ちょっとビョーキな、すき焼き通です。

  その「いまあさ」という屋号の、すき焼き屋さんのことが、向笠千恵子先生の新連載『続すき焼き ものがたり』の最新号に載っていました。この連載は、月刊「百味」誌上にて、5月号より始まったもので、今回は7月号ですので、その第三回です。

 読むと、私も旧知の「今朝」のF会長・F社長のご先祖様が、店を創業した頃の様子が良くわかります。また、すき焼き屋の屋号に、なんで、よく「今」の字が付くかもわかります。

  くわしくは、「百味」をご購読いただきたいのですが、さわりだけ書きますと、

 その昔、牛の と畜場が、東京郊外の今里村にあり、「今」の字が付くということは、今里村から牛を仕入れている、優良店であることを示していたのです。

 逆に、今里村から仕入れていない場合は、正規の流通ルートでなく、怪しい肉である可能性があったわけです。畜産業がしっかり確立していなかった当事のことですので、すき焼き屋は、そういうPRの仕方をしたのだと考えられます。

 考えてみまするに、畜産の業界は、今でもトレサビに必死になっています。6/23にも、小島商店による、トレサビ法違反事件、つまり産地偽装事件がありました。

 明治13年からあまり進歩していないと思うと、かなりザンネンですね。

  「ちんや」は、トレサビをちゃんとやってますから、そのことをPRするために、この際、屋号をマイナー・チェンジして、

 「とれちんや」とか「ちんとれ屋」とかに変えますかね。

 でも、この名前だと、ちんどん屋に、間違われるかなあ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*『続すき焼き ものがたり』については、このブログの5/2号をご覧下さい。

*新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」については、株式会社ビジネス・フォーラムへお問いあわせ下さい。(電話:03-3288-9180)

*牛トレサビ法については、このブログの6/26号もご覧下さい。

*「今朝」さんについては、こちらです。

 

 

 

すきや連―日本短角牛のすき焼きを食べる会

 私は、「すきや連」(=すき焼き屋と、すき焼き愛好家のグループ)の事務局長ですので、「すきや連」の例会が開催される時は、事務全般をとり仕切らないといけません。

 この7月にも、例会を予定しているので、今、案内状の発送・申し込みの受付作業が急ピッチです。

  さて、「すきや連」は今まで5回の例会を開催しましたが、今回はいつもと少し趣向が違います。今回は、日本短角牛の生産者・「北十勝ファーム」さん(北海道足寄町)のご協力により、「日本短角牛のすき焼きを食べる会」を開催することになりました。

 大勢の、すき焼き関係者が集合して、短角牛のすき焼きを食べるのは、たぶん初めてではなかろうかと思います。当日は「北十勝」のファームマネージャー・上田金穂さんも参加されるので、まず開宴に先立って、20分程度卓話をしていただき、それから宴会にしようと思っています。

 このファームは、飼料の99%を国産飼料で賄っていて、牛の排泄物もリサイクルしているとかで、なかなか立派です。そういう御話しも多分、皆さんのご参考になるものと期待しています。

  逆に今回、気が重いのは、会場がウチつまり「ちんや」だという点です。

 今までの「すきや連」は、各地のすき焼き屋さんで順番に開催し、その御店がベストと思うすき焼きを出していただく、という企画でしたが、今回は趣向が違って、日本短角牛のすき焼きを食べる、という企画です。

 日本短角種というのは、和牛の一種なのですが、北海道・青森・岩手で、ごくごく少数が飼われている、珍しい品種です。霜は降らないものの、独特の旨味があります。

 すき焼き屋で使われる肉は、ほとんどが「黒毛和牛」の肉ですので、「短角」の御取り扱いの経験のある、すき焼き屋は、あまりないと思います。

 よその御店に、普段扱い慣れない肉を扱わせることは、非常に頼みにくかったので、結局、自分の店で開催することとなりました。

  そういう次第ですので、例会当日私は、開催店の主人兼「すきや連」事務局長、という二重の役割を兼任することになります。6回目の開催ですので、事務の方は、だいぶ熟練してきましたので、まあ、なんとか二役、やってやれないことはないだろう、と思ってはいますが、超ハードなのは、今から目に見えています・・・

  最近ニュースで新内閣の顔ぶれをやっていますが、党政調会長兼公務員制度改革担当大臣の方が楽チンそうですね、私より。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「すきや連」については、こちらをご覧下さい。

*「すきや連」については、このブログの、3/2号3/3号3/4号3/5号5/2号もご覧下さい。

*「北十勝ファーム」さんについては、こちらをご覧下さい。

「三嶋亭」さんの、急な階段

 向笠千恵子先生の新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」6月号が届きました。5月号より連載が始まりましたので、今回は第2回です。

 早速ページを開けますと、今回は京都・三条寺町の「三嶋亭」さん=私も旧知のM社長の御店、についての記事でした。さて読みはじめますと、私としては「うーん」という所からスタートしました。「三嶋亭」さんの、店舗のバリアフリー対応のことから、記事がスタートしているのです。

  向笠先生のお母上様は、俳人でいらして、俳句を作るのが脳に良いせいか、ご高齢でも頭脳は大変明晰でいらっしゃいます。しかし、御み足には不自由なところが少しあって、そういう方には、古くからの店舗は不都合なことが多いのです。

 特に「三嶋亭」さんは、玄関を入ると、2階へ続く急な階段があって、そこにロビーがあるのです。1階にも客席がありますが、1階の客席へ入る客も、いったん2階ロビーを経由して1階へ入る=つまり、まず登って⇒別の階段を降りる、という構造なのです。これが、御み足の不自由な方にはキツイのです。

  記事によれば、結局今回、その2階ロビーを経由せず、バックヤードを通り抜けて、1階の客席へ入られたようです。「裏手の通路に案内され、下足箱の前を通り、配膳室脇を抜け、事務机の傍から表廊下へ出た」という具合だったようです。

  要するに、社会が高齢化しているのに、店舗の構造が合わないのです。先生はこのことを「日本の生活文化のとってはひとつの危機」と書いておられますが、実は「ちんや」にとっても、こうした問題があります。

  「ちんや」の現在の店舗は、昭和50年竣工のビルですので、エレベーターもありますし、「三嶋亭」さんほど、やっかいではありません。しかし、それでも御客様には玄関で下足をお脱ぎいただいた上で、ご入店いただく構造でして、その際に50cm程度の段差があります。その段差さえ突破すれば、あとは平らなのですが、そこだけは何とかしないといけません。

  「少し御み足がご不自由」くらいなら、下足番がお手伝いして、押し上げてしまいますが、困るのは、車椅子のお客様です。

 店外から車椅子にお乗りになったままでは、御入店になれないので、店内には店内用の車椅子を1台用意してあります。玄関でそれに乗り換えていただくのですが、まだ1台しか用意してありません。ついては、お席のご予約と同時に、店内用車椅子もご予約いただかないといけないわけです。(利用料は無料です)

  「ちんや」のもう一つの問題は、お使いいただく部屋自体の構造です。個室が7室ありまして、その内6室は、洋室(=椅子席)または掘り炬燵の個室だから良いのですが、大広間・ご宴会場と、個室の残り1室は、あいかわらず和室です。(小さいお子さんがおいでの場合は、やはり和室が良いので、全部を洋室にはしていません。)

  ご宴会の場合は、椅子でなくて、動き回って歓談できる和室の方が、楽しい宴会になる、と私は思っていて、だから現在の構造を直していないのですが、しかし、そもそも和室に座れなければ、楽しい宴会にもなりえませんね、たしかに。

 だから、洋室の宴会場も増やしつつありまして、20名様までなら、洋室で宴会もできるようにしてあります。

 先日、八王子のすき焼き屋「坂福」さんをお訪ねしたら、D社長が「ウチは今でも、会議室以外は全部和室ですよ!」と自信満々でしたが、「ちんや」はそこまで強気になれません。

  日本の生活文化にとって、残念なことでも、少しずつ、椅子席化が進行するのは避けがたいと思います。

 思いまするに、古いもの全てを残すことはできません。しかし、古いものの中の、エッセンスあるいは本質は残さないといけません。その判別のための眼力が、私やM社長に必要なんだと思います。

  違う眼力なら、あるんですけどねえ。

 え? なんの眼力があるかって? それについては、このブログ5/29号をご覧下さい。ひひひひ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」については、株式会社ビジネス・フォーラムへお問いあわせ下さい。(電話:03-3288-9180)

『続すき焼き ものがたり』

 向笠(ムカサ)千恵子先生が突然店に見えました。「電話もしないで急に来てゴメンナサイ、浅草に用事があったもんだから、住吉さんが私の、すき焼きの新連載を読んで下さったかしらと思って・・・」 そりゃ、先生、読みましたよ。読んだどころか、今このブログにそのことを書こうと思っていたところです・・・

 実は、向笠千恵子先生の新連載『続すき焼き ものがたり』が、月刊「百味」誌上にて、5月号より始まり、その第一回が先日届きました。「続」というからには、その前に最初の『すき焼き ものがたり』がありまして、それは平成18年3月から20年4月まで、やはり月刊「百味」誌上に連載されました。

 その当時、平成17年のことですが、すき焼きについてまとまった本がないことを残念に思っていた私が、どなたか高名な方が、すき焼きのことを書いて下さらないかなあ、と思っていたところ、それを聞いて書いて下さったのが向笠先生でした。それが最初の連載です。

  この連載はその後、加筆・修整されて、平凡社新書『すき焼き通』としてまとめられました。そして、平成20年10月15日のことですが、この御本の、出版のお祝いの会を私の店「ちんや」で開いたことが、すき焼き屋とすき焼き愛好家のグループ「すきや連」の発足へとつながっていきます。

 このお祝いの会の時、初めて全国からすき焼き屋さんが集結し、せっかく面識が出来たのだから、1回コッキリで終わらせるのはモッタイない。「すき焼きを味わいながら、日本の食文化を語り合う会をつくりたい」との話しが期せずして盛り上がり、「すきや連」が発足しました。

  その後「すきや連」は順調以上の活動ぶりで、例会を、21年2月に新橋「今朝」さんで、7月に「浅草今半」さんで、10月に湯島「江知勝」さんで、22年3月には横浜の「太田なわのれん」さんで、という具合に続けて開催してきました。毎回50人くらいの方が参加され、定員オーバーでキャンセル待ちが出るくらいの勢いでした。

 また、例会以外にも、21年9月には、「日本記念日協会」に申請して、毎年10月15日を、『すき焼き通の日』として正式に認定してもらいました。また、すき焼き業界の長老を集めて対談してもらい、その対談を月刊「dancyu」22年1月号(プレジデント社発行)に掲載していただきました。「すき焼き劇場」という題の特集記事で、この対談には、私の父(=ちんや会長)も参加させていただきました。また、すき焼きを題にした句会もしました。

 以上が、向笠先生と、「すきや連」と、私の、五年間の「すき焼き物語」です。あっ、と言う間に過ぎたような気がします。

  そんな活動を続けている内、21年の秋頃だったと思いますが、向笠先生が、『すき焼き ものがたり』の続篇を書き、連載したいと言い出されました。この時は、最初の時より嬉しかったような気がします。以前にも増して、さらにすき焼きに興味を持ち、すき焼きのことを書いて下さる、というのは有り難いことです。

  世は不景気ですが、この連載が始まれば、すき焼き業界にも少しは良いこともあるでしょう。調子が良くなってくれば深甚です。

  いいぞ、すき焼き!

  立ち上がれ、すき焼き!

  おっと、「立ち上がれ、すき焼き」じゃあ、どっかの新党と同じだなあ。そんな党名じゃあ、3議席くらいしか獲れないぞ。何か他のを考えなきゃ。

 「うまいもの実現党」とか「開化倶楽部」とか、どうだろう?

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*平凡社新書『すき焼き通』については、こちらです。

*新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」については、株式会社ビジネス・フォーラムへお問いあわせ下さい。(電話:03-3288-9180)

変わりザク

すき焼き屋は、基本的には明治時代から同じ仕事をしていますので、そこへ食べに行っても、「あらたな体験」「新鮮な体験」というのは乏しいかもしれません。聞けば、「あらたな体験」が付いていないと物が売れない世の中だと言いますから、「すき焼き屋は何度も行ったことがあるけど、「ちんや」は少し変わっていて、意外な体験ができるね」という方向に、なんとか、もっていきたいものだと思っていました。

 そう思っていたら、「すきや連」に毎回参加している、カメラマンのカワイさんという方から面白い、ご提案がありました。カワイさんという方は、素人すき焼き愛好家であって、向笠千恵子先生の「すき焼き通」(平凡社新書)の第9章に実名で登場する方ですが、この方が、21年7月の第3回「すきや連」(浅草今半さんで開催)の寄せ書きに、次のように書きました。

 年2回の「旬のすき焼き!」春は山菜、秋は「きのこ」、しかも栽培ものではなく、里や山採りの天然にこだわった「すき焼き」が専門店のすき焼き屋さんで季節の「旬のすき焼き」メニューで、思いっきり季節を感じながら食べられても良いのではと思います。今年の春に、懇意にしている佐久市御代田の片山肉店で「ざぶとん」部をすき焼きカットしてもらい、佐久市岩村田の「王将」で頂いた、採りたての地採りのコゴミ、コシアブラ、ウルイ、フキノトウ、ウド、フキノワカバを、豆腐、しらたき、肉で食した所、山菜のアクは美味しい牛脂で旨みに変わり、この後の人生何回食べられるかと心配になるぐらいでした。秋には長野・鹿教湯の中村農園直売(県下指折りの地キノコ直売所)で「天然キノコ」を求め、「キノコすき焼き」を楽しみにしています。是非、一度お試しなさって頂けたらと思います。

 店で営業する場合は、カワイさんのようにはいきませんが、これをキッカケに「ちんや」でもはじめてみたメニューが、「変わりザク」です。そうです。「変わりザク」は「すきや連」からはじまった、新メニューなのです。

 21年の秋に始めた、秋バージョンが好評だったので、冬バージョンもやり、今回3/6より、春バージョンがスタートしました。

今回は、たけの子、山うど、長せり の3種盛り合わせです。どうです?こういう具を、すき焼きに入れて食べたことございますか?「ないなー」という方は、是非「ちんや」へお急ぎ下さい。「あらたな体験」?が待っています。両国の「ももんじや」さんでは、猪鍋にせりを入れていましたから、そんなに変なことでもありません。「すきや連」からはじまった、という話しも面白いですよね。

 ただし!「今週の特選ザク」の内容は、仕入れ・在庫状況が毎日変わりますので、事前のご予約は承ることができません。そのあたりは、悪しからず、ご了承願います。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございます。浅草「ちんや」六代目、住吉史彦でした。

*すきや連」ホームページは、こちらです。 

         

Filed under: すきや連,すき焼きフル・トーク — F.Sumiyoshi 11:39 AM  Comments (0)

オンリーワンのすき焼き

「太田なわのれん」さん(3/3「すきや連」会場店)の話しの続きです。この御店は、肉がサイコロのような「ぶつ切り」で、その肉を味噌を加えて煮るところが特徴です。肉は、黒毛のメスで、結構な熟成期間をとっているものと思いました。旨いです。味噌はかなり濃厚で、その味付けにも対抗しうる肉の旨味には、ちょっと感心しました。逆に旨味の乏しい肉を、あの味付けで食べたら、悲惨な結果になっただろうと思いました。

それにしても、類のないユニークなやり方です。

 こういうユニークな御店の存在を知ってもらうことが、まさに、私の目指す「すきや連」活動の目的です。それぞれのすき焼屋が特徴を伸ばして「オンリーワン」を目指してもらいたい、また御客様にも、「すき焼屋は皆同じ」と考えるのでなく、それぞれが特徴を持った「オンリーワン」のすき焼屋であることを認識してほしい、そう考えるからです。

 昔の日本人には、強い競争心がありましたから、皆が「オンリーワン」でなく「ナンバーワン」を目指していました。つまり、ライバル関係ということです。しかし、この不況下に皆が同じ土俵で競争していたら、全員が疲弊してしまいます。

 今は社会が成熟してきましたから、すき焼屋の小さな違いも認識してもらえるようになってきたと思います。すきや連で各地のすき焼屋を訪ねてみると、意外と、小さからぬ違いがあるのです。

例えば割り下を鍋の中で煮詰めるかどうか、これは関東流の中での大きい違いです。このように、違いがあって面白いわけですから、世の中からもっともっと認識してもらっても良いように思います。

すき焼き屋がお互いに、店ごとの特徴や違いをもっと把握して、御客様に説明できるようにしたら良いと思います。御客様も各すき焼屋の特徴をわかった上で、何軒も訪ね歩き、違いを楽しむようになっていけば、ベストと思います。

「オンリーワン」をわれわれの目標にしたいものです。そう思いながら、「太田なわのれん」さんの牛鍋をつついていたら、同卓の伊豆川さんも、まったく同意見で、意気投合しました。

伊豆川さんは、主にスーパーを対象に、食品に関するコンサルタント業をされているのですが、同時に同じ都市の二つのスーパーの、コンサルタントをすることがあるそうです。その2軒のスーパーが、値下げ競争の消耗戦をしていたら、まずやめさせ、それぞれの特徴を活かした、品揃えをさせるそうです。

「すき焼き屋も、そうありたいなあ」そう思った、横浜の夜でした。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございます。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

参照サイト:①「太田なわのれん」さんホームページ

参照サイト:②「すきや連」ホームページ