オンリーワンのすき焼き

「太田なわのれん」さん(3/3「すきや連」会場店)の話しの続きです。この御店は、肉がサイコロのような「ぶつ切り」で、その肉を味噌を加えて煮るところが特徴です。肉は、黒毛のメスで、結構な熟成期間をとっているものと思いました。旨いです。味噌はかなり濃厚で、その味付けにも対抗しうる肉の旨味には、ちょっと感心しました。逆に旨味の乏しい肉を、あの味付けで食べたら、悲惨な結果になっただろうと思いました。

それにしても、類のないユニークなやり方です。

 こういうユニークな御店の存在を知ってもらうことが、まさに、私の目指す「すきや連」活動の目的です。それぞれのすき焼屋が特徴を伸ばして「オンリーワン」を目指してもらいたい、また御客様にも、「すき焼屋は皆同じ」と考えるのでなく、それぞれが特徴を持った「オンリーワン」のすき焼屋であることを認識してほしい、そう考えるからです。

 昔の日本人には、強い競争心がありましたから、皆が「オンリーワン」でなく「ナンバーワン」を目指していました。つまり、ライバル関係ということです。しかし、この不況下に皆が同じ土俵で競争していたら、全員が疲弊してしまいます。

 今は社会が成熟してきましたから、すき焼屋の小さな違いも認識してもらえるようになってきたと思います。すきや連で各地のすき焼屋を訪ねてみると、意外と、小さからぬ違いがあるのです。

例えば割り下を鍋の中で煮詰めるかどうか、これは関東流の中での大きい違いです。このように、違いがあって面白いわけですから、世の中からもっともっと認識してもらっても良いように思います。

すき焼き屋がお互いに、店ごとの特徴や違いをもっと把握して、御客様に説明できるようにしたら良いと思います。御客様も各すき焼屋の特徴をわかった上で、何軒も訪ね歩き、違いを楽しむようになっていけば、ベストと思います。

「オンリーワン」をわれわれの目標にしたいものです。そう思いながら、「太田なわのれん」さんの牛鍋をつついていたら、同卓の伊豆川さんも、まったく同意見で、意気投合しました。

伊豆川さんは、主にスーパーを対象に、食品に関するコンサルタント業をされているのですが、同時に同じ都市の二つのスーパーの、コンサルタントをすることがあるそうです。その2軒のスーパーが、値下げ競争の消耗戦をしていたら、まずやめさせ、それぞれの特徴を活かした、品揃えをさせるそうです。

「すき焼き屋も、そうありたいなあ」そう思った、横浜の夜でした。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございます。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

参照サイト:①「太田なわのれん」さんホームページ

参照サイト:②「すきや連」ホームページ 

Filed under: すきや連,すき焼きフル・トーク,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 10:09 PM
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