食の街道を行く

 『すき焼き通』の著者で、「すきや連」活動でもお世話になっている、向笠千恵子先生が新刊を出されました。

 『食の街道を行く』という御本です。(平凡社新書)

 先生は長い間、食の分野で仕事をなさってきた、第一人者ですが、それでも、巻頭言の中で、

「この手の取材は対象がピンポイントになりがちである。」と言っておいでです。
 そこで、今回の御本を書くにあたって、先生は視点を少し修整し、以下引用ですが、

 点を追うばかりでなく、食の流れを線や面としてとらえられないだろうか。
 考えた末に、食べものの名がついた街道に目を向けた。鯖街道、ぶり街道、鮎鮨街道と、魚の名を冠にした道だけでもいくつもある。

 もし、それらの「食の街道」を俯瞰できれば、食の流れを空間的にも時間的にもトータルに把握できるに違いない。
 始点と終点の食、そして宿場ごとの食もわかるし、その食品の歴史までも見えてくるはずである。(引用終わり)

 そういう視点で、日本に数ある「食の街道」を訪ね、食の流通・交流に関連する道を辿り、日本の食文化の原点を探る、という大変意欲的な挑戦をなさったのが、この御本です。

 ご本人が、集大成的な本、とおっしゃるだけあって、傑作です。

 紙面の裏に、永年の、ピンポイントでない、取材活動が透けて見え、説得力が違います。そして、そうした取材で得た知識と、食にまつわる伝承とが、文中で見事につながっていく辺り、快作です。

 食に関心のある、全ての皆様の、参考になる名作と思います。

 さらに、嬉しかったのは、この御本に浅草も登場することです。川越から江戸へ水運で続いていた、「さつま芋の道」の終着が、浅草のすぐ近くの、花川戸、駒形、蔵前なのです。

 私も、浅草近辺に芋問屋さんが多いことは、もちろん知っていましたが、「さつま芋の道」というほど盛んな往来だったとは、不勉強で知りませんでした。

 現代の、芋問屋さんの代表として登場する、「川小商店」さんの「川」が、川越の「川」であることも、存じませんでした。「川小」のS社長とは旧知で、よくお目にかかるのに存じませんでした。

 S社長とは、浅草の大先輩で、この御本の259ページに、「浅草を代表する旦那衆の一人」「歌舞伎役者顔の好男子」と称賛されている方のことです。

 うーん、「旦那衆の代表」は、まあ良いとして、「歌舞伎役者顔の好男子」と言えば、むしろピッタリなのは、すき焼き屋「CH」のS社長だろうな。今度向笠先生にお目にかかったら訂正しておこう、うん。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*『食の街道を行く』のご購入は、こちら(平凡社のサイト)です。

3日坊主ウォーキング

 このところ、仕事を終えた後、夜10時半前後ですが、ウォーキングをしています。歩く時間は、日によって違いますが、20分〜40分くらいです。

「なーんだ、住吉、また「ウォーキングしてます」か! 去年もおととしも、今頃の季節に同じこと言ってたけど、どうせまた、3日坊主だろう。」

 違います、断固として。

 3日坊主ではなく、3週坊主であります。

 現物の住吉史彦をご存じない方も、このブログをお読みになっているようですので、念のために、お教えしておきますが、私の身長は173cm、体重は58kgであり、ダイエットの必要性はありません。また今年3/16の人間ドッグの結果では、どこにも何ら、マズい所見はございませんでした。

 一年中ウォーキングを続けなくても、別に良いのです。

 では、何でウォーキングなんぞするか、ですが、それは「汗をかきたい」からです。

 私たちは、お客様相手の仕事ですので、真夏でも長袖のワイシャツを着こみ、ネクタイを締めています。その恰好で動きますので、とても不快です。不快な汗をかきます。

 でも、人間たまには、汗を我慢せず、しっかり汗をかいて、汗腺をフルに機能させた方が良いそうです。汗腺が詰まると、オヤジ臭の素になるらしい(!)のです。

 オヤジ臭のことは、さておくとしても、爽快な汗は、やはりかいた方が良いですよね。そういう次第でウォーキングしています。だから、一年中続けなくても、3週坊主で良いのです、はい。

 ウォーキングをする、もう一つの理由は食欲増進です。仕事の後、ヨメと二人で「パーテイー」をしておりまして、それが私の唯一の、大切な「快食」の場なのですが、真夏はどうしても食欲が落ちます。

 食欲が弱いと、旨いものも旨くなくなりますよね。それで、歩いて腹を減らして「快食」を期すわけです。

 それに、歩いていると、その間感じられる感覚がありますよね。車に乗っていては、風の速さや匂いも感じられませんが、歩いておりますと、五感で感じ取れます。

 そういう風に五感を働かせることは、「快食」と同じく大事だそうです。そのことは、去年5月の、「快食療法」で知られる横倉恒雄先生の講演で知りました。

 そういう次第でウォーキングをしています。たぶん、真夏の間だけですが。

 でも、ウォーキングをしていて、一つだけマズいことが。

 こういうことをしていると、長生きしてしまいそうです。太く短く生きたいんですけどねえ・・・

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*横倉恒雄先生の「快食療法」については、このブログの5/18号をご覧下さい。

Filed under: ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM  Comments (0)

シュートボクシングの王者・緒形健一さん

 7/21、シュートボクサーの緒形健一さんが見えました。

 緒方さんは、日本スーパーウェルター級初代チャンピオンで、Sカップ2006世界チャンピオン、61戦44勝という、輝かしい戦歴の持ち主です。

 近年では、所属する「シーザージム」会長のシーザー武志さんを助けて、ジム運営や興業、日本シュートボクシング協会活動の中心を担っておられます。台東区内の花川戸にジムがあります。

 緒形さんは、それだけでなく、台東区教育委員会の依頼を受けて、区内の小中学校で、子供を対象とした、「シュートボクシング体験セミナー」をボランテイアで開催されています。

 「鍛えよう心と体」少年少女、集まれ!!無料!! と題したセミナーで、内容は、

「強くなる」「格闘技を通じて青少年に礼節を重んじる心や心身を鍛えようとする意識を醸成する」というキビシイものです。

 こうしたセミナーには、たまに不良学生が参加(=邪魔)したりするそうですが、緒形さんの迫力の前には、すぐに猫のように大人しくなるので、教育委員会からも信頼されています。

 そんな緒形さんが、なんで「ちんや」に見えたか、ですが、それは8/21に開催予定の「夏休み親子体験食味学習会」に講師としてご出講いただき、栄養の話しをしていだだくためです。

 もちろん、緒形さんは栄養学の先生ではありませんが、現役のアスリートですから、必要充分な、栄養の知識をお持ちです。

 筋肉を造るには何を食べたら良いのか、試合前に減量しながらパワーを付けるには何を食べたら良いのか。お子さんならずとも、スポーツ好きなら興味を持っていただけるでしょう。

 しかも、サンプルとして不良学生を黙らせる、強靭な肉体を間近に見ることができます。我ながら、良い企画と思っています。

 ただ一つだけ問題が。もう一人の講師がイマイチなのです。

 そう、すき焼きの歴史を語る予定の、住吉史彦先生がもう一人の講師です。オトナのジョークなら結構得意な?先生なんですけどねえ。

 ガキはジョークがスベッた時に、露骨にバカにするから、心配だなあ。オトナの対応っていうのが期待できないからなあ。

 あ、そうか、子供だから、オトナの対応は無くても仕方ないか。

*なお、「夏休み親子体験食味学習会」は国際観光日本レストラン協会の主催です。会場は「ちんや」ですが、お申し込みは「ちんや」ではなく、こちらへどうぞ。

*シュートボクシング協会については、こちらです。

Filed under: 今日のお客様,食育ナウ,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:02 AM  Comments (0)

火曜クラブ

 アガサ・クリステイ―の「火曜クラブ」のことを調べていて、間違えてこのブログに入って来てしまった方、ご愁傷様です。

 私のやっている「火曜倶楽部」は、スリルもサスペンスも殺しもない、単に食って飲むだけの、食べ歩きの会です。

  「火曜倶楽部」は最初、浅草の飲食店の仲間と作りました。

 浅草は、土日祝日が忙しく店を休めないので、個々の店で月曜・火曜・水曜・木曜などを定休日と決めて休んでいます。「ちんや」は火曜定休です。

 だから、普段の浅草料理飲食業組合の青年部の会合は、金曜か土曜の、午後10時以降に開いています。

 夜中に集まるわけですので、その時間に開いている店は、外食産業の居酒屋とかに限られていて、満足できる食事にほとんどありつけません。

  そこで私が、青年部の代表を退任した後、平成16年に作ったのが、「火曜倶楽部」です。

 青年部のメンバーで、火曜の、普通の食事の時間(6時とか)に、繁盛店・新規開業の店・話題の店など「勉強になりそうな店」に会場を設定して食事会を開催するようになりました。

 その後、浅草以外の人や「青年」と認定しずらい方もお誘いするようになり、楽しく飲んでいます。

 今回(7/20)の「火曜倶楽部」は、「すきや連」で旧知の、M社長・若旦那Mさん父子ご経営の、すき焼き店「伊勢重(いせじゅう)」さんで開催しました。御店の場所は日本橋小伝馬町です。

   御参加いただいたのは、「どぜう飯田屋」のII田さん、ニューオータニ岡半(すき焼き)のSさん、もんじゃ「おすぎ」のSさん母娘、「浅草今半」(すき焼き)のTさん、鰻「川松」のMさん母娘、新橋「今朝」(すき焼き)のFさん。それにウチ夫婦です。 

 私は、台東区役所のアート・アドバイザー会議に出て、それから小伝馬町に向かったため、幹事でありながら時間ギリギリに到着しましたが、「火曜倶楽部」初参加の、「岡半」Sさんが、私が着いた頃には、既に皆さんと仲良くなっていて、とても助かりました。

 さて、「伊勢重」さんは、炭火を使うすき焼きです。炭の管理は面倒だろうな、と感心しつつ、舌鼓をうちました。

 肉はみな、キッチリ寝かせたものと拝察いたしました。非常にやわらかく、ペロりと食べられます。

 「伊勢重」のM社長は、最近肉屋の組合の専務になられて、お忙しいらしく、この日もお出かけでしたが、会合の後、急いで戻って来て下さり、お目にかかることが出来ました。 たぶん、そちらで酒席もセットされていたでしょうに、恐縮なことでした。

  そんなことをM社長と話していた、その時です。

 ぎゃあああああ!

 一人のすき焼き屋の主が、死体となって、座敷で発見され、店は騒然・・・なんてことは、勿論なく、とても緩い感じで、夜は更けました。

 いやあ、それにしても、よその店で食べるすき焼きは、気楽で良いですね。うーい。ひっく。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 *「伊勢重」さんについては、こちらです。

肉談義―日本短角牛をめぐって

 7/16に、食肉卸A社のA社長が「ちんや」へ見えました。

 7/12の「第6回すきや連=日本短角牛の、すき焼きを食す会」の日には、ご都合が悪く、ご参加いただけなかったのですが、ご興味はお持ちいただいていたようですので、早速、日本短角牛についての、肉談義をもちかけてみました。

 短角牛ほど、肉屋の間で、肉談義の対象になる牛はないのでは、と思います。要するに、賛否があるのです。

 7/12に、「すきや連」を、私の店「ちんや」で 開催したことは、このブログの、7/13号から7/17号までに書きました。「ちんや」なりに、短角をすき焼きで、おいしく食べられるよう工夫して、お出ししてみました。

 7/15号、7/16号に掲載した通り、ご出席の皆さんからいただいた寄せ書きには、「短角美味しい!」などの声が多く、短角をすき焼きで、おいしく食べることは、工夫次第でなんとか可能と思えました。私個人は。

 しかし、それはむしろ、肉屋的には、厄介な話しでもあります。

 現在の肉の格付けは、黒毛和牛の、霜降りの肉を上位に位置づけるシステムですから、黒毛和牛でなく、霜降りでもない肉なのに、旨い肉が存在すると、それを幾らに値付けしたら良いものか、困ってしまうわけです。

 また、短角は肉質が、濃い味付けにあわないので、料理方法によっては、歴然と美味しくないことがあります。さらに短角は冷凍で流通している場合が多く、その場合も当然、美味しくありません。美味しい場合と、そうでもない場合があるので、ますます、値付けに困ります。

 加えて、短角は肥育頭数が8千頭程度と、黒毛の16万頭に比べて、圧倒的に少なく、その分、消費者から認知されておらず、販売しにくいです。この点も値付けしにくい要因です。

 肉屋的に厄介というのは、そういう次第です。

 日本短角牛が、貴重な和牛の1種で、育て方も体に良いと分かっていても、肉屋さん方が熱心に取引しようとしないのは、そういうわけです。むしろ、レストランや一般消費者の側が進んで買い求めているように見えます。

 その辺りを肉屋さん方が、どのように説明づけるか=平たく言うと、どう言い逃れるか、が「談義」のメインテーマです。この「談義」には、それぞれの肉屋さんの考え方が投影されるので、面白いことになります。

 10年くらい前なら、肉が硬かったり、臭みが感じられたりする短角があったので、

 「いくら体に良くたって、マズイものはマズイよ!」

の一言で、「談義」は終結しましたが、「北十勝ファーム」の上田金穂さんらの尽力で、そういう課題がかなり克服されてきています。

 個人的には、短角の肉が3段階くらい旨くなった、と感じています。「マズイよ」でかたづけられない状況と思います。

 さて、どう言い逃れるか、高麗屋。

 東大寺再建の為に勧進を行っているとは、偽りであろう!

 短角をめぐる「肉談義」が、当分面白そうです。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*短角牛の、すき焼きの食べ方については、このブログの7/14号をご覧下さい。

 

Filed under: すき焼きフル・トーク,今日のお客様 — F.Sumiyoshi 12:03 AM  Comments (0)

お盆、食育、記念日割引

 7/13〜7/17まで、「ちんや」では、「メンバーズ・カード会員様獲得キャンペーン」をやっていました。

 キャンペーンと言っても、社内向けのものです。お客様が「ちんや」メンバーズ・カードに入会される時には、入会金を500円納めていただくのですが、その500円の内の100円を、担当した係員本人に「奨励金」として渡すのが、このキャンペーンです。

 この時期に、そうした営業活動をする理由は、7/13〜7/17が「お盆」だからです。

 このブログの、3/21号にも書きましたが、浅草の北部や西部には、お寺が多く、お盆の時期、墓参りに来られるご家族連れが多いです。

 墓参りはご家族の重要な行事ですから、小さいお孫さんも引率していかないといけません。そして、小さいお孫さんがお墓にお参りしたら、ご褒美として、やはり、何か美味しい物を食べさせないといけません。

 その御仏縁で、お盆の間、浅草の街や「ちんや」が賑わう、という寸法です。

 墓参りは、毎年毎年の行事ですから、ご入会をお勧めすれば、

 「ウチの家族は、毎年墓参りの後に、「ちんや」に食べに来ているのだから、会員になっておいても、良いかもしれないな」と思っていただけるかもしれません。

 実は、この7月から、会員様限定で「記念日割引」という制度を作りまして、ご自分が登録した「記念日」には、ご飲食代金の割引率が10%になるようにしました。通常の会員さんの割引は5%ですから、倍です。

 記念日として、不祝儀の日を登録することも可能なわけで、お盆の、例えば7/15を記念日として登録すれば、毎年お盆は、割引が10%になります。

 御得でしょう?

 御得なだけでなく、親子孫3世代・ご家族揃ってのお食事は、そのまま「食育」の場にもなります。こういう機会に、

 「いいかい、良い肉というのは、こういう味がするんだよ」とか、

 「シラタキはどうやって作るか、知ってるかい?」という具合に、おじいちゃん・おばあちゃんが、日本の伝統料理の良さを、お孫さんに「食育」してだければ、と思います。

 7/11に「かぶちゃん」こと鏑木武弥さんと対談した時にも、この話しをしましたら、

 「そういう食育が一番大事ですよね!」と意見が一致しました。

 そのような流れで、お盆には、是非とも毎年毎年お越しいただきたい、と思っています。

 凡俗なる住吉史彦も、こういう時だけは、御仏縁に感謝申しております。

 アラー・アクバル! じゃなかった、間違えた、なむかんぜおんぼさつ。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「ちんやメンバーズカード」については、いったんこちらを開けていただき >各種サービスのご案内>メンバーズカードと開けて下さい。

*記念日割引については、このブログの7/1号をご覧下さい。

枠組がとれました! 浅草寺の平成本堂大営繕

 お暑うございます。梅雨が明けたそうです。

 「ちんや」では、「津軽びいどろ」の冷酒グラスを、緑色から、夏空に合わせて、青のグラスに変えました。少しでも涼感を感じつつ、冷酒をお飲みいただければ、と思います。

 さて、「すきや連」の仕事ばかりしている内に、浅草寺=観音様の工事が少しずつ進んでいたようです。

 浅草寺の大工事壁を撤去している、巨大クレーンのことは、このブログの7/2号に書きました。

 大工事壁というのは、今回の大営繕の間、ご参詣の皆様の安全を確保し、また建築上の必要性を満たすために、設置されていたもので、本堂周囲を完全に覆うくらい、巨大なものでした。

 その工事壁の枠組みを、クレーンがどんどん外していき、気が付いたら、昨日の時点で、枠組は完全になくなっていました。当然、ご本堂の屋根が完全に露出している状態です。

 ご本堂側面の、高さの低い部分だけが残っています。

 真新しく葺きかえられた、ご本堂の新しい屋根が、梅雨明けの、夏の日差しを反射して、まぶしく輝いています。

 さても有り難い感じの御姿で、夏の到来を知らせて下さっています。

  ご本堂がまぶしく見えるのは、夏の日差しだけが理由ではありません。今回の葺き替えで、土瓦がチタン瓦に替わったからです。

 従来の土瓦は、どうしても重量がありました。そういう重いものを、建物の上にたくさん積んでいると、耐震性という観点で不都合で、それで今回、葺き替えが実施されたわけです。

 チタンの軽さは、ゴルファーならご存じでしょう。瓦1枚の重さは、約100〜150グラムだそうで、屋根全体で従来の約930トンから約180トンに大幅な軽量化→耐震性の向上に成功したそうです。

 その軽さは良いとして、問題は風合です。聞けば、土瓦のくすんだ風合いを再現するため、瓦の表面には特殊な加工が施されたそうで、また3種の焼具合のチタン瓦を、不規則に並べたそうですが、やはり、夏の日差しの下では、まぶしく見えます。

 おっと、観音様、まぶしく有り難く見える理由をバラして申し訳ございません。

 なむかんぜおんぼさつ。

 あんまり暑いと、すき焼きの売れ行きが芳しくなくなりますので、お手柔らかにお願い申し上げます。なむなむ、なむなむ。

 なおチタン瓦の枚数は約9万枚で、国内のチタン瓦屋根としては最大規模と聞きました。

 なおまた、ご本堂正面の巨大な龍は、まだ鎮座されております。

 ご参詣は、お早めに。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「津軽びいどろ」については、このブログの5/13号をご覧下さい。

Filed under: 浅草インサイダー情報 — F.Sumiyoshi 12:03 AM  Comments (0)

巨人ナインが愛した味

 7/16は恒例の、雷門横丁一斉清掃でしたので出動しました。

 今回は大手カラオケ・チェーン「K館」のダストボックスの中を掃除しました。汚れ具合は、先月掃除した、超大手牛丼チェーン「Y野家」のダストボックスほどではありませんでしたが、中でゴキ・ボーイズの皆さんが運動会をなさっていましたので、お引き取りいただきました。

 お、住吉、久しぶりに「すきや連」以外のネタだな、

 と見せかけておいて、ゴキブリの話しは、あくまで前置きです。今日も、やっぱり「すきや連」のネタです。

 さて、最近「すきや連」にとって、嬉しいことがありました。「すきや連」関連の本と言えば、向笠千恵子先生の「すき焼き通」ですが、この7月、もう1冊の本が出版されました。

 「巨人ナインが愛した味ー情熱料理人「梅ちゃん」のおいしい交遊録」という題の本です。

 著者の梅田茂雄さんは、プロ野球・巨人軍の定宿である「ホテル竹園芦屋」の料理長を永年勤めた方で、「すきや連」常連メンバーの、梅田雄一さんのお父上です。

 この本の全ての始まりは、2008年夏の「週刊ポスト」の、長嶋監督の記事だったそうです。

 その記事の中で監督が「竹園」のお肉のことを語っていたのが、向笠先生の目にとまって、先生はホテルに取材を申し込み、その電話をとったのが、当時ホテルの事業部長だった梅田雄一さんだったのです。

 これがご縁で、梅田さんは、その年の秋の「ちんや」での『「すき焼き通」出版を祝う会』に出席され、以来、「すきや連」の常連メンバーになりました。その後ホテルから独立されましたが、「連」には続けて来ていただいています。

 その翌年の5月、梅田さんは向笠先生に「父の料理の本を出したい」と相談をされ、それを聞いた先生は、7月7日に「浅草今半」さんで開催された「すきや連」の席で、やはり「連」メンバーの、dancyu編集長Mさんを、梅田さんに引きあわせました。

 その後、この計画は、どんどん具体化し、1年後の今年7月に、目出たく発売となりました。考えてみると、「すきや連」が無ければ、この本は出版されていなかったという事になる訳です。

 梅田さんは、ご自身のブログで、

「そりゃもう感謝してもしきれない訳です。今回の「すきや連」(7月12日)の会の冒頭、向笠先生はご自身の新刊が7月15日に発売になるにも関わらず、その事よりも父の本を紹介して下さいました。本当にありがとうございました。会の最後の自己紹介スピーチでも言わせて頂きましたが、本当に人のご縁に感謝というしかありません。ありがとうございます。」

と語っておられます。

 私も拝見しましたが、川上、藤田、王、長嶋、堀内、原といった有名選手・監督のエピソードが満載ですから、巨人ファンならかなり面白い御本と思います。

 しかし、それ以上に、この御本は、料理と巨人軍のために生涯をささげた、一人の料理人の人生のドラマとしても、読み応えがあります。巨人軍選手の一人一人にあわせて旨いものを食べさせるために懸命に働く、著者の献身ぶりには、チョッと泣けます。

 その誠意は、料理を通じて多くの選手に伝わり、たくさんの「感謝のメッセージ」が、選手たちから著者に寄せられていて、この御本に収録されています。こちらも、読むと結構泣けます。

 料理人の、ひとつの理想形と言えると思います。

 この御本を「ちんや」の全従業員に読ませたいと思い、dancyuのM編集長に注文を入れました。

 皆さんも、是非ご購読を。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 追伸、住吉史彦は、別段、巨人ファンというわけではありません。非武装中立です、念のため。

*梅田さんのブログはこちらです。

*この本のご購入はこちらです。

*雷門横丁一斉清掃については、このブログの4/17号6/19号をご覧下さい。

第6回「すきや連」寄せ書き②

7/12は「第6回すきや連ー日本短角牛の、すき焼きを食す会」を、私の店「ちんや」で開催しました。

 以下は、その時会場で皆さんに書いていただいた、寄せ書きです。お読みいただくと、会場の雰囲気がわかります。

 55名様と大勢なので、2日に渡ってUPしています。今日は、その第二回です。どうぞ、ご覧下さい。

 ・すきずきに愉しむ仕方異なれど一つ息つくすき焼の味(松井純)

・梅雨盛りすき焼き食べて暑に向う(蜂須賀祥介)

・好き焼きや来たのがご縁やみつきに(桐山勝)

・最たる日本の食文化は匂いが食欲そそる「すきやき」である。(津田暁夫)

・すき焼きは日本人の元気の「源」(赤塚保正)

・シンプルな食べ物ほど食文化が在る。それはすき焼き。(白井雄司)

・すき焼文化は絶対このままでいい!(大洞敏男)

・「心」と「肉」のハーモニー、すき焼の奥深き(佐藤健一)

・すき焼きをつまむ ほっぺたをつねる(小金沢章文)

・牛肉は外食化傾向がより強くなると思われるので、すき焼屋は大ブレイクするかもしれません。(中田二郎)

・夏のすき焼き、とても美味でした。(鳥山渉)

・肉の三種盛り、四種盛りのようなお変わり皿、もしくはアラカルトメニューがあったら、すき焼き鍋を囲んでの楽しみが増えると思います。(川井秀晃)

・名古屋のすき焼には、必ず「カクフ」が入る。これ名古屋ダケ?(加藤政義)

・家族のごちそうはすき焼き(かき美味しいの、三保達郎)

・アンチエイジングシュガーをすき焼きに。(高村善雄)

・やはり日本酒の乾杯は素晴らしい。しかも短角は日本酒にあう。「月の井」は美味しいね。(広瀬洋一)

・いつもありがとうございます。(梅田雄一)

・美味しかったです。(武部太志)

・感動。(南都隆道)

 寄せ書きは、以上で終わりです。会場の、盛り上がった様子をお感じいただけたと存じます。

  全員分の寄せ書きを判読して、パソコンに打ち込むのは、結構ホネでした。まあ、でも、ブログが2日分埋まったんで良し、としよう。ひひひひ。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

第6回「すきや連」寄せ書き①

 7/12は「第6回すきや連ー日本短角牛の、すき焼きを食す会」を、私の店「ちんや」で 開催しました。

 以下は、その時会場で皆さんに書いていただいた、寄せ書きです。お読みいただくと、会場の雰囲気がわかります。

 55名様と大勢なので、2日に渡ってUPします。どうぞ、ご覧下さい。

・すき焼き百態 鍋の中に人生あり(向笠千恵子)

・夏草と大地の味や短角牛(向笠千恵子)

・本日はありがとうございました。短角も喜んでいます。(「北十勝ファーム」上田金穂、短角牛生産者)

・短角は日本農業の宝!(中村靖彦)

・和牛の中の優等生、短角に敬意!(増田淳子)

・上田金穂さん、ヤリマシタネ!皆様の評判も良いようでご同慶の至り・・・今後も短角の育成と普及を側面から祈念しています。(坂田甚内)

・とってもおいしいです。ありがとうございます。短角牛食べごたえ満点です!(町田成一)

・短角牛美味しい!(松田武朗)

・短角牛バンザイ!和牛バンザイ!(伊豆川嘉規)

・短角の赤身美味しき北十勝(石橋伸介)

・赤身肉滋味育みし足寄町(石橋伸介)

・今日の短角牛はすき焼きの原点の味と思います。(土居秀夫)

・短角牛は、良き現代の日本の味、すき焼は世界最高の健康食。赤身肉と野菜は長寿の秘訣!(高岡慎一郎)

・すきや連一同に会すこのパワー 牛肉は人間力のガソリンです。「短角牛」浅草のタンカ喰う牛、すごいです。(高岡哲郎)

・こだわりの北十勝ファームの短角牛おいしかったです。(吉澤直樹)

・短角牛のすき焼、初めて食す味わい。お腹まわりを気にせず食べれますね。(吉澤裕介)

・いつも楽しい企画ありがとうございます。短角牛いけます。(青井茂樹)

・短角牛勉強になりました。ありがとうございました。(尾崎仁)

・「畜産は土から」短角牛を食べて思い出しました。(片平梨絵)

・足寄の大地の味がしますヨ。

・大地の味、食べて実感。おいしいです。(坂本敬子)

・久しぶりの短角牛、塩でいただきました。お味噌でも・・・GOOD!(九鬼祥夫)

・初めて食べた短角牛 みそとさんしょのコラボこれがミソ?(高岡修一)

・短角牛もおつなもの!(田仲寿夫)

・幻の短角牛楽しみにして来ました。(藤森朗)

・初めての短角牛です。メタボ予備軍の私には最適?(松下泰久)

・短角牛と夏野菜の相性は格別でした。(湯浅康毅)

・七夕に短角牛に出会いしあわせです。季節の野菜も彩りよく、すき焼をいっそう美味しくしてくれます。(森脇政子)

・めずらしいお肉 めずらしいザク 素晴らしいすき焼きをありがとうございます。勉強になりました。(相沢二郎)

・牛肉はさすがおいしい。(短角牛)(蛯名和夫)

・赤味・霜降りにこだわらない「うまさ」賛成(上嶋棟一郎)

・時代にあってきました!赤味おいしいです。(太田倫子)

・すきや連の食で感動をいただきます。(和田政司)

・すきや連は向笠さんの原稿の栄養源ですね。今後もステキな企画を期待してマス(高橋恭子)

・皆さんの勉強熱心に頭が下がります。良い勉強をさせていただきました。(柴田進吉)

・牛肉料理の原点は「すきやき」です。皆様もっと牛肉を食べましょう!「すきや連」の益々の発展を祈念します。(原田光祥)

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。会場の、盛り上がった様子をお感じいただけたと存じます。寄せ書きはまだありますので、続きは明日UPします。