2023年2月10日
日除け地
久しぶりに合鴨料理の「鳥安」さんを訪ねました。
「鳥安」さんのメニューは合鴨の1コースのみ。
「すき焼き」と言っていますが、オイル焼きです。相鴨の胸肉を皮付きのまま分厚く切って鉄鍋をかけ、鴨の脂で炒めます。味つけはおろし醤油。
いたってシンプルですが、これが美味い。
そして、ザクの春菊もサイコー。
鍋には少し深い穴があり、そこに脂を溜めておいて、具を素揚げのようにします。ここでしか出来ない味ですね。
ところで「鳥安」さんのある東日本橋二丁目は繁華街とは言い難い場所ですが、何故ここなんでしょう。
それは創業当時の1872年(明治5年)に盛り場だったからですが、
当時は「両国広小路」と言って、茶屋や見世物小屋が並ぶ場所だったのです。
「広小路」というのは日除け地のこと。
明暦の大火(1657年)で多くの人が亡くなった後に、江戸幕府が両国橋のたもとに造った日除け地です。
日除け地は火事や地震の時には有用ですが、普通の時は、単なる空き地。
広い空き地があれば、江戸の庶民が勝手に利用するのは当然ですね。
無断利用ですから、最初は仮設の屋台だったようですが、やがて相撲までやるようになります。
今では相撲と言えば墨田区側の東両国ですが、西両国すなわち今の東日本橋でもやっていたのです。
少しの想像力があれば、シンプルな鴨もさらに美味いものです。
本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.731日目の投稿でした。
Filed under: 色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 4:00 AM Comments (0)