日除け地

久しぶりに合鴨料理の「鳥安」さんを訪ねました。

「鳥安」さんのメニューは合鴨の1コースのみ。

「すき焼き」と言っていますが、オイル焼きです。相鴨の胸肉を皮付きのまま分厚く切って鉄鍋をかけ、鴨の脂で炒めます。味つけはおろし醤油。

いたってシンプルですが、これが美味い。

そして、ザクの春菊もサイコー。

鍋には少し深い穴があり、そこに脂を溜めておいて、具を素揚げのようにします。ここでしか出来ない味ですね。

ところで「鳥安」さんのある東日本橋二丁目は繁華街とは言い難い場所ですが、何故ここなんでしょう。

それは創業当時の1872年(明治5年)に盛り場だったからですが、

当時は「両国広小路」と言って、茶屋や見世物小屋が並ぶ場所だったのです。

「広小路」というのは日除け地のこと。

明暦の大火(1657年)で多くの人が亡くなった後に、江戸幕府が両国橋のたもとに造った日除け地です。

日除け地は火事や地震の時には有用ですが、普通の時は、単なる空き地。

広い空き地があれば、江戸の庶民が勝手に利用するのは当然ですね。

無断利用ですから、最初は仮設の屋台だったようですが、やがて相撲までやるようになります。

今では相撲と言えば墨田区側の東両国ですが、西両国すなわち今の東日本橋でもやっていたのです。

少しの想像力があれば、シンプルな鴨もさらに美味いものです。

本日もご愛読賜り、誠に在り難うございました。 弊ブログは2010年3月1日に連載スタートし、本日は4.731日目の投稿でした。

Filed under: 色んな食べ物 — F.Sumiyoshi 4:00 AM  Comments (0)