熊しゃぶ②

 2/18は浅草雷門横丁一斉清掃の日なので出動しました。気温はわりあい高いものの、おりからの強風が体感温度を下げてくれました。

 寒いのは着込めば何とかなりますが、こういう時、下手に力を入れて掃除すると筋肉がツるのが困ります。

 え?夏場でも筋肉がツるって、このブログに書いてあったぞって?

 ああ、そう言えば、そうでした。

 さて、少し前の話しになりますが、国際観光日本レストラン協会の例会で「比良山荘」に行きました。

「比良山荘」は、京都駅から車で約1時間、京都郊外の山中なのですが、雪が積もっていて、山里の澄んだ空気が最高でした。

 その件は、このブログの2/10号に書きましたが、書きもらしたことが一つ。それは御料理(=熊しゃぶでした。)の配膳の仕方です。

 配膳の仕方は、今時珍しい箱膳でした。人間の膝の高さ位の、背丈の低い箱膳を畳の上に置いて、それを机として使います。

 人の座り方は、座椅子と座布団です。この日の同行者は12人でしたが、中には年配の方もおいでで、座ると御み足が痛むとかで、腰掛を注文していました。

 腰掛を使えば、足が痛むことはないのですが、上体の位置が、元々低い箱膳からさらに上へと離れてしまい、食べにくいです。

 同席した横浜の「九つ井」のS社長も、

「ここは山中だから、これはこれで風情があってOKだけど、場所がウチだったら苦情言われちゃうかもなあ。最近は座れないお客様が多いから、リクエストされるのは、ウチの場合、イス席ばっかりですよ。」

 そうなんです。「ちんや」でもリクエストされるのは、イス席ばっかりです。気持ちとしては、伝統的な日本式の風情を保ちたいのですが、高齢化という現実との調和に苦しみますね。

 それで「ちんや」の対応としては、元々和室だったところに、絨毯を敷き、その上にイスとテーブルを載せています。和洋式と申しますか、風情だけは残して洋式にしています。(純和室も、まだありますが)

 宴会だけは、和式=畳の方がダンゼン盛り上がると思います。イスに座っていたのでは「お食事会」という感じで「ニッポンの宴会」という感じがしませんからね。だから宴会場は依然、和式でして、その場所を入れ込み営業にも使います。(その場合は「大広間」と称しています)

 また靴を脱ぐ、という方式は「ちんや」の場合、どうしても残していきたいところです。なんと言っても、その方が寛げますのでね。

 でも趨勢としては、洋式化でしょう。ただ洋の道具を使うにしても、和の風情は残し、素材選びやデザインの美意識は、日本人の感性から外れないようにしたいところです。

 そういう観点で、状況に応じて、歴代の店主が判断して改装していくよりないでしょうが、その為には、判断する当人の眼が大事ですね。

 そう、大事なのは眼の保養です。

 ヘンなこと想像しないで下さいよ。絵とか、工芸品とか、そういうのを観るってことです。あと、綺麗なお着物も。

 こら!やっぱりヘンなことじゃなかって?

追伸

 3/13(日)実施予定の、「ちんや すき焼き通検定」の、受験申込みの受付を、2/16より開始しました。詳しくは、こちらをご覧下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて356日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

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気楽な稼業②

 1/30に実施した、「ちんや すき焼き通検定」に合格した方から予約のお申込みがありました。ご結婚記念日なのだとか。

 ほほお。でも、今だけですよお、ラブラブなのは!じゃなかった、間違えた、お幸せに。

 さて、話しはうって変わりますが・・・

 キャンセル・ポリシーは無いの?とよく聞かれます。

 在りませんし、今後も作りません。

 なぜって、キャンセルに到る事情は、ケースにより・人により千差万別で、簡単な「ポリシー」や規約ではとても仕切れないからです。

 当方に重大な実害があるケースでも、キャンセルする事情が、やむを得ざる気の毒な事情で、人情として、

「ここで金を請求したら、こちらの気持ちが落ち着かない」というケースがある一方、実害の小さいケースであっても、

「こんな身勝手で無礼な人間を、世の中にノサバラせてはおけない!」と思うケースもあります。後のケースでは、ダンゼン戦います。

 裁判でも量刑は「懲役1年〜15年」とか、結構幅があって、量刑に「情状」が酌量されますから、わたしも「情状」により、ケースごとに対応させていただいています。簡単な「ポリシー」で仕切れるものとは思っていません。

 と、書くと私が無用にキビシいように思うかもしれませんが、実際は、

①「申し訳ない」の一言があって、

②予約日を他の日に振り替えて下されば、

私は基本的にそれ以上争わないですね。重病とか大怪我で振替え日がすぐに決められない時も、

「必ず直して、食べに行きます!」という一言で、それで結構です。

ーそう言われれば、こちらも金を請求するより、「頑張って下さい!」とか「お大事に!」と言いたくなります。

 上に書いた①と②は、そんなに難しくないですよね、ところが、これが出来ない方が実に多いです。「申し訳ない」と言うと、自分の非を認めたことになる⇒賠償義務を負ってしまう、という発想なのでしょうかね。

 それが理由で、人間の約束が軽く扱われるのだとしたら、イヤな世の中ですね。

 自分が不始末をした時こそ、人間性を発揮して、事態を収拾する場面だと思うのですけれど、今時はその逆で、人間の性悪説の面が露出してしまうケースが少なくありません。

 料理屋稼業では、人のそういう面も毎日拝見します。

 「気楽な稼業」と来たもんだ! それっ。

追伸

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ヒマ人

 ヒマ人とは、なるべく面会しないようにしています。

 誤解の無いように最初に申しておきますが、ここで「ヒマ人」とは、リタイアした方とか、学生さんのことを言っているわけではありません。そうした方々の中には、自分の目的のために、有効に時間を費やそうとなさっている方が多いですので、ここではそう呼びません。

 本当のヒマ人は、むしろ、職業に就いている人。朝9時から夕方5時までの、勤務時間を消化することでサラリーを受け取っている人です。

 始末が悪いことに、そうした皆さんは、自分がヒマ人だと認識していません。カンゼンに仕事をした気になっているからです。

 そういう人に、なるべく私は会いたくないのですが、社長をしている関係で、連日面会(=商談)の申込みがあり、中には事情により会う場合もあります。

 一応、お話しはうかがいますが、買いませんよ。

「いいんです!いいんです!ご説明だけで!」

と、いう次第で見えた、営業部長氏、私が「天才脱線商談人」として知られていることをご存じないようです。以前、このブログにも書いたんですけどね、調べて来なかったんですかね。

 「一応、ご説明」とはいうものの、その商品の説明を長々拝聴するわけにはいかないので、私は話しを他へ脱線させます。

 その天才芸を、ここで披露するのはやめておきますが、相手の方が日頃「ぼやき」たくなるような話題に持ち込むと、わりと楽に脱線します。

 ぐだぐだ、ぐだぐだ(=その商品とほぼ関係の無い会話)

 ぐだぐだぐだ、ぐだぐだぐだ(=その商品とまったく関係の無い会話)

 しきりと脱線話しが続いた後、くだんの営業部長氏、ご機嫌の呈で帰っていかれます。

 でも、最初から申しているように、買いませんよ。

 だって、要らないんですから。最初から、要らないって言いましたよね。

「いいんです!いいんです!今日は、ご説明だけで!」

「いやあ、話題の豊富な社長さんで、素晴らしい。今日は楽しかったです。」

 豊富なんじゃなくて、脱線です、これは。

「また近くに来たら、寄らせていただきます!!」

 何だって?

 分かってないなあ、まったく!!

 商談の時間が長かったから、盛り上がったから⇒有望、じゃあゼンゼンないですよ。

 これだから、ヒマ人は困るなあ。

追伸

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薄利多売

 「結膜下出血」になりました。

つまり白目に出血があるのです。痒さも少々あります。

 そこで眼科に行ったら、医者に言われました。

「呑み過ぎじゃあ、ないですか!」

 そ、そんなことはありません。ま、まったくないです。

「そうですか。じゃあアレルギーですかね。薬を点眼して、目を暖めておけば直りますよ。でも確認ですけど、呑み過ぎじゃあ、ないんですよね?」

 た、たぶん違います・・・さて、

 「二条彪の特選教訓集 みんなで学ぶ 成功の心得No8 お客様への心得」という御本を毎週月曜日の、弊店の朝礼で輪読しています。

 2/7には項目No12「薄利多売」を読みました。

<引用しますと>

「昔の日本の商人たちが言っていた薄利多売は、利益が少なくても量を売れば儲かるという意味ではありません。

 日本の商人が昔から言っている薄利多売とは、

「利益が少なくとも長く続く商売をする」という意味です。」<引用終わり>

 この指摘は、非常に有益と思います。特に中小企業には有益です。

 量を売るためには、企業規模を大きくせざるを得ず、中小企業がムリにそれに取り組んで失敗した例は、枚挙にいとまがありません。

 特に景気が悪い時期ですから、多売で利益を獲ろうと、拡大路線をひた走る会社を見かけますが、勝ち残れるのはごくわずかでしょう。

 食品の世界でも、スーパーの安売り合戦はあいかわらずキビシいです。

 「ちんや」は飲食だけでなく、精肉売店(=肉の売場)もやっているのですが、残念ながら、そちらの売場は、その影響を蒙っています。

 だから、どうしても値を下げたくなる気持ちになりますが、それはNGですよね。

 ここで私なりの「薄利多売」の解釈を申しますと、それは、

・品質やブランド力が「どうもねえ」という商品を見つけ、その弱味につけこんで、仕入先をたたいて安く仕入れて⇒売る、しかもそういう物をたくさん見つけて売る、のではなくて、

・品質が「素晴らしい」という商品を見つけ、その原価に少々の利益の載せて売る、

ということかと思います。

 安売りマーケットでお困りの、経営者の皆さん、頑張りましょう。

 まずは酒を控えるところから・・・

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八百長ブログ

 大相撲の八百長メールを読んでいて、私はメールの中身以上に、その文体が気になりました。

 格闘家同士のメール交換で、しかも話題は八百長という、これ以上ないシビアな話題なのに、

「・・・と思いますよ〜」とか

「・・・して下さいね!」とか書いているのです。

 妙にフワフワした、お友達口調ですよね。大の、そのまた大の男のメールなのに、変だなあ、と思っていましたが、そう思ったのは、私だけではなかったようです。

 2/9の東京新聞夕刊1面の「放射線」というコラム欄に、

「これまでの八百長疑惑の時と今度の件との決定的な差異が、このノリにこそある。」と作家の長嶋有さんが書いていました。

 実は、私も最近ブログなるものを書くようになりましたが、シビアなことを書く時は、文体について、結構悩みます。

 今時の日本には、オカシな食い物がたくさんありますので、そういう食い物の問題点を、是非弊ブログで指摘したいわけですが、そういう食い物の生産に携わっている人や、好き好んで食べている人がたくさんいるのも事実なので、書き方には注意を要します。

 また今時は、飲食店の利用方法について非常識なヤカラが少なくないですから、店=客の立場でも、申すべきことは申します。ビシバシと。

 だから、内容が与える衝撃を、文体でいかにやわらげるか、悩みます。

 言い切りを避けて、「ですかねえ・・・」とか「・・・かもねえ」とか「私なんかは・・・とか思っちゃいますよね」などと書くことが多いですね。

 そんな中、大手出版社で雑誌の編集長をしている友人が先日食事に来て、

「住吉君のブログを読んでるけど、出版するとしたら、ここはマズいんじゃないの?っていう所が結構あるよね!」と言われてしまいました。

 うーん。文体で内容を誤魔化そうと努力してたんですけどね。

 私は、そもそも万人に好かれようと思ってはおりませんが、こちらから敵を造るのは得策でありません、料理屋ですので。

 八百長メール方式で、さらにフワフワ口調に直しますかね、このブログを。

 そうしたら出版してもらえるらしい・・・?ので。

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懸念材料

 「ちんや」さんの客層は、どんな状況ですか?」と良く聞かれます。グルメサイトの連中がしばしば、そういうことを聞いてきます。

 客層ってなんぞや?と思って聞き返すと、何のことはない、要は客の年齢が若いか年寄りか、ということを知りたいようです。

「ちんや」は年配のお客様が多いですから、そのことを伝えると、とたんにあの連中、したり顔で説教してきます、

「最近は老舗さんでも若い客層を取り込もうとしている御店が多いですよ。年配のお客様ばかりというのは、「ちんや」様の永続的繁栄という観点では、懸念材料ですね!」

 この発想に、実は以前、私も店の連中も囚われていました。お年寄りばっかりでは、先行きが暗い、という考え方をしていました。

 でも、それって本当にそうでしょうか?

 お年寄りというのは、人生経験が長く、それに比例して、お金を支払った経験が豊富です。「へなちょこな店では金を使わない」という判断が出来る方々です。だから、お年寄りに支持されている、ということは喜ぶべきことであって、「先行きが暗い」というのは違うと思います。

 例えば、下足番を配置して御靴をお預かりすることにより、懐かしい、日本のレトロな風情を楽しみながら食事ができます。また靴を脱ぐことによって、よりリラックスして食事ができます。

 だから、そのことに価値を感じている、年配の方は下足番の人件費を含んだ飲食代金を請求しても払って下さいます。有り難い話しです。

 そもそも、言わせていただきますが、歴史のある飲食店で食事を楽しむ、ということは文化っぽい行為です。ある程度の、視野の広さが無いと、充分に楽しめないものです。それは、そう簡単には分からないものだと思います。

 もちろん、若い方でも勉強熱心で社会経験の豊富な方もおいでではありますから、そういう方は歓迎します。「客層」という言葉を使いたいなら、文化っぽい行為としての食事が出来る「客層」と、それが出来ない「客層」に分けたら良いのです。若いか・年寄りかではなくて、です。

 ネット・ビジネス世界には、数字でしか物事を把握しない御仁がいますので、そうした手合いとは決して交際しないことにしています。毒されて、以前の「お年寄りばっかりでは、先行きが暗い」という考え方に戻りたくないからです。

 それに言うことを聞いて、若者に媚びた宣伝をしてもムダでしょう、多分。

 ところで年配のお客様が、「ちんや」を好まれる理由は、もう一つあります。

 熟成させた赤身肉があるからです。

 赤身肉は、単価が低いので、丁寧に熟成させる店が少ないのですが、それでは胃もたれする肉になってしまいます。

 熟成させることにより、タンパク質がアミノ酸に変わり、消化しやすくなります。胃もたれしないのです。そして、同時に旨くなります。

 だから長寿を願う、年配のお客様が「ちんや」を好まれるのは、しごく当然です。

「ちんや」様の永続的繁栄という観点では、懸念材料ですね!」

 なんてことを、おっしゃっている皆さんも、年をとりますよね、漏れなく。

 自分が年寄りになって、どうしても「ちんや」の肉を食べたくなって、思わず「ちんや」に入ってしまった時にも、やはり「懸念材料」って言うんでしょうかね。

 そうです、その時は自分が食べに来ていること自体が「懸念材料」に成るわけです。

 ひひひひ。私はそれでも歓迎しますよ、けねんざいりょう様!

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文人タイム

  1/22の産経新聞1面に、前警視総監の米村敏朗さんが書いた「1日30分の文人タイム」という文をお読みになった方もおいでかと思います。

 米村総監の学生時代、最終講義の日に、教授は学生たちに「1日30分だけ本を読むようにしてほしい。(中略)そして大事なのはそれを毎日続けてください。」と希望したそうです。

 学生たちが「1日30分」と聞いて苦笑すると、教授はさらに

 「1日30分だけと聞いて皆さん笑いましたね。学生というのは本を読むのが仕事のようなものですが、いざ社会人となって仕事に就き、いろいろな人との付き合いも生まれ、そして結婚をして家庭人となる。その時1日30分といえども、自分の時間をつくって本を読む。これは至難の業です。就職して1週間もすれば分かります。でもやってください」。

 教授の言われたことは全くその通りですね。

 聞けば、日本の総理大臣も以前は、今のように毎日毎日忙しくはなかったそうです。昔は、それだけ敷居が高かった面もあったけれども、今の総理の日程はあまりにも忙しすぎる、とか。

 別の先生は、トップが「働き蜂では大事なことは考えられない」と言ったそうです。

 耳が痛いですね。

 私も、店の仕事・浅草の仕事・業界の仕事・ブログ・ツイッター・・・と本を読む時間がありません。

 もちろん、心がけではいますよ、本を読むことは。

 読めばブログにネタになりますしね。

追伸

 1/30実施予定の「ちんや すき焼き通検定」の、受検申込みの受付を始めました。早速応募メールが来ていて嬉しいですね。

 詳しくは、このブログの22年12/25号をご覧下さい。

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デシ男

 お客様のご注文をうかがっていて、会話がうまく成立しないことがあります。ある夜席の予約のお客様から、

 すき焼きのセットを用意しといて!

と注文されたことがあるのですが、弊店のメニュー構成上、夜席は「すき焼セット」を置いていません。弊店のメニューは、

①すき焼単品=すき焼だけで、何も付いていない

②すき焼コース=すき焼の前に前菜やさしみがあり、お食事やデザートも付く

の、2本立てです。

 昼席の場合、すき焼にお食事・デザートだけが付いた、

③昼席のすき焼のセット

がありますが、それを夜に注文されると困ります。そこで、そう申し上げると、

「何言ってんだ!この前オタクに行ったけど、夜もすき焼きのセットがあったぞ!すき焼きのセットが無いなんておかしいじゃないか!」とご立腹の様子。

 険悪ムードで、やりとりをしつつ、よくよく聞いてみると、その方の定義では、

①お肉

② ザク

③タマゴ

の3者がセットに成ったもの、つまり弊店で言う所の、すき焼き単品が「セット」であるので、当然、それは夜でもあるはずなのです。「単品」と言った場合、その人の定義では、肉だけのことを言うようなのです。それで話しが噛み合わなかったのです。

 最近パスタ+サラダ+デザート+コーヒー程度の品数のメニューを「コース」と表示している店も少なくありませんから、それが「コース」の相場になっているのかもしれませんね。

 結局、その方の定義をこちらが理解したので事なきを得ましたが、その御方があまりに、自説をぎゃあぎゃあと主張なさるので、あやうくケンカになるところでした。

 店としては定義がわかるように表示しているのだから、自分の勝手な定義で注文しようとしていただくと困るよなあ、と思っていたら、その真逆のケースを笑いものにしている、コントを発見しました。

 それは、天才・志村けんの「デシ男」というキャラクターです。

 「デシ男」というキャラクターは、右も左も、いちいち「箸の持つ方」「その反対」と確認しないとわからない男(=志村)です。その男が様々な職業に就き先輩から指導を受けるのですが、やる事すべてが珍妙な結果に終わり、最後はクビになる、という展開のコントです。

 緊張すると「〜です」を「デッシ」と言ってしまう癖があり、「デ」に強いアクセントが付きます。去年暮れに見たTV番組では、その「デシ男」が喫茶店の店員になっていました。

 そこへ「ダチョウ倶楽部」の肥後扮する客がやってきて、コーヒーを注文します。コーヒーにミルクが付いていないので、

「ミルクも持ってきて!」と注文します。

 すると「デシ男」志村は「デッシ!」と注文を受け、やがて200cc入りの大きなコップに、なみなみとミルクを注いで運んで来ます。

 コーヒーに入れるミルクが欲しかった肥後は、怒って、

「違うよ、違うよ!これじゃあ牛乳でしょ!オレが欲しいのはミルク!」と言いますが、デシ男は受け付けず、

「当店では、これをミルクと言います!デッシ!」そして、注文伝票に「ミ・ル・ク」と書き込みます。

 肥後はさらに怒って、「書くな!書くな!牛乳は要らないよ!オレが欲しいのは、コーヒーに入れるヤツだよ!」と叫びます。

 するとデシ男、ポケットから小さいコーヒーミルクのパッケージを取り出し、

「ああ、これなら当店では牛乳と言います。これはサービス デッシ。」と展開していきます。

 その店のメニューにおける、「ミルク」と「牛乳」の定義を、客の側が理解できず、要らない物の代金を請求されてしまう、というあり得ない展開が、笑いの眼目です。

 このコントを見ていて私は、さきほどの自分の会話を思い出しました。

 「それなら当店では、すき焼き単品と言います、デッシ!デッシ!」

追伸

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*私が実行副委員長をしているイベント=「たいとうクイズラリー」については、こちらです。

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顔写真

 1/16の東京新聞を開いた、私の知人はギョっとしたと思います。

 私の笑顔の写真が、タテ11cm×幅7cmの寸法で載っていたからです。大きいですよね。

 実は、3/6に東京商工会議所台東支部青年部が、クイズラリーのイベントをする予定で、私は、その広報担当の副委員長です。それで東京新聞さんに、この件をお採り上げいただくべく、お願いにいったら「では取材を」ということになり、顔写真も撮られ、それがこんなに大きく掲載された次第です。

 これを見た人から、すぐに反響がありました。わざわざ「見たよ!」という用件で電話をかけて来た人もいますが、多いのはやはりメールです。

 私は、このブログでも顔出ししてますし、しばらく前から、プライバシーが無いことについては腹をくくっているのですが、今回は写真がどうも大きくて、メッポウ恥ずかしく、送られてきたメールに、

 恥ずかしいから、見ないで下さい!

と返していたら、ある浅草の先輩から、こんな返信が・・・

 「この街に居る以上、何かするとこうなるのは当然。恥ずかしいなんて言葉は辞書から削って、どんどんお願いしますよね。」

 うーん、そう言えば、ご自分もこの前、大きい寸法で載っていたっけ。浅草への注目度がそうさせるのだ、というのは御高説の通りでしょう。注目されて文句を言っていてはバチがあたりますよね。

 ほお、それで、イベントの申込み状況はどうなんだ って?

 住吉の顔写真じゃあ、人が来ないだろう、だって?

 何言ってんです!

 初日から四日間で、定員100組に対して85組以上申込みが来てますよ!

 ふん!

追伸

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*このイベント=「たいとうクイズラリー」については、こちらです。

 

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業平橋

 建設中の東京スカイツリーの最寄り駅・東武鉄道の業平橋駅が、ツリー開業の来年春、「とうきょうスカイツリー駅」に改名されるそうです。

「スカイツリーの最寄り駅はどこですか。」

という電話やメールが東武さんに殺到しているでしょうから、その対応に忙殺されている、社員さんの手間を減らすためにも、改名は必要かもしれません。 

 でも平安時代の歌人・在原業平にちなんだ駅名の変更だけに、地元住民の方からは複雑な反応が出ているようです。

 改名に反対する意見を受けて、東武さんも「とうきょうスカイツリー(旧業平橋)駅」などの表記を検討中なのだそうですが、それでも反対派はしぶとく、「業平橋(とうきょうスカイツリー)駅」が良い、と主張しているとか、昨日の読売新聞が伝えていました。

 実は、私は今回の改名に別段驚きませんでした。

 東武さんは1981年に杉戸駅(埼玉県宮代町)を東武動物公園駅に改名した前科、いや実績があるからです。

 私は子供の頃、隅田川の鉄橋を渡る東武の列車を眺めるのが好きでしたが、その頃各駅停車の終点は、たいてい杉戸駅でした。だから、杉戸行きの電車を見るたび、子供の狭い世界のはるか先の、電車の終点の杉戸って、どんなスゴい所だろう、と思いをはせたものでした。

 実際は車両基地があるんですけどね。

 「杉」という漢字や、鬼怒川温泉駅の「鬼」「怒」「温泉」という漢字も覚えました。駅名の漢字をどんどん覚えたので、小学校の漢字の試験がいつも簡単に思えました。

 だから杉戸駅が東武動物公園駅に変わった時は、かなりショックでした。だから業平橋周辺にお住まいの方が、愛着を捨てきれないのは、良くわかります。

 でも、私が「!」と思ったのは、改名の、もう一つの理由の方です。

「駅名の認知度が低く、「ぎょうへいばしえき」などと誤読されることが多い」のも理由の一つなのだそうです。

 一般教養を大事にしなくなった、今時の日本人がここに表れていますよね。

 たしかに、伊勢物語だの、「名にし負はば いざ言問はむ都鳥 わが思ふ人はありやなしやと」なんていう歌だのを知らなくても、今時まったく損はしません。でも、そういう教養を大事にしないことが、国産の品物をあまり買わない、という行動につながっているような気がしてなりません。言い過ぎは、もとより承知ですが。

 文句ついでに、申しますと新駅名は、なんで「とうきょうスカイツリー駅」なんでしょう。まさか、東京も読めないんですかね。

 東京を「とうきょう」にしたら、京に対する東っていう意味がわからなくなりますよね。

 「たいとう区」もそうです。台頭する区とか、中央区・文京区と対等な区とか思っちゃいませんかね。

 今だに住民が帯刀してる区とか思われちゃうかもしれませんよね、業平の読めない連中から。

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