シラタキを残さずお召し上がり下さい。

シラタキを残さず食べていただきたいです。

何故なら肉は酸性食品の代表なので、アルカリ性食品を同時に摂るべきだからです。

既に1890年頃スイス・バーゼル大学の生理学者・グスタフ・フォン・ブンゲが、肉を食べると体が酸性に成ると言っていたそうです。

シラタキの素である、こんにゃくはph値が約11と、強アルカリ性の食べ物です。これはヒトが美味しいと感じる領域(ph3~8)を外れるほどの強さで、実際、そのまま食べると美味しくありません。

それで食べるときは下茹でして灰汁(あく)抜きをするという手間をかけているのです。

これを食べれば、アルカリが摂れます。まったくすき焼きの具というのは良く出来ています。

それに、シラタキは食物繊維です。「グルコマンナン」とかいう食物繊維で、非常に消化しにくく、これが腸内の老廃物と一緒に外へ出てくれるのです。

スッキリ♡

でも肉が美味しくて、おかわりした時とか、酒をぐびぐびと行ってしまった時とかは、おなかがいっぱいになって、シラタキを残してしまいがちですね。

特に「ちんや」の割り下は熟成肉に合うよう、味が甘く・濃いですから、味の無いシラタキとのバランスが良くないかもしれません。

そういう場合は、七味をリクエストして下さい。浅草の「薬研堀」さんのを用意してあります。

そう、きんぴらと同じ理屈で辛みを足すと美味しく食べられるのです。

カレー粉もかなり美味しいです。

どうぞ、シラタキを残さずお召し上がり下さい。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』が、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.895日連続更新を達成しました。

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醤油本

「すき連」で旧知の高橋万太郎さんが醤油の本を出しました。

題名はズバリ『醤油本』。

オールカラー。写真豊富で立派な御本です。

万太郎さんは、醤油専門の店とウエブショップ「職人醤油」の創業者・代表で、「つくり手」と「使い手」の「つなぎ手」と成りたいという大変立派な方です。

この御本も、

醤油のことをもっともっと知ってもらいたい、

全国各地の醤油蔵の魅力と職人のこだわりや物語を知り、その味に触れて欲しい、

料理がより美味しくなる、醤油の楽しみ方を学んで欲しい、

ということで造られました。

拝読しまして、「高橋万太郎のきらめき蔵元探訪記」というコーナーが大変楽しく読めました。

万太郎さんは300以上の蔵を訪ねておられますが、その時のエピソードをまとめたのが、このコーナーです。

「魅力を感じる蔵元には、決まって魅力を感じる蔵人がいて、その魅力を感じるポイントが異なる」のだそうです。面白いですね。

社員が交代で調理する、体に良い給食が自慢だという蔵も在るとか。

こころ温まるエピソードの数々が読めます。

その他に、醤油の種類・製法などについて、お勉強になるページも勿論あります。

「玄光社」刊行。

ISBN978-4-7683-0617-8

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

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是非。

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福澤諭吉の衛生感覚

先日墨堤で開催された「第84回早慶レガッタ」では、我が義塾が4連覇を果たしました。

早稲田艇がコース外を進行したため失格!という、かつて聞いたことの無い事態でして、なんとも複雑な4連覇でしたが、何故コースを外れたのか、今日のところはさて置きまして、ところで同窓生諸君、

福澤諭吉先生の、食品衛生に関する感覚が、実はかなりワイルドだったことをご存じでしょうか。

先生は緒方洪庵の塾で学んでいた頃から肉食の経験があり、後には『肉食之説』という、肉食を推奨する文を書きましたが、その推奨の仕方がワイルドなのです。

当時肉と言えば「けがれたもの」という感覚です。その肉食を推奨するのですから、肉が特段けがれていないと主張しなければなりません。そこで先生は、

牛肉牛乳に臭気あるといはんか。

松魚(かつお)の塩辛くさからざるにあらず、

くさやの干物最も甚し。

先祖伝来の糠味噌へ螂蛆うじと一緒にかきまぜたる茄子大根の新漬はいかん。

皆是人の耳目鼻口に慣るると慣れざるとに由て然るのみ。慣れたる物を善と言ひ、慣れざる物を悪しと言ふ・・・

「しおから」と「くさや」は臭いを放つ醗酵食品の代表です。糠味噌もやはり醗酵食品で、その中にウジ虫が落ちた場合、微生物が分泌する酵素によって分解されてしまいます。

発酵食品の中は善玉菌が支配していて、悪玉菌が繁殖するのを許しません。それが「醗酵」なのか「腐敗」なのかは、その菌を人が好むか(善)好まないか(悪)の違いなのであって、菌がはびこっていることは同じです。

そういう状態の食品を古来日本人は好んできました。

一方の肉ですが、冷蔵庫のない時代ですから、肉の表面は、置いておけば腐敗が進みます。加えて、牛の屠殺の時に放血が不充分だったでしょうから、臭いはあったでしょう、かなり。

しかし繰り返しますが、腐敗も醗酵も起きていることは同じです。

旧弊の人々が嫌う目新しき物と似たようなものが、古来から在る物の中にも在るぞ、という論法は先生の得意とするところです。

醗酵食品にもこの論法を適用して、肉を嫌う者は、

畢竟人の天性を知らず人身の窮理をわきまへざる無学文盲の空論なり(!)

と断じています。

ウジ虫が落ちても糠味噌は平気で食えるぞ。みんな食って来たじゃないか!と言うのですから、相い変わらずイケズ・キャラ全開ですな、先生。

だいたい、先生は中津藩の下級武士でした。泰平の世に大人しく藩の御用を務めていれば、おそらく、白米、味噌汁、漬物、魚の干物などを常食して一生を終えたことでしょう。

それが何を血迷ったか、先生は緒方塾に入り、その頃には、彫りを入れた町のゴロツキと緒方塾の書生しか常連がいないような、アウトローな牛鍋屋に行くようになってしまいました。

思いまするに、世の中を変えるには、

白米、味噌汁、漬物、干物ではダメなんじゃないでしょうか?

ワイルドに行きましょう、同窓生諸君。

 

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

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肉と納豆

最近、脂肪の代謝のことを調べていたら納豆に行き当たりました。

納豆菌が体外に分泌する酵素「リパーゼ」が脂肪を「高い効率で低分子化する」つまり分解することが出来るからです。

納豆にはリパーゼが多く入っていますが、そういう食品で、生で食べられるものは珍しいのです。トウモロコシにもリパーゼは在りますが、生では食べにくいですね。

それにしては、「肉+納豆」は推奨されていませんね。鰻+納豆は昔から推奨しているようですが・・・

で、納豆業界の人に、業界では「肉+納豆」を推奨していなのか聞いてみました。返信は、

「聞いたことはありませんね~」

「聞いたことがありません。個人の好みやTVの影響じゃないですか?」

「脂質の代謝に関係しているかわかりませんが茨城では納豆とんかつは結構名物ですよ。ケンミンショーでもやりましたし。」

な、納豆トンカツ?!

知りませんでした。

で、今度は茨城県の人に聞いてみました。

お尋ねしますが、「納豆トンカツ」は食べたことがありますか?消化が良い感じはしましたか?

「水戸の居酒屋で何度か食しました。私もあり得ないと思っていましたが、意外と違和感なく、いや美味しく食しました。豚カツの油っこい感じがオンザ納豆のせいか口当たりが変わった印象でした」

という返事が来ました。

そうこうしている内、

「納豆と肉」を推奨していない見解にも行き当たりました。

「脂肪分が多い食事を摂る際に関しては、納豆やトウモロコシを一緒に食べると脂肪の吸収率を高めてしまう可能性があります。」

と指摘されているようです。

納豆が作りだすリパーゼが脂肪を分解するのは間違いないのですが、分解すれば体内に摂りこんでしまう=太る ということになります。

サン♡リー社の特保のウーロン茶を飲む人のように、ダイエットをしたい人は、脂肪を体に摂りこまないことを目指しているのです。

私は、年配のお客様をイメージして、脂肪を効率的に消化すれば良い、モタレなくて済む、と考えていましたが、ダイエット志向の人は、そういうことを望んでいないということになります。

もちろんダイエット中の人などは弊店の客層ではないので無視してもOKで、弊店は肉を美味しく・スッキリ食べたい人が相手なので、納豆を一緒に食べて良いと思うのですが、そこは客商売の難しいところで、ダイエット中の人がウチに連れてこられる可能性があるので、お客様全員に納豆を食べさせるのは、慎重に考えた方が良いということになります。

一方、成長期のお子さんのいるご家庭であれば、「納豆と肉」は推奨でしょう。

年配の方もだと思います。

ご報告まで。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

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全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

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是非是非お求めください。

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是非。

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イースター・エッグ

今度はイースターですか。今年は4月5日だったそうですね。

本当にお忙しいですねえ。

節分に恵方巻きを食べて、

バレンタインにチョコを食べて、

今度は「イースター・エッグ」ですかあ。

イースターは、キリスト様が処刑された後に復活した日だったと思いますが、日本ではすっかりタマゴを使った料理でパーテイーする日として、売り出されているようです。

一部の教会では復活祭の前に肉食禁止期間を設定していていて、その教えに従うと鳥の産んだタマゴが食べられずに貯まってしまいます。それをまとめて消費するのが、たしかイースターの筈ですが、日本ではタマゴが禁止されてもいないのにタマゴを食べます。

タマゴを食べるなら、タマゴに栄養価が最ものっている「大寒」の日が良くて、このブログの1月9日号に書きましたように、弊店ではそちらをおススメしていますが、イースターの方が有望だと思うタマゴ業者さんがおいですのようです。

それプラス、イベントを仕掛けたいイベント業界の思惑で、そういう次第に成っているようです。

イベント業界としては、

「4月は目立った日がこれまでなかったので、イースターを盛り上げ育てて行きたい」

ということらしいですが、

お釈迦様がお生まれになった「花まつり」がありますよ、4月8日に。

追伸

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ぬる燗の季節

お寒うございます。

でもここへ来て、ときおり春めいた光が差し込むことがありますね。

ぬる燗の季節が到来しました。

私個人は基本的に、50℃くらいで酒を飲むのが好き=つまり熱燗党ですが、一年中熱燗党だというわけではなく、春・秋の陽気の中では、ぬる燗をしたくなります。

ですので、上等な酒=吟醸酒=冷蔵して飲むに限る。

という最近の、画一的な風潮に疑問を抱いておりますが、そのことは今日はさて置きまして、そうそう、今年もぬる燗の季節です。

ですので、ぬる燗用の御酒を売ることにしました。しかも40℃で飲んでいただきたい、という製造側の希望をお客様に伝えつつ売ることにしました。

売りますのは、茨城県石岡市「白菊酒造」さんの「霞の里純米酒」です。

60%精米と削り過ぎない程度に削った茨城県産の酒米「ひたち錦」と、筑波山水系の仕込み水を使用して造られていて、おだやかな飲み口です。

「白菊」さんの御酒は、おだやかな感じのものが多く、逆に申しますと、特徴が出にくいですから、提供の仕方で特徴を出して行くのが良いわけで、それで今回、

「ぬる燗用」「40℃でお召し上がり下さい。」とメニューに明記して売ることにしました。

そういう展開が可能なのは、日本酒ならでは、ですよね。

燗のつけ方も一工夫してみました。

陶製の壺の中に湯が蓄えられるようになっていて、そこに上から徳利がスポンと嵌められるような構造に成っている容器があるのですが、それを使います。

70℃の湯を入れて、その湯で燗つけしますと、だいたい3分位で35℃位になります。温度計でそれを確認したら、温度計を入れたまま、客席に持って行きます。

後はお客様自身に、40℃で飲むなり、さらにもう少し温度を上げてから飲むなり、考えていただきます。

この状態で置いておきますと、酒の温度が45℃以上にはならず、その状態つまり、ぬる燗の状態がしばらく保てます。なかなか冷えないのです。

そこが陶器の保温性の素晴らしいところです。金属製の器は、すぐ温まりますが、すぐ冷めてしまいますので、飲んでいる内に残念なことになってしまいますが、陶器は違います。

酒を燗つけする、という日本の文化・陶器で酒を飲む、という日本の文化を満喫できる瞬間と思います。

そして、それがこの季節だと私は思っています。

お試しあれ。

 

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

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ウヰスキー

朝ドラ『マッサン』も今月で終わりですね。

最近ではマッサンに敬意を表して、ニッカ製品を飲んだときは、

「ウヰスキーを飲みました」

と書く人が多いですね。

それにしても、この「い」と「ゐ」がいつから一緒になったのか、気になって調べてみましたら、

驚きました。

古くはもちろん、「いろはにほへと」の「い」と、「うゐのおくやま」の「ゐ」は別物だったのですが、実は、

「13世紀なかばに入るとイとヰは統合した」

のだそうです。

と、いうことは、13世紀なかばには発音は同じに成っていたのに、「ゐ」は表記方法の中だけに生き残り、この前の戦争まで使われていたのですね。驚きです。

そして、さらに「ゐ」は、違う生き残り方もしました。

外国語のWHIの当て字としての「ゐ」、それが「ウヰスキー」の「ヰ」です。

なんとも、しぶとい話しです。

この用法では、13世紀から20世紀まで使いわけられてきた歴史的仮名遣いはあまり関係がなくなり、フィーリングで使われるようになります。

例えば、

ノロ・ウヰルス

・・・とは言わないか。流石に。

追伸

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泉州タマネギ

1月のことですが、TV番組『秘密のケンミンSHOW』が「大阪のすき焼き」を採り上げていたので、視てみましたら、

大阪のすき焼きには必ずタマネギが入る!

と言っていました。たしかに関西ではタマネギが入ることが多いです。

その理由として番組は、先週のタマネギが有名だから、いや、泉州のタマネギが有名だから、と説明していました。

現在ではタマネギと言えば北海道なので、泉州すなわち大阪府南部が有名ということをご存知ない方が多いと思います。

現在の県別生産量は、

北海道が1位。全国の生産量の半分以上を生産していて、ダントツです。

大阪は15位とはいうものの、北海道の100分の1以下の量です。

しかし、歴史を遡りますると、たしかに泉州でタマネギ栽培が盛んだったことがあります。

なんでも、泉州タマネギの栽培の歴史は明治時代まで遡るとかです。明治12年、坂口平三朗という人が神戸のアメリカ人からタマネギを分けてもらい、それを栽培したのがはじまりで、最盛期にあたる昭和35年には約4000haまで栽培面積が増加したそうです。

その後北海道などに押されて、栽培面積は減少の一途、現在では60haあまりしかないそうです。

この、泉州タマネギの全盛期が、すき焼きの全盛期に重なりますから、その伝統が今でも続いているということのようです。

なにしろ、関西のネギは青ネギで、関東人が食べない青い部分を食べますから、どうしても関東の白ネギに相当する具が他に欲しかったのだろう、と想像します。

その、白ネギに相当する具が同じ府内に在れば、使うのは当然のことですね。

芦屋市のホテル竹園芦屋さんでは、すき焼きをする時に、まずタマネギと青ネギを鍋に入れて、それから肉を入れます。面白い方法だと思います。

さてさて、弊店はもちろん関東なので、タマネギは普段入れておりませんが、春の新タマネギのシーズン~つまり今ですが~には「変わりザク」として、期間限定でタマネギを売っています。

使うのは、生産量が全国4位の愛知県のものです。

元々タマネギは乾燥させると保存性が良かったので、船上の食事として好まれ、船で世界中に広まりました。「神戸のアメリカ人から」という起源は、それです。

その歴史を振り返りながら、しかし、今では保存性を優先させることはありませんから、美味しい時季に食べれば良いのだと私は考えます。

よろしかったら、是非。

追伸

『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。

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食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

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製糖工業会

ニシカワ農水大臣が辞任しました。観劇会のオブチさん、団扇のマツシマさんに続いて3人目ですね。

このニュースを視て、

また「政治とカネ」かよ、ウンザリだ!

とだけ思い、それ以上は深く考えなかった方が多いのではないかと思いますが、弊ブログの読者の皆さんは、ニシカワさんに献金していたのが「製糖工業会館」だった点に注目していただきたいと思います。

砂糖の業界って、TPPが導入されると一番大きな影響を蒙ることが予想されている業界です。

「砂糖は国産と外国産に品質格差がないことから、国産糖のすべてが外国産の糖に置き換わる」と農林水産省が試算しています。

すべてが置き換わる、すなわち全滅ってスゴいことですよね。それが今普通に進められていることについて、今一度考えてみましょう。

日本は、元々砂糖をほとんど作ることが出来ませんでしたが、将軍・徳川吉宗の頃から生産が奨励されるようになり、高松藩のように生産拡大に成功した所もありました。高松では今でも細々と「和三盆」が作られていますよね。

やがて明治時代後半、日本が日清戦争に勝って台湾が日本領となると、台湾総督府は現地で砂糖の生産を拡大、これによって日本は砂糖の自給を初めて達成します。

砂糖自給達成とすき焼きの全盛時代が重なるのは偶然ではないと思います。

こうして台湾の製糖業が発展した結果、内地の製糖業は衰退してしまいました。台湾の砂糖が大量に供給され、それに押された為です。

そして太平洋戦争。日本は台湾を失い、残ったサトウキビ産地は沖縄と奄美だけでした。

もともとサトウキビはプランテーションで奴隷を使って大々的に作るような作物ですから、日本に残った製糖業は海外と価格面で対抗できず、業界は補助金漬けの体質に成っていってしまいます。

現在では、海外からの砂糖にかける課徴金が無いと日本の製糖業は生きて行けない状態に成っています。

輸入品に課徴金をかけ、それを財源に業界に補助金を入れる仕組みが出来上がったからですが、その補助金を受け取っている業界が政治家に献金すれば、はい、即座に政治資金規正法違反です。カンタンです。

さてさて、皆さんは、そんな日本の砂糖を見捨てれば良いとお考えでしょうか?

産地が沖縄と奄美に限られるせいか、国民的関心は高まりません。

普通の高精製糖が外国産にやられてしまうのは、私も仕方ないような気がします。

しかし純度が低くて、ミネラルやポリフェノールを含んだ黒糖などは、なんとか生かせないもんでしょうか。

砂糖だけで売って行くのが難しければ黒糖焼酎にするとか、

イケメン・パテイシエを沖縄・奄美に送り込んで、新作ケーキを作らせるとか、

たしかに政治家に頼ろうとした業界は情けないです。

しかし、このまま座して死を待つのでは、サトウキビを江戸城内で栽培させた吉宗が嘆きましょう。

砂糖業界の、あまりにも塩辛い現状を、放置するのは良くないと思います。

とりあえず、私は黒糖焼酎を飲むことにします。

イケメンは虫がすきませんから。

 

追伸

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この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

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一番列車

北陸新幹線の前売り切符が発売され、一番列車は発売から約25秒で完売したそうです。

景気がよろしいですな。

私の知人の、金沢の料理屋さんでも、ちょっとした予約バブルが起きているそうです。

景気がよろしいですな。

私も、冬の日本海の海の幸をいただくため、きっと利用するだろうと思います。弊ブログの2/7号に書きました通り、

寒いは旨い

ですので是非いただきたいものですが、これまでは飛行機の心配がありました。

飛行機が飛ばずに帰って来れず、店を開店できなくては困りますから、私はこれまで冬場に日本海側に行くのは避けてきました。

しかし、新幹線でそれが可能になります。

「かがやき」の金沢発東京行きの最終便は夜21時発ですから、18時から食べ始めても東京に日帰りできます。富山であれば21時20分発ですから、もう少し長居できますね。

ですので、当然一番気になるのは雪害対策です。

北陸新幹線では、高架橋上や高架橋下に雪を貯めるスペースが設けられているとか。一部の豪雪地区では、スプリンクラーや高架橋を覆うシェルターも設置されるそうな。

最新の装備だとかでJRさんは自信在りげですが、最近の雪は結構スゴいですからねえ、油断しないでいただきたい所です。

私は、来年の冬の様子を見てから、再来年に行くことになろうかと思います。

遅い・・か・な?

 

追伸

一冊丸ごと「すき焼き大全」とも申すべき本が出ました。

タイトルは『日本のごちそう すき焼き』、平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

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弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

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