製糖工業会
ニシカワ農水大臣が辞任しました。観劇会のオブチさん、団扇のマツシマさんに続いて3人目ですね。
このニュースを視て、
また「政治とカネ」かよ、ウンザリだ!
とだけ思い、それ以上は深く考えなかった方が多いのではないかと思いますが、弊ブログの読者の皆さんは、ニシカワさんに献金していたのが「製糖工業会館」だった点に注目していただきたいと思います。
砂糖の業界って、TPPが導入されると一番大きな影響を蒙ることが予想されている業界です。
「砂糖は国産と外国産に品質格差がないことから、国産糖のすべてが外国産の糖に置き換わる」と農林水産省が試算しています。
すべてが置き換わる、すなわち全滅ってスゴいことですよね。それが今普通に進められていることについて、今一度考えてみましょう。
日本は、元々砂糖をほとんど作ることが出来ませんでしたが、将軍・徳川吉宗の頃から生産が奨励されるようになり、高松藩のように生産拡大に成功した所もありました。高松では今でも細々と「和三盆」が作られていますよね。
やがて明治時代後半、日本が日清戦争に勝って台湾が日本領となると、台湾総督府は現地で砂糖の生産を拡大、これによって日本は砂糖の自給を初めて達成します。
砂糖自給達成とすき焼きの全盛時代が重なるのは偶然ではないと思います。
こうして台湾の製糖業が発展した結果、内地の製糖業は衰退してしまいました。台湾の砂糖が大量に供給され、それに押された為です。
そして太平洋戦争。日本は台湾を失い、残ったサトウキビ産地は沖縄と奄美だけでした。
もともとサトウキビはプランテーションで奴隷を使って大々的に作るような作物ですから、日本に残った製糖業は海外と価格面で対抗できず、業界は補助金漬けの体質に成っていってしまいます。
現在では、海外からの砂糖にかける課徴金が無いと日本の製糖業は生きて行けない状態に成っています。
輸入品に課徴金をかけ、それを財源に業界に補助金を入れる仕組みが出来上がったからですが、その補助金を受け取っている業界が政治家に献金すれば、はい、即座に政治資金規正法違反です。カンタンです。
さてさて、皆さんは、そんな日本の砂糖を見捨てれば良いとお考えでしょうか?
産地が沖縄と奄美に限られるせいか、国民的関心は高まりません。
普通の高精製糖が外国産にやられてしまうのは、私も仕方ないような気がします。
しかし純度が低くて、ミネラルやポリフェノールを含んだ黒糖などは、なんとか生かせないもんでしょうか。
砂糖だけで売って行くのが難しければ黒糖焼酎にするとか、
イケメン・パテイシエを沖縄・奄美に送り込んで、新作ケーキを作らせるとか、
たしかに政治家に頼ろうとした業界は情けないです。
しかし、このまま座して死を待つのでは、サトウキビを江戸城内で栽培させた吉宗が嘆きましょう。
砂糖業界の、あまりにも塩辛い現状を、放置するのは良くないと思います。
とりあえず、私は黒糖焼酎を飲むことにします。
イケメンは虫がすきませんから。
追伸
『日本のごちそう すき焼き』は、平凡社より刊行されました。
この本は、
食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、
全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、
この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。
是非是非お求めください。
弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。
是非。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.828日連続更新を達成しました。
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