後手

  ツイッター社からLady Gaga様をフォローするよう、「お勧め」されました。

  Gaga様は先週日本のテレビ番組の中で、すき焼きを食べて下さったので、フォローすることにしました。私は、11.702.808人目のようです。さて、今日も辛い話題ですが、

  食の安全を守るための法律を造る時の考え方は・・・

 食品業者の中には、不注意なヤツがいるらしい。

⇒不注意なことをしたら、すぐに発見できるような仕組みを造ろう。

⇒発見したら、処罰してやろう。

という風に出来ています。

 牛の個体識別法が、その例で、言うまでもなく、BSE問題がキッカケで出来たものです。この法律の眼目は、生産者が牛に肉骨粉を与えないようにさせること、です。

 今回の福島の牛の問題では、屋外にあった、汚染されたエサを牛に与えないようにすることが非常に大事で、農林水産省は通達を出してはいたのですが、実際は守られず、12軒の生産者が与えてしまったことが分かっています。

  それで混乱が起きていますが、では、この場合はどう考えたら良いのでしょう。

 報道によると、屋外にあった稲藁を与えてはいけない、ということを知っていて与えた人もいたようです。地震直後の混乱の中で、エサを入手しにくかったからのようです。また、自分の所は原発から遠いから平気だろう、と考えて与えた人もいたようです。さらにまた、通達を知らなかった、という人もいたようです。

  こういうことが起きたのは、スリーマイル島・チェルノブイリ・フクシマと3回だけですから、その人達をあまりキツく非難もできません。

 行政の対応も、通達を流しただけでは不十分だった、と批判されています。 

 牛は屋内に居るから、野菜に比べれば、まだ安全だ、と思っていたのかもしれません。実際、問題の牛の体の表面からは、マズい数値は検出されていません。

 エサも、たいていは屋内の倉庫にあるものです。稲藁は昨年の秋に刈り取られて、倉庫に収められているハズだから、まだ安全だ、と思っていたのかもしれません。

 しかし結果は例によって、後手にまわり、衝撃が走ってから⇒慌てふためく、毎度の光景と成りました。

 慌てふためく様子が報道されて、不安感を煽り、その不安な心理状態の中で、「国産牛を食べるのはやめた!」あるいは「牛肉を食べるのはやめた!」というような、極端な意見がはびこる展開に進んでいる模様です。

 BSE問題の再現を見るようで、本当に残念なことです。

 これ以上の混乱が起きないことを祈るばかりです。

  今回救われるのは、BSE問題の遺産で、牛には全て個体識別番号がついていて、それを店頭で表示する制度になっている、ということです。追跡調査も容易です。

 極端な意見がはびこることのないよう、またBSE問題の時は、恥知らずな焼肉業者が「当店では国産牛を使っておりません!」と大々的に広告していましたが、そういう宣伝に惑わされないようにしていただきたいです。

 皆さんの「食べない」という選択は、ただでさえ困っておいでの畜産農家の方をさらに苦しめる選択です。皆様のご高配を賜りたく、お願い申し上げます。

  今が踏んばりどころです、ニッポン。

 なお、弊店では肉を召し上がっていただく前に、個体識別番号と生産県をお示ししますので、安心して召し上がっていただくことができます。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて506連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

 

 

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無力感

 無力感を感じます。

 自分ではどうしようもない事態に直面しているからです。

 その「自分ではどうしようもない事態」とは、言うまでもなく・・・

 福島県の、5軒の牛の生産者が、農林水産省の通達を知らずに、屋外にあった、汚染されたエサを牛に与えてしまった・・・

⇒それは恐ろしい!⇒国産牛を食べるのはやめた! あるいは、

⇒それは恐ろしい!⇒牛肉を食べるのはやめた!

という反応を、私の力では止められない、ということです。

 牛はBSE問題以来、個体識別番号で調査することができますので、エサのやり方に問題のあった生産者の牛は、今後流通を止めることができます。「ちんや」に、その牛の肉が入っていないことも確実に確認できます。実際、仕入れておりません。

  その問題の牛の、体の表面の検査では、放射性物質が出ていないことから、エサについての通達を守っていれば、大騒動になることは避けられたと思われます。

  しかしながら問題のある肉が出回わり、食べられてしまった、という事実があったことから、センセーショナルな反応を招いてしまいました。

  残念なのは、「国産牛を食べるのはやめた!」というような極端な発言を採り上げるメデイアです。なんで、一部の行き過ぎた反応を、まともに採り上げるのでしょう。

  国産牛全部が×なんて、風評被害以外の何物でもありません。いつもメデイアは、自分が風評被害の元になる発言を掲載しておいて、それで後から、さも自然に風評被害が起きているかのように書きます。呆れますね、毎度。

  もちろん、「正しく怖がる」ことがお出来になる御客様も多数おいでで、このブログを書いている今も、ご来店下さっています。有難いことですが、当然でもあります。

  弊店では、いちいち全組のお客様に、肉を召し上がっていただく前に、個体識別番号と生産県をお示ししますので、安心して召し上がっていただくことができるのです。

  「ちんや」以外の、すき焼き店でも店のどこかに番号の掲示があるはずです。既にそういう法律になっていて、どこにも掲示がなければ違法です。

  でも、どうやら牛肉の消費全体が落ちることは、避けがたい形勢のようです。苦境に陥る農家さんのことを想うと、苦しいです。

  無力感を感じます。

  勿論、この状況の中、無力であっても、突進してまいりますが、苦しいですね、なかなか。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて505連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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上毛かるた

 「上毛かるた」なるものをいただきました。

 先日、群馬県の前橋市に行き、「上州牛」のすき焼きを食べて来ましたが、その時に土産として、現地の方からいただきました。

 実は「すきや連」の常連出席者の中に、前橋の「牛や清」(ぎゅうやきよし)という、すき焼き屋さんの女将さんがいます。

 その方の御店で11月に「第10回すきや連」を開催する予定なので、その打ち合せのために、前橋へ向かったのですが、そのことは、このブログの7/15号に書きましたので、そちらを読んでいただくとして、今日は、その「上毛かるた」の話しです。

 このかるたは、昭和22年に発行された、伝統ある郷土かるただそうで、群馬県の土地・人・出来事を、「い」から「ず」までの、全44枚に読み込んでいます。

 なんでも、子供時代を群馬県で過ごした人は、このかるたの読み札を、ほぼ暗記しているのだそうです。競技会も大々的で、毎年1月の予選大会の後、2月に行われる県競技大会に向けて、群馬県内の子供たちは、冬休みを利用するなどして練習に励むそうです。

 へー、初めて知りました。

 競技の時は、必ず最初に「つる舞う形の群馬県」という札を2回読み、それから本競技に入るそうで、この「つる舞う形の群馬県」という札が、最も重要なようです。

 さらに札をパラパラと見ていきますと、まず名所もの・・・

「利根は 坂東一の川」

「裾野は長し 赤城山」

「縁起だるまの少林山」

「伊香保温泉日本の名湯」

「日本で最初の富岡製糸」

 郷土の偉人もあります・・・

「歴史に名高い 新田義貞」

「平和の使い 新島襄」

 私も最近まで新島が群馬とは知らず、京都に学校を造った人なのだから、どこか関西の出だろう、と思っていました。しかし実は群馬の安中の出で、しかも「すきや連」メンバーで、地元の醤油メーカー「有田屋」のY社長のご先祖様が、新島の「同志社」設立運動を支援していた、というからさらに、ほー、です。

 続いて、名産もの・・・

「繭と生糸は 日本一」

「桐生は日本の 機どころ」

 そして、止めは・・・

「ねぎとこんにゃく 下仁田名産」!!

 成功させましょう、群馬すきや連。

追伸①

 福島県の、5軒の牛の生産者が農水省の通達を守らず、屋外にあった、汚染されたエサを牛に与えてしまった模様ですが、その生産者の牛を、弊店は仕入れておりません。

 牛はBSE問題以来、個体識別番号で調査することができます。弊店では肉を召し上がっていただく前に、個体識別番号と生産県をお示ししますので、安心して召し上がっていただくことができます。

追伸②

 7/18に「第三回すき焼き通検定」を実施します。合格すると特典満載ですよ!

検定の詳細はこちらです。 

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それは~♪タカラヅカ~♪

 タカラヅカを観ました。

 いえ、正確に申しますと、観させられました。実は浅草の、さる有名な料理屋の女将さんが大変なヅカ・ファンで、ウチの嫁が最近感化されつつあるのです。

 もう1点正確さを期しますと、劇場で生で観たのではありません。DVDを見たのです。

 なーんだ、DVD見ただけか。それだけでブログに書こう、っていうの?

 そうなんですけどね、回数にして10回以上見ましたのでね、同じDVDを。少しだけ書かせてもらいますよ。ブログの1回分に丁度良いので・・・

 さて、そういうわけなのですが、今回私が発見したことは・・・

 タカラヅカ=黒木瞳さん、ではないということです。

 タカラヅカの主役は、黒木瞳さんのような娘役ではなく、男役なのです。知ってました?

 常識だろうって? そうだった・・・んですね。

 今回見た娘役さん(=蒼乃夕妃さんという方ですが、芸名の読み仮名はわかりません。)は、踊りも歌も上手く、それは可憐で結構な御姿なのですが、あくまで男役「トップさん」の相方、という位置づけになっています。

 特に後半の「レビュー」の部分がそうです。前半のドラマの部分では、娘役さんが主役になる場面も多いのですが、「レビュー」となると、完全に主役は男役さんです。男役さんのカッコ良さを見せるのが主眼の劇と言っても良いでしょう。

 そういうわけですから、それを観る客の男には、心理的ハードルがあります。そう、実は女性である男役さんが、生物学的には男である自分よりカッコ良い、ということを、まずもって認めないといけないです。ここにハードルがあります。

 今回の男役「トップさん」(=霧矢大夢さんという方)は、プログラムに載っている地顔は可愛らしくて、背丈もそれほどでないのに、舞台では王者の風格を醸し出していて、大したものです。

 観る側の男の、心の整理の仕方としては、そのカッコ良さを獲得するための長時間のトレーニングの成果・努力の成果を鑑賞し⇒出来上がったカッコ良さを、自分の参考にすらしていく、そういうふうに考えれば、まあ、観ていくことも可能ではありますね、はい。

 歌舞伎の梨園に生まれた子も、子供の頃から日本舞踊を習いますが、タカラヅカも音楽学校を持っています。そうした、若い頃からの、非常に長いトレーニング期間のことを思いつつ鑑賞する、というのが正しい男の観方ですよ、諸君。

 考えてみて下さい。男だけの演劇=歌舞伎と、女だけの演劇=タカラヅカの両方が盛ん、という国が他にあるでしょうか。

 中国の京劇には女形がありますが、逆京劇は聞いたことが無いです。ヨーロッパには、神に捧げる宗教劇とかで、男女どちらかだけで演じる、というのがあるようですが、日本のように、連日大々的にやっている、というのは聞きません。

 しかも、歌舞伎もタカラヅカも、純民間の資本=松竹と阪急電鉄が、まったく国の支援を受けずに、商業的に成功させています。稽古場や音楽学校を維持する費用も負担して、それでも商業的に成り立つのですから、スゴいことです。

 スゴい日本を、一つ見つけました。

 この国は、まだひと花あるに違いありません。

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

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真夏の群馬へ

 お盆ですね。

 お盆中は、年配の方が御一人で見えて高額のコースを注文されることが良くあります。今は亡きお連れあいの、墓参を済ませた後のお食事でしょうか。心やすらかにお召し上がりいただければ、と存じます。さて、

 群馬県の前橋市に行き、「上州牛」のすき焼きを食べて来ました。

 なんで、そんな日本一暑い所へ行ったのか、と申しますと・・・

 実は「すきや連」の常連出席者の中に、前橋の「牛や清」(ぎゅうやきよし)という、すき焼き屋さんの女将さんがいます。その方の御店で11月に「第10回すきや連」を開催する予定なので、その打ち合せのために、前橋へ向かった次第です。

 「第10回」の特徴は、宴会の前に産地見学会が付いているところです。

 実は群馬県は、すき焼きの具材の生産者が多いところです。ネギ・こんにゃくは有名ですし、椎茸も獲れます。すき焼きの具材以外でも、野菜全般の生産量が多いですね。

 そうした生産者の方の中に、「すきや連」の常連出席者がいらして、是非、見学に来て欲しい、というわけです。その準備作業が、まだ「第9回」も終わっていないのに、既に盛り上がってきていて、予定は11月なんですけど、今月にも実現できそうな勢いです。

 だいたい、この打ち合せのことを知らせてきた、メールのタイトルがスゴいです。

 「すきや連群馬大会打合せ日程の件」

 た、大会だったんですか?!!

 今までの「すきや連」は、東京・横浜・京都と都会で開催しましたが、「第10回」は新しい展開になりそうです。

 それにしても暑かったです。

 でも、いただいた「上州牛」は大変結構でした。御店の窓からは利根川が見渡せて眺めも最高です。

 11月も期待できそうです。

追伸①

 「仙台牛」の販売を始めました。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

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東北の、三田の酒

 7/11のTV番組「SMAP×SMAP」の中で、レデイ―・ガガ様がすき焼きを召し上がりました。その動画はこちら(youtube)です。

 すき焼き鍋なのですが、何故か、鶏の「つくね」が入っていて、それについてガガ様は、「私はミート・ボールは好きよ!イタリア人だから」

とおっしゃっています。

へー、イタリア人が「つくね」を好きとは!さて・・・

 その、すき焼きシーンが放送されていた頃、「ちんや」では「料飲三田会」の例会がありました。

 料飲三田会というのは、慶応大学を出て料理屋を経営している人たちのグループで、60人ほどの、こじんまりとした会ですが、会員の顔ぶれはこじんまりとしておらず、東京でも良く知られた店をやっておられる先輩方がズラリと並んでおいでです。

 さて、その宴会の前には短い時間ですが、レクチャーがあります。今回は松本栄文先生。こちらの先生は・・

・・日本料理「花冠」総料理長。東京農業大学研究員。同大千穎会会長。財団法人清櫻堂書院理事長。財団法人小原流家元教授・・

・・「フードコンセプター」として全国各地の地場農産物加工の開発活動に指導。2006年6月に「日本料理BAR花冠」料理長に。2008年4月に(株)MATSUMOTOを設立し、「日本料理花冠」総料理長として独立・・

・・日本各地の調理師・栄養士養成施設で「食品学」を通じた食の専門家育成に尽力する他、食の教養アカデミーFood Maestro主宰・・

と若い方ですが、大したもので、お話しの内容も、米と日本人の歴史とか、世界一の日本人の味覚、とか有益な話しだった・・・の・・・ですが、私は自分の店の段取りと、会の会計の用事で忙しく、あまり集中して聞けませんでした、スミマセン。

 どうも両方はやはりハードでした。先生のお話しは、いつか機会を見つけて、またうかがおうと思っています。

 で、その後は宴会。

 今回は、「東北の肉と東北の酒」というテーマでしたので、肉は青森県産、御酒は東北の、しかも慶応大学の卒業生が蔵元をされている所のものにしました。

 福島県「末廣」

 宮城県「浦霞」

 山形県「大山」

どれも素晴らしい御酒でした。

 またニッカ・ウイスキーの「宮城峡」も結構でした。

 なんだ、店の段取りと会の会計の両方はハードだったって言うわりには、ちゃんと飲んでたんじゃないかって?

 いや、そんなことないですよ。うーい、ひっく。

追伸①

 「仙台牛」の販売をしています。震災の当日にも「仙台牛」を仕入れましたが、それ以来の仙台牛です。データ=宮城県大崎市・遠山明牧場産、黒毛和種牝牛、個体識別番号:12041-78434。

 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

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食の安全

 本日弊ブログは500日連続更新を達成しました。

 でも気分は晴れません。

 またしても「食の安全」が問題になっているからです。申すまでもなく、南相馬市産の牛の件です。今後、福島産の牛は、全頭検査をしない限り、売ることが難しくなるでしょう。

 7/11に「料飲三田会」という、慶応大学を出て料理屋を経営している人たちのグループの会合が「ちんや」でありましたが、その席でも、どうしてもこの話題になりました。話す内に、声のトーンが沈んできて、なんとも沈鬱になってきます。

 どうも、この「全頭検査」っていう言葉は、ちょうど10年前のBSE問題の時を思いおこさせます。

 対策が後手にまわって、マズいことになり、最後に打つ手は全頭検査しかない状態になっている、今の状況は、あの時と同じ展開に見えます。デジャブーのようです。

 もっとも、BSE問題の遺産で、牛は個体識別が完全に出来ていますから、福島以外の牛の消費が落ち込むことは避けられると思います。一方、一番可愛そうなのは、福島県内の原発から遠い所で、畜産をやっている方です。店頭では「福島県産」とだけ表示されますから、問題ない牛でも売れないでしょう。

 思えば、過去10年間、食をめぐるニュースは、なにかと暗いものばかりでした。BSE、O-157、強毒性鳥インフルエンザ、口蹄疫、中国製毒ギョーザ、事故米転用事件、食品添加物、偽装表示・・・・・そんな話題ばかりでしたね。

 実は、初めてBSEが国内で見つかった平成13年9月の前の月=平成13年8月に、私は「ちんや」の六代目を継ぎ、今年の8月で10周年なのですが、その後10年間、食をめぐるニュースは、なにかと暗いものばかりでした。楽しい時間は、あまりに少なかったように感じます。

 今年の年始に、私は書きました・・・

 そういう10年が過ぎ去って、皆さん、そろそろ、気分を変えたくありませんか!

 食は、もっと楽しい気分で語られて良いものに決まっています。

 今年、日本のお笑いの聖地である浅草から、食と笑いを同時に発信したいと思っています。浅草の知人の中には、お笑いの仕事にかかわっている人もいます。最高の立ち位置ではありませんか・・・

 私は、今年はそういう仕事をしたいと願っていました。

 もちろん仕事ですから「食の安全」の方にも取り組みますが、それは仕事の目的というより前提の話しで、その前提の上で「食と笑い」「食の楽しさ」をやりたかったわけです。でも、今は原発のせいで、また前提であるはずの「食の安全」に、フォーカスが当ってしまいました。残念です。

 だいたい「安全」関係の用事って楽しくないんです。

 しかし暗いムードを変えることを諦めはしませんよ。

 社内に造るかな、「冗談製造委員会」

追伸①

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 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

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共に食べる

 昨日のテレビ撮影の話しの、そのまた続きです。

 BSーTBSの、『関口宏の昭和青春グラフイテイ』という番組の撮影があり、私と、「すきや連」旗振り役で「すき焼き通」(平凡社新書)の著者である、

向笠千恵子先生がインタビューを受けました。

 この番組は、これまでは「昭和の渋谷」「昭和の六本木」とかを放送したそうですが、今回は「昭和の子供の贅沢」。

 「昭和の子供の贅沢の代表である、すき焼きの魅力を語って欲しい。」という御題で、先生と私が問答し、それを撮っていく、というスタイルです。問答している内に、

 そう、そう、そうなんですよ!

と私の声が上ずってしまったのは、向笠先生の、

 「すき焼きは、共に食べる、っていう感覚が一番強い食べ物よね」

 「すきや連の、宴会の写真を見ていると、皆さん、本当に良い笑顔で、共にすき焼きを食べるのが嬉しいって、顔に書いてあるわよね」という部分でした。

 そこ、大事なところです。

 平成23年の今時は、「個食」とか「孤食」とか言って、同時に食事を食べないことが多いようです。

 その点すき焼きは、共に食べないと、そもそも成立しません。

 同時に食べ始め、同時に食べ終わらないといけない点が、すき焼きの不便な点ですが、しかし、そこが同時にそのまま、すき焼きの魅力です。

 宴会が始まり、やがて鍋に火を入れ、煮えた肉が取り分けられる瞬間には、皆が、鍋に意識を集中します。他の料理の宴会では、皆さんはたいてい、好きずきに会話を楽しんでいらして、料理にそれほど集中しません。

 ところが、すき焼き宴会なら、少なくとも、この瞬間だけは、全員が意識を料理に集中させ、今共に食べる嬉しさを強く感じることができます。

 震災以来、ご宴会はめっきり減りましたが、会社の中で心を一つにしたい、とお考えの社長さんには、是非、すき焼き宴会をしていただきたいものです。

 自粛や節電ばかりでは、希望が見えません。ビジネスも気勢が揚がらないのではないでしょうか。

 今共に食べる嬉しさ〜すき焼きには、それがありますよ。

 『関口宏の昭和青春グラフイテイ』オン・エアは、8/16(火)22:00〜です。このブログをお読みの、社長さんは、是非、この番組を参考にしていただきたいです。

追伸①

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 「食して繋がる、食して支える、浅草から東北へ。」

追伸②

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御馳走

 関東も梅雨明けとか、暑いわけです。夏バテしてしまう前に、肉を食べてバテ予防しましょう。さて、

 昨日のテレビ撮影の話しの続きです。

 BSーTBSの、『関口宏の昭和青春グラフイテイ』という番組の撮影があり、私と、「すきや連」旗振り役で「すき焼き通」(平凡社新書)の著者である、

向笠千恵子先生がインタビューを受けました。

 この番組は、これまでは「昭和の渋谷」「昭和の六本木」とかを放送したそうですが、今回は「昭和の子供の贅沢」。

 「昭和の子供の贅沢の代表である、すき焼きの魅力を語って欲しい。」という御題で、先生と私が問答し、それを撮っていく、というスタイルです。問答している内に、

 そう、そう、そうなんですよ!

と私の声が上ずってしまったのは、向笠先生の、

 「すき焼きは、鍋奉行を務める人にも幸福感があるわよね」

 「それに、その前の具材を買い揃える、買い物にも喜びがあるわよね」という部分でした。

 そこ、大事なところです。

 この話しは、外食でのすき焼きの話しではなく、肉の売店で買っていただいて、ご家庭ですき焼きをする場合の話しですが、これこそ、まさに「御馳走」という行動だと思います。

 現代語では「御馳走」「お御馳走」というと、高価な食べ物のことを指しますが、元々は違います。

 人に何か美味しいものを食べさせようと、準備のためにあちこちへ走り回ることが「馳走(ちそう)」の本来の意味です。だから、それに感謝するために、食べさせてもらった側は「ごちそうさまでした」と言うわけです。

 その本来の意味での、「御馳走」をする感覚が一番強い食べ物が、すき焼きだと思います。

 特にご家族のために、お父さんやお爺ちゃんが肉を買い出しに行き⇒鍋奉行を務める、これは家庭内の「御馳走」であって、そこには、他の食べ物では得がたい幸福感がある、というのが、私の思いでしたが、向笠先生も同意見でしたので、とても嬉しく思いました。

 『関口宏の昭和青春グラフイテイ』オン・エアは、8/16(火)22:00〜です。このブログをお読みの、お父さんやお爺ちゃんの皆さんも、是非、この番組を参考にしていただいて、「御馳走」をしてみませんか、たまには。

追伸①

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昭和のすき焼き

 今日は浅草の「ほうずき市」です。夏の風情がお楽しみいただけますので、是非お出かけいただけたら、と思います。さて、

 先日テレビ撮影がありました。

 BSーTBSで毎週火曜日22:00から放送している、『関口宏の昭和青春グラフイテイ』という番組です。これまでは「昭和の渋谷」「昭和の六本木」とかを放送したそうですが、今回は「昭和の子供の贅沢」。

 それで、すき焼きが「昭和の贅沢」代表になったそうです。

 私がインタビューされる他に、「すき焼き好き」代表の人も紹介して欲しい、というご依頼でしたので、「すきや連」旗振り役で「すき焼き通」(平凡社新書)の著者である、向笠千恵子先生を急遽お呼びたてしました。先生は、前日に岐阜県で御仕事があるのに、強行軍で帰京、撮影を受けて下さいました。

 さて、インタビューの内容は、

・昭和30年代〜40年代の、すき焼の思い出話しをして欲しい。
・すき焼きの魅力を語って欲しい。
ということでした。向笠先生がおいでなので、私はたまに絡むだけで良く、楽な撮影でした。

 私が運営している「すき焼き思い出ストーリー」投稿サイトにも興味を持っていただき、パソコン画面接写で撮影されました。

 投稿なさった方!テレビに出るかもしれませんよ。

 一方、少しだけ困ったのは、昔の写真を見せて欲しい、昔の店の写真だけでなく、住吉さんの昔の写真を見せて欲しい、というご依頼でした。

 必死で昔のアルバムを探したところ、ありました。浅草寺幼稚園の入園式の日の写真が。

 幼稚園の正門で、私の手を引く母は着物姿で、髪の結い方も昭和っぽいです。

 そして、か、可愛いなあ、史ちゃん!

 見たい方は、8/16(火)22:00〜の放送を、お楽しみに。

追伸①

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