無力感

 無力感を感じます。

 自分ではどうしようもない事態に直面しているからです。

 その「自分ではどうしようもない事態」とは、言うまでもなく・・・

 福島県の、5軒の牛の生産者が、農林水産省の通達を知らずに、屋外にあった、汚染されたエサを牛に与えてしまった・・・

⇒それは恐ろしい!⇒国産牛を食べるのはやめた! あるいは、

⇒それは恐ろしい!⇒牛肉を食べるのはやめた!

という反応を、私の力では止められない、ということです。

 牛はBSE問題以来、個体識別番号で調査することができますので、エサのやり方に問題のあった生産者の牛は、今後流通を止めることができます。「ちんや」に、その牛の肉が入っていないことも確実に確認できます。実際、仕入れておりません。

  その問題の牛の、体の表面の検査では、放射性物質が出ていないことから、エサについての通達を守っていれば、大騒動になることは避けられたと思われます。

  しかしながら問題のある肉が出回わり、食べられてしまった、という事実があったことから、センセーショナルな反応を招いてしまいました。

  残念なのは、「国産牛を食べるのはやめた!」というような極端な発言を採り上げるメデイアです。なんで、一部の行き過ぎた反応を、まともに採り上げるのでしょう。

  国産牛全部が×なんて、風評被害以外の何物でもありません。いつもメデイアは、自分が風評被害の元になる発言を掲載しておいて、それで後から、さも自然に風評被害が起きているかのように書きます。呆れますね、毎度。

  もちろん、「正しく怖がる」ことがお出来になる御客様も多数おいでで、このブログを書いている今も、ご来店下さっています。有難いことですが、当然でもあります。

  弊店では、いちいち全組のお客様に、肉を召し上がっていただく前に、個体識別番号と生産県をお示ししますので、安心して召し上がっていただくことができるのです。

  「ちんや」以外の、すき焼き店でも店のどこかに番号の掲示があるはずです。既にそういう法律になっていて、どこにも掲示がなければ違法です。

  でも、どうやら牛肉の消費全体が落ちることは、避けがたい形勢のようです。苦境に陥る農家さんのことを想うと、苦しいです。

  無力感を感じます。

  勿論、この状況の中、無力であっても、突進してまいりますが、苦しいですね、なかなか。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて505連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 「ちんや」創業130年記念サイトは、こちらです。「すき焼き思い出ストーリー」の投稿を募集しています。

 Twitterもやってます。こちらでつぶやいています。

Filed under: すき焼きフル・トーク,ぼやき部屋 — F.Sumiyoshi 12:01 AM
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