のざき牛

 7/31から「今週の特選牛」として、「のざき牛」の販売を開始しました。

 「のざき牛」の生産者は、「農業生産法人のざき」という会社で、鹿児島県薩摩川内市で、黒毛和牛ばかりを肥育しています。

 え? 薩摩川内市の産なら「薩摩川内牛」じゃないの?と思った方もいるでしょう。

 実は、「のざき牛」は、日本で初めて個人名を冠したブランドで、「カリスマ肥育牧場」と言う人もいます。

 東京食肉市場でも高値で取引されるブランド牛として注目を集めていて、東京食肉市場・全国肉用牛枝肉共励会(=コンクールのこと)において、平成18年に「最優秀賞」、19年に「名誉賞」受賞しました。「2年連続最高賞受賞」は共励会史上初です。

 聞けば、スタッフの大半は20代の若者だとか。特に畜産への想いの強い、優秀な人材ばかりを採用しているそうです。大したものです。

 さらに、この牧場では、全スタッフに牛のことを「牛さん」と呼ばせているそうです。肉用牛の短い「牛生(ぎゅうせい)」に、人が精一杯敬意と気遣いを持つべきだ、との考えからです。

 なるほど、「牛さん」ですか。

 素晴らしいです、が、そう聞くと、なんとなく食べにくい人もいるかも。

追伸

 7/3の、私の講演「饗応・居留地・牛鍋」がケーブルテレビで見られます。

 「J:COM台東」

<放送時間=8月3日(火) 9:20〜、13:20〜、17:20〜、21:20〜>

 契約されている方のみ視聴可能ですので、今すぐご契約を!・・・しても間に合わないかな?

*私の講演「饗応・居留地・牛鍋」については、このブログの7/4号をご覧下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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救命講習

 お暑うございます。本格的に夏休みに入ったせいか、ご家族連れのお客様が増えました。

 さて、我々・浅草料理飲食業組合は何をしていたか、と申しますと、

 7/30「普通救命講習」を受けました。

 救命講習というのは、簡単な心肺蘇生法や、AED(自動体外式除細動器)の操作方法を習うものでして、修了すると、地区の消防長認定の「救命講習修了証」が交付されます。レッキとした公的な講習です。

 今回は、日本堤消防署から警防課長さんはじめ、救急隊員の皆さんをお迎えして、浅草料理飲食業組合の役員の皆さんとともに、受講しました。

 「普通」というのが、もちろん一番簡単なコースですが、それでも3時間ほどのカリキュラムです。 

 実際、飲食店で食事中のお客様が、気分が悪くなる、ということは少なくありませんので、役にたつご指導でした。

 講習を聞いていて「それは怖いな」と思ったこともありました。人間は心停止した状態が5分続くと完全に死んでしまうそうです。一方、119番通報から救急車の現場到着までの時間は都内で平均5分だ(!)そうです。

 つまり、患者さんの周りにいた、一般市民が救命処置をしたケースは、結構患者さんを救えるものの、放置したケースでは、死んでしまうことが多い(!)のだそうです。

 さらに、このところの猛暑で、熱中症になる人が多く、当然、救急車の出動がだいぶ増えているそうです。隊員さんはハッキリおっしゃいませんでしたが、119番通報から救急車の現場到着までの時間が、「5分」以内とはなっていない状態かもしれません、今時は。

 お気をつけいただくに、越したことはありません。

 それにつけても、なかなかカッチョいいのです、若い救急隊員さんが。

 気のせいか、女性組合員の皆さんが講習に熱心だったような・・・ 

追伸  

 7/3の、私の講演「饗応・居留地・牛鍋」がケーブルテレビで見られます。

  「J:COM台東」

<放送時間=8月3日(火) 9:20〜、13:20〜、17:20〜、21:20〜>

  契約されている方のみ視聴可能ですので、今すぐご契約を!・・・しても間に合わないかな?

 *私の講演「饗応・居留地・牛鍋」については、このブログの7/4号をご覧下さい。

  本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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猛暑の隅田川花火大会

 隅田川花火大会は、7月の最後の土曜と決まっています。今年も7/31に開催され、猛暑の中、大勢のご見物の方が浅草へ見えました。

 隅田川花火大会は、八代将軍・吉宗公以来の伝統を誇る、日本一有名な花火大会です。だから、「ちんや」さんは花火の日、それは忙しいんでしょうね、と良く言われますが、

 そうでもないんです、実は。

 そうでもない理由は、このブログの7/27号に書きましたが、「ちんや」では食べながら花火が見えない、というのが大きいですね。

 そこで、今年は花日当日に限り、値段を少し下げてみることにしました。

 上げたんじゃなくて、下げたんです。

 駅で人ごみをかきわける、その手間だけ我慢していただけば、いつもよりお安く召し上がれる、そういう風にした次第です。

 「ちんや」に入ってしまうと、花火は見えませんが、外から聞こえる花火の音をBGMに、すき焼きを食べるのも、オツなものです。今時は、ワンセグ携帯がありますので、お持ちの方は、「画像はテレビ東京で、音は生音で」という段取りで、お楽しみいただきました。

 そう言えば、7/30に受講した、「救命講習」の時、消防署の皆さんは、「猛暑の中の花火大会」をとても心配されていました。

 花火を見れば、お約束で酒が飲みたいですが、酒は利尿作用があるので、水分補給どころか、脱水してしまいます。それを屋外の、暑くて、人間がいっぱいいる所で、やるわけですからたしかに、熱中症が心配ですね。

 熱中症の方が出ないよう、「ちんや」としましても、値下げで協力申し上げた次第です。

追伸

 7/3の、私の講演「饗応・居留地・牛鍋」がケーブルテレビで見られます。

 「J:COM台東」

 <放送時間>

 8月1日(日)
  10:00〜、14:00〜、18:00〜、22:00〜

 8月3日(火)
  9:20〜、13:20〜、17:20〜、21:20〜

 契約されている方のみ視聴可能ですので、今すぐご契約を!・・・しても間に合わないかな?

*私の講演「饗応・居留地・牛鍋」については、このブログの7/4号をご覧下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「ちんや」が花火の日、さほど忙しくない理由は、このブログの7/27号をご覧下さい。

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桜鍋の人間国宝?中江さん、一日すき焼き店長

  桜鍋「中江」さんの、店舗の建物が「国土の歴史的景観に寄与しているもの」として、国の文化財に指定されるそうです。「中江」のN社長とは旧知ですので、7/28お祝いに行ってきました。

 文化財というと、国宝とか無形文化財(=人間国宝のこと)とかいろいろ種類がありますが、今回はその中の「登録有形文化財」という種類での指定だそうです。

 「中江」さんの建物は、なんでも築85年だそうです。先代の建物が関東大震災で焼失し、翌年再建されてから、大正建築のおもむきを今まで保ってきたことは、大変素晴らしいことです。

 N社長は喜んで、メルマガで「これを1つのバネにして、私も馬肉職人としての無形文化財(=人間国宝)に指定されるよう、より一層がんばります。」と語っておられます。

 実は、私はその、未来の人間国宝・Nさんに別の用事もありまして、「一日すき焼き店長」を、依頼しようかと思っておりました。

  「一日すき焼き店長」というのは、「ちんや」の、すき焼きの鍋の中に入れる具材を、「ちんや」以外の方、つまりNさんに選んでいただこう、という企画です。

 フレンチの有名シェフが海外から来日した時に、国内のレストランやホテルの厨房を、その日一日だけとり仕切って、腕を披露してもらったりしていますが、それのすき焼き版というわけです。

  もちろん、すき焼き界初と思います。すき焼き界の刺激になり、また「ちんや」の厨房の人間にも刺激になると思っています。

  でも、ザンネンながら、Nさんは、この話しには戸惑ってしまったようで、

 「馬肉入れちゃあ、ダメなんでしょう?」

 「うーん、それじゃ桜鍋そのものだから、「一日すき焼き店長」と言うより、「一日移動中江」になってしまいますよ!」

  企画が浅かったでしょうかねえ。チョッと考え直すことにしました。

  なにはともあれ、Nさん、おめでとうございました。

  Nさんが人間国宝なら、私は何を目指しますかね。

 五大陸スキヤキ委員会(I-Suki-C)の委員長かな。

  なお本日、このブログは五ヶ月連続更新を達成しました。ご愛読ありがとうございます。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「中江」さんについては、こちらです。

野菜としての唐辛子

 7/31の隅田川花火大会を控え、隅田川周辺には、すでに頑丈なバリケードが多数設置されています。それを尻目に、

 7/29、向笠千恵子先生の、唐辛子についての、セミナーに出席しました。

 「野菜としての唐辛子を楽しむ」という趣向のセミナーで、唐辛子を主役にしたオリジナル・ランチ会席も付いていました。

 すき焼きに入れる野菜は、従来決まりきっていましたから、私・住吉史彦は、ごく最近まで、すき焼きに入れない野菜については、あまり興味を持たずにきました。

 でも、去年の7/7の「すきや連」での寄せ書きをキッカケに、「ちんや」で「変わりザク」を始めてから、俄然、野菜も面白くなってきました。

 7/11の、「かぶちゃん」こと鏑木武弥さんとの対談でも、肉のことはあまり話さず、野菜のことばかり話していました。

 また、7/12に「ちんや」で開催した、「すきや連」で「変わりザク」として、

 賀茂ナス、蓮根、伏見甘長唐辛子、オクラ、凍み蒟蒻 をお出ししたら、

 「短角牛と夏野菜の相性は格別でした。」

 「七夕に短角牛に出会いしあわせです。季節の野菜も彩りよく、すき焼をいっそう美味しくしてくれます。」

 「めずらしいお肉 めずらしいザク 素晴らしいすき焼きをありがとうございます。勉強になりました。」

 などと寄せ書きしていただき、私もますます頭にのってきました。

 そんなおりもおり、今回の「野菜としての唐辛子」という趣向のセミナーがありましたので、是非にと出席させていただきました。

 向笠先生は、新刊本『食の街道を行く』で、唐辛子が伝わった道を訪ねておいでで、さすがの詳しさです。また生産者や、加工業者の方も見えていて、つくりの苦労話しなどを聞かせてくださいました。

 そもそも、唐辛子は新大陸生まれ。コロンブスが持ち帰ってから約100年後に日本に伝わりました。そして、香辛料として普及する一方で、京都などではうま味中心の甘唐辛子として、万願寺唐辛子・山科唐辛子・伏見甘長唐辛子・あま南蛮・鷹ケ峰青唐等の野菜に生まれ変わりました。

 また、さまざまな唐辛子の加工食品も全国各地に存在していて、日本人の暮らしに、いかに唐辛子が浸透しているか、わかります。不覚にも、知りませんでしたが、唐辛子は、いやあ、面白いです。

 が、

 えー、唐辛子情報はとりあえず、この辺で。続きは、『食の街道を行く』をお求め下さい。

 なんだよ、住吉、ケチだなあ、もっと書けよ!

 いやあ、まだ直ってないんですよ、意地悪キャラ。ひひひひ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*「変わりザク」発売の経緯については、このブログの3/7号をご覧下さい。

*「かぶちゃん」との対談については、このブログの7/12号をご覧下さい。

*『食の街道を行く』ついては、このブログの7/24号をご覧下さい。

すき焼きツイッター

 このブログの7/27号に、「最近ツイッター始めました」と書きましたところ、

 え? 住吉、ツイッター始めたんだって? よくまあ、いろんなことに手を出すねえ。真面目にすき焼き屋やってんの?!

なんていうことを言われております。

 実は、「始めました」と言っても、人のフォローはほとんどせず、

 「ブログ本日号をUPしました。今日は、久しぶりに酔っぱらいネタです。ご笑覧を!」とか、つぶやいている程度です。

 1日1回くらいしか、つぶやかないので、良く考えると、ツイッターしてる意味は、あんまりありません。「ツイッター始めたんですよ!」とブログに書いてみたかったので、やっているようなモンです。

 そもそも、ツイッター派の皆さん、なんで、そんなにナウにつぶやかないといけないんですかねえ。

 「ちんや」の店の中でも、つぶやいている人がおいでですけど、食後の余韻=ゆるやかに流れる時間も含めて、トータルに感じて、それから書いてもらいたいところです。

 だいたい、せわしなくありませんか?

「ちんや入店ナウ」

「個室へ入室ナウ」

「牛脂を鍋に投入ナウ」

「いい香りナウ」

「ネギ投入ナウ」

「ネギに焦げ目ナウ」

「肉投入ナウ」

「割り下投入、一気に沸騰ナウ」

「甘くて、スゴく良い香りナウ」

「もう煮えてきたナウ」

「煮えた肉を玉丼へ移動ナウ」

「肉を喫食ナウ」

「極楽ナウ」

 忙し過ぎです。

 「ちんや」では、つぶやくのはほどほどで、ゆっくり召し上がって下さいね、お願いしますよ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

竜泉の煩悩の夜、普茶料理に舌鼓

 「主任ナビゲーター・住吉史彦と行く、下町の食文化を担う老舗・名店」

という、食べ歩きのシリーズ企画があります。

 東京商工会議所台東支部青年部の、月例会の内の1回なのですが、「住吉史彦と行く」と題していますので、当然、毎回私が万事を手配して、青年部の諸君を、私推薦の御店へお連れしています。

 7/27は、その第9回を台東区竜泉の、普茶(フチャ)料理(=精進料理の一派)の「梵(ボン)」さんで開催しました。

 自分で言うのもなんですが、過去9回とも、大人気・大盛況の企画です。

 今回、会場の都合で「定員25名様」で募集しましたが、満員御礼となり、地場産業の、若社長や二代目君たちが集結しました。「どぜう飯田屋」の若旦那ⅠⅠ君も、ナビゲーター補佐として参加して下さいました。

 このシリーズでは、これまで、すき焼きの「浅草今半」さん、「どぜう飯田屋」さん、豆腐の「笹乃雪」さん、桜鍋の「中江」さん、おでんの「大多福」さん、鰻の「やっこ」さん、洋食の「香味屋」さんなどで開催し、食事をするだけでなく、毎回、その店のご主人さんまたは若旦那さんから、それぞれの御料理についてのレクチャーを受けてきました。

 今回も「梵」のご主人Fさん自ら、普茶料理と精進料理について、詳しくご教示いただきました。勉強になりました。

 御料理も手がかかっていて、頭が下がりました。

 今回、普茶料理を選んだのは、青年部の連中の、止まる所を知らない煩悩にブレーキをかけるため、では勿論なく、ベジタリアンの方に対応できる料理屋を、青年部の面々が知っておいた方が良い、と思ったからです。

  東京スカイツリーが出来て、ますます海外からのゲストが増えています。ベジタリアンの方も見えるでしょう。しかし鎌倉と違って、浅草近辺には精進料理の店が大変少ないので、こうした御店は貴重です。

 青年部の面々は、ご主人のレクチャーの間は、一応神妙にしておりました。

 しかし、やがて宴会が始まり、会議所事務局の新人Y君の寿が「重大発表」されるや、一気に抑えていた煩悩が急浮上、おお盛り上がりの一夜となりました。

 その後のことは、書けません。仏罰が怖いので。

 なむかんぜおんぼさつ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

 なお本日、このブログは、150日連続更新を達成しました。皆様のご愛読に御礼申し上げます。

*普茶料理については、このブログの6/2号をご覧下さい。

*「梵」さんについては、こちらです。

 

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隅田川花火大会、コンビ二弁当派の人たち

 7/31の隅田川花火大会を前に、実行委員会から開催要綱が配布されました。

 隅田川花火大会は、八代将軍・吉宗公以来の伝統を誇る、日本一有名な花火大会です。だから、「ちんや」さんは花火の日、それは忙しいんでしょうね。と良く言われます。

 そりゃあ、そうですよ!と言いたいところです・・・

 が、

 そうでもないんです、実は。

 まず、打ち上げ時間が、夜7時から8時半で、ちょうど夕食の時間と重なります。食事をしている、その席から居ながらにして花火が見える店は、大混雑ですが、「ちんや」のように見えない店では、食べていると、外から花火の破裂音と歓声だけが聞こえて来る、という妙な状態になります。

 花火の音をBGMに、すき焼きを食べるのが楽しい、という酔狂な人もいらっしゃいますが、そういう人がたくさんおいで、というわけではありません。これが、花火の日の、「ちんや」の知られざる実態です。

 路上で花火を見て、打ち上げが終わり、人込みを押しのけて、なんとか駅へたどり着く頃には、夜9時を過ぎるので、皆さんもう帰りたくなってしまいます。「これからすき焼き食べよう!」という展開には、あまりなりません。

 それに、当日は大変な人出なので、是非「ちんや」のすき焼きを食べたい、という方は、そもそも、花火の日を避ける傾向があります。その辺の事情は、「三社祭」の日と同じことです。

 例年、店のまわりに人はたくさんいるものの、その人達は、是非「ちんや」のすき焼きを食べたい、という方では勿論なく、とてもザンネンなことに、コンビ二弁当などを買って、路上に座り込んで召し上がっています。

 うーん、なんでまた、浅草までやって来て、コンビ二弁当を召し上がるんでしょう?

 そういう傾向ですので、今年は花日当日に限り、値段を少し下げてみることにしました。

 上げるんじゃなくて、下げるんです。

 大勢のコンビ二弁当派の人には、そんな値下げは、ほとんど関係ないでしょうが、100万人も人出があれば、中には「せっかく浅草へ来たんだから、チャンとしたものを食べたい」という人もおいででしょう。

 こう書くと、値下げ作戦は合理的に見えますよね。ブログにつべこべ書かずに、すぐに決行すれば?と思った方も多いでしょう。

 実は、何年も前から「下げよう」と考えていたんですが、やはり、「スゴい大勢の人が来る日に値下げするのは、どうなの?」という先入観が邪魔して、実行できませんでした。

 考えていることを文字にすると、頭の整理がつくことがありますが、この件も、その実例でしょう。ブログを始めたことによる副産物、とも言えます。

 で、今年はやります、値下げ。

 駅で人ごみをかきわける、その手間だけ我慢していただけば、いつもよりお安く召し上がれる、そういう次第です。この日が、これまで「ちんや」のご縁がなかった方の、入門の日になれば有り難いです。

 実際、花火の音がBGMというのも、オツですよ。ワンセグ携帯をお持ちの方は、画像はテレビ東京で、音は生音で、という段取りも面白いと思います。店内なら涼しいですしね。

 「わざわざ浅草へ行って、音だけの花火と、すき焼きナウ」―なんてことを、ツイートしてみませんか。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。

 最近ツイッターを始めたものの、人のフォローはほとんどしてない、浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*花火大会の詳細は、こちらです。

*「三社祭」の日の様子については、このブログの4/24号をご覧下さい。

真夏の夜の、ダブルヘッダー

 お葬式に参列して、自分のペースを乱すことがありますよね。

 それは、亡くなった方のせいでは、もちろんなく、こっちのせいですが、そうなることがたまにあります。

 それは、お清めがあるからです。

 7/23夜、浅草の重役の方の、お身内のお通夜がありましたので、参列しました。葬家がそういう立派な御家ですので、お清めには、浅草の大御所の皆さんが、お揃いでした。

 しかも、今回はなんと名店「草津亭」の、仕出しのお清めです。食べない手はありません。食べる間、飲まなければ酔わないわけですが、ツマミが旨いので、そうもいきません。

 この日は、悪いことに、浅草料理飲食業組合青年部・通称「継旦連(けいだんれん)」の暑気払いの日でもありました。そちらは夜10時開会です。

 「継旦連は夜10時開会」という時間設定は、私が代表だった時に決めて以来続いています。本来は、料理屋の営業が終わってから集まるために、この時間に設定しているのですが、そういう時間なので、他の会合とダブルヘッダーすることも可能になります。

 自分から、ダブルヘッダーをやりたいわけでは勿論無く、仕事を終えてから「継旦連」に出たいのですが、なぜかタイミングでダブルになってしまうのです。4/12の総会の時もそうでした。その時は総会A→総会Bで、今回はお清め→暑気払い、です。

 そういう次第で、真夏の夜に、浅草巡航となりました。

 当然、暑気払いが始まった時点で、良い気分です。

 前から思っているのですが、飲むと体温が上がって、暑気払いどころか、より暑くなりますよね。

 しかも、この日は猛暑日です。そう言えば同じ日、「ちんや」の店でも、暑さが理由のキャンセルがありました。

 外国人のゲストにすき焼きを食べさせようと、「ちんや」に予約を入れていた、お客様から「暑い中、観光で長時間歩きまわったせいで、ゲストの体調が悪くなってしまった」と連絡がありました。

 「ちっ!無理のない観光のし方を考えてもらわないと困りますね!」と思いましたが、言うのはやめておきました。

 そういう日でしたので、こちらも調子が狂いました。

 それは、亡くなった方のせいでは、もちろんなく、こっちのせいです。ご遺族におかれましては、ご愁傷様でした。

 真夏のダブルヘッダーは、暑いし酔っ払うなあ。

 野球のダブルヘッダーは、あの伝説の10.19ダブルヘッダーもそうですけど、たいてい秋です。

 夏は、気をつけないと。うーい。ひっく。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。下町の「パック」またの名を「ロビン・グッドフェロー」住吉史彦でした。

*「継旦連」については、このブログの4/13号をご覧下さい。

出前すき焼き、使い捨て文化

 猛暑の中、TV朝日「ちい散歩」で宣伝していた「ひえひえジェルマット」を注文しようとしたら、電話が殺到しているのか、つながらず、注文できませんでした。

 ムカっと思っていたところへ、「百味」8月号が届きました。

 「百味」には、向笠千恵子先生の新連載『続すき焼き ものがたり』が連載されています。この新連載は5月号より始まったもので、今回は8月号ですので、第四回です。

 早速拝読しますと、「すきや連」で旧知の、F社長の御店「今朝」さんの、創業期から発展期の話しが書かれておりました。

 面白いのは、かつて、すき焼きの出前をしていた、という部分です。

 「今朝」さんのある場所は新橋で、花柳界がありますから、その花柳界の待合に、すき焼きの出前をしていたそうで、鍋も貸し出しており、配達専門の小僧さんまでいた、というから驚きます。

 「待合」という言葉は、昨今ほぼ使われなくなったので、念のため説明しておきますが、客と芸者さんが会うための貸席のことです。料理を作る設備はありません。

 料理を作る設備がある方は「料亭」と言いますね。待合とは、料理を作れない料亭と思っていただいてもまあ、良いでしょう。

 そういうわけで、待合は、料理を作れませんから、近所の料理屋から仕出しをとります。「今朝」さんのすき焼きも仕出しの1種だったわけです。

 料理屋の発展ものがたりを読んでいると、なぜか途中で出前を始めている例が多いですね。

 私も、かつて自分の店の商売のことを思案していて、すき焼きの一通りの具材に割下も揃えて、バイク便を使って出前をすれば喜ばれるのかなあ、と思ったことがありました。

 でも、問題は鍋です。

 「今朝」さんが出前をしていた頃も、店に戻ってきた鍋が、焼け焦げていたり、傷ついていたりで難儀した、と書かれています。慣れない人が、鍋を使ってオジヤを作ろうとすると、焦げさせてしまうことがあり、後で始末が大変面倒です。

  そう言えば、鰻業界は、今でも出前をするのがお約束ですが、名門「竹葉亭」の七代目B社長が、出前の件で、ボヤいていたことがありました。平成のある日、職人の技が光る、立派な、塗りの重箱に、蒲焼を入れて出前したら、使い捨ての箱と勘違いされて、捨てられかかったのだそうです。

 昭和のはじめから塗り直しを繰り返してきた、この重箱をゴミ箱に放り込んだのは、大手銀行の重役秘書のお嬢さんだったそうです。使い捨て文化が、いかにこの国に定着しているのがわかります。

 使い捨て文化の世の中だと、鍋の貸し出しは難しいよなあ、やっぱり。

 鍋はむしろ、売るしかないのかな、骨董品として。

 古物商の免許でも獲るか。考えてみれば、元美術部員なワケだし。

 え? クソ暑い日には、あんまりものを考えない方がいいぞ! って? そうでした、ハイ。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

*『続すき焼き ものがたり』については、このブログの5/2号をご覧下さい。

 *新連載『続すき焼き ものがたり』が掲載されている、月刊「百味」については、こちらです。

 *「今朝」さんについては、こちらです。

*「竹葉亭」の重箱ポイ捨て事件については、「三田評論」2009年10月号をご覧下さい。