回想600日

 おかげ様にて、本日弊ブログは、600日連続更新を達成しました。皆様のご愛読に心より感謝申し上げます。

 さて、この機会に100日の頃、200日の頃・・・を思い出してみようと思います。

 弊ブログは昨年の3/1にスタートしまして、100日目は6/8でした。

 始めた当初の目標は「連続100日更新」でした。当時続けられるかどうか、まったく分からなかったので、100日に達した時は、ただそれが嬉しく、100日になったこと自体が、この日のテーマでした。お恥ずかしいことです。

 その後、平野正敏さんのコンサートへの出演、第六回「すきや連=日本短角牛を食す会」、「おいしい夏休みー親子体験食味学習会」・・・と行事が多く、それがそのままネタになったので、どんどん書けました。

 200日目は9/16でした。この頃になると、かなりペースが掴めてきました。ちょうど、「ちんや」創業130年の年で、関連事業が続いていましたので、ネタに困ることはありませんでした。

 ブログ200日のすぐ前には、第一回「住吉史彦の会」を開催し、翌日には「すき焼き思い出ストーリー」のサイトを開設しました。色々なことが好調な時期だったと思います。

 好調は、年末にかけても続きました。第7回「すきや連」(@伊勢重さん)、「チャリテイー宮崎牛の会」などを開催したりして、その顛末のことなどを書きつつ、昨年の12/25に連続更新300日に達しました。

 そして、その日にあわせて新発表もしました。それは・・・

⇒「ちんや すき焼き通検定」という検定試験でした。

 この検定は、すき焼き業界初だったでしょう、たぶん。すき焼き通検定は、創業130年の記念事業の最後を飾るものとして、スタートさせました。当然、ブログのネタです。

 年始からも、順調に更新が続き、2月末には、更新365日記念スペシャル・六夜連続興業「カリスマ受け売り師・住吉史彦の生涯の半分くらい」を書きました。第8回「すきや連」も京都・三嶋亭さんで開催しましたので、これも当然、ブログのネタです。

  このブログが絶好調だったのは、この頃でしょうか。

 しかし、です。この後すぐに日本は大震災に襲われます。

 もう何を書いていいのか分からず、毎日が辛かったのを思い出します。

 しかし更新は続きました。震災不景気で店がヒマになり、時間ができてしまったのが理由です。でも理由はもう一つ。

 この大震災という状況を生きた、自分の記録をつけたかったのが理由でした。

 でも当時書けることと言えば、ぼやきばかりでした。それで連日ぼやきばかりを書いていますと、激励やら応援やらをいただけるようになりました。

 実は、以前の私は、そういうことをまず言わない男でした。そういう可愛くない自分を少し改造しようと思い、ブログを始めたおりに「ぼやき部屋」というカテゴリーを設けました。

 でも、こんなにボヤくことになるとは、この頃まで、勿論思ってもみませんでした。

 しかしボヤき出しましたら、有り難いことに、多数の皆さんが激励やら応援やらをして下さるようになりました。以前の私なら、

「頑張って!」とか「応援してるよ!」などと言われた時には、

「いやあ、ポチポチやって行きますよ!」とか

「まあ、潰れない程度に頑張りますよ!」とか返していました。可愛くなかったですよね。

 しかし、この頃になって、この年にして初めて、激励・応援に心から素直に御礼が言える自分を見つけた、それがブログ400日目の頃でした。

 その後、日本の食の状況は良くなっているとは言いがたいですね。

 放射能の問題があるからです。特に、ブログは500日の頃には、牛の汚染エサの問題が浮上し、畜産の世界は3月頃にもまして厳しい状況になりました。

 そんな中でも連続更新は続きました。

 ちょうど7/26に第9回「すきや連」を「銀座吉澤」さんで開催した時、出席者の皆さんは、最初は悲壮な表情でしたが、やがて宴会が進むと口々に「なんとか頑張りぬこうよ」と言い合うようになりました。だから、弊ブログもやめられませんでした。意地でも続行です。

 そうは言っても、気分は晴れません。またしても「食の安全」が、問題になったからです。牛は全頭検査をしない限り、売ることが難しくなり、それが実現したのは、9月になってからのことです。

 「全頭検査」っていう言葉は、ちょうど10年前のBSE問題の再来のようでした。対策が後手にまわって、マズいことになり、最後に打つ手は全頭検査しかない状態になった状況は、BSEの時と同じ展開に見えました。デジャブーのようでした。

 思えば、過去10年間、食をめぐるニュースは、なにかと暗いものばかりでした。BSE、O-157、強毒性鳥インフルエンザ、口蹄疫、中国製毒ギョーザ、事故米転用事件、食品添加物、偽装表示、そして極めつけの放射能・・・・・そんな話題ばかりでしたね。

 実は、初めてBSEが国内で見つかった平成13年9月の前の月=平成13年8月に、私は「ちんや」の六代目を継ぎ、今年の8月で10周年だったのですが、その後10年間、食をめぐるニュースは、なにかと暗いものばかりでした。楽しい時間は、あまりに少なかったように感じます。

 それで、この日、私は以前にも書いたことを、また繰り返して書いています、

・・・そういう10年が過ぎ去って、皆さん、そろそろ、気分を変えたくありませんか!

 食は、もっと楽しい気分で語られて良いものに決まっています。

 今年、日本のお笑いの聖地である浅草から、食と笑いを同時に発信したいと思っています。浅草の知人の中には、お笑いの仕事にかかわっている人もいます。最高の立ち位置ではありませんか・・・

 私は、今年はそういう仕事をしたいと願っていました。

 もちろん仕事ですから「食の安全」の方にも取り組みますが、それは仕事の目的というより前提の話しで、その前提の上で「食と笑い」「食の楽しさ」をやりたかったわけです。 

 でも、今は原発のせいで、また前提であるはずの「食の安全」に、フォーカスが当ってしまいました。残念です。

 だいたい「安全」関係の用事って楽しくないんです。しかし暗いムードを変えることを諦めはしませんよ・・・

 その後、川柳で日本の食卓に笑いを!ということで「すき焼き川柳onツイッター」などを実施しつつ、更新は続きました。

 そして、今日が600日目。

 これから、いったい、どうなるのでしょう。

 日本は。日本の食は。すき焼きは。そして私は。

 まったく見当つきません。

 でも「このブログを続けよう」という気持ちは、100日の時より強くなっているような気がします。

 もちろん、不測の事故があって止まることは、あり得ます。

 でも、今ここで終わりたくはありません。

 今の状況を見届けて、思ったことを駄文に綴り続けたいと思います。

 どうぞ、今後も、お見捨てなく。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて600日連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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すき家強盗

 大手牛丼チェーン「すき家」について、私はこれまで一切関心を持ったことがありませんでした。しかし、今回ばかりは関心を持たざるを得ませんね。

 なにしろ強盗被害が相い次いでいて、2011年に報告されている被害件数は、なんと一社で71件! 5日に一度は、全国どこかしらの店舗が被害に遭っているペースなのだそうです。

 9月上旬には埼玉の店舗で「恒例の『すき家強盗』だ。金を出せ!」と言いながら押し入った強盗がいたとか。これは、チト面白すぎるので創作かもしれませんが。

 結果、「すき家」の運営を行っている会社「ゼンショー」は、警察庁から指導を受けたそうな。特定企業の防犯体制について、警察庁が指導なんて聞いたことないですね。

 夜間はバイト一人の体制で、レジが必ず出口付近にあるのが良くないそうです。それも、従来交番から注意を受けていたのに、それを無視していたため、「指導」→「公表」ということになってしまった模様です。

 さらに、読売新聞が報じたところでは、この件について、「ゼンショー」の広報室長は「経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか考えたい」と発言したとか。もっとも、この「発言」については、「読売」と「ゼンショー」は、言ったじゃないか=言ってないぞ、で揉めているようです。

 その、言った・言わないで揉めている最中の読売新聞に、19世紀イギリスの評論家ジョン・ラスキンの経済思想についての記事が載っていました。

 18世紀アダム・スミスに始まった経済学は、やがて人間を単なる経済的な利益を求める機械のように想定するようになりましたが、ラスキンは、その流れの経済学を批判しています。曰く・・・

 経済学者の誤りは、生きるとは快楽を追求することであり、労働は苦痛以外の何ものでもなく、冨とは苦痛を補い快楽を増す手段だと教えたところにある。

 あくなき冨=快楽の追求は、自然環境を含めた他者への配慮を二次的なものにし、共同体や地球の生活圏を脅かすことになろう・・・

 まさに今回「すき家」では、他者=アルバイトの体や、周辺の治安への配慮が「二次的」なものになっていたようですね。ラスキンから100年以上たってますけど。

 ところで今頃関心を持ったんですけど、美味いんですか、「すき家」の牛丼って?

 食いに行ってみようかな、夜中に。

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格言

  格言を言って聞かせましょう。

 百viewは一見に如かず!

「大事な方をお連れする」のは、勿論有り難いですが、そういう時は事前に下見をしていただきたいです。

 たしかに今時はネットに情報が溢れていますが、ランキングサイトのコメントを読んだだけで店を決めるのは如何なものか、と思います。あれは、とても主観的に書かれた文章ですから、書いたその人のニーズと、あなたのニーズが同じとは限りませんよ。

 店のことは書いてありますが、書き手その人のことは、たいてい書いてないですからね。分からないと思いますよ・・・

 いらっしゃいませ! 中へどうぞ。お靴は脱ぎっぱなしで結構です。

 ええ?! 靴を脱ぐの?!

 そうですが、何か? ああ、その靴下が問題ですか。スーツは上下ビシっと決めておいでなのに、靴下はミッキーちゃんですか。私は嫌いじゃないですけどね。御接待の時には、マズいですねえ。

 靴を脱ぐってサイトに書いてなかったですよ(怒り!)

 いえ、書いてありますよ、手前どもの公式サイトには。ひょっとしてランキングサイトのコメントを読むのに忙しくて、肝心な所を読み落としましたか。ご愁傷様です。私の靴下をお貸ししましょうか・・・

・・・(中略)・・・

 ええ?! 一人ずつ、すき焼きかしゃぶしゃぶかを選べないの?!

 はい、お鍋1台を3〜4名様で囲んでいただきます。

 聞いてないよ(烏賊り!イヤ怒り!)

 そうおっしゃいましても、この机1台の上に、鍋4台と肉皿4枚とザク皿4枚と玉丼4個としゃぶタレ入れ8個と薬味一式と灰汁取り鉢を置くのは、無理です。

 ゲストの方はバラバラに頼みたいんだよ!客が好きなメニューを選べない店なんて聞いたことないぞ(怒り!)

 そうおっしゃられても、できません。だいたいですよ、鍋4台使うには、ガスのホースを4本引かないといけないわけですが、机1台にガスホース4本なんて、とっても無理です。事前に一回でも下見をしていただければ、お分かりいただけたはずですけど。(あーあ、言っちゃた。)

 格言を繰り返します。

 百viewは一見に如かず!

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ノンアルコール・ワイン

 今日は何の日でしょう?

 毎年10月15日は「日本記念日協会」公認の、『すき焼き通の日』です。

 2008年のこの日、向笠千恵子先生の御本『すき焼き通』(平凡社新書)が刊行され、その出版祝賀会が、「ちんや」で開催されました。

 やがて、その祝賀会に出席したメンバーを中心に、すき焼き店とすき焼き愛好家の団体「すきや連」が誕生。

 すき焼きの、美味しさと楽しさをアピールする日として、この日を記念日登録いたしました。まあ、私が登録申請したんですけどね。さて、

 先日テレビの情報番組のトレンド・コーナーで、ノンアルコール・ワインの特集をやっていました。

 ノンアルコール・ビールが売上げ好調なのを見て、ノンアルコール・ワインも売り出し攻勢をかけている模様で、酒屋さんでも大きなスペースを割いて陳列しているのだとか。それがトレンデイーで便利なこととして、「絶賛」の勢いで紹介されていました。

 私は、酒の拡販に心血を注いでいる方を何人も存じ上げていますので、この番組を見て、とてもブルーな気分に成ってしまいました。

 話しをワインに戻しますが、

 ノンアルコール・ワインって葡萄ジュースのことじゃないの?

と思った方もおいでと思いますが、残念ながら、違います。

 ワインができる醸造の工程を思い出していただくと、ジュースの中の糖分は醗酵することでアルコールに変わります。ノンアルコール・ワインの糖分は、その醸造後の方の糖度でないといけないわけです。元のジュースと同じというわけにはいきません。

 さらに、やはり醸造中にできてくる、アミノ酸や酸も、できるだけワインと同様でないと、ワインの味になりませんね。

 いったん、ワインとして醸造した後、アルコールを除去するそうで、方法は膜を使ったり、ガスを使ったりと、いくつかあるようです。

 結構難しいですよね。ご出演の醸造部長さんは、相当苦心してお造りになったようです。

 さらに、です。どうせ、加工するのなら、「本格的なテイストを!」ということで、重みのある御味にするために、タンニンを入れます。

 担任の先生じゃあないですよ。

 有機化合物の「タンニン」のことでして、これは渋みを感じさせる物質ですが、それを補強するために、なんと、お茶を加えます。ワインの渋みもお茶の渋みも化学的には、タンニンで同じなのです。

 そうです、ノンアルコール・ワインは、実は葡萄ジュースではなく、葡萄茶だったのです。

 この配合を編み出した、醸造部長さんの御苦心には感服します。

 また、こういう飲み物があることで、酒の飲めない人が、楽しく酒席に参加できるのであれば、その人達を幸せにする商品であることは、間違いないのでしょうね。

 でも、うーん、ですよね。

 S菊酒造の若旦那なんかは、まったくの下戸でいらっしゃるけど、ウーロン茶だけで、三次会までつきあってくれますよ。

 

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日本語はなぜ美しいのか

  黒川伊保子先生の、「日本語はなぜ美しいのか」(集英社新書)を読みました。

  黒川先生はコンピュータ企業で人口知能開発に携わり、その後は脳と言葉の研究をされてきた方です。商品名の音と売れ行きの関係を書いた「怪獣の名はなぜガギグゲゴなのか」が有名です。

 「日本語はなぜ美しいのか」によると、日本語は、ポリネシア語とともに、世界でまれに見る、母音を軸に音を捉える言葉なのだそうです。それに対して、その他のインド=ヨーロッパ語やアジア語は、すべて子音を軸に音を捉えているそうです。

  ほお。

  例えば、日本語で「コーヒー」は、「こ・お・ひ・い」ですが、英語では「ク・フィ」と聞こえます。「こ・お・ひ・い」と捉えるのは、日本人とポリネシア人くらいだそうで、距離的には日本に近い中国人も、「こ・お・ひ・い」とは捉えないのだそうです。

  母音を主体とする日本語は、「ああ!」「うっ!」「ええ?」「おお!」とった感嘆詞が母音であることからもわかるように、語感と人間の感情とが密接な言葉であり、そこが素晴らしい、というのが黒川先生の御説です。

  また、日本語は語感と風土とが密接な言葉でもあります。

  日本語の「朝」という言葉は、開放感のある「あ」、爽やかな感じの「さ」と発音されますが、それは、日本の朝が爽やかだからであって、緯度の高い土地なら、朝は暗くてドンヨリしていますので、「あ・さ」とは成らないのだそうです。

  たしかに、英語で「朝」は「m」「n」が入った「モーニング」で、随分感じが違いますね。

  日本語の素晴らしいのは、その、言葉が出来た時の語感を今日まで、連綿と伝えていることなのだとか。日本の東は大洋ですので、外部の影響を受けることが少なく、漢語や英語が入ってくる前の大和言葉は、独自の言語世界だったと考えられるそうです。

  へえ。なるほど。

  さらに、黒川先生は読者に、会話に親しみを感じさせるためには、母音や大和言葉を使うことを勧めておられます。

  「そう」より「ああ、そう」

  「そうですか」より「おお、そうですか」

が秘訣とのこと。

 逆に、

 「失礼します!」

 「感謝申し上げます!」

と言えば、ピシってなって、親しみはわきません。

・・・とここまで読んで、私は思いました。

 それって、ブログを書くコツだよね。

 お気づきの方もおいでと思いますが、このブログを多くの方に読んでいただくため、私は漢語や英語より大和言葉を使っています。

 「FAXを送信しました。」より

  「FAXを送りました。」と書きます。

  また感嘆詞も多用しています。しかも、

  「ほー」ではなく「ほお」

  「へー」ではなく「へえ」と書いています。

  実は黒川先生には、私のブログを、光栄にもお褒めいただいたことがあるのですが、そのわけが分かったような気がします。

  後は、ヨメ相手に使うだけです。

  「ああ、そう」

  「へえ」

  「ほお」

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聞き間違い

 先日、とある経営セミナーで、お互いが経営上の悩みを言い合う、というコーナーがありました。そのコーナーでご一緒した方のお悩みは・・・

 電話を受けるスタッフが、お客さまのお名前を聞き間違う。

ということでした。

 私が「漢字を確認させたら、どうですか。間違いが確実に減りますよ。」と言うと・・・

その間違いの主は、漢字がカラッキシ出来なくて、それが理由で、お客さまのお名前を聞き間違ってしまう、ということでした。

 うーん、そうかあ。

 確かに、漢字がカラッキシだと、日本人の人名を正確に聞きとるのは、難しいかもしれませんねえ。ご愁傷様です。

 ご愁傷様と言えば、私はつきあい上、よく弔電を頼みます。

 弔電を頼む時は、弔電の文面は勿論、送り先、私の役職、名前などを電話で申し込むわけですが、それを受けて下さる、NTT電報センターのお姐さんの受け方は、カンペキの一語です。

 電報のお姐さんは、面倒な固有名詞でも、淀むことなく、スラスラと受けていきます。素晴らしいです。

 私の「住吉史彦」という名前の場合・・・

 住吉様の「住」は住所録の「じゅう」、「吉」は「吉左衛門」の「きち」、

 史彦様の「史」は「歴史学」の「し」、「彦」は「彦根城」の「ひこ」・・・

という具合です。弔電を頼むたびに毎回この展開なので、私はスッカリこのやりとりを記憶しています。

 スッカリ記憶していますので、電報以外の注文を出す時、例えばレストランに予約を入れる時も、私はこういう頼み方をします。受ける人にとっては、とても親切なハズです。

 しかし、です。親切にしても、かえって通じないことがあります。

 先日、とある和食屋さんに電話したら、若いお姐さんが出ました。申込みましたが、携帯で電話したので、聞き取りにくかったのかもしれません。

 住吉の「住」は住所録の「じゅう」、「吉」は「吉左衛門」の「きち」・・・

 え?「キチザエモン」が分かりませんか?!

 「楽吉左衛門」とおっしゃって、茶道の茶碗を作る人ですよ。

 え?ウチは茶懐石料理はやってないって?!

 それは知ってますよ。そういう話しじゃあなくて、今は、人の名前の話しをしてるんです。

 じゃあ、「大吉」「中吉」の「きち」って言ったらわかりますか?!

 犬の名前で良くある名前かって?!うーん、そうかもしれないけれど、って言うより、神社でやっている、おみくじの「きち」ですよ。

 いいですか。それから、ですよ・・・

 史彦の「史」は「歴史学」の「し」、「彦」は「彦根城」の「ひこ」です。

 え?「ヒコネジョー」が分かりませんか?!

 ほら、あるでしょう、滋賀県に!

 井伊直弼のお城ですよ。有名でしょう、桜田門外の変で。

 え?ウチは港区だって?!

 それは知ってますよ。そういう話しじゃあなくて、今は彦根の話しをしてるんですけどね、つまり、「彦にゃん」の「彦」ですよ。

 え?「彦にゃん」なら分かるって?!

 彦根はわからないのに、「彦にゃん」は分かるんだ!

 ご愁傷様です、この店。

 

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ニッポンの傘

 ビニール傘と言えば、浪費経済のシンボル・使い捨て文化の象徴と言えるでしょう。

 10/8の朝日新聞夕刊の、「昭和史再訪」と題した記事によれば、毎年1億3千万本のビニール傘が販売され、一方、廃棄されるのも8千万本という多数にのぼるそうです。

 ビニール傘は落し物の主役でもあり、昨年遺失物として警視庁に届いた傘は、なんと38万本だとか。しかし、その内現れた落とし主は、わずか1813人。使い捨てもここに極まれり、ですね。

 嘆かわしい!

 台風の通過した翌日などは、壊れた105円傘が、そこら中に散乱していましたね。

 コストダウンを追及した結果、品質がおざなりになっていて、すぐ壊れてしまうので、そういう結果になります。勿論、大半が中国製です。

 その、ビニール傘の起源が、私の知っている地元台東区の会社だったことを、この記事を読んで初めて知りました。

 その会社は「ホワイトローズ」という会社で、浅草通りに面して浅草から上野へ向かう途中に本社があります。

 記事には、私が存じ上げている現社長のお父上が「九代目」として、登場していました。その方が、ビニール傘を考案した御本人のようです。

 しかし、です。「ホワイトローズ」さんは、使い捨ての扇動者では断じてなく、むしろ、現在ビニール傘の自社工場を国内に持つ、ただ一つのメーカーなのだそうです。

 素晴らしい! 

 こういう会社が身近にあることは、同じ区民として誇らしいです。

 「ホワイトローズ」さんは、なんでも、独自のグラスファイバーの骨で軽さと強さを両立させ、特殊用途に的をしぼって成功されているようです。例えば・・・

選挙用の傘=街頭演説をする候補者を雨風から守る傘

⇒政治家は「庶民性」をPRするために高級傘を決して使いませんが、かといって、すぐにブっ壊れる中国製では困るのです。「ホワイトローズ」さんは、そういう事情の先生方に重宝されているのだそうです。

 皇室の園遊会で皇后陛下も使用されたとか。

 実に、結構!

 頑張って欲しいです。台東区の、ニッポンの傘。

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原発依存

 原発が立地する町の首長選挙で、原発推進派が勝つケースが続いているようです。

 フクシマの事故の後なのに何でえ?

と思った方も多いかと思います。この結果を理解するには、こうした町の、原発への依存ぶりを知る必要があるようです。

 少し調べてみますると、ある原発城下町の旅館街では、客のほとんどが原発関係者だそうです。

 良く考えたら、そりゃまあ、当然かもしれません。原発がドーンと聳えている所へ観光旅行に行く客は、限りなく少ないでしょうから。

 それでも、その旅館街が成り立っているのは、原発関係者が泊まるからです。定期検査の時期ともなると、のべ2.000人とか3.000人とかが宿泊するそうで、少なからぬマネーを落としてくれます。

 しかし、です。検査が終われば、また稼働率≒ゼロの状態に戻るとか。それで、旅館組合からは「定期検査を増やして欲しい」という要望が出てきたりするのだそうです。

 ここまで依存してしまうと大変ですね。

 だから、こうならざるを得なかった日本の、地方の実情を知る事なしに、原発のことを論じてはいけないことが分かります。おそらく、こうした町には、海の幸・山の幸があったはずです。それなのに「幸」だけでは町が発展せず、こうなったことに実情の辛さがうかがえます。

 それでも、と私は思います・・・

 原発を誘致する前に、シェフを誘致して欲しかったです。

 町一番の景勝地を整備して、道路をつけ、腕の利くシェフに無償で貸してやって欲しかったです。シェフが店を軌道に載せ、その土地を買いたい、と言い出したら、借金の利息を補填してあげて欲しかったです。

 いくら、海の幸・山の幸が美味しくても、美味しいだけでは、なかなか差別化できません。そこが一次産業のツラいところです。

 差別化をできるのは、創造性のある人間様だけだからです。海や山は素晴らしくても、他に全国各地に素晴らしい所があるので、差別化まではなかなかできません。

 逆に人間が智恵をしぼれば、差別化をできて、人をよべます。腕の利くシェフなら、年に2.000人くらいの客を呼べたかもしれません。

 そこまでやって、それでも町が活性化しないのなら、最悪の手段として、他を考える手もあったかもしれませんが、まずはシェフを誘致して、原発を考えるのは、その後にして欲しかった、そう思わずにいられません。

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農林水産業

  涼しくなりまして、「変わりザク」が変わりました。

 秋のキノコ3種盛り合わせ(大黒しめじ、茶エノキ、ジャンボ・マッシュルーム)です。どのキノコも、割り下の旨味を良く吸います。食感の違いもお楽しみ下さい。さて・・・

 読売新聞に月2回、日銀の福島支店長さんが「日銀福島支店から」という題で寄稿しています。震災後の福島経済のことが気になる方は、この連載をお読みになっていることと思います。

 その連載の、10/5号の見出しは「県農業に明るい兆し」でして、検査体制の整備により、放射能の風評被害が最悪期を脱する傾向にある、という内容でした。結構なことです。

 さて、その記事の中で、私が気になった部分が一つありますので書いておきますと・・・

「県内総生産に占める農林水産業のウェートは2%しかないが・・・」という部分です。

 皆さんも不思議に思いませんか。福島と言えば農業県なのに、ウェートが2%とは、随分小さいねえ、と思いませんか。

 この数字は、震災後の経済記事で何度か私も見かけましたが、こんなに小さいと、どうしても、重要でない感じがしますよね。

 でも勿論、福島県経済にとって、農林水産業が重要でないわけはなく、こういう数字が出るのは統計のとり方に原因があります。

 農林水産物を、何も加工せずに、そのまま出荷した場合だけ「農林水産業による県内生産」としてカウントされるのです。

 加工したら、もう農林水産業にはカウントされません。だから酒や醤油の醸造という仕事は、農林水産業にはカウントされません。

 食品スーパーで売った場合も、もう農林水産業にはカウントされません。商業ですから。

 料理屋や旅館で、料理して売った場合も、もう農林水産業にはカウントされません。

 勿論、福島支店長さんは、そんなことはご存じで、この記事を書いておられますが、統計にくわしくない人が見たら、

 なあーんだ、農林水産業のウェートは2%だけなんだ!

と思うかもしれませんよね。それはNo Goodです。

 食に関する仕事が、なんだか、バラバラです。食にかかわる仕事が、商業とかサービス業とか、そういう項目に潜っていたのでは、連関が捉えられないような気がしませんか。

 私は、食に関連する産業が、なにか一塊になって、数字として把握されるように希望します。 

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シャンパンとカズノコ

 弊ブログをお読みの方は、私が酔っぱらいであることを重々ご承知と思いますが、そんな私にも、いくら飲んでも平気な酒と、そうでない酒が、一応あります。

 そうでない=不得意な酒は、実はワインです。

 もちろん適度の分量であれば、なんの問題もないのですが、度を越した時がダメです。特に刺身などの生の魚を酒肴にして、白ワインをシコタマ飲んだ時に、気持ちが悪くなります。

 別に、世をあげてのワイン・ブームなのを見て、天邪鬼気分で、そう書いているわけじゃありません。原因が最近までわからず「なんでだろう」と思ってきました。

 でも、最近わかりました。

 先日「料飲三田会」の見学ツアーで、伊豆修善寺の志太ワイナリーに行き、醸造部長さんのレクチャーを聞いた時に、それがわかりました。それは・・・

 亜硫酸塩。

 亜硫酸塩は、参加防止剤イヤ酸化防止剤として、ほとんどのワインに入っておりまして、雑菌抑制の効果がありますが、この薬と、生の魚を会わせたケースで官能検査をしたところ、非常に高い率で、多くの人がマズいと答えたそうで、その因果関係が統計的に確かめられたそうなのです。

 なるほど!やっぱり、そうだったんですね!

 この醸造部長さんは、酸化防止剤を減らすことをワインづくりの重要な要素と位置づけて醸造をなさっておられるとかで、その話し流れの中で、酸化防止剤と生魚の話しが出てきたのです。

 私は、中学校3年の正月にシャンパンとカズノコを会わせて飲んで⇒気分悪くなって以来、生魚+白ワインが不得意なのですが、今回原因がわかって有り難いことでした。

 なお、酸化防止剤を完全になくすことは、簡単ではないようです。

 ワインはとても変質しやすく、雑菌などが繁殖しないようにするのが難しいからです。「酸化防止剤無添加」とうたっているワインもありますが、これは出来上がったワインを日本酒のように加熱殺菌したり、細菌を除去する特殊なフィルターを通して濾過するなど、変質しないための処理を行なっているのです。

 こうした処理がされたものは、ワイン本来の、新鮮な果実の風味が失われていて、要するに、おいしくありません。

 では、そういう処理をせずに酸化防止剤を減らすには、醸造部長さん曰く、葡萄を畑で育てる過程で、葡萄そのものの生命力を強くする以外に方法はないそうです。雑菌などが繁殖しないようにするには、それしかないそうです。キビシいですね。

 皆さん、シャンパンとカズノコには、くれぐれも、ご注意願います。

追伸

 伊豆修善寺へ向かう伊豆箱根鉄道の車中、大仁駅と牧ノ郷駅の間、線路のすぐ東側に「田能久」という店を見つけました。

 「田能久」と言えば、往年の映画「若大将シリーズ」の、主人公の若大将(=加山雄三さん)の実家の、すき焼き屋の屋号です。若大将こと加山さんは「すき焼き屋の若旦那」という設定でした。

 伊豆に実在する「田能久」さんと「若大将シリーズ」の関係についてご存じの方は、是非ご一報下さい。

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて583連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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