ニッポンの傘
ビニール傘と言えば、浪費経済のシンボル・使い捨て文化の象徴と言えるでしょう。
10/8の朝日新聞夕刊の、「昭和史再訪」と題した記事によれば、毎年1億3千万本のビニール傘が販売され、一方、廃棄されるのも8千万本という多数にのぼるそうです。
ビニール傘は落し物の主役でもあり、昨年遺失物として警視庁に届いた傘は、なんと38万本だとか。しかし、その内現れた落とし主は、わずか1813人。使い捨てもここに極まれり、ですね。
嘆かわしい!
台風の通過した翌日などは、壊れた105円傘が、そこら中に散乱していましたね。
コストダウンを追及した結果、品質がおざなりになっていて、すぐ壊れてしまうので、そういう結果になります。勿論、大半が中国製です。
その、ビニール傘の起源が、私の知っている地元台東区の会社だったことを、この記事を読んで初めて知りました。
その会社は「ホワイトローズ」という会社で、浅草通りに面して浅草から上野へ向かう途中に本社があります。
記事には、私が存じ上げている現社長のお父上が「九代目」として、登場していました。その方が、ビニール傘を考案した御本人のようです。
しかし、です。「ホワイトローズ」さんは、使い捨ての扇動者では断じてなく、むしろ、現在ビニール傘の自社工場を国内に持つ、ただ一つのメーカーなのだそうです。
素晴らしい!
こういう会社が身近にあることは、同じ区民として誇らしいです。
「ホワイトローズ」さんは、なんでも、独自のグラスファイバーの骨で軽さと強さを両立させ、特殊用途に的をしぼって成功されているようです。例えば・・・
選挙用の傘=街頭演説をする候補者を雨風から守る傘
⇒政治家は「庶民性」をPRするために高級傘を決して使いませんが、かといって、すぐにブっ壊れる中国製では困るのです。「ホワイトローズ」さんは、そういう事情の先生方に重宝されているのだそうです。
皇室の園遊会で皇后陛下も使用されたとか。
実に、結構!
頑張って欲しいです。台東区の、ニッポンの傘。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて587連続更新を達成しました。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。
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