下仁田葱

11/23「群馬すき焼きシンポジウム」が開催された下仁田町では、イベント「全国ねぎサミット2014inぐんま下仁田」も同時開催されていました。

各地のブランド葱の販売やショーが行われました。

こういうイベントが行われるのは、もちろん下仁田葱が昔から=江戸時代から有名だからですね。

その有名な「下仁田葱」のブランドは、私の観るところ今も比較的良く守られていると思います。

下仁田町馬山地域の葱農家によって「下仁田町・下仁田葱の会」が結成されていて、現在会員は70名、まずまず統制のとれた組織に成っているようです。

シンポジウムでは、この会の会長の田中 芳重さんと檀上で御一緒させていただきました。

かつて、葱の品種改良の方針が、

・1本当たりの収量が多い

・病気に強い

という経済性の観点に偏って、この伝統ある葱が美味しくなくなりかかったことがあったそうです。世間での評判も悪くなりかかって、それに対する反省から、「葱の会」はきびしい規約を掲げて発足しました。

今「下仁田葱の会」では、生産者が守るべき条件を定めていて、それに反した場合は、退会とすることになっているそうです。

キビシいようですが、その位はしないとブランドは守れません。

・下仁田町内で栽培された下仁田ネギであること

・品種の統一を図ること

・品質の統一を図ること

・規格の統一を図ること

・箱の統一を図ること

・価格の統一を図ること

・夏の植え替えをすること

最後の「植え替え」は炎天下のキツい労働ですが、これをしないと退会処分だそうです。

きびしい。

全国で牛のブランドを作ろうとなさっている皆さんに参考にしていただきたい決まりです。

 

追伸、

一冊丸ごと「すき焼き大全」とも申すべき本が出ました。

タイトルは『日本のごちそう すき焼き』。11月19日平凡社より刊行されました。

この本は、

食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、

この十年の「すきや連」活動の集大成とも言える本です。私も勿論執筆に加わっています。

是非是非お求めください。

弊店の店頭でも販売しますし、こちらからネットでも購入できます。

是非。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて1.729日連続更新を達成しました。

毎度のご愛読に感謝いたします。浅草「ちんや」六代目の、住吉史彦でした。

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チョイと転載『日本のごちそう すき焼き』②

「すき焼き大全」とも申すべき新刊本が、平凡社より刊行されました。

タイトルは『日本のごちそう すき焼き』。

この本は、食文化研究家の向笠千恵子先生が、すき焼きという面白き食べ物について語り尽くした7章と、

全国の、有志のすき焼き店主31人が、自店のすき焼き自慢を3ページずつ書いた部分の二部で構成された本で、私も勿論執筆に加わっています。

自分の店について書いた他、「すき焼きと日本酒」という題でも一文を寄稿しました。

以下に私が書いた「すき焼きと日本酒」の一部を、チョイと転載します。もちろん全文を転載するわけにはいかないので、さわりだけです。悪しからず。

<以下、転載>

この原稿の依頼が平凡社さんから来た頃、私は「味博士」の「マリアージュ研究」を知りました。

「味博士」とは慶應義塾大学共同研究員の鈴木隆一博士のこと。味を計測して、それをグラフで「見える化」する技術を開発された方です。

『味博士のぜったい太らない食べ方』『日本人の味覚は世界一』といった著書もあります。元々博士と私は熟成肉の研究を通じて知り合いましたが、料理と御酒のマリアージュ研究の方も、結構面白いのです。

博士が大学で開発した「味覚センサー」は、甘・塩・酸・苦・旨の五味を計測してグラフに表示できるのですが、このセンサーで料理と御酒の両方を計測します。

で、そのグラフを重ねてみるとマリアージュの相性度が分かる、という次第です。重ねた結果、五味の数値がバランスよく大きくなっていれば、「味わいに膨らみが出た」ということを意味します。料理と御酒が互いに不足する味を補い合い、「味の構成力が高まった」とも言えます。

この研究で赤ワインには椎茸が最も合う、といった判定が出ていたりしています。面白いですね。

さてさて、この技術を使って、すき焼きと日本酒の相性を判定しない手はありません。早速4点のタイプの違う日本酒を用意しました。

公平に評価できるよう・・・

<続きを読みたい方は・・・>

弊店の店頭でも販売していますし、こちらからでもネットで購入できます。

是非是非よろしくお願い申し上げます。

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群馬の名産

あらら、岐阜県のセンセイは、下仁田葱をご存知なかったんでしょうか?

こともあろうに、国会審議中に、

「下仁田葱」を、

「下ネタ葱」と言い間違えてしまったそうです。

「下ネタの…、しも、下仁田葱・・・」と発言し、あわてて「口が回らなかった。失礼しました」と撤回したとか。

さて、この審議で、不正な政治資金を使って「下仁田葱」を購入したと追求されていたのはオブチ・ユー子大臣。目玉閣僚だったのに、ご愁傷様でした。

一方、追求中に口が回らず、「下ネタ」発言をしてしまったのは、

イシンの党の、イマイ・マサト衆院議員。

衆院経済産業員会で、大臣に関係する政治団体の不透明な収支を追及する際、大臣の地元・群馬の名産品を言い間違えてしまったのです。

イマイ・マサト先生の経歴を調べてみますと、

1962年2月 岐阜県下呂市生まれ

■学歴

下呂中学校、東海高校、

上智大学(文学部英文学科)卒。

■経歴

1985年三和銀行入行。

とあります。下呂の方でしたか。

下呂には「ネギ味噌天ぷら」という面白い食べ物がありますが、材料はたしか、普通の白ネギだったはず。

東京時代に下仁田を召し上がらなかったんでしょうかね。

イマイ先生、

11/23には、是非是非「全国ねぎサミット2014inぐんま下仁田」を観にお越し下さい。

「すき焼きシンポジウム」もやりますよ!

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ヒール役

このブログで年回か採り上げております、下仁田での「すき焼きシンポジウム」ですが、結局私も登壇することになりました。

群馬県庁が正式にリリースしたところによれば、

<趣旨は>

「富岡製糸場と絹産業遺産群」がユネスコの世界文化遺産に登録され、国内外から本県に注目が集まるなか、本県を訪れる人への「おもてなし料理」の創出が急務となっています。そこで、本県が、質とともに知名度の高い「下仁田ネギ」を筆頭に、牛肉、こんにゃく、しいたけなど、すき焼きの具材をすべて県内産で揃えることができることに着目し、「群馬のすき焼き」について考えるためのシンポジウムを開催します。

<シンポジウム名>

「群馬県すき焼きシンポジウム」~地域の特産品から、群馬のおもてなし料理を考える~

<日時>

平成26年11月23日(日) 午後1時30分~3時30分

<会場>

下仁田町文化ホール(甘楽郡下仁田町大字下仁田682)

<内容>

【基調講演】

「“食財”の王国・群馬県の食文化」

講師 向笠千恵子 氏(フードジャーナリスト、食文化研究家)

【パネルディスカッション】

「ぐんまのすき焼きとは」

・コーディネーター

藤井浩 氏(上毛新聞社論説委員長)

・パネリスト

向笠千恵子 氏

鳥山 真 氏(鳥山畜産食品(株)代表取締役社長)

田中芳重 氏(下仁田ねぎの会 会長)

小金澤 定夫 氏(群馬県蒟蒻協同組合 副理事長)

住吉史彦 氏(浅草 すき焼き店「ちんや」 社長)

<定員等>

300名(先着順)・参加費無料

以上の通りです。

参加費が「定員等」に入っているところが県庁文学ですが、まあ、そういう細かいことはさておきまして、

要するに、私が県外から群馬の牛について、あーだ・こーだ言う立場のようです。

弱りましたね。

勿論、基本的に私は今回群馬県が「すき焼き応援県」宣言したことに賛成です。

従来私は、食のブランド作り・産地作りをする場合、どんな食べ方で食べて欲しいのか、ハッキリさせるべきだ、と言って来ました。

だから、「すき焼き応援県」宣言は基本的には結構なことと思いますが、とにかく、宣言が唐突に出たので、畜産の現場ですき焼き向きの牛の育て方が出来ているかを申しますと、「まだ、これから」でしょう。

念のため、私の好みを申しておきますと、

・熟成させ易い牛

・脂肪の融点が低い牛

です。細かいことはシンポジウム当日に話したいと思います。

それから、もう1点。

群馬の皆さんが、まず肉を食べることが大事だと思いますよ。

牛肉消費量ランキングで47都道府県中45位(2013年)というのは、なんとしてもいただけません。

食べないと旨いも旨くないも分かんないですからね!

そこは、何卒よろしくお願い申し上げます。

ん?

これって、所謂「ヒール役」?

参加ご希望の方は、私まで連絡下さい。

 

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役名

良く考えましたねえ。苦労なさったんでしょうね、NHKさん。

ひょっとして、この役名造りが、今回のドラマ製作で一番苦労なさったポイントだったんじゃないですか?お察し申します。

最高に笑ったのは鴨居社長です。鳥を鴨に変えただけじゃないですか!でも鶴でも鷺でもなくて間違いなく鴨がなく最高です。感心しました。

あ、今話しているのは朝ドラ「マッサン」の登場人物のことです。

ニッカ・ウイスキーの創業者でマッサンこと竹鶴政孝は亀山政春に、

スコットランド人妻のリタはエリーに成っています。

竹鶴が最初に勤務した洋酒メーカー・摂津酒造は住吉酒造に成りました。

住吉酒造がドラマに登場した時私は画面に向かって、グッドジョブ!と叫んでしまいましたが、その後にさらに笑える鳥井社長いや鴨居社長が登場したのです。

竹鶴はやがて摂津酒造から鳥井の率いるサントリーいや鴨居商店に引き抜かれるわけですが、ここに出てくる会社のほとんどが現存してますからねえ、私のことを浅草のすき焼き店主住吉史彦さん(48歳)としか紹介しないNHKさんとしては、さぞ苦心なさったことでしょう。

実在の会社名とかぶってもいけませんしね。

お疲れ様でした。今後も楽しみに拝視聴致します。

ちなみに住吉酒造の、その後が気になったので検索してみましたが、宝酒造に吸収されたようでした。

うーん、残念。

やっぱり「太陽ワイン」とか紛い物商売は長続きしませんな。

今後の焦点は成り上がり者の鳥井に、竹鶴が目指す本物のウイスキーが果たして理解出来るのか?ですね。気になります。しっかり描いていただきたいです。

なお、実在の竹鶴の実家である、広島県竹原市の竹鶴酒造は現存していて、先日国際観光日本レストラン協会の会合が広島で開催された際に、その「竹鶴」を飲むことができました。

我々は日本酒の名前が「竹鶴」だと、なんだか変な感じですが、広島の方々は、ウイスキーの名前が「竹鶴」である方が、余程違和感があるのだそうな。

それは、広島の人が正しいですな。

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営業再開

新築オープンを控えた「かんだやぶそば」さんを「励ます会」に行って来ました。

「やぶ」さんの店舗は、関東大震災後に建築された数寄屋造り・木造2階建ての建物で、東京都から「歴史的建造物」の指定を受けていましたが、ご存知の通り、昨年2月の火災で一部を焼失してしまいました。

火災の翌日私も様子を見に行きましたが、外見上大火には見えず、取り壊しはしなくて済むように見えました。

しかし、結局旧店舗を取り壊して新築。

1年半以上時間がかかりましたが、今年の10月20日に営業を再開する運びとなりました。目出度いです。

参りますと、外観は一変していました。

これまで「やぶ」さんと言えば塀が目印でしたが、その塀は取り払われ、道路と店の間には植栽が植えられていました。大イメチェンですね。

「街と共に在りたい」という理念を体現したら、こうなったのだとか。なるほど。

店内は、新店舗なのに何十年も営業していたかのような落ち着いたムード。いいですね。

この御店の正式オープンに先だち、「励ます会」は、スタッフの皆さんの練習もかねて開催されたものです。だから料理の注文は事前に統一せず、その場で卓ごとに個々に頼むやり方。

これを機会に新しく採用された方もいるようでしたが、危なげなく対応できていて感心しました。

ご繁盛を心より祈念致します。

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地酒まつり2014

「茨城地酒まつりin花やしき2014」に参加してきました。

この催事は、茨城県酒造組合が主催していますが、夜の遊園地で日本酒を飲みまくる、という、なかなかエキサイテイングなイベントです。おカタい組合の行事とは思えません。

今年で4回目。

地震の年の春に第一回が予定されていたのが、いったん延期となり、その年の秋に第一回が開催されました。以来応援させていただいております。

浅草料理飲食業組合の組合長が乾杯の発声をするのが恒例ですが、今回はご都合がつかず、不肖・私が代打をさせていただきました。

「〆の言葉」だったら、ゼッタイお請けしませんけどね、だって呑めませんから。

さて、茨城県は関東一の酒どころ。28蔵が浅草の花やしきに集結しました。

全国的にも、新潟・福島・長野にはおよびませんが、酒蔵が多いところです。

最近は地元産の米を使ったお酒を造る試み(=「ピュアいばらき」)に熱心。

石岡市など一部の自治体では、乾杯で地元の酒を飲むことを義務づける「乾杯条例」を制定する所もあったりと、実に結構と思います。

この催事が5回、10回と浅草に定着したら良いと思っています。

うーい、ひっく。

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ねぎサミット

11月23日(日)に「全国ねぎサミットinぐんま下仁田」が開催されます。

ねぎサミットでは、全国の有名な産地が集結!自慢のねぎ料理や特産品を披露するものです。

埼玉県深谷市の深谷ねぎ

千葉県松戸市の矢切ねぎ

京都府京都市の九条ねぎ

などなどです。

去年の開催地は坂東ねぎの坂東市で、今年は久ぶりに下仁田へ還ってきたようです。

下仁田葱には実は「解禁日」があります。葱が最高に美味しい冬の間だけ出荷するのです。

11月23日は例年の解禁日と比べると、ほんの少しだけフライングなのですが、現地の人達は、このサミットにあわせて、今年だけは早めに栽培なさっているようです。

さて内容ですが、葱の販売の他に関連イベントとして、

全長約25mの『巨大ねぎま』をみんなで作ろう!

下仁田町及び参加団体の農業特産物販売やステージイベント、

『下仁田へ行ってんべー祭』、

『すき焼きシンポジウム』

などがありますが、この内の『すき焼きシンポジウム』に私達が「すきや連」が関わっています。

他のイベントが下仁田町の主催であるのに対して、すき焼きだけは群馬県庁の主催でして、ただ今準備作業が盛況です。

なにしろ群馬県は「すき焼き応援県」宣言をしたばかりですからね。

どなたでも参加できる公開イベントですので、このブログでも詳細が決まりましたら、ご案内いたします。

是非是非よろしくお願い申し上げます。

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日本酒の日、コーヒーの日

日本酒VSコーヒーの紙上対決は、パッと見ではコーヒーの勝利に終わったようでした。

毎年10月1日は、「日本酒の日」でもあり「コーヒーの日」でもあるので、両者が新聞広告を出したのですが、少なくとも読売新聞ではコーヒーの圧勝でした。

日本酒のスペースは紙面の下六分の一。地味にその日が「日本酒の日」であることを伝えていましたが、コーヒーは全面×2ページ。

コーヒーが好きだったという、故・松田優作さんの大きい写真で読者の目を引いて、プレゼント企画も付いていました。コーヒーの圧勝でした。

時に、なんで10月1日は「日本酒の日」でもあって「コーヒーの日」でもあるんですかねえ?

全日本コーヒー協会によりますと・・・

「国際協定によって、コーヒーの新年度が始まるのが10月で、この日がコーヒーの年度始めとなります。さらに、日本では、秋冬期にコーヒーの需要が高くなることから、1983年に、全日本コーヒー協会によって、10月1日が「コーヒーの日」と定められました。」

・・・だそうで、今市、目出度い感じはないですね。

対する日本酒造組合中央会の説明は、やや長いです。

「通常日本酒づくりは、晩秋から厳冬、早春にかけて仕込みが行われ、並行複発酵(糖化とアルコール発酵が同時に進行する発酵技術で、世界の発酵法の中でもっとも高度な技術といわれている)という日本酒固有の醸造法によって、新酒が誕生します。さらに新酒を火入れ(低温殺菌)して貯蔵タンクに囲い、涼しい酒蔵の中で夏を越させます。酒蔵で静かに息づいている酒は、ゆっくりと熟成して秋口には、香り、味とともに芳醇な酒となります。」

「このように日本酒は、冬から春、夏から秋へと日本の四季の移ろいとともに生まれ育つ酒で、日本独特の気候風土が生み出した酒です。豊かな自然の恵みと日本人の知恵の結晶が日本酒であると言えます。わけても、10月は全国各地に海の幸、山の幸があふれ、日本酒が本当においしくなる月です。」

「日本の文化遺産ともいえるこの日本酒を正しく引き継ぎ、後世に伝えるという想いを新たにするとともに、一層の愛情とご理解を、という願いをこめて、日本酒業界では、1978年(昭和53年)に「10月1日は日本酒の日」と定めました。」

まとめますと、日本酒は伝統的に「寒造り」で寒い時期に酒を造り、それをすぐ飲まずに夏の間寝かせておいて、涼しくなったら売り始める、そのサイクル(=「酒造年度」)の初日が10月1日だから「日本酒の日」の日なのです。

業界では涼しくなったら売り始めることを「ひやおろし」と言います。

「日本酒の日」を盛り上げたかったら、「ひやおろし」の解禁日を10月1日にして、絶対フライングを許さない体制を築けば良いと思うのですが、難しいんですかねえ。

ボジョレーに出来て、日本に出来ない理由が分かりませんが、まあ、現実は出来ていないわけで、一般人にとっては特段盛り上がらない「日本酒の日」と「コーヒーの日」が毎年やってきます。

あ、実は私も「〇〇の日」を制定したことがあります。

10月15日の、「すき焼き通の日」です。日本記念日協会に登録してあります。

これはね、根拠が在るんですよ。

2008年10月15日に、すき焼きに関する本『すき焼き通』が刊行されたのです。平凡社新書で、著者は向笠千恵子先生です。

これをきっかけに、すき焼き店とすき焼き愛好者による「すきや連」が誕生しました。だから「すき焼き通の日」なんです。

「すき焼きの日」にしなかったところが奥ゆかしいでしょう。僕ちゃん。

是非、お祝いして下さいね、10月15日。

 

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マッサン

ニッカウヰスキーの創業者・竹鶴政孝とその妻リタを主人公にした朝ドラが始まりました。

タイトルは『マッサン』。

リタが竹鶴のことをそう呼んでいたことにちなんだタイトルだそうです。

放送はまだ始まったばかりで、竹鶴はスコットランドへのウイスキー留学から帰ったばかり。現地で結婚したリタを連れて、実家である広島の蔵元に帰省しますが、そこで外人の嫁を断固認めない母=泉ピン子さんからイジメられているところです。

芸能ワイドショー的なポイントは、

・朝ドラ史上初の、純外国人ヒロイン。

・ピン子さんのイジメ演技が怖すぎる~リタが家族と一緒に食事することを認めず、女中部屋に食事を支度させる、など。

といった点なのでしょうが、私がこの回で気になったのは、竹鶴が、跡取り息子なのに蔵を継がずウイスキー造りに賭ける理由です。

父から、その理由を問われた竹鶴は、

新しかことをやってみたいんじゃ!

と言います。

(広島・竹原方言が正確でないことはお許し下さい)

父さん達も、広島のやわい水では良か酒ば造れない、と言われとる中で、みんなで協力して良か酒ば造れるようにしたじゃなかとー!

だから自分も新しいこと=ウイスキー造りに挑戦したいと言うのです。

分かりましたか?

分からない人が多いんじゃないですかねえ。

「良か酒ば造れるようにした」とは、広島杜氏が明治30年頃に「軟水醸造法」を開発したことを言っています。

それが日本酒醸造技術の歴史の中で、どの位画期的なことだったかは、このブログの8月22日号をお読みいただきたいのですが、そういう説明がないと、視聴者はおそらく、父の酒造りがウイスキー造りに匹敵する位に「新しかこと」だったのか、理解できないと思うのです。

リタが竹鶴について来た理由については、

・恋に落ちたから。

・愛する男の夢を叶えてあげたかったから。

で説明がつきますが、竹鶴が酒蔵を継がない理由は、もう少し丁寧に説明した方が良いように思います。

え? 朝ドラの主役は女優なんだから、そんなことはどうでも良いんだよ って?

うーむ。

そう言えば、そうでした。

 

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