古典芸能・最新形②

年始に、Eテレで邦楽の番組をやっていたので、視ていますと、それは

「すごいぞにっぽん!古典芸能・最新形」という番組でした。邦楽の革新に取り組んでいる方々を特集した番組のようでした。

その内容は、昨日の弊ブログに書きましたが、この番組でそれとは別に私が、

そう!そう!と思ったことがありました。それは、コメンテイターとして出演していた、バレエの草刈民代さんのコメントです。草刈さんは、

伝統の革新に取り組んでいると、伝統の本質に気づく場合があると思います。

とコメントなさっていました。至言と思います。

そして伝統料理にも、同じことが言えると思います。私のカレー卵やヨーグルト卵もそうです。

味や提供方法を変えてみると、旨さの本体が何だったか、そこで分かることがあるのです。遅いぞ、と言われそうですが、そこで初めて分かることがあるのです。

料理の世界を俯瞰しますると、だいたいは、

伝統的=美味しい

と言えます。味って人間存在の根本に繋がっていますからね。

でも、歴史に偶然が付きものであるように、料理の世界にも偶然が作った伝統があります。

例えば、土用の丑の日。

本当は、鰻の旬は冬眠に備えて身に養分を貯える晩秋から初冬にかけての時期で、それに比べて夏のものはベストではないそうですが、平賀源内(あるいは大田南畝)の入れ知恵で、鰻=土用の丑の日となって、それが立派な伝統になりました。

それはそれで結構なのですが、鰻の美味しさの本体を考える場合には、丑の日の件は頭から除外した方が良いということになります。

話しを戻しますが、私は、すき焼きの卵の味を変化させてみて、それで初めて、そうした変化に動じない肉の味の本体を認識することになりました。

それで、2017115日の「適サシ肉宣言」には、卵の件が付いているのです。

あれから一年。

そういうわけで、今日は日本全国

「適サシ肉の日」です(笑い)

「日本記念日協会」さんにも認定していただきました。

ちなみに「制定の由来」は、

「20171 15日に、東京浅草の老舗すき焼き店「ちんや」の六代目当主・住吉史彦が、自店で過剰な霜降肉(A5等級)を使うことを止め、「適サシ肉」すわなち適度な霜降の入った肉だけを使うと宣言した。本件は各種メデイアやインターネットで大きな反響を呼び、「A5信仰が終焉した日」として日本の食肉業界・飲食業界に記憶された。なお「適サシ肉」という言葉は住吉による造語で、株式会社ちんやは後にこの言葉を商標として登録した。」

 

まだまだ、この件で怒涛の日々は続きそうです。

 

追伸

インターネットの『Rettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。

文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.879連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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薬味

旧臘2017年の前半は、ひたすら「適サシ」一辺倒でしたが、年末に入りまして「変わりタマゴ」の件も話題にしてもらえるようになりました。

例えば129日放送の『極皿~食の因数分解』(BSフジ)もそうでした。この放送の中で、「かっこいいスキヤキ」「孤独のグルメ」の原作者・久住昌之さんが、「ちんや」のカレーたまご、ヨーグルトたまごを面白がって下さって、「ありだね!」と言って下さいました。

それで、というわけではないのですが、久住さんの「食い意地クン」(新潮文庫)を再度読んでみたら、新たな発見がありました。

その発見があったのは「納豆」の章です。

ラーメン、とんかつのイメージが強い久住さんですが、納豆もお好きで、

「納豆のおいしさがわからないなんて、日本語が通じないようなものだ」とまで書いています。

そして私が面白いと思ったのは、ここから薬味の話しに入っていく点です。

久住さんがお好きな薬味は、

刻みネギ

大根おろし

練りカラシ

削り節

そもそも旨味の濃い納豆に対して、

刻みネギ、大根おろしは苦みを加える行為です。

練りカラシは辛みを加える行為です。

削り節は、他の旨味を加える行為です。

そして、この他の薬味については、

「刻んだお新香を入れる人、海苔や青海苔を入れる人、梅干しをちぎって入れる人、それそれに「はいはいご苦労様」とほほ笑んでうなずいて労をねぎらいたい。おいしいのは知っている。もちろん経験はある。あれ、いいよね。どうぞどうぞ。」と書かれています。

この感覚がおありだからこそ、カレーたまご、ヨーグルトたまごも「ありだね!」だったのだと思います。

納豆にお新香とは、納豆菌が作った旨味に、乳酸発酵した野菜を加える行為であり、

すき焼きにヨーグルトとは、熟成によって出来た旨味に、乳酸発酵した牛乳を加える行為であって、驚くほど似ています。

収録前、ラーメン・とんかつの久住さんが、カレーたまご、ヨーグルトたまごをどう思うか、私には多少の不安があったですが、この「納豆」をしっかり読んでいれば、その不安は持つ必要がまったくなかったということになりますね。不勉強でした。

これまで薬味とはあまり御縁がなく過ごしてきた私ですが、2018年は、薬味=変わりたまごにも目配りする年にしようと思います。

引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 

追伸

インターネットの『Rettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。

文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.873連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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パクチーと春菊とトマトが苦手

春菊が苦手だったんですか、星野監督。

この世代の野球人には、すき焼きの話題が付きものですが、

星野仙一監督もそうだったと亡くなってから知りました。

監督の主治医だった松本クリニック院長の松本浩彦医師がスポーツ紙「デイリー」に語ったところでは、

「皆でスキヤキ囲もうものなら、席から立ち上がり最後まで菜箸を放さないお奉行さま」

「食い道楽のくせにパクチーと春菊とトマトが苦手」

「タンしゃぶ」も大好きで、その具は牛タンの薄切りとレタスだけ。昆布ダシでさっとゆでて、おろしポン酢で食す。薬味はネギと一味。

七味をかけようとすると「バカ野郎ッ」が飛んで来たとか。

監督最後の正月に松本医師は、

「娘の所で孫たちと“タンしゃぶ”をやるから上物のタンを仕入れてくれと。(中略)親分の頼みとあれば最優先。探し回ってその日のうちに2キロばかり自宅までお届け。」したんだとか。

すき焼き、しゃぶしゃぶを愛した野球人が、また一人この世を去りました。

悲しいですね。合掌。

追伸

インターネットの『Rettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。

文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.872連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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大晦日

大晦日は肉屋の最繁忙日です。

すき焼き屋の座敷に上がってすき焼きを食べるのではなく、自宅で家族とすき焼きを食べる人が多い日です。

「ちんや」の精肉売店には長蛇の列が出来ますし、クックパッドでは年間で最も「すきやき」の検索数が上がるのが大晦日だそうな。

いったい日本人は、なぜ・いつから大晦日にすき焼きを食べるようになったのでしょう。

理由として、思いつくのは、

・おせち造りや掃除に忙しく、大晦日当日の料理は手を抜きたいから

・家族が集まっているので、鍋を囲みたいから

・「御馳走感」があるから

でしょう。

「鍋」「御馳走感」から、カニ鍋を食べる地方もあるようです。北海道や日本海側です。

「手を抜きたいから」という理由で、簡単なカレーだったり、なんと宅配ピザで済ます家庭もあるとか。しかし、これは流石に手を抜き過ぎで、全体を観ますると、すき焼きが主流でしょう。大晦日=すき焼きという習慣は、広く北海道から沖縄にまで及んでいるそうです。

面白いのは名古屋です。名古屋では鶏肉のすき焼きのことを「ひきずり鍋」「ひきずり」と言います。鍋の中で肉をひきずるからですが、その「ひきずり」を大晦日に食べるそうです。

大晦日は、肉を鍋でひきずり倒して、嫌なことを来年にひきずらないようにしよう!という験担ぎなんだそうです。面白い発想ですね。

ここで気になるのは、こうした習慣がいつ成立したか、です。

そもそもですが、おせち料理の歴史を紐解けば、おせちは新年を迎える料理として、大晦日の夜に食べるのが一般的な慣わしでした。大晦日の太陽が沈んだら、もうその年は終わった、という感覚だったので、そのタイミングで食べたのです。

しかし時計の普及が、この感覚が失わせました。

今は浅草寺の、百八つの鐘撞きでも秒針に合わせてカウントダウンをしますが、時というものを、そういう風に捉えるようになってから、おせち=年が明けてから、になったと思われます。

今でも大晦日におせちを食べてしまう地方がありますが、それが実は伝統的なのです。

ここで大晦日に空白が出来てしまいました。

その空白を埋めたのが、蕎麦とすき焼きでした。

蕎麦業界は「年越し蕎麦」という名前まで付けました。江戸時代からやっていたわけではないのに、さも伝統ありげな感じに聞こえて上手いですな。

「年越し蕎麦」=日本のしきたりと思っている人が多いですが、そんなに古い習慣ではないのです。本来は大晦日=おせちでした。

そして、蕎麦の対抗馬がすき焼きでした。「年越し蕎麦」というような、上手いネーミングがないので、目立っていませんが、多くの人に支持されています。

風が吹けば桶屋が儲かり、時計が売れれば肉屋が儲かったのです(笑い)

しかし、この習慣も、今曲がり角に来ています。

家庭の主婦がおせちを造らなくなったからです。今はコンビニでも通販でも買えますからね。

おせち自体の中身も、単なる高級弁当と化し、縁起や由来よりもゴージャス感が全面に出て来ました。肉が満載の「おせち」もあります。弁当を売り込むのに肉は不可欠ですからね。

こうなると、もうカギ括弧付きの自称「おせち」ですな。

と、なると、大晦日は、胃を休めたい感じですねえ。すき焼きはどうなるのでしょう。宅配ピザにとって代わられるのでしょうか。

いやいや、そうは行きません。

すき焼きが「おせち」を圧倒すれば良いのです(笑い)

まずは、ネーミングからですね。

「年越しすき焼き!」

いやいや、パクりはNGです。

「みそかすき焼き!」

そのまんま、過ぎるかなあ。

どなたか考えて下さい。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.868連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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食べたり買ったり作ったり

扶桑社さんが運営しているサイト「日本全国お取り寄せ手帖」に、

大木淳夫さんが「食べたり買ったり作ったり~レストランガイド編集長の日常」さんという連載をしておられます。

大木さんは1965年東京生まれ。(同い年ですな)

ぴあ㈱メディア・クリエイティブ局チーフプロデューサーを経て、『東京最高のレストラン』の編集長を2001年の創刊より務めておいでです。

その連載「レストランガイド編集長の日常」に、旧臘のことですが、「ちんや」のことを採り上げて下さいました。

「下町の名店、浅草「ちんや」さん。創業は明治13年。現在の6代目は「適サシ肉宣言」などで注目を集める住吉史彦氏。伝統を守りながらも革新を追求する姿勢が注目を集めている。最近は、すき焼きの生卵に工夫を凝らしていて、味が飽きてしまわないようにと、2個目からヨーグルト入り、カレーオイル入りを選べるようになっている。これが味のアクセントとしてとても楽しい。野菜との相性も抜群。肉の質などトータルで考え抜かれたすき焼きは、食後感がまったく重くない。浅草の友人に聞くと、ハレの日や、大事な会合でよく利用される店とのこと。こういう店がある街はいい。」

弊店以外にも根岸の洋食店「香味屋」さんとか、山ノ手の今時な店ばかりでなく、下町テイストの店も採り上げて下さっていて、在り難いことだと思います。

山ノ手の今時な店は、年末年始お休みですからね、こちらサイドへお越しいただいたら良いと思います。

「ちんや」は2日から謹んで営業させていただきいております。

 

「レストランガイド編集長の日常」は、こちらです。ご覧ください。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.867連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

 

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肉の多様化

旧臘30日のことです、

2017年もあとわずか。今年も肉は一定の盛り上がりを見せたが、年末ということもあり、近年の肉事情を少し整理しておきたい。」

という松浦達也さんの一文がネットに配信されました。松浦さんは『大人の肉ドリル』(マガジンハウス、2014年)を書いた方です。

さて松浦さんは記事中に書いています、

2017年は、肉の多様化が定着し、好事家が好みの肉を選択できるようになった年でもあったのだ。」

「ブランドや等級に縛られない肉の多様化が定着」

「好みで選択可」になったというわけです。

思えば、早いものです。10年前は、未だ皆がブランド牛を崇め奉っていました。「A5信仰」の時代でした。

ところが、その後「ホルモンブーム」「赤身肉トレンド」「熟成肉ブーム」というふうに、さまざまな切り口が登場しました。

そして、今年ついに「肉の多様化が定着」。

A5という脂肪交雑の基準は肉の味の指標になりうるのかという疑問」が普通に語られる状況になりました。

その「きっかけとなったのは、浅草の老舗すき焼き店「ちんや」の「適サシ肉宣言」。自店のすき焼きには「サシの多すぎる肉は合わない」と「脱A5」を宣言し、話題になった。」

でも、私は革命的なことをしたつもりはなく、むしろ、これが一番自然な形だと思っています。

なんだか、このところの「食」って、勝ち負け・優劣を付けたがり過ぎていたと私は感じています。

「食」は「おいしい」「たのしい」が重要なのであって、勝ち負け・優劣を付けたがるのって、どこかおかしいと私はいつも考えています。

ランキングは辟易です。

各人が自分の好むものを、適切と思う代金を支払って食べれば良いと思います。

「ランキングが上位のもの」「テレビに出ているもの」「行列しているもの」

って、あなたが美味しいと思うものですか?

違うかもしれませんよ。

自分の舌で決めませんか?

今年は、そういうことを考えてみませんか?

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.866連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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即真似

新年お芽出とうございます。

まったく、年始から私のブログを読んでいるなんて、貴女も酔狂なお人ですな。

せっかく開けていただきましたが、去年のまとめと今年のやるべきことは、フライングで旧臘30日に書いてしまいましたから、今日は書くことがないです(笑い)

仕方ないので、なぜ30日にフライングしたかの説明をすることに致します。

さて、フライングのきっかけは18日に、ある若い方から「年末のご挨拶」をいただいたことでした。

これは面白いタイミングでメッセージを出すのだなと勉強になりました。大晦日だとたくさんのメッセージが往来するのでスルーしがちですが、18日なら目立てますよね。うまい方法だなと感心しました。

そう返信しますと、その方は、ある老舗研究の研究会で知り合った方なのですが、

「実は、私も先日、初めて知人から年末のご挨拶、という形で私にメッセージをいただき、とても感心しまして、すぐ真似ました(笑)」と返信が。

「即真似」いいですね。

私も「即真似」がベストだと思っています。失敗したら止めれば良いんですからね。

「即真似」できる人は有望です。私は若い頃、プライドが気になってしまうような残念な輩だったので、「即真似」が出来ず、今は大いに反省しております。だから、その日は「即真似しました」と聞いただけで愉快な気分になりました。

そういう次第でのフライングでした。

今年は、そういう愉快な方々と出会う年にしたいものです。

皆様、良き元日を。

年始は2日から営業致します。

 

 本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.865連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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住吉史彦の十大ニュース2017

お待たせしました!

今年も「住吉史彦の十大ニュース」の時間がやってまいりました。

え? 誰も待っていないって?

そういう声は無視して、どんどん行きましょう。

今日はポイントだけを書きますので、詳しい内容を知りたい方は、アンダーラインのある所をクリックして下さいね。さて、

 

1月 「適サシ肉」宣言を致しました。この件はご存じの通り大拡散。結局およそ40回各種のメデイアにお採り上げいただきました。怒涛の年の、これが始まりでした。

「適サシ肉」は後に商標として登録致しました。(登録第5980224号、登録日:平成29915日)

2月 東都のれん会「東若会」の幹事長に選任されました。

3月 26回「すきや連」を福井市「開花亭」さんにて開催しました。浜町花街の芸者衆にご出演いただき、賑やかでした。

4月 慶應義塾「料飲三田会」の会長に選任されました。

6月 100年経営研究機構さん・ハリウッド大学院大学さんが主催する100年経営アカデミー」で、ゲスト講師として講演をさせていただきました。

6月 浅草料理飲食業組合の副組合長に選任されました。

7月 27回「すきや連」を米沢市「吉亭」(よしてい)さんにて開催しました。自慢の米沢牛は勿論、登録有形文化財の店舗や日本庭園の風情も楽しませていただきました。

10月 米沢商工会議所さんのお招きで講演をさせていただきました。演題は「適サシ肉騒動記」。

11月 28回「すきや連」を仙台市「かとう」さんにて開催しました。今回も全国から50名近くのすき焼き関係者が終結して大盛況でした。

12月 国際観光日本レストラン協会関東支部の納会を「ちんや」で開催しました。私の講演を聞いていただいた後、すき焼きを食べていただきました。

 

いやあ、とにかく今年は「適サシ肉」の件で、怒涛の一年でしたが、

これにて2017年の弊ブログも千秋楽となりました。また、これにて2.864日連続更新を達成しました。3.000日が視野に入ってきましたねえ。

まずは御礼だけを申し上げます。読者の皆様、ご愛読いただき誠にありがとうございました。

2018年もご愛顧を賜りたく、心よりお願い申し上げます。

東西、東〜西〜

フライング

一日フライングして、年末のご挨拶を申し上げます。

この一年ご指導いただいた皆様、お世話になった皆様、本当に在り難うございました。

私と一緒に、あるいは私の下で活動してくれた皆さん、本当に在り難うございました。

一緒に飲んでくれた皆さんも、さんきゅうでした。

来年もよろしくお願い申し上げます。

さて今年は私にとって「怒涛」の一年だったと言って良いと思います。

だから「今年の漢字」は、

「怒」

・・・っていうのはもちろん嘘(笑)で、漢字は、

「涛」にしたいと思います。

「涛」は訓読みすれば「おおなみ」。その大波を自分が起こしたことについては、今でも不思議な気分です。

弊ブログの読者さんなら先刻ご承知の通り「適サシ肉宣言」は、「ちんや」と、そのお客様の間のコミュニケーションを意図したもの、つまりミニ・コミュニケーションを意図したものでした。

ところが結果は盛大なマス・コミュニケーションと成り、通算40回ほど、様々なメデイアにお採り上げいただきました。(その一覧を文末↓に載せました)

忘年会シーズン真っ盛りの12月にも5回のご取材が入り、当然体力面ではキツかったですが、なんとかこなしました。年始には、これらの番組・紙面をご覧いただけると思います。そう、まだまだ「適サシ騒動」は終結していないのです。

今日は、そんな年の年末ですので、一連の出来事についてざっくりとした感想を書いてみようかと思いますが、とにかく不思議な気分、「適サシ騒動」は自分がやったことではないような気分が今でもしています。

よくインタビューなどで、老舗の当主として「変えること」と「変えないこと」の判別はどうなさるのですか?などと聞かれますが、私は好き好んで、進んで判別しているわけはありません。

「適サシ」の件が、その典型でして、過剰な霜降りを嫌うお客様が増えてきたので、そういう方々に向けて、「ちんや」にそういう肉はないですよ!と告げただけだったのです。改革の意欲に燃えていたわけではなかったのです。

分かり易くは致しました。A5の中にも一部美味しい肉が在ることは承知しておりましたが、A5をメニューから亡くしたことで、かなり分かり易くなりました。「適サシ」というネーミングもオツだったと自負しています。

この言葉は、特許庁にお認めいただき、弊社の商標としましたが、最近では各地で商標権侵害の事例もチラホラございます。大ブレーク、大拡散した結果、歪んだ理解の仕方も登場しているのです。

とある南の町の「ふるさと納税」サイトが御丁寧に「適サシ宣言」をして、寄付を募っていますが、そのサイトを詳細に読んでも、等級以外のことが書いてありません。

私は等級すなわち脂肪の量だけが問題だと言ったわけではなく、質や形状も重要だと申しましたが、そのサイトさんは、等級以外を無視しているのです。

脂肪の質すなわち融点に注意が行けば、当然牛さんの肥育期間に注意が行く筈ですが、触れていません。

脂肪の香(「和牛香」)に注意が行けば、脂肪の形状(「小ザシ」かどうか)に注意が行く筈ですが、触れていません。等級以外のことが書いてなくて、ただ「適サシ!!」と。

どうも、今までA5を追い求めていたのに、「適サシ」が売れると分かった途端に方向転換した疑いすら感じます。5にするより4にする方が短期肥育で出来ますからね。

でも短期肥育にすれば、脂肪の融点が上がり、脂肪の量は少なくても、モタレる脂に成ってしまいます。これにてモタレる「適サシ」の登場です。

いやはや、トホホな話しです。どうも正しく理解されつつ、有名に成るのは困難なようです。

当然対処しないとですが、年末は「ふるさと納税」の「駆け込み」の時期です。そこへ、この件を持ち出せば大混乱は必至で、先方の逆恨みを買うのは利口なやり方とは申せませんので、様子をみて連絡をいれようと思っています。

このように、来年は「適サシ肉」の正しい定義を拡める年にしたいと存じます。

調子の良い時は転換せずに押して行け!です。

既に着手はしています。まずは「ちんや」のスタッフから。

二度目の「全社員一対一肉の話し面接」を実行致しました。宣言前に一回目の「全社員一対一」をやりましたが、その後の情勢に合わせて、二回目を致しました。

一人に90分。週に二人のペースで進めました。10月に着手して、12月半ばまでかかりました。

次には、「ちんや」に見えて「適サシ」を実食した人を中心に、しっかり説明をします。そして、この件は、どうも、融点とか不飽和脂肪酸とかグリセロールとか、小むずかしい単語が多いので、来年は分かり易く~例え話しとかを考えて行きたいと思っています。 

皆様、どうぞ、引き続きお付き合いくださいまし。

明日は「住吉史彦の十大ニュース2017」です。お楽しみに。

<「適サシ肉宣言」関連の、これまでのメデイア掲載は以下↓の通りとなりました>

「文春オンライン」28日より掲載

日本テレビ「スッキリ!!」29日放送

TBSテレビ「白熱ライブビビット」210日放送

テレビ朝日「スーパーJチャンネル」2101650分放送

東京新聞(特報面)212

TBSラジオ「安住紳一郎の日曜天国」21210時放送

HBC 北海道放送「今日ドキッ!」2151544分放送

「肉メディア.com(インターネット)215日掲載、文:松浦達也様

TBSラジオ「森本毅郎スタンバイ!」216735分放送

産経新聞(生活面)221日掲載

日刊ゲンダイ224日掲載

「おとなの週末」(雑誌、講談社)20173月号掲載

FMえどがわ(84.3MHz32日放送

読売テレビ「そこまで言って委員会」312日放送

テレビ朝日「週刊ニュースリーダー」325日朝6時放送

TBSテレビ「ぴったんこカン☆カン」3311956分放送

「ワインホワット!?」(ワイン専門誌)20175月号掲載

NHKテレビ「所さん!大変ですよ」4132015分放送

ブーストマガジン(インターネット)512日(前編)、19日(後編)掲載中

テレビ東京「和風総本家」518日放送

「婦人画報」(雑誌)20177月号「世界が恋するWASHOKU」特集

「健康保険」(健康保険組合連合会発行)20176月号、文:山本謙治様

dancyu20178月号、「美味東京」特集

「文芸春秋」20178月号、「この人の月間日記」、文:中野信子様

TBSテレビ「テッペン!『友だち+プラス』」8123:56放送

単行本『くらべる値段』、2017818日刊行、東京書籍、著者:おかべたかし様

雑誌「だいごみ」、2017年秋号、「地方創生支援協会」刊行

インターネット「食べたり買ったり作ったり~レストランガイド編集長の日常」(扶桑社、文:大木淳夫さま)

BS-TBSテレビ「サタデードキュメント」930日午前1000分放送

雑誌「Hanako1144号(20171019日刊行)

BSフジテレビ『極皿~食の因数分解』129日午後600分放送

雑誌「MetroWalker2017年冬号(東京メトロ発行)

朝日新聞1220日夕刊「(あのとき・それから)1944年 和牛の誕生 サシ重視、偏る種牛に危機感も」(文:向笠千恵子様)

インターネット『NEWS ポストセブン』「ブランドや等級に縛られない肉の多様化が定着 好みで選択可」(文:松浦達也さま)1230日配信

この他に収録済みで、2018年始に公開されるものが3件あります。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.863連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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時代

年末の挨拶だということで、銀行の支店長さんが見えました。

あくまで挨拶ですから、具体的な話しは少な目。自然と食い物とかの話しになりましたが、今の支店長氏は同世代です。

「おせち」って、コンビニや通販で買うものじゃなくて、家庭の主婦が作るものでしたよねえ。年末になると、ウチの母も必死で作ってましたよ。

そうそう、そうです。作ってました。それで女性は疲れてしまうので、手抜き料理として、すき焼きも食べたわけです。大晦日などは、「おせち」づくりが追い込みですから、当日食べる料理を作るヒマがありません。で、すき焼きだったわけです。「ちんや」でも売店で年末にたくさん肉が売れますが、そういう流れがあったと思います。

この「おせち」→すき焼きという流れがいつ確立したかは「調査中」です。東京だけではなく、全国でやっているようです。

『すき焼き通』の著者・向笠千恵子先生も、この点に興味を持たれたらしく、私にご質問があったので、父に聞いてみたのですが、分かりません。どなたが、ご存知の方がいればお教えいただきたいと思います。

さて、話しを現在の「おせち」に戻しますが、今は時代が違います。今は銀行も女性に働いてもらう時代ですから、忙しい女性は「おせち」なんか作っていられません。結局コンビニで買うようになりました。

通販もありますから、通販なら買いに行く必要すらないですねえ。

「おせち」は本来の意味はどこへやら、単なる高級弁当と化しました。

実は、名前も既に変わっています。本来は「御節供(おせちく)料理」だったのですが、デパートが売り出した時点で、語呂が悪いと「く」を取ってしまったと伝えられています。昭和戦後の話しだそうです。

そんな話しをするのは、たぶんバブル世代以上でしょうな。

♪めぐる、めぐるよ、時代はめぐる♪

♪別れと出会いをくり返し♪

旧いなー、俺たち。

皆様、良いお年を。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.861連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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