薬味
旧臘2017年の前半は、ひたすら「適サシ」一辺倒でしたが、年末に入りまして「変わりタマゴ」の件も話題にしてもらえるようになりました。
例えば12月9日放送の『極皿~食の因数分解』(BSフジ)もそうでした。この放送の中で、「かっこいいスキヤキ」「孤独のグルメ」の原作者・久住昌之さんが、「ちんや」のカレーたまご、ヨーグルトたまごを面白がって下さって、「ありだね!」と言って下さいました。
それで、というわけではないのですが、久住さんの「食い意地クン」(新潮文庫)を再度読んでみたら、新たな発見がありました。
その発見があったのは「納豆」の章です。
ラーメン、とんかつのイメージが強い久住さんですが、納豆もお好きで、
「納豆のおいしさがわからないなんて、日本語が通じないようなものだ」とまで書いています。
そして私が面白いと思ったのは、ここから薬味の話しに入っていく点です。
久住さんがお好きな薬味は、
刻みネギ
大根おろし
練りカラシ
削り節
そもそも旨味の濃い納豆に対して、
刻みネギ、大根おろしは苦みを加える行為です。
練りカラシは辛みを加える行為です。
削り節は、他の旨味を加える行為です。
そして、この他の薬味については、
「刻んだお新香を入れる人、海苔や青海苔を入れる人、梅干しをちぎって入れる人、それそれに「はいはいご苦労様」とほほ笑んでうなずいて労をねぎらいたい。おいしいのは知っている。もちろん経験はある。あれ、いいよね。どうぞどうぞ。」と書かれています。
この感覚がおありだからこそ、カレーたまご、ヨーグルトたまごも「ありだね!」だったのだと思います。
納豆にお新香とは、納豆菌が作った旨味に、乳酸発酵した野菜を加える行為であり、
すき焼きにヨーグルトとは、熟成によって出来た旨味に、乳酸発酵した牛乳を加える行為であって、驚くほど似ています。
収録前、ラーメン・とんかつの久住さんが、カレーたまご、ヨーグルトたまごをどう思うか、私には多少の不安があったですが、この「納豆」をしっかり読んでいれば、その不安は持つ必要がまったくなかったということになりますね。不勉強でした。
これまで薬味とはあまり御縁がなく過ごしてきた私ですが、2018年は、薬味=変わりたまごにも目配りする年にしようと思います。
引き続き、よろしくお願い申し上げます。
追伸
インターネットの『Rettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。
文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。
本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.873連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。
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