警察沙汰

またも旧臘のネタで恐縮ですが、小樽市の市長が尻をたたかれて→相手の男を告発する、という滑稽な事件が起きました。報道によりますれば、

「小樽市の森井秀明市長(45)が市庁舎内の廊下で、60代の男性に「もっと謙虚にならなきゃダメだ」と声をかけられお尻を叩かれた。市長は暴力を受けたとして警察に通報、その男性は公務執行妨害容疑で現行犯逮捕された」

「ネット上では市長に対し「これで逮捕?」「市長はちっさい男だ」といった批判が出た」そうです。

60代の男性は即日釈放されたそうな。まあ、当然でしょう。

さて何故こんな件をここで採り上げるのか、ですが、実は私も似たような経験をしたことがあるのです。

ある冬の夜、食事を済ませて二次会に移動しようと思い、目指す店は駅から遠くて、また気温も冷え込んできたので、私達はタクシーをひろいました。

年配でおしゃべりなドライバーさんでした。

話す内、脈絡は忘れましたが、そのドライバー氏、私の知人が経営する老舗蕎麦店を猛批判し始めたのです。

客が店の批判をするのは、もちろん自由です。が、話す相手が、その会話を喜んでいるか、サービス業の端くれなら、配慮しなければいけないと思います。

私は、その話しが大変不愉快でした。

店を悪し様に罵るのが食通だと思っているのか、あるいは私がその店を庇う発言をするのがお気に召さないのか、そのドライバー氏、どんどん批判のボルテージを上げて行きました。しつこい、しつこい。

この様子では、おそらく店に嫌われて何か注意されたのかもなあ、と私は想像しました。それで逆恨みをしているのかも。

私は心底ウンザリしました。そしてドライバー氏に告げました。

そんな話しは、もうたくさんです。ここで降ろして下さい。降ります!

ここで私は、小樽の60代男性と似た経験をします。

降り際にタイヤを蹴飛ばしたのを咎められ、警察への同行を求められたのです。

この事件(笑)を持ち込まれた、お巡りさんは呆れていました。一応器物が損壊されていないことを確認した上で、気怠そうな声で言いました、

これは事件にはならないですから、後は気分的な問題ですね。それは当事者間で話し合って下さい。

実際大した脚力で蹴ってはいなかったのです。警察へと要求したのは、イヤがらせでしょう。元々そういう心魂の人物だったと思われます。

さて、イヤがらせにはイヤがらせを!と行こうじゃないですか。私はドライバー氏告げました、

運転手さん、事件は終わったようなので仲直りのために、最初の目的地まで、もう一度載せていただきましょうか。ただし無駄なおしゃべりは結構ですので。

この後のドライバー氏の、態度の変わり様は本当に滑稽で、私は内心笑い転げました。

ちっさい男だなあ。小樽市長なみ。

 

追伸

インターネットの『Rettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。

文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.876連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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Happy New year! 

父には、趣味でドイツ語を習っている関係で、ドイツ人の知人がいます。

そのドイツ人から旧臘28日に、今年もHappy New year! というメールが届きました。「ちんや」のお客様でもあるので、店のメルアドに届くのです。

このメールが最初に届いた年は不思議に思いました。

意図的フライング?

作文中に誤って送信しちゃった?

いえいえ。語学にあまり関心が持てない私は忘れていたのですが、

Happy New year の前には

I wish you が隠されているのでした。だから、

Happy New year は「お芽出とうございます」というよりは「良いお年を!」に近い言葉だと思った方が良いようです。

じゃあ、なんで、日本人はHappy New year に「お芽出とうございます」を充てるんでしょう?

「グーグル翻訳」でも、Happy New yearの日本語訳は「あけましておめでとうございます」でした。「明けまして」であるなら、明ける前に言ってはいけない感じがしますが、西洋人は明ける前から言ってますよ。最初に訳したのは誰なんでしょう?

もちろん私には分かりませんが、弊店では年末、お客様を見送る時に、

「良いお年を!」と言うようにしています。

明けてしまってから「おめでとう」というより、相手の良き新年を祈る方が、私は、なんだか、好きです。

 

追伸

インターネットの『Rettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。

文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.875連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

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鶏むね肉ブーム

空前の鶏むね肉ブーム到来!

なんだそうです。

「食生活ジャーナリストの会」が選んだ、2017年「食の十大ニュース」では8位にランク・インしていました。ネットでも鶏むね肉レシピをよくみかけます。

最近どうも、こういう特定の部位に拘る話題が多いように思います。牛肉の場合「ミスジ」とか「ザブトン」とか。部位よりさらに細かい「小割り」を話題にしています。もっとも牛の場合は健康面より味の面ですけどね。

産地に拘るのが一段落したので、次に拘る先を求めて、部位に行き着いたのでしょうか。

私は、そんなことより育て方に拘るべきだと思うんですよね。

残念な育てられ方をした牛さんの、ミスジだけを取り出しても、美味しくはありませんよ。

さも貴重なように勧める人がいるかもしれませんけど、美味しくはありませんよ。

ひょっとして、残念な育て方の肉を、なんとか売り捌こうと知恵をしぼった結果が、これなのかもしれないなあ、と私は思ってしまいます。

勘ぐり過ぎですかねえ。そうだったら、ごめんなさい。

 

追伸

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薬味

旧臘2017年の前半は、ひたすら「適サシ」一辺倒でしたが、年末に入りまして「変わりタマゴ」の件も話題にしてもらえるようになりました。

例えば129日放送の『極皿~食の因数分解』(BSフジ)もそうでした。この放送の中で、「かっこいいスキヤキ」「孤独のグルメ」の原作者・久住昌之さんが、「ちんや」のカレーたまご、ヨーグルトたまごを面白がって下さって、「ありだね!」と言って下さいました。

それで、というわけではないのですが、久住さんの「食い意地クン」(新潮文庫)を再度読んでみたら、新たな発見がありました。

その発見があったのは「納豆」の章です。

ラーメン、とんかつのイメージが強い久住さんですが、納豆もお好きで、

「納豆のおいしさがわからないなんて、日本語が通じないようなものだ」とまで書いています。

そして私が面白いと思ったのは、ここから薬味の話しに入っていく点です。

久住さんがお好きな薬味は、

刻みネギ

大根おろし

練りカラシ

削り節

そもそも旨味の濃い納豆に対して、

刻みネギ、大根おろしは苦みを加える行為です。

練りカラシは辛みを加える行為です。

削り節は、他の旨味を加える行為です。

そして、この他の薬味については、

「刻んだお新香を入れる人、海苔や青海苔を入れる人、梅干しをちぎって入れる人、それそれに「はいはいご苦労様」とほほ笑んでうなずいて労をねぎらいたい。おいしいのは知っている。もちろん経験はある。あれ、いいよね。どうぞどうぞ。」と書かれています。

この感覚がおありだからこそ、カレーたまご、ヨーグルトたまごも「ありだね!」だったのだと思います。

納豆にお新香とは、納豆菌が作った旨味に、乳酸発酵した野菜を加える行為であり、

すき焼きにヨーグルトとは、熟成によって出来た旨味に、乳酸発酵した牛乳を加える行為であって、驚くほど似ています。

収録前、ラーメン・とんかつの久住さんが、カレーたまご、ヨーグルトたまごをどう思うか、私には多少の不安があったですが、この「納豆」をしっかり読んでいれば、その不安は持つ必要がまったくなかったということになりますね。不勉強でした。

これまで薬味とはあまり御縁がなく過ごしてきた私ですが、2018年は、薬味=変わりたまごにも目配りする年にしようと思います。

引き続き、よろしくお願い申し上げます。

 

追伸

インターネットの『Rettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。

文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

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パクチーと春菊とトマトが苦手

春菊が苦手だったんですか、星野監督。

この世代の野球人には、すき焼きの話題が付きものですが、

星野仙一監督もそうだったと亡くなってから知りました。

監督の主治医だった松本クリニック院長の松本浩彦医師がスポーツ紙「デイリー」に語ったところでは、

「皆でスキヤキ囲もうものなら、席から立ち上がり最後まで菜箸を放さないお奉行さま」

「食い道楽のくせにパクチーと春菊とトマトが苦手」

「タンしゃぶ」も大好きで、その具は牛タンの薄切りとレタスだけ。昆布ダシでさっとゆでて、おろしポン酢で食す。薬味はネギと一味。

七味をかけようとすると「バカ野郎ッ」が飛んで来たとか。

監督最後の正月に松本医師は、

「娘の所で孫たちと“タンしゃぶ”をやるから上物のタンを仕入れてくれと。(中略)親分の頼みとあれば最優先。探し回ってその日のうちに2キロばかり自宅までお届け。」したんだとか。

すき焼き、しゃぶしゃぶを愛した野球人が、また一人この世を去りました。

悲しいですね。合掌。

追伸

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本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.872連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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偽計業務妨害罪

旧臘は、忘年会のキャンセル事件・ノーショー事件が結構報道された年末だったと思います。

お笑い芸人さんがオーナーをしている、町田の店が一晩に60+15人の二組合計75人にノーショーされた件がテレビで報道されていました。

近年はSNSが普及したので、飲食店が被害をネットに訴えるケースが増えているようです。この店も被害をツイッターに訴えたことから拡散して、テレビにも採り上げられましたが、そのニュースを視ていた私は、

お!

と思いました。

コメンテイターの美人弁護士・菅野朋子さんが、このケースは、

偽計業務妨害罪に問える

と発言していたのです。

これは警察や消防、企業などへの度重なるいたずら電話などを罰するものですが、それが適用し得るとは発見です。飲食店サイドとしては、研究する必要がありましょう。

実は、私は偽計業務妨害罪にばっちり当たると思われるケースを経験しています。

そのケースでは、単純な忘年会のノーショーではなく、背景として、とある喫茶店さんが近隣トラブルに遭っていました。その店を逆恨みした犯人が、以前からその店の名義で出前を取ったり、ピザを取ったりしていたようです。

不衛生な店だと保健所に通報したこともあったとか。そして、ついに「ちんや」に虚偽の予約を入れたのです。

もちろん怒りしかないです。

が、警察に行きましたら、被害届を受理してもらえませんでした。

もし、このケースで偽計業務妨害罪ということで申し立てていたら、どうだったでしょうか。

飲食店サイドとしては、研究して行く必要があると思います。

 

追伸

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文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.871連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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大寒卵2018

好評につき、「大寒卵」が戻って来ました。

今年の「大寒」は1/20です。風水は、大寒の日に産まれた卵を食べることを勧めているとかで、それを「大寒卵」と言うそうです。

これを、あながち迷信と片づけない方が良いと思います。 寒い時期に産まれた卵は栄養価が高いからです。 大寒は一年で最も寒さが厳しくなる頃です。鶏はその寒さで本能的に産卵数が少なくなりますので、その中でも産まれた卵は、必然的に栄養価が高まります。

風水が面白いのは、それを金運と結びつけたところです。 「大寒の日に産まれた卵を食べると金運が上昇する」と言うのだそうです。 ただ「健康に良い」と言うより、そちらの方がそそられますね。上手いことを考えたもんです。会社の社員さんに一個ずつ配るとかしたら面白いと思います。

さて今年も「ちんや」精肉売店で、この大寒卵を販売します。

寒い所の卵が良いわけですから、特に寒い所=日本海の風雪を浴びるような所で鶏を育てている養鶏場から卵を取り寄せることにしました。 その養鶏場は、新潟県村上市の「オークリッチ」さん。

既に予約を受け付けていますので、「今年は一旗・・・」と心に決めておいでの方は、どうぞお急ぎ下さい。

 

追伸

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本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.870連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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縁起

富岡八幡宮の事件のせいで、地元商店街や飲食店が困っているという件が報道されています。報道によりますれば、

「縁起が悪い」などと予約のキャンセルもあるという。《飲み放題8人以上注文で1人分無料》。商店街に店舗を構える居酒屋は最近、ツイッターにこんな宣伝文句を掲げた。「事件後、初詣の参拝客からの予約がキャンセルになり、急遽キャンペーンをやることになった」と男性店主。例年、この時期は忘年会や新年会などの予約客の売り上げが大きいといい、「少しでも客足を取り戻せれば…」と不安げに話した。」

こういうのって、報道する必要があるんでしょうか?読んだ人が,

「縁起が悪い」という理由で予約をキャンセルしてもOKなんだ!

と思ってしまいますよね。

大多数の人はそんなことをしないのに、少数の縁起を気にする人だけ報道するのって、適切なんでしょうか。

肉の業界も、2001年のBSE問題の時は「困っているそうだ」報道の攻勢で辛い思いをしたものでした。だから殺人事件→値引きと聞いて、私はすぐにBSEの頃を思い出しました。

そして、お辛いとは思いますが、値引きは店として最悪の対応です。

むしろ、こんな時でも来て下さる大切なお客様はどなたなのか、それが分かる貴重な時期と言うことができます。その方々を大切にする方策、絆を深める方策を考えるべきだと思います。

値引きは、その店の良さが分からない(=ロイヤリティーが低い)客を招き入れるだけで、愚策の中の愚策です。今日を凌げたとしても、将来が失われます。

ところが商いをしたことのない記者さんは、そういうことがお分かりにならないのです。弱い立場の店は値引きするしかないと思っているから、そういう事例を探し出して書くのです。

嘆かわしい。

2018年は「困っているそうだ」報道は考えなおしてもらいたいものです。マジで。

 

追伸

インターネットのRettyグルメニュース』「平成生まれがゆく「東京名店物語」」にお採り上げいただきました。

文は平成生まれの山口祐加さん。若い方が老舗店に関心を持って下さるのは、嬉しいですね。是非ご覧ください。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.869連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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大晦日

大晦日は肉屋の最繁忙日です。

すき焼き屋の座敷に上がってすき焼きを食べるのではなく、自宅で家族とすき焼きを食べる人が多い日です。

「ちんや」の精肉売店には長蛇の列が出来ますし、クックパッドでは年間で最も「すきやき」の検索数が上がるのが大晦日だそうな。

いったい日本人は、なぜ・いつから大晦日にすき焼きを食べるようになったのでしょう。

理由として、思いつくのは、

・おせち造りや掃除に忙しく、大晦日当日の料理は手を抜きたいから

・家族が集まっているので、鍋を囲みたいから

・「御馳走感」があるから

でしょう。

「鍋」「御馳走感」から、カニ鍋を食べる地方もあるようです。北海道や日本海側です。

「手を抜きたいから」という理由で、簡単なカレーだったり、なんと宅配ピザで済ます家庭もあるとか。しかし、これは流石に手を抜き過ぎで、全体を観ますると、すき焼きが主流でしょう。大晦日=すき焼きという習慣は、広く北海道から沖縄にまで及んでいるそうです。

面白いのは名古屋です。名古屋では鶏肉のすき焼きのことを「ひきずり鍋」「ひきずり」と言います。鍋の中で肉をひきずるからですが、その「ひきずり」を大晦日に食べるそうです。

大晦日は、肉を鍋でひきずり倒して、嫌なことを来年にひきずらないようにしよう!という験担ぎなんだそうです。面白い発想ですね。

ここで気になるのは、こうした習慣がいつ成立したか、です。

そもそもですが、おせち料理の歴史を紐解けば、おせちは新年を迎える料理として、大晦日の夜に食べるのが一般的な慣わしでした。大晦日の太陽が沈んだら、もうその年は終わった、という感覚だったので、そのタイミングで食べたのです。

しかし時計の普及が、この感覚が失わせました。

今は浅草寺の、百八つの鐘撞きでも秒針に合わせてカウントダウンをしますが、時というものを、そういう風に捉えるようになってから、おせち=年が明けてから、になったと思われます。

今でも大晦日におせちを食べてしまう地方がありますが、それが実は伝統的なのです。

ここで大晦日に空白が出来てしまいました。

その空白を埋めたのが、蕎麦とすき焼きでした。

蕎麦業界は「年越し蕎麦」という名前まで付けました。江戸時代からやっていたわけではないのに、さも伝統ありげな感じに聞こえて上手いですな。

「年越し蕎麦」=日本のしきたりと思っている人が多いですが、そんなに古い習慣ではないのです。本来は大晦日=おせちでした。

そして、蕎麦の対抗馬がすき焼きでした。「年越し蕎麦」というような、上手いネーミングがないので、目立っていませんが、多くの人に支持されています。

風が吹けば桶屋が儲かり、時計が売れれば肉屋が儲かったのです(笑い)

しかし、この習慣も、今曲がり角に来ています。

家庭の主婦がおせちを造らなくなったからです。今はコンビニでも通販でも買えますからね。

おせち自体の中身も、単なる高級弁当と化し、縁起や由来よりもゴージャス感が全面に出て来ました。肉が満載の「おせち」もあります。弁当を売り込むのに肉は不可欠ですからね。

こうなると、もうカギ括弧付きの自称「おせち」ですな。

と、なると、大晦日は、胃を休めたい感じですねえ。すき焼きはどうなるのでしょう。宅配ピザにとって代わられるのでしょうか。

いやいや、そうは行きません。

すき焼きが「おせち」を圧倒すれば良いのです(笑い)

まずは、ネーミングからですね。

「年越しすき焼き!」

いやいや、パクりはNGです。

「みそかすき焼き!」

そのまんま、過ぎるかなあ。

どなたか考えて下さい。

 

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.868連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

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食べたり買ったり作ったり

扶桑社さんが運営しているサイト「日本全国お取り寄せ手帖」に、

大木淳夫さんが「食べたり買ったり作ったり~レストランガイド編集長の日常」さんという連載をしておられます。

大木さんは1965年東京生まれ。(同い年ですな)

ぴあ㈱メディア・クリエイティブ局チーフプロデューサーを経て、『東京最高のレストラン』の編集長を2001年の創刊より務めておいでです。

その連載「レストランガイド編集長の日常」に、旧臘のことですが、「ちんや」のことを採り上げて下さいました。

「下町の名店、浅草「ちんや」さん。創業は明治13年。現在の6代目は「適サシ肉宣言」などで注目を集める住吉史彦氏。伝統を守りながらも革新を追求する姿勢が注目を集めている。最近は、すき焼きの生卵に工夫を凝らしていて、味が飽きてしまわないようにと、2個目からヨーグルト入り、カレーオイル入りを選べるようになっている。これが味のアクセントとしてとても楽しい。野菜との相性も抜群。肉の質などトータルで考え抜かれたすき焼きは、食後感がまったく重くない。浅草の友人に聞くと、ハレの日や、大事な会合でよく利用される店とのこと。こういう店がある街はいい。」

弊店以外にも根岸の洋食店「香味屋」さんとか、山ノ手の今時な店ばかりでなく、下町テイストの店も採り上げて下さっていて、在り難いことだと思います。

山ノ手の今時な店は、年末年始お休みですからね、こちらサイドへお越しいただいたら良いと思います。

「ちんや」は2日から謹んで営業させていただきいております。

 

「レストランガイド編集長の日常」は、こちらです。ご覧ください。

本日も最後まで読んで下さって、ありがとうございました。御蔭様にて2.867連続更新を達成しました。すき焼き「ちんや」六代目の住吉史彦でした。

 

 

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