愚直経営

いやあ、そんな大変な時期があったとは存じませんでした。

断片的には聞いておりましたけどね。債務超過で倒産寸前だったとは。

本にハッキリ書いてあることなので、ここに書いてもOKと思うのですが、倒産寸前だったのは私の知人の会社・足立市場丸勤食販企業組合さんのことです。

で、その大変だった頃のことが書かれているのは『「愚直経営」で勝つ!』という御本です。9人の社長さん達の愚直経営ストーリーが綴られていて、丸勤食販さんの件は、その中の1篇です。

さて以前の丸勤食販さんは、足立市場の近くの工場や職場に食材を納めることを仕事にしていました。今では賄い飯というと飲食店の賄いしか思い浮かべませんが、以前は工場に煮炊きする設備が在って、従業員に食事を出している所がありました。そういう所に納めていたのです。

しかし時代の流れで、そういう職場は減っていき⇒丸勤食販さんの仕事は減り⇒経営も苦しくなって行ったようです。

私の知人・渡井さんは、その経営を再建すべく、御父上から会社を引き継ぎました。と、申しますか、倒産寸前だ!ということで、他の仕事をなさっていたのに呼び戻されたというのが実態のようです。

渡井さんは、その後結局経営再建を果たしますが、最初の内は体調が悪くなる位の苦闘の日々だったようです。

財務だけでなく社内も荒れていて、10年間に50人の社員が辞めていったとか。

そんな中、渡井さんは二条彪先生の講演で聞いた、

「同業他社が面倒くさがってやらないことを、閾値(いきち)を超えるまでとことんやり尽くすと世界が変わる」という教えを実行に移すことを決意します。

20種類だけだった商品の規格をフリーにして、100g単位で顧客の必要量だけ、カット形式も好きに注文できるようにしたそうです。

わずかな量でも洗浄・殺菌・脱水し、真空パックする、という作業を大真面目にやり続ける=愚直経営を続けることで、経営再建を果たしたのです。

市場の選び方も成功しました。こうした真面目な取り組みが重要な、病院向け食材・福祉施設向け食材の市場に進出したのです。

この市場は高齢化社会で成長が期待できる市場ではありましたが、丁寧な仕事が要求され、そして何より、患者さん達のライフラインを担う仕事で責任重大です。その事業に進出する本気さを見て、次第に社風も変わっていったそうです。

思いまするに、こうした愚直さこそがブランドです。

著者の三村邦久さんが後書きに書いておいでですが、

「ブランドとは単に高級品を指すのではなく、商品・サービス、そして企業そのものに対する信頼感を指しています」

この部分が多くの人に読まれたら良いと思います。

ブランド=認知度・知名度と思っている人が多すぎます。

特に、食べ物の世界で信頼感より認知度を追っている人が、実に多いんですよね、愚痴ですが。

この御本に学んで、愚直に信頼されようとする姿勢が評価される社会にしたいものです。

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news every.

1月29日放送のテレビ番組『news every.』に出演させていただきました。

「穴場探険!浅草の裏の裏」という題で、「ちんや亭」についてでした。

地元のラーメン店「与ろゐ屋」の御主人・松本光昭さんが案内人になって、あまり有名でない店を回る、という趣向です。

ええ? 浅草のメイン道路に面しているのに「穴場」はおかしいぞ!

とお思いの方は以下↓をお読みください。さて、

「ちんや」の地下に「ちんや亭」という、カウンターだけ16席の小さい店を経営しています。「一人すき焼き」もできますし、ハンバーグ、ロールビーフなどの軽いメニューもやっています。

その店について今回のご取材で質問されましたことは・・・

<「ちんや亭」を1975年にオープンさせたきっかけは?>

・気軽に靴を脱がずに入って「ちんや」の味を楽しんでいただきたかった。

・通常すき焼きなど鍋料理の店は御一人様では入りにくいので、お一人様でも入りやすい店を創りたかった。

・焼き物(=ハンバーグ、ステーキなど)の調理工程を御客様に目の前でご覧いただき、出来上がったら即座に(=3秒以内に)アツアツの状態で御提供申し上げたかった。

<夜は営業せず昼限定で営業している理由は?>

・「ちんや」では、ハンバーグ、ロールビーフなどの挽き肉を使った料理も、すき焼き用の高級な熟成肉の端材を使って作っています。そのため品切れになりがちです。昼のみ営業が、物量的に塩梅が良いのです。

(無理に夜の分も用意しようとすると、「挽き肉用の肉」を仕入れざるを得ず、それは美味しくないです)

・すき焼き「ちんや」のメニューは重たいものばかりなので、昼間営業していてもスタッフ(=仲居さん)は手持ち無沙汰になりがち。そこで昼は「ちんや亭」で働いてもらい、御客様と顔馴染みになれるようにします。

御客様は日頃慣れない「ちんや」へ、記念日の日などに上がった場合緊張してしまいがちですが、スタッフが顔見知りであれば、安心して食事が出来ます。これにより同一人物に「ちんや」と「ちんや亭」の両方を使っていただけます。夜は「ちんや」の営業に専念します。

・昼時は予約せずにフラリと見える方も多いので、「ちんや」が大勢様などで満席の場合に、その方を収容する店がもう一軒必要だった。(夜のお客様はたいてい予約を入れてから見えるので、そうした心配があまりない)

<ロールビーフを始めた理由は?>

・「ちんや」のハンバーグは牛豚合挽きなのですが、牛挽き肉だけのメニューが欲しい、という御客様の声があったのを、現場の担当者が聞いて⇒メニューにしました。

<常連さんが召し上がるメニューは?>

・近隣の方は、やはり価格的に安いハンバーグ、ロールビーフ、サイコロステーキが多いです。(サイコロステーキは所謂「成型肉」ではなく、形が小さい精肉を使ったステーキ)

・その他に毎回特定のメニューばかり食べに遠方から見える常連さんもおいでになります。

「毎回一人すき焼きの常連さん」「毎回一人フィレステーキの常連さん」がおいでになる。

・・・という次第でございまして、席数が少なく、材料も限られるので、ほとんど宣伝してないんですね。

で、メイン道路なのに「穴場」なんです、はい。

実際テレビに出た後大変混み合っています。

弊ブログの読者の皆さんは、出来れば落ち着いてからお出かけ下さい。よろしくお願い申し上げます。

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機内誌

オリンピック誘致が決まり、外人さんに対する対応法について尋ねられることが増えました。

先日も超大手航空会社さんの機内誌の取材がありました。やりとりは、こんな↓感じでした。

Q御店として、外国人客に対し、日本人客とは異なった特別な配慮ならびに接客スタイルなどがございましたらお教えください。

A英語ですき焼きを紹介するパンフレットを作成してあります。玄関にも常備してあり、外国の方がすき焼きについて良く分かっていただいた上で、ご入店いただくようにしています。

接客スタイルは、外人さんだからと言って基本的には変えず、むしろ日本体験を楽しんでいただきます。

「日本の普通の姿に触れたい」という意識の方が多いですから、外人だというだけでナイフ・フォークをいきなり出すと、不快がられることすらあります。

注文も、なるべく外人さんに日本語を話していただいています。

日英対照表を作って配っていますが、そこには

Excuse me! とSumi-masen! を並べてありまして、

外人さんが、それを見ながらSumi-masen!と言うわけです。楽しいですよ。

 

Qすき焼きという料理に関して、外国人客からこんな反応、感想があったという例を、具体的に教えてください。味だけではなく、店(部屋)のしつらえ、などに関することでもかまいません。

A今では日本でも靴を脱いで店が減りましたから、まずそこを面白がって下さいます。靴を預かるためには人手もスペースも必要ですが、この形態は維持していきたいです。

すき焼きは、熱源が客席に在り、ライブ感が感じられるものですから、ハイテンションに喜んでいただける方がいらして嬉しいものです。

 

Q生卵を溶いて、それにくぐらせて食べるというスタイルに戸惑いを見せる外国人客や、逆に初めてそれを体験してトリコになるかたもいらっしゃると思います。そのあたりの面白い事例があれば、お教えください。

A英語のパンフレットで生卵を使うことをお知らせしてますので、戸惑ってしまうことはあまりないと思います。さらに現場で念のため生卵がOKか確認してから提供します。

醤油+砂糖+動物性の脂+卵というのは完璧な味覚ですので、初体験でも気にいっていただけます。

 

Qすき焼きに関して(あるいは接客に対しての反応で)国別に特徴があればお教えください。「アメリカ人はこうだけれど、フランス人はこうだ。なのでこんな対応を心掛けている」とか、そういったことがあれば。

A特に国別対応はしていませんね。

「国別」というほどではないですが、お帰りの時の「ありがとうございました」を色んな国の言葉で言うようにしています。

クレジットカードで国籍が分かる場合がありますので、その場合なるべくサンキューではなくダンケシェーンとかメルシーボクーとか申します。

予約の段階で国籍が事前に分かっている場合は、卓上にその国の小旗を用意しておきます。単純ですが、これは喜ばれますよ。

 

Q10年前、20年前と比べ、近年の外国人観光客は、こんな新しい傾向がみられるという事柄があればお教えください。具体的な事例があればありがたいです。

A箸が持てて、和食経験のある方が増えているのは間違いないと思います。

それから、日本人が観光地と考えていない所へ行きたがる方が増えているようです=回転寿司、銭湯、パチンコ、満員電車など。SNSやブログを使って個人が情報発信できるからでしょう。

 

Q今後、東京オリンピックを迎えるにあたり、ますます増えるであろう東京来訪の外国人客に対して、御店の対応プランがございましたら、お教えください。

Aオリンピックとなれば、色々な国の、色々の食習慣の方々が見えるのでしょうから、その方々の「御不便を取り除く」ことを、もっと進めないといけないでしょう。

禁煙・喫煙

禁忌対応

アレルギー対応などの、図解が必要ですね。

例えばアレルギー対応では、甲殻類とか蕎麦とか、そういう食材を絵にしたシートを玄関に備え付けておき、外人さんがチェックを入れてから、中へお通しするようにしようと思って、計画中です。

 

Q日本食は世界文化遺産に選定されました。この点について、住吉さんからのご提言、思うところがあればお聞かせください。

A「和食が・・・」という以前に、「食」は世界の文化遺産なのだ、という点を噛みしめないといけないと思います。登録は目出度いは目出度いですが、楽観はできないと思いますよ。

・一般家庭の日本人は、どんどん味覚や調理技術を失っている。それを世界から指定されて、果たして本当に大丈夫なのか、と思う。

・素晴らしい料理屋さんの、素晴らしい料理だけを指定して貰った方が良かったのでは・・・とすら思う。

(今回遺産登録されたのは、日本人の四季の暮らしに根差した和食なのであって、料理屋の料理じゃありません、念のため。登録を推進したのが京都の料理屋さん達だったので誤解している人がいるかもしれませんが、違いますのでね。)

・日本人が「安さ」「利便性」(=いつでもいくつでも買えること)という価値を、「正しい味覚」や和食の特徴より、価値として上位に置いている限り、世界遺産登録されたからと言って、にわかに状況が良くなるとは思えない。

・食が文化であるどころか、ヒトの餌と化しているのが日本の現状でしょう。

あ、外国人受け入れの話しに関係ないですね、これは。

食を文化として継承するには教え方も変えないといけないでしょう。単なる技能として教える時代は終わらせないといけません。

工芸科や染織科が東京芸大に在るように、食の教育も変るべき時です。

 

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カエルのキャラクター

ネットのコメント欄が、これだけ一方の意見に偏っているのも珍しいなあ、と思いました。

キリンビールさんの缶チューハイの、カエルのキャラクターが登場するテレビCMが中止になった一件です。報道によりますと、

「外部のアルコール問題を扱う団体から「キャラクターを使った表現方法が未成年者の関心を誘い、飲酒を誘発しかねない」との指摘を受けた」

「放送を中止するのは缶チューハイ「本搾り」のCM。スーツ姿のカエルのキャラクターと俳優の大沢たかおさんの掛け合いで商品をPRする内容で、当初は26日まで放送し、その後、続編も計画していた。」

「キリンは「指摘を真摯に受け止めた。CMに関する社内基準を厳しくして再発防止に努める」と説明している。」

キリンさんは「真摯に」ということでしたが、真摯でないのはネット・ユーザーの皆さんです。

コメント欄は批判一色でした。曰く、

「今じゃ文句言ったもん勝ちだね。」

「過保護によって病気にせよ情報にせよ、個人の免疫力、自己治癒力がどんどん落ちていってしまうような気がする。」

キリンさんに対しても、

「こういう無茶な要求には毅然とした態度で臨んでほしいな。弱腰すぎる。」

たしかに私も、アルコール分解能力の低い方に酒を飲むことを強制する=アル・ハラは止めるべきだと思います。酒をとりまく環境が昔と違うのは知っています。未成年の飲酒も止めるべきでしょう。

しかし「カエルが未成年者の飲酒を誘発」までは、さすがに考え過ぎと言われても仕方ないですよね。

このニュースを機会に反アルコール団体のことを少し調べてみましたが、

結構意気盛んらしく、そうした団体の活動で「アルコールの有害な使用を低減する」ための「アルコール健康障害対策基本法」が国会上程間近なのだそうです。「アルコール問題議員連盟」というのもあるのだとか。極端な禁酒主義者の集団ではないようです。

しかし、今回の一件を巡る一部の報道やネットの反応では「モンスター・クレーマーだ!」と成ってしまっています。

双方が不寛容でトホホですねえ。

南無観世音菩薩。

 

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マルハニチロの農薬事件

マルハニチロの農薬事件の犯人が逮捕されたようですね。この一件について、

こうした事件が中国で起こるなら分かるが日本で起きたことはショックだ、と言う方がおいででしたが、私はそうは思わないんですよね。

自分の人生への不満を、お門違いにも社会や国家にぶつけてしまう犯罪者は残念ながら日本にもいるもので秋葉原のホコ天暴走・殺傷事件があったように、これまでも事件が起きてきました。

今回の事件も、ああいう犯罪に似た事例と思った方が良いのではないか、と思います。たまたま自分の職場が食品を扱っていたので、暴走したりナイフを振り回したりするより簡単にやってしまった、と思えます。

では食品業界は、これからどうすれば良いのでしょう。性善説は止めにして、

監視カメラを増設しろ、とか、

ボデイチェックを強化しろ、とか、

言われています。ほとんど空港なみですねえ。まあ、相手はテロリストみたいなもんですからね。

しかし悪意をもった犯罪者の、一瞬の行動まで把握することなんてことが出来るんでしょうか。出来たとしても、莫大なコストがかかります。そのコストは誰が負担するんでしょう。コスト分の値上げを消費者が受け入れましょうか。

だいたいですよ、冷食が何故ここまで普及したのか、考えてみますと、そりゃあ、勿論安いからですよ。生の食材やお惣菜は、すぐに悪くなりますから、メーカーにとっては廃棄リスクが発生しますが、冷凍してしまえば長期間日持ちして、そのリスクが小さくなります。当然その分売価を安くできます。

消費者にとっても、好きな時にチンする以外の一切の手間が省けて、しかも安いのだから、サイコ―です。

消費者にとって冷食を利用することで失うものと言ったら、

・本物の味

・家族の為に手間暇をかけて料理する愛情

の2点くらいなもので、チョロいです。

このように、そもそも冷食は安さと利便性が肝な商材ですから、値上げなど考えられません。

安全のためのコストはしっかりかけて、その原資は労働者の賃金をカットすることで確保する、そういう方向で今後も突き進むのだろう、と予想されます。

え? それは今より危ない感じがする って?

はい、御名算。

 

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松嶋屋ぁっ!

新春浅草歌舞伎を観てまいりました。

通路にまで補助椅子を出して客を座らせており盛況でした。片岡愛之助さんが昨年「黒崎金融庁検査官」としてブレークしたからでしょうか。

しかし今回の愛之助さんの出番はいたって正統なもので『恋飛脚大和往来』の「新口村」の場面。

関西歌舞伎の二枚目中の二枚目である愛之助さんですから、しっかりと役にハマっておられたことは申すまでもありません。

さて、その愛之助さんがすき焼きを食べるシーンがテレビで放映されていますね。

サントリーのコーヒー「BOSS」のCMの中です。

愛之助さんはカリスマ医師の役で、白衣に身を包んだ20人ほどの集団を率いて病院の廊下を整然と行進します。

バージョンが色々あるようですが、食堂のシーンもあり、カツ丼とすき焼きが出ます。

うーん、この病院の食堂にはすき焼きがメニューに載っているんですねえ。実に結構です。

このコーヒーが、その脂肪の吸収を抑える特定保健用食品だ!というのがCMの眼目のようでした。

愛之助さんは、収録後「おいしいすき焼きを何度も食べられるならNGも怖くない」とコメントされたそうです。

いよ、松嶋屋ぁっ!

なお、「新春浅草歌舞伎」の演目は、この他に、

猿之助さん・男寅さんの『博奕十王』と、若手メンバーによる舞踊『屋敷娘』『石橋』。

猿之助さんの博奕打はサイコ―でした。

来年も是非浅草で歌舞伎を上演していただきたいと思います。

追伸、

今日の『news every.』に出演する予定です。

18:15頃~NNN系です。(これから大事件が起こらなければ)

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失礼ですが、

店の予約をキャンセルした後、「失礼ですが・・・」と応答者の名前を尋ねる必要があるのは分かっています。

でも、「ちんや」の客なら、出来ればそれをシレっと言わずに、こちらの感情に配慮した言い方で聞いて欲しいものです。

それが当日のキャンセルで、

なおかつキャンセルの理由が、

接待先の外人さんがベジタリアンだと来日する迄気づかなかったから、という勝手な理由なら、尚更です。

ある日、そういうシレっとしたお嬢さんからの電話を私が取りましたので、

「キャンセルは承りましたが、こういう場合は本当に失礼だから、名前は聞かないのが普通と思いますよ!ちなみに私は「ちんや」の主人の住吉史彦ですけど!」

と言ったら、お嬢さん、絶句なさっていました。電話を切ってから、

可愛そうなことをしたかなあ~

とブルーに成ってしまい、

女に甘いなあ、俺も。

と思った冬の日でした。

今日は文句ついでに、もう一つ文句を申しますと、外人さんを成田空港から「ちんや」へ直接連れて来るのは、是非おやめいただきたいです。

外人さんはフライトや時差で疲れています。そこで肉なんて食べたいでしょうか。

それに飛行機の時間なんて前後するものですから、1時の予約が3時に変更になってしまったりして、営業上実に迷惑です。

時間の変更でこちらがイライラするのは勿論ですが、接待を担当なさっている御客様だってイライラします。

飛行機だけでなく、成田から浅草への道も渋滞したりして、その、さらなるイライラが外人さん御本人に伝わって、全く良いことがありません。

だいたいですね、先方が着いたらすぐさま大歓待したい!っていうのは日本側の都合だと思うんですよね。

その都合だけで突進するのは、それこそ「おもてなし」の真逆です。

この調子でオリンピックなんて大丈夫なんでしょうかね、まったく。

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都庁店

知人の新店がオープンした、というので行って来ました。
その御店は、とんかつ「伊勢」さんの「都庁店」。
? 都庁に食事する所なんて、在ったっけ?
たいていの行政サービスは区役所で用が足りますから、都庁に行く用事なんて、ほとんどありません。久しぶりに半信半疑で都庁に向かいましたら、在りました。本庁舎と議会棟の間の、扇型の「都民広場」の地下にレストラン街が在ったのです。
「2月9日都知事選挙!!!」と大書された垂れ幕を横目で見ながら、私は地下へ降りて行きました。
新店がオープンしてすぐはお忙しいだろうと思い、1週間ほどたってからお訪ねしたのですが、チラっと中を覗くと大盛況です。
しまった! 忙しい時間に来てしまったか。出直そうかなあ、
と思っていると、見つかってしまいました。
住吉さん、いらっしゃいませ!
御主人自らが現場に入っていて、
どうぞ、どうぞ、とおっしゃるので、申し訳ないことながら、開店記念サービスの「上ロース」をいただくことにしました。
いただきまして、トンカツが結構だったのは勿論ですが、感心しましたことが二つ。
「おろしポン酢」「八丁味噌」「カレールー」といった、調味料の小鉢が有料で売られているのです。
だいたい、こうした調味料は嗜好性のものですから万人が使うわけではなく、全員に出していたら無駄になります。御客様からリクエストがあったらお出しする、という方式の店が多いと思いますが、客は遠慮して頼まないことも多く、あまり使われない内に年月がたつと劣化してしまいます。で、いつの間にか在庫切れ、という結果になっていることが多いように思います。
でも欲しい人は欲しいんですよね。
調味料=タダ、という神話に捉われずに、多少の金額を課金する方式でも、こういう物が在った方が良いと思います。
特に私は食後の「胃モタレ」が気になる性分ですので、喜んで有料の「おろしポン酢」を注文いたしました。
それから、もう一点。店の方向性・顧客ターゲットを明瞭になっているのは良いことです。
「伊勢」さんのメニューの表紙には、こう書かれていました、
とんかつ「伊勢」は働くあなたを応援します。
新入社員も社長さんも、
お父さんもお母さんも、
営業マンも縁の下の力もちも、
ピカピカの彼もキュートな彼女も、
み~んなとんかつ食べて、
元気にがんばりましょう!
実に明瞭で良いですね!
世の中には、ウチの料理は誰が食べても旨いんだから、全員に食べて貰いたいんだよね!
と言う店がありますが、消費者心理とは、そういうものではないと思います。
この店は、まさに自分の為に在るような店だ!
とお客様が感じて初めて、その店は流行るのだと、私は思います。
そう感じながら10回この御店に通うと、そのたびにスタンプを押してくれるらしいのですが、スタンプが双六形式に成っていて、ゴールは、なんと伊勢神宮。
屋号が「伊勢」だけに伊勢国なのです。
スタートが日本橋でなくて都庁になっていて「・・・」ですが、まあ、そこは仕方ないか。

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Filed under: 色んな食べ物,飲食業界交遊録 — F.Sumiyoshi 12:00 AM  Comments (0)

食中毒業界の主役

造物主とは偉大なるものかな、と思います。

主は、人間が増長せぬよう、他の新たな生き物を使って、有効に懲らしめておいでです。

ノロウイルス(Norovirus)も、そうした生き物のように思えます。

このウイルスが発見されたのは1968年ですが、すぐに食中毒業界の主役には成らず、私が「ちんや」に入った1990年代中盤でも食中毒と言えば、腸炎ビブリオや黄色葡萄球菌がメインでした。

しかし最近は、すっかりノロ様が主役となり、この冬も浜松や広島で1.000人以上の人々を苦しめました。

原因食材はパンでしたが、このパン工場は衛生管理が杜撰な工場だったわけではないようです。

なにしろ困りますのは、ノロウイルスの「無症状保菌者」つまり、お腹の中にウイルスが多数いて、便をすれば周囲にウイルスをまき散らすのに、その本人は自覚症状がない、という人がいるのです。今回もそうでした。

ノロ様は人間の腸の中で爆発的に増えますから、とにかくそれが手につかないようにしないといけないのですが、それが難しい問題です。

用を足したら、まずパンツをはきますよね。それがダメなんです!

汚れた手を使ってパンツをはいたら、パンツにウイルスが付きます。

その後で手を洗ったとしても、履いたパンツを手で触ったら、逆にまた手にウイルスが付き、その手でパンを包装したら、ほら、食中毒です。

だからトイレの個室ごとに、パンツを脱いだままで手洗いが出来るような設備を設けないといけないのだそうです。

パンツを脱いだまま手洗いだなんて、ここまで人間にみっともない格好をさせることが出来るのは、ノロ様位のものでしょう。大したものです。

10から100個程度の、ごく少数のウイルスが食品についただけでも感染・発病するというから、実に困ります。

また、今のところ、有効な抗ウイルス薬が存在せず、培養すら出来ていないとか。罹ったら安静にして待つ他ないそうです。いやはや。

飲食店主としては、勿論努力はしていますが、大勢の人が出入りする店では完全に無菌には出来ません。御客様が持ち込む可能性もあります。

日々祈るしかありますまい。私の知人の飲食店主の中にもノロの食中毒を出してしまった方がいます。

日々祈り、万が一食中毒を出してしまった時のために、心の備えをしておくしかありますまい。

すべての声よ、主に向かいて歌え。アーメン。

 

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居座り

客が飲食店を長時間占有することは紛議の種ですね。

1月のある日、ネットに二つの記事が同時に出ていました。一つは、

「NYのマクドナルド、韓国人客「居座り」状態で警察沙汰」というニュース。もう一つは「知恵袋」コーナーの、

「デートで外食の際、恥ずかしい思いをします。」「外でごはんやお茶をする時、彼氏が自分だけ頼まないことが多く、いまだにこの点でわかりあえません。落ち込んでいます。」という、女性からの相談でした。

ことほど左様に、飲食店の営業に協力してくれない人は多数います。

さてまず、NYのマクドの件ですが、ニューヨーク・タイムズ紙が伝えたところでは、

「米国のコリアンタウンでマクドナルドと客の韓国人高齢者との間で座席をめぐりトラブルになっていると報じた。韓国人高齢者が安い飲み物1杯で長時間居座ることが原因だが、困り果てた店側が警察に通報したところ、在米韓国人社会は「差別」だとして反発。マクドナルドに対する不買運動の計画も持ち上がっている。」

「トラブルになっているのはニューヨーク市クイーンズ区フラッシングにある店舗。同紙によると、韓国人高齢者たちはコーヒー1杯(1.09ドル)、またはフレンチフライ1袋(1.39)だけを購入。それを仲間と分け合いながら長時間会話し、テーブルを独占しているという。時には店がオープンする午前5時から夜まで居座る客もいるという。店は対応策として「注文したメニューを20分以内に済ませてください」と記した案内文を掲載。長居する客には直接、席を譲るよう求めた。」

「座席をめぐる警察沙汰は2013年11月以降だけで4件発生している。同店のマネージャーは「ここはマクドナルド。老人ホームではない」と述べ、韓国人高齢者の行動に怒りをあらわにしているという。」

へええ、アメリカって、長居しているというだけの理由で、客を警察を使って追い出すことができるんですねえ。知りませんでした。

さて、次の「デートの外食が恥ずかしい」という女性の件ですが、

「彼氏とはつきあって2年になります。お互い社会人です。

うまくいえませんが、外でごはんやお茶をする時、たとえばカフェに入りたいと私が言い、

「いいよ」というので入り、いざオーダーの段階になると、

「僕はいらないからいいよ」または「水でいい」と言う。

店に入る前、オーダーの前、いっさいその旨は私に告げません。

居酒屋でもドリンクオーダーの際「じゃあ水で」とか言います。

「どうして頼まないの?」ときくと

「飲みたいときは頼むけど今は飲みたくない」

「高い。ペットボトルのやつ買って飲んでた方がいい」とか言います。

あんまり言うと「お前は実家暮らしだからいい。一人暮らしすれば分かる」とか言われます。

今日も2度もそういう思いをして、心が折れそうです。

でも責めると「お前は実家暮らし…」と言われます。

そうじゃなくて、常識の話をしているんだ!と思います。

私のほうが行けないのでしょうか・・・

・・・こりゃあ、ダメだ!と申し上げておきます。

節約したいのなら、外食の店には最初から入らない方が良いのです。公園でペットボトルを飲めば良いのです。カノジョが外食したいと言っても、鉄の意志ではねつければ良いのです。

要するに、優柔さんなのであって、また店で軽蔑の視線を浴びても平気なわけですから、自尊心が少ないのです。

とっとと、今すぐ振りましょう、そんな男は!ロクなものに成りませんね。断言します。

おっと、年甲斐もなくエキサイトしてしまい、お恥ずかしいです。ここからは話しを「ちんや」のことにもって行きたいと思いますが、

「ちんや」の個室を使っていただく時間は「2時間半」と明確にしてあり、HPやパンフレットにも書いてありますし、予約の電話でも必ず告知しています。

ご高齢の方が料理一人前を頼まないことは受け入れています。

ただし、サービス料@500円はいただきます。

一人前を頼まれない場合も、水やお茶をお出ししたりはするわけですから、無料というわけには参りません。その人だけおしぼりを出さないってわけにも参りますまい。

たいていは料理を取り分けすることになりますが、その、取り分け用の皿を洗うのは誰ですか。有給の人間ですよね。そう、暖房だって動かしますしね。

課金されたことに不満を言い立てる方もおいでですが、そこは、こちらも鉄の意志で譲りません。

だって不満を言う方がおかしいですよ。500円支払うことによって、一人前を頼まない客であっても堂々と、自尊心を保ちながら「ちんや」を利用できるんですから。

店側としても、発生した費用の内500円は回収できるわけですから、NYのマクドのようなことはしないで済みます。

客が飲食店を長時間占有することは紛議の種ですが、なんとか折り合って、良い社会にしたいものです。

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